ドツボにハマってしまったときなど、折に触れてたびたび読み返している一冊です。
「ストア哲学」というと難しそうですが、俯瞰的な視点(犬需派に端を発したコスモポリタニズム)から苦難に対して平静を保つための思想や技術が書かれた実践の書とも言えますし、強大な権力を有しながら自分を律し続けた彼の高潔さに触れることもできます。
世評としては ”哲学を愛するローマ皇帝!” と尾ひれがついているのですが、見逃してはいけないのは、ここに書かれていることが「彼自身、実践できていなかったから書いている」という点で、浮ついた自己啓発本で持ち上げられるほどの聖人君子ではなかった様子が伺えます。決定的な証拠はないものの、彼は共同皇帝ルキウス・ウェルス(軍事の才能はあったけど少々遊び人気質だった人)を謀殺したとも言われています。
「なんだ、じゃあたいした本じゃなくない?」と思われるかもしれませんが、この人、古代ローマ帝国が最も強大だった時代の皇帝なんですよ。おそらく後のローマ皇帝と同じように、宮廷でその時代に考えうる贅沢や放蕩もできたはずです。それなのに、誘惑に負けたこともあったと悔いてみたり、死を間近にしてもなおストイック(「ストア派」から来てる言葉です)になれていないと戒め続けているんだから、その高潔さには心を揺さぶられるものがあります。
他のレビュアーさんが指摘されている格調の高さと読みづらさ、どちらもウンウンと頷いてしまいました。
岩波文庫版(神谷美恵子さんの訳)とも読み比べていますが、まさにそんな感じです。ただ、原典も意図が不明瞭なところあると思うんですよね。なんせ、これを書き始めた直後から始まったマルコマンニ戦争でブラック労働気味(?)だった彼が、大衆向けではなく自分向けに書いた内省の書(もっといえば日記)なので。第三者がみたときのわかりやすさは考慮されていないと考えるのが自然ですかね。
もし、機会と気力があればがんばって古代ギリシャ語原典を読んでみたいですが、先に人生終わってそうな気がします。彼ほど立派にはなれなさそうだなぁ。
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マルクス・アウレリウス「自省録」 (講談社学術文庫) 文庫 – 2006/2/11
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2世紀後半ローマ皇帝となったマルクス・アウレリウスはまたストア派の哲学者でもあった。万有は神的理性(ロゴス)に統率されるという合理的存在論に与する精神構造を持つ一方で、文章全体に漂う硬質の無常観はどこから来るのか。自身の心に向かって思念し、心内の軋み・分裂・矛盾をごまかすことなく真摯に生きた哲人皇帝の魂の声。碩学による待望の新訳。(講談社学術文庫)
哲人ローマ皇帝マルクスの内なる魂の独白。AD161年即位の皇帝はストア派の哲学者でもあった。合理的存在論に与する一方で憂愁の色を帯びる無常観はどこから来るのか。哲人皇帝の心の軋みに耳を澄ます
哲人ローマ皇帝マルクスの内なる魂の独白。AD161年即位の皇帝はストア派の哲学者でもあった。合理的存在論に与する一方で憂愁の色を帯びる無常観はどこから来るのか。哲人皇帝の心の軋みに耳を澄ます
- 本の長さ264ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2006/2/11
- 寸法10.8 x 1.1 x 14.8 cm
- ISBN-104061597493
- ISBN-13978-4061597495
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2006/2/11)
- 発売日 : 2006/2/11
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 264ページ
- ISBN-10 : 4061597493
- ISBN-13 : 978-4061597495
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2022年3月11日に日本でレビュー済み
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2022年5月16日に日本でレビュー済み
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翻訳が分かりにくく、読んでもある程度しか理解できなかった。
購入を検討される方は、一度試し読みで理解出来るか試してから購入すべきだと思う。
購入を検討される方は、一度試し読みで理解出来るか試してから購入すべきだと思う。
2019年9月4日に日本でレビュー済み
