1890年のパリ、踊り子同士の凄まじい喧嘩で始まるこの作品は、画家ロートレックの才能が
世に認められ開花するまでを描いたヒューマンドラマです。
モンマルトルの大衆酒場「ムーラン・ルージュ」に夜毎現れては踊り子たちを描き続ける
ロートレックは、ある夜警察に目をつけられ引っ張られそうになっていた女、マリーを助け
自分の部屋に泊めてやることになった。
子供の頃、事故により骨折した足の成長が止まり、異様なほど身長の低い成人男性となった
ロートレックは彼自身初めてともいえる女性との恋愛に身をおくのだったが、マリーは激情的な
部分を持つ女性で、二人の仲はちょっとしたことが原因ですぐ言い合いになり、罵り合うにまで
発展してしまうことが度々だった。そんなことが何度も重なったある日、マリーはロートレック
のもとを去ります。
失意の日々を過ごすうち、ロートレックは再び別の女性と知り合うことになるのですが、自分の
体のハンディを考えた時、決してまともな女性には相手にしてもらえないという先入観から、その
女性の言葉を信ずることができず別れることになります。
酒におぼれるようになっていったロートレック、しかし絵だけは描き続けた結果、やがて希望の
光が差し込む時が訪れるのだが・・・。
ロートレックの絵の中には、かつて大衆のものであった踊り子たちの生き生きとした表情と動きが
見事に描き出され、観る者に生きる希望と勇気を与えてくれる。