80年以上の歴史を有するアカデミー賞について、コンパクトに要領よくまとめてある。相当な量のデータソースを削いだうえに、さらに削いで、原稿をものされたことは想像に難くないが、28ほどのタイトルが絶妙で、読者をいつの間にか「映画通」に仕立て上げてしまう。文章も洗練されていて、いうことない。
洋画好きの、そして洋画に拘りのあるファンにとって、身近においておきたい「バイブル」のような本である。

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アカデミー賞: オスカーをめぐるエピソード (中公文庫 か 32-8) 文庫 – 2004/2/1
川本 三郎
(著)
世界的イベントとなったアカデミー賞。輝かしい歴史の裏側に秘められたセレブリティたちの劇的なエピソードの数々。最新の話題を加筆した改訂決定版。
- 本の長さ270ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2004/2/1
- ISBN-104122043298
- ISBN-13978-4122043299
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年10月30日に日本でレビュー済み
「
*OSCARS PGRN3 (Penguin Readers (Graded Readers))
」で英語の意味が分かりにくい所の確認をするために読みましたが、両書で重複するエピソードは思ったほどは多くなく、意味の確認という目的ではあまり役に立ちませんでした。しかしこの本の内容自体には満足しています。
取り上げられた一つ一つのエピソードが単なる事実の羅列ではなく、映画スターと呼ばれる人たちの受賞をめぐる喜怒哀楽が巧みに描かれています。冒頭の「黄昏」のヘンリーとジェーンフォンダ父娘のエピソードなど目頭が熱くなったし、一方、授賞式での映画スター間の対抗心、嫉妬心は相当なもので、ここまでやるのかと感じるエピソードもありました。
本書が刊行されて年月が経ち、その間アカデミー賞のエピソードも蓄積されているでしょうから、それらを追加した改訂版が出たらまた読んでみたいと思いました。
取り上げられた一つ一つのエピソードが単なる事実の羅列ではなく、映画スターと呼ばれる人たちの受賞をめぐる喜怒哀楽が巧みに描かれています。冒頭の「黄昏」のヘンリーとジェーンフォンダ父娘のエピソードなど目頭が熱くなったし、一方、授賞式での映画スター間の対抗心、嫉妬心は相当なもので、ここまでやるのかと感じるエピソードもありました。
本書が刊行されて年月が経ち、その間アカデミー賞のエピソードも蓄積されているでしょうから、それらを追加した改訂版が出たらまた読んでみたいと思いました。
2004年4月17日に日本でレビュー済み
アカデミー賞をめぐるハリウッドの愛憎うずまく裏話エピソードを多数集めた本です。裏話というのは大抵どんなものでも興味深いものですが、ハリウッドの著名人のものとなればなおさらのこと。著者は平易な文章で大いに楽しめる一冊に仕上げています。
しかしこの本には大いに苦言を呈したい点があります。
アカデミー作品賞を受賞したコメディ映画がとても少ないということを論じた章にこんな記述がありました。
「そして80年代は現在までのところ(中略)『愛と追憶の日々』があるだけ。」(172頁)
実際には89年に「ドライビング・ミス・デイジー」が作品賞を受賞しています。ということは、2004年発行と奥付にありながら本書は89年よりも以前に書かれた原稿をまとめていることが読み取れます。それもそのはず。著者は90年に中央公論社(当時)からほぼ同名の著書を出しています。元々は中公新書だった『 アカデミー賞―オスカーをめぐる26のエピソード 』を文庫にしただけだということが、ようやく巻末の解説によって初めて分かるという具合です。
本来こうした重要な再版情報は、巻末解説の中に紛れ込ませるのではなく、巻末に独立して一筆入れるところです。同様に単行本から文庫化した書籍にはそうした読者へのエチケットがもっと明確になっています。
今年再出版するにあたって、手を加えた跡は確かに見られます。授賞式を欠席し続けていたウッディ・アレンが2001年には珍しく出席したこと(120頁)や、「キリング・フィールド」の助演賞俳優ハイン・S・ニュールが96年に射殺された事件(155頁)などにも触れています。
しかし、それならばなぜ、89年に「ドライビング・ミス・デイジー」が作品賞を受賞した事実を受けて「そして80年代は現在までのところ(中略)『愛と追憶の日々』があるだけ。」という記述を修正しなかったのでしょうか。
既に物故者となったマルチェロ・マストロヤンニが受賞式で「グラーチェ」というところを見たいものだ(198頁)という記述も残ったままです。
しかも中公新書は680円、文庫は743円と値段が上がっています。これならわざわざ新刊文庫本を買わずに古書店で中公新書を求めれば済んだでしょう。文庫化して安価に入手できるようにしたと出版社は主張したいのでしょうが、内容の更新が杜撰である以上、その言い訳は通じません。
出版社と著者が読者(=お金を払って本を買う人)に対してどういう姿勢でのぞんでいるかということが自ずと分かります。
しかしこの本には大いに苦言を呈したい点があります。
アカデミー作品賞を受賞したコメディ映画がとても少ないということを論じた章にこんな記述がありました。
「そして80年代は現在までのところ(中略)『愛と追憶の日々』があるだけ。」(172頁)
実際には89年に「ドライビング・ミス・デイジー」が作品賞を受賞しています。ということは、2004年発行と奥付にありながら本書は89年よりも以前に書かれた原稿をまとめていることが読み取れます。それもそのはず。著者は90年に中央公論社(当時)からほぼ同名の著書を出しています。元々は中公新書だった『 アカデミー賞―オスカーをめぐる26のエピソード 』を文庫にしただけだということが、ようやく巻末の解説によって初めて分かるという具合です。
本来こうした重要な再版情報は、巻末解説の中に紛れ込ませるのではなく、巻末に独立して一筆入れるところです。同様に単行本から文庫化した書籍にはそうした読者へのエチケットがもっと明確になっています。
今年再出版するにあたって、手を加えた跡は確かに見られます。授賞式を欠席し続けていたウッディ・アレンが2001年には珍しく出席したこと(120頁)や、「キリング・フィールド」の助演賞俳優ハイン・S・ニュールが96年に射殺された事件(155頁)などにも触れています。
しかし、それならばなぜ、89年に「ドライビング・ミス・デイジー」が作品賞を受賞した事実を受けて「そして80年代は現在までのところ(中略)『愛と追憶の日々』があるだけ。」という記述を修正しなかったのでしょうか。
既に物故者となったマルチェロ・マストロヤンニが受賞式で「グラーチェ」というところを見たいものだ(198頁)という記述も残ったままです。
しかも中公新書は680円、文庫は743円と値段が上がっています。これならわざわざ新刊文庫本を買わずに古書店で中公新書を求めれば済んだでしょう。文庫化して安価に入手できるようにしたと出版社は主張したいのでしょうが、内容の更新が杜撰である以上、その言い訳は通じません。
出版社と著者が読者(=お金を払って本を買う人)に対してどういう姿勢でのぞんでいるかということが自ずと分かります。