2007年度 第17回 日本映画批評家大賞 ドキュメンタリー作品賞受賞作品 唐十郎アトリエ。高円寺純情商店街を抜け、15分ほど歩いた中野区大和町の住宅地の一角に、その場所はある。90年代以降、プロデュース公演が主流となった演劇界で、 いまでは存在自体が珍しくなった「小劇団」の稽古場だ。2006年11月。 「劇団唐組」の座長である唐十郎は、二階の書斎に篭っていた。 向かいにある自宅から、身ひとつでやってくるのは朝6時。春の公演に向けた戯曲を執筆しているのだ。 表紙には「行商人ネモ」のタイトル。 A4サイズのノートにびっしりと、蟻が這ったような小さな文字で書かれた戯曲が 劇団員たちに配られたとき、唐組の芝居作りが始まる。14人の劇団員たちは、全員が俳優でありながら、制作・美術・照明・音響など、舞台製作に関わるすべての仕事をこなす。 さらに、宴会や普段の生活でも座長の様々な要求に応えなければならない。新年会、新人オーディション、「行商人ネモ」の40日に渡る稽古、 寝る間を惜しんでのセット作り、大阪での旅公演、紅テント設営と合宿生活・・・ひとつの芝居が出来上がっていく過程を、しつこいほど丹念に追った撮影テープは180時間。カメラは、唐と劇団員たちの凄まじいとしか言いようのない芝居への情熱をとらえた。
ぴあ満足度ランキング 第1位 「シアトリカル」第2位 「椿三十郎」第3位 「ダーウィン・アワード」「シアトリカル」満足度平均点 86.4点調査人数 34人順位 1位最高/最低 100点/70点観客の声100点唐十郎の偏執ぶりや、演劇に対する情熱がスクリーンからほとばしっていた。“表現”に対する姿勢からは大いに刺激を受ける。プロ、アマを問わず表現者にはオススメしたい。(33歳・女)90点唐十郎の人柄や劇団にかける想いなど、多面性のある部分が映し出されていた。団員の人たちはビラ張りも自分たちで行っていて驚いた。ますます彼らに惹かれてしまった。(43歳・女)100点昔も今も変わっていないであろう、エネルギッシュな唐十郎は天晴れ。演技をする人、やってみようと思う人、見るだけの人でも、それぞれに感じるものが確実にある作品。(30歳・男) --「Weeklyぴあ」 2007/12/13