この200ページほどの文庫には、5つの原稿が掲載されています。
まず、『エウチュプロン』。原文を直訳しただけのような文章で、日本語として不自然な箇所が散見され、それがために論旨も曖昧で理解しずらい。
二つ目は『ソクラテスの弁明』。著者であるプラトンは師匠のソクラテスが貧乏だったり人から嫌われるような言動をしたり、という事実を包み隠さず吐露しています。「法廷における弁明」というイメージからすると幾分冗長の感がありますが、日本語訳も上手く流れて、とても読みやすい。
三つ目は『クリトン』。獄中のソクラテスとクリトンとの対話形式で綴られています。『エウチュプロン』同様、あまりわかりやすい文章とは言えません。
四つ目は『訳注』です。思想的背景となっているギリシャ神話のエピソードやソクラテスの有罪・死刑を決した得票数が書いてあり、三つの本編以上に為になります。
最後の五つ目が『解説』です。どんな文庫にも解説が大体載っていますが、この解説は50ページを超える大作です。悪妻といわれたクサンチッペのことにも簡単に触れてあり、「デルフォイの神託」や「善く生きること」などの、歴史や倫理の授業で習ったことについても書かれてあって興味深く読むことが出来ます。
表紙の呑気なイラストは、硬派な哲学のイメージを払拭するのに一役買っており、角川書店のセンスの良さを感じさせます。
表紙から受けるイメージって、とても大事ですものね。

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ソクラテスの弁明: エウチュプロン,クリトン (角川文庫 白 16-2) 文庫 – 1989/6/1
「ソクラテスの弁明」は、法廷においてきせられた不敬の罪状に対するソクラテスの弁明を描いたもの。プラトン青年期の情熱的傑作で、師に対する永遠の墓碑銘であると同時に、人類に残した貴重な教訓。
- 本の長さ204ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日1989/6/1
- ISBN-104043016026
- ISBN-13978-4043016020
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登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (1989/6/1)
- 発売日 : 1989/6/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 204ページ
- ISBN-10 : 4043016026
- ISBN-13 : 978-4043016020
- Amazon 売れ筋ランキング: - 730,841位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 386位古代・中世・ルネサンスの思想
- - 11,648位角川文庫
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