私はこの作者の本を読むのは初めてで、率直な感想を述べさせてもらいます。
作品中のミステリー的な部分は、マイケル・クライトンを模倣したような感じ。そこそこのテンポで物語が展開して楽しかったです。
ただ、主人公である女性元自衛官の回想が物語のところどころにちりばめられていて、この部分を読むのが若干苦痛でした。なんていうか、読み手がテンポ良く読むのを邪魔しているような印象でした。また、物語の後半はミステリーではなく、完全にトップガンの世界です。おそらく、ミステリー以外にも色々な要素をぎっしりと詰め込もうという試みだったのでしょう。
作品の冒頭で、物語に現実味を出したという記述があるとおり、政府官僚同士の会話は現実味がある内容なんだけど、物語後半では退役した女性元自衛官(今は心理カウンセラー)がF15に乗ってミグと戦う等、???な要素も。
全体的な印象では、そこそこ面白いし、読んで損はないと思います。
ただ、大人の読者には勧めることはできません。
なぜなら、内容は深いとみせかけて結構浅いし、作品のコンセプトは全くわからなかったという印象です。
おそらく著者は、執筆に入ったときに作品イメージが出来てなかったか、途中で作品の方向性を変えたんでしょう。
こういうことを読者に悟られてしまう出来の悪さが目立つのも確かです。

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ヘーメラーの千里眼 単行本 – 2004/7/1
松岡 圭祐
(著)
女性戦闘機パイロット・岬美由紀の愛と戦争
原稿枚数1400枚、松岡圭祐氏渾身の書き下ろし。従来の「千里眼」シリーズとはひと味違った航空自衛隊を舞台とする本格戦記小説となっている。航空自衛隊のエースパイロットが演習中に起こした未曾有の過失事故、それによって国家の威信に重大な波紋が生じる。かねてから麻薬密輸船の領海侵犯に頭を抱えていた防衛庁は、「こころの治癒」をビジネスとして展開する巨大企業から事故当事者の精神鑑定を要求される。かつての恋人であるエースパイロットを守るため、臨床心理士・岬美由紀は古巣の航空自衛隊基地に戻る。旧友や初恋の相手と再会するうちに「女性自衛官初の戦闘機パイロット」当時の記憶が蘇る、それは美由紀にとって青春そのもの、甘くそして苦い記憶だった。事故を調べるうち美由紀は麻薬密輸船と巨大企業の密接な関係に気づき、自ら戦闘機の操縦桿を握ることに。
原稿枚数1400枚、松岡圭祐氏渾身の書き下ろし。従来の「千里眼」シリーズとはひと味違った航空自衛隊を舞台とする本格戦記小説となっている。航空自衛隊のエースパイロットが演習中に起こした未曾有の過失事故、それによって国家の威信に重大な波紋が生じる。かねてから麻薬密輸船の領海侵犯に頭を抱えていた防衛庁は、「こころの治癒」をビジネスとして展開する巨大企業から事故当事者の精神鑑定を要求される。かつての恋人であるエースパイロットを守るため、臨床心理士・岬美由紀は古巣の航空自衛隊基地に戻る。旧友や初恋の相手と再会するうちに「女性自衛官初の戦闘機パイロット」当時の記憶が蘇る、それは美由紀にとって青春そのもの、甘くそして苦い記憶だった。事故を調べるうち美由紀は麻薬密輸船と巨大企業の密接な関係に気づき、自ら戦闘機の操縦桿を握ることに。
- 本の長さ542ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2004/7/1
- ISBN-104093861420
- ISBN-13978-4093861427
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
女性自衛官初の戦闘機パイロット、岬美由紀の愛と青春、挫折、生涯を賭けて挑む謎と戦争を描く。サイコスリラーの妙味を加えた、新感覚冒険ミステリー長編。
登録情報
- 出版社 : 小学館 (2004/7/1)
- 発売日 : 2004/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 542ページ
- ISBN-10 : 4093861420
- ISBN-13 : 978-4093861427
