Amazonより
1919年から30年間のギリシャの歴史を、ヒロイン、エレニの人生に重ねた、巨匠テオ・アンゲロプロスの一大叙事詩。ロシア革命によってオデッサを追われたギリシャ人難民のなかに、孤児のエレニがいた。彼女は、引き取られた家の息子アレクシスと結ばれ、双子を出産。しかしアレクシスの父がエレニを妻にしようとし、エレニとアレクシスは過酷な運命に翻弄されていくのだった。
アンゲロプロスといえば、荘厳な映像美と延々と続くワンカットが特徴だが、本作では、構図の美しさが頂点を極めた感がある。難民の家と化した劇場、木に吊された羊たちの死骸…。有無を言わせない、凄まじいまでの迫力で観る者を圧倒する。難民の暮らす村を映画のために丸々作り上げ、スタッフやキャストを住まわせるなど、その徹底ぶりも映像に本物感を加えることになった。ギリシャ神話を思わせる悲劇と、戦争も含めた現代的な悲劇を巧みに重ね合わせた物語を、これほどまでに美しく、戦慄さえ覚える映像世界として結実させたことで、本作は一級の芸術品に成り得たと言える。(斉藤博昭)
レビュー
製作: フィービー・エコノモプロス/コスタス・ランブロプロス/ニコス・セケリス 監督・脚本: テオ・アンゲロプロス 撮影: アンドレアス・シナノス 音楽: エレニ・カラインドルー 出演: アレクサンドラ・アイディニ/ニコス・プルサニディス/コルゴス・アルメニス/ヴァシリス・コロヴォス/エヴァ・コタマニドゥ/タリア・アルギリウー/ミハリス・ヤナトス/トゥーラ・スタトプロウ
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)