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こんなに立派にいきたひとがいたとは驚きである。自分の生き方を考えさせられる、
2021年10月18日に日本でレビュー済み
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書かれていることの感想としては、皇帝も楽じゃないなと。
誰かに言い聞かせるためでなく自分のために書いたとのことなので、自分に言い聞かせている面が大きいと思うんですよね。だとすると、自分で自分をこんなふうに戒めながら、鼓舞しながら、政務についていたということで。さすが哲人皇帝だと尊敬する一方で、苦労が忍ばれます。はるか昔のローマ皇帝と、時代も立場も違いすぎるのに、現代の一般人にも通じる内容がほとんどで、興味深く読めます。
訳文もわかりやすく注釈も豊富で、読みやすいです。
さすがに遥か過去の話なので注釈だらけですが、読み物として読む程度なら、大半の注釈はさらっと流して読んだほうが楽しめます。特に最初の章なんて人名だらけで、ひとつひとつに注釈ついていますが、初めて読むときは気にせずスルーでいいんじゃないでしょうか。ひとつひとつ丁寧に追っていくときっと嫌になって挫折しますので……
誰かに言い聞かせるためでなく自分のために書いたとのことなので、自分に言い聞かせている面が大きいと思うんですよね。だとすると、自分で自分をこんなふうに戒めながら、鼓舞しながら、政務についていたということで。さすが哲人皇帝だと尊敬する一方で、苦労が忍ばれます。はるか昔のローマ皇帝と、時代も立場も違いすぎるのに、現代の一般人にも通じる内容がほとんどで、興味深く読めます。
訳文もわかりやすく注釈も豊富で、読みやすいです。
さすがに遥か過去の話なので注釈だらけですが、読み物として読む程度なら、大半の注釈はさらっと流して読んだほうが楽しめます。特に最初の章なんて人名だらけで、ひとつひとつに注釈ついていますが、初めて読むときは気にせずスルーでいいんじゃないでしょうか。ひとつひとつ丁寧に追っていくときっと嫌になって挫折しますので……
2019年7月6日に日本でレビュー済み
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古代ローマの皇帝は何に悩み、何を感じていたのか。数千年前と現代を繋ぐタイムマシンのような作品です。
2011年2月15日に日本でレビュー済み
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世界史を学習すれば必ず覚えることになるローマ皇帝、マルクス・アウレリウス。
五賢帝の最後に君臨した哲人皇帝として、違う文明圏に所属する我々の間でも知名度は高いのではないでしょうか。
さてこの「自省録」ですが、2000年の時を経た我々現代人の心にも感銘を与える言葉の宝庫のような書物です。
彼が忙しい公務の合間を縫って自身に向かって語りかけた簡潔で気高い言葉たちは、読む人を時には励まし、
時には諌めてくれます。
2年前に読了して以来、何かを決断する時や、悩んだ時に、彼の言葉が私のよき指針に
なっているように感じます。その中から特に感銘を受けた言葉を挙げてみましょう。
『ひとが何をなしたり言ったりしようとも私は常に良き者であらねばならぬ。
あたかも黄金やエメラルドや紫貝が常にこう言うであろうように。
すなわち、「ひとがどうしようとあるいはどう言おうと私はエメラルドであり、
自分の色を保持しなけれなならない」』
ページをめくればあなたの心に響く言葉が必ず見つかります。是非ご一読を。訳者の鈴木照雄氏の明瞭な解説も必見です。
五賢帝の最後に君臨した哲人皇帝として、違う文明圏に所属する我々の間でも知名度は高いのではないでしょうか。
さてこの「自省録」ですが、2000年の時を経た我々現代人の心にも感銘を与える言葉の宝庫のような書物です。
彼が忙しい公務の合間を縫って自身に向かって語りかけた簡潔で気高い言葉たちは、読む人を時には励まし、
時には諌めてくれます。
2年前に読了して以来、何かを決断する時や、悩んだ時に、彼の言葉が私のよき指針に
なっているように感じます。その中から特に感銘を受けた言葉を挙げてみましょう。
『ひとが何をなしたり言ったりしようとも私は常に良き者であらねばならぬ。
あたかも黄金やエメラルドや紫貝が常にこう言うであろうように。
すなわち、「ひとがどうしようとあるいはどう言おうと私はエメラルドであり、
自分の色を保持しなけれなならない」』
ページをめくればあなたの心に響く言葉が必ず見つかります。是非ご一読を。訳者の鈴木照雄氏の明瞭な解説も必見です。
2017年7月11日に日本でレビュー済み
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なんとも読みにくい訳です。岩波文庫のほうを読んでいるから、まあまあ理解できるが、これが初めてだと、投げ出してしまうね。