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,926,295位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 145,140位文芸作品
- カスタマーレビュー:
著者について
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1968年12月3日、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作『千里眼』シリーズは累計628万部を超える人気作となった(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 万能鑑定士Qの事件簿IV (ISBN-13: 978-4043836451 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
星5つ中4.5つ
5つのうち4.5つ
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2004年7月6日に日本でレビュー済み
お世辞でもなんでもなく「亡国のイージス」に匹敵する快作と思う。
防衛庁と航空自衛隊に取材した描写は緻密で、データ的にも過不足ない。
その中で28歳の元二等空尉の女性自衛官が、防衛大を卒業するまで
の記憶と、現在置かれた危機を通じて、友情と敵対のなか、成長を遂
げていく。
間然とするところが皆無の変化に富んだ物語、日本がどうあるべきか、
そして自衛官とはどうあるべきか、無闇に癒しを求めたがる現代人の
心理の弱点を鋭く突いて、戦いの真の意味を問う。そして、平和を愛
する者の奮闘の尊さを描く一連の美学。
終盤のドッグファイトは真に迫っていて、読んでて血が熱くなる。
この著者の他の作品は未読だが、本作は現代冒険小説として最高峰に
位置づけられるものと確信する。
防衛庁と航空自衛隊に取材した描写は緻密で、データ的にも過不足ない。
その中で28歳の元二等空尉の女性自衛官が、防衛大を卒業するまで
の記憶と、現在置かれた危機を通じて、友情と敵対のなか、成長を遂
げていく。
間然とするところが皆無の変化に富んだ物語、日本がどうあるべきか、
そして自衛官とはどうあるべきか、無闇に癒しを求めたがる現代人の
心理の弱点を鋭く突いて、戦いの真の意味を問う。そして、平和を愛
する者の奮闘の尊さを描く一連の美学。
終盤のドッグファイトは真に迫っていて、読んでて血が熱くなる。
この著者の他の作品は未読だが、本作は現代冒険小説として最高峰に
位置づけられるものと確信する。
2004年11月18日に日本でレビュー済み
日本を守るという誇りをもって国防に青春をささげる若人たち。
今回は岬美由紀版「愛と青春の旅立ち」ですかね。
とある事件をきっかけに交わっていく岬美由紀の「現在」と「過去」
自衛官と呼ばれる人々の生活が熱く語られます。
終盤の空中戦は大満足ですが、悪役にキレがないかな。
ちょっと残念。でも相変わらず、読後の爽快感あふれる物語です。
今回は岬美由紀版「愛と青春の旅立ち」ですかね。
とある事件をきっかけに交わっていく岬美由紀の「現在」と「過去」
自衛官と呼ばれる人々の生活が熱く語られます。
終盤の空中戦は大満足ですが、悪役にキレがないかな。
ちょっと残念。でも相変わらず、読後の爽快感あふれる物語です。
2004年7月8日に日本でレビュー済み
全体のまとまりが良く、構成もしっかりしている。
ストーリーに一貫性があり、キャラクターも第1作以来の良さを復興させていて、
読んでいて安心感がある。
オペレーション・ヘーメラーは2004年度防衛大綱の不審船対処を下敷きにしていて、
かなり細部に渡って緻密に研究されている印象がある。
テーマもシリーズの転回点であり、過去に繰り返された問題提議の答えが、この作品
のクライマックスに生かされている。
宣戦布告・亡国のイージス・戦場のローレライといった作品が好きだった人に勧めら
れる傑作と感ずる。
女性自衛官の男性と同じ職務への登用は平成5年から始まっていて、平成14年を舞台
にしている着想の良さも光っている。
シリーズ第1作からの不変のテーマが、今回も実に巧く料理されている。
ストーリーに一貫性があり、キャラクターも第1作以来の良さを復興させていて、
読んでいて安心感がある。
オペレーション・ヘーメラーは2004年度防衛大綱の不審船対処を下敷きにしていて、
かなり細部に渡って緻密に研究されている印象がある。
テーマもシリーズの転回点であり、過去に繰り返された問題提議の答えが、この作品
のクライマックスに生かされている。
宣戦布告・亡国のイージス・戦場のローレライといった作品が好きだった人に勧めら
れる傑作と感ずる。
女性自衛官の男性と同じ職務への登用は平成5年から始まっていて、平成14年を舞台
にしている着想の良さも光っている。
シリーズ第1作からの不変のテーマが、今回も実に巧く料理されている。
2004年10月26日に日本でレビュー済み
今回の本を書くにあたり、またたくさんの参考文献などあたったりよく勉強しているなと思います。少し分野が偏ってきたかという感もありましたが、岬美由紀が「誰かがやらなくてはならないにしても、自分でなくてもよいのだ」と自分の本来やるべき道に帰っていくところ、その足がかりを作ってくれたのは、自分を快く思っていなかったはずの亀岡。自分の生き方を全うすることで、人を動かすことができる。そうした力強いメッセージがこの小説からもひしひしと伝わってきました。毎回、この主人公でいろいろな展開を見せるシリーズですが、今度はそうきたか、と驚かされることばかりです。本書、かなり厚いので、電車の中片手で読むのは大変ですが。(笑)
2004年7月6日に日本でレビュー済み
今までとは何もかも違います。
構成も文章も巧みで、単体作として読んだ方がいいぐらい。
過去の作品より高級で、人物造形も成功しています。
謎解きの意外性もあるし、主人公に自分に引き比べて見れる
身近な魅力が加わりました。
自衛隊を舞台にした青春小説にサスペンスとミステリーと活
劇が加わって本当に飽きさせません。
そうとも!
なにが「癒される」だ! なにが「世界の中心で愛を叫ぶ」だ!
なにが平井健だ!(←ちがうか)
「千里眼」は最高だーーっ!!!!
構成も文章も巧みで、単体作として読んだ方がいいぐらい。
過去の作品より高級で、人物造形も成功しています。
謎解きの意外性もあるし、主人公に自分に引き比べて見れる
身近な魅力が加わりました。
自衛隊を舞台にした青春小説にサスペンスとミステリーと活
劇が加わって本当に飽きさせません。
そうとも!
なにが「癒される」だ! なにが「世界の中心で愛を叫ぶ」だ!
なにが平井健だ!(←ちがうか)
「千里眼」は最高だーーっ!!!!
2004年7月8日に日本でレビュー済み
執筆に入った時にコンセプトができてなかった?途中で方向性が変わった?
ご冗談を。
岬美由紀が最後に戦闘機に乗るのはシリーズの「お約束」です。
それがおかしいなんて、水戸黄門に印籠だすなというようなもんです。
内容が浅い?ご冗談を。
エンターティメント重視のこのシリーズにおいて、これぐらいの深みは
最も読み応えがあります。
岬美由紀の過去を読むのが苦痛? それこそご冗談を!
シリーズの読者が待ちわびた回顧録です。
ご冗談を。
岬美由紀が最後に戦闘機に乗るのはシリーズの「お約束」です。
それがおかしいなんて、水戸黄門に印籠だすなというようなもんです。
内容が浅い?ご冗談を。
エンターティメント重視のこのシリーズにおいて、これぐらいの深みは
最も読み応えがあります。
岬美由紀の過去を読むのが苦痛? それこそご冗談を!
シリーズの読者が待ちわびた回顧録です。
2004年7月8日に日本でレビュー済み
「千里眼の死角」で全世界まで巻き込んで大変なことになって、
さあ~この後いったいどうなるのか!って思ったら
現実志向の作品に急転直下したんですね。
自衛隊で本格取材した成果は随所に現れてます。
前作までの空中戦とは違って描写がリアルです^^
SF大作調の「死角」でちょっとバテ気味だった岬美由紀も、
今回は若々しく、生き生きとしてます。
名鉄電車が出てきたのもよかった^^
さあ~この後いったいどうなるのか!って思ったら
現実志向の作品に急転直下したんですね。
自衛隊で本格取材した成果は随所に現れてます。
前作までの空中戦とは違って描写がリアルです^^
SF大作調の「死角」でちょっとバテ気味だった岬美由紀も、
今回は若々しく、生き生きとしてます。
名鉄電車が出てきたのもよかった^^