![太陽の女 BOX-I [DVD]](https://m.media-amazon.com/images/I/91p7FuSN5rL.__AC_SX300_SY300_QL70_ML2_.jpg)
＞ネタバレ注意！この作品をお薦めするに当たって、物語全体のあらすじをかなり詳しく掲載しています（気になる方はご注意ください）
― 施設で育った女児ハンスク（後のドヨン）は、長らく子供が出来ず苦しんでいた教授夫婦に引き取られる。そこで初めて両親の愛情と自分の居場所とを知るのだが＿本人曰く「幸せすぎて怖い」という日々は、長くは続かなかった。
それまで愛情を注いでくれていた養父母に、娘が産まれたのである。
人格者である父に対し、母は「こんなことなら ドヨンを引き取らなかったのに」と冷淡な態度を露（あらわ）にする。妹が大きくなると、その傾向はさらに顕著になり、ジヨン＝妹に何かがあると、その矛先は必ずドヨン＝姉へと向けられた。
母親の偏愛は兎も角、二人の姉妹は仲睦まじいものであった。
だが、そんな中 二人の姉妹を引き裂く決定的な出来事が起こる。
両親が旅行で不在のある時、読書をする姉に「私と遊んで 私と遊びに行こうよ」と妹がせがむ。「風邪気味だから出ちゃダメよ」と嗜（たしな）める姉に対して「お母ーさんに言いつけるよ。そしたら また叱られて叩かれるよ」「だから遊びに行こうよ」と悪戯に微笑む。お姉ちゃん子で構って欲しい一心でのひと言であったが、日ごろ養母の執拗な偏愛（贔屓）にさらされ、自らの居場所が奪われることへの恐怖心を抱えたドヨンを、凶行へと駆り立てさせるには十分だった。程なくして、「バスに乗りたい」と駄々をこねる妹を連れたドヨンは、大晦日で賑わうソウル駅に、幼い妹ひとりを置き去りにするのであった＿。
時は経ち、２０年後 二人はそれぞれに成長する。
失踪した妹のジヨン（サウォル）は、施設を卒業後、友達の洋服店を手伝いながらパーソナルショッパー（VIPを相手に洋服を見立てる店員）を目指している。明るく頑張り屋で、曲がった事が許せない どこまでも真っ直ぐな性格だが、施設で身を寄せ合い、助け合って生きてきたせいか、一度 敵意を向けられると、徹底的にやり返す＿半〇直樹的な一面を持つ。
姉のドヨンは、韓国NO．1アナウンサー、女子大生が憧れる女性１位 韓国広報大使 優雅で気高く、自身に満ちた女性。一見 太陽の光を一身に受けて生きてき来たように見えるドヨンであるが、家庭では、可愛い愛娘を喪った養母の陰湿な仕打ちに耐える日々。その影は、照らす陽の光と相克する様に、暗く濃いものであった。
二人は、まるで数奇な運命の糸に手繰り寄せられる様に、再び出会う。
人気プログラム“ワンダーウーマンズ・ショー”の司会者とその視聴者、パーソナル・ショッパーと そこへ通う常連客＿という間柄をであったが、互いの立場を超え、次第に二人は“本当の姉妹”の様に親しくなってゆく。やがて訪れる悲劇が、再び二人を引き裂くことになるとは知る由もないままに…
初めに互いの存在に気づいたのは姉のドヨン。番組の企画で、サウォル（ジヨン）の生き別れた両親の捜索を持ち掛けるドヨンであったが、その足跡を辿るにつれ、自分が取り返しのつかない過ちを犯していることに気づく。当時、似たような境遇に置かれた家族は珍しくなく、サウォルの家族だと名乗る母姉が現れるのだが＿ その家族と抱擁を交わすサウォルを見やりながら、ドヨンはひとり確信していたのである「この子は間違いなく あのとき置き去りにした妹のジヨンである･･･ と」。花火をしている時についた腰の火傷の跡、駅に置き去りにする際、首に掛けてやった毛糸の首飾り。サウォルは失踪当時の記憶を失っていたが＿その口から記憶の断片が語られる度、真実を知るドヨンの手は振るえ、顔面は蒼白するのである。
やがて、失った記憶を完全に取り戻していくジヨン＿
自分の過去を奪った者が最愛の姉であると知ったとき、悲哀と愛憎に満ちた復讐劇が始まる＿＿。
見所＿したたかで賢く立ち回る姉（ドヨン）に対し、復讐を決意した妹（サウォル）は母譲りの執拗で冷酷な一面を覗かせ始める。子供の頃に犯した過去を何とか消し去ろうと様々に手を巡らすドヨンであったが、事件と その当時を知る男＝施設時代の仲間からの脅迫や暴露、記憶を取り戻したサウォルの復讐により、次第に追い詰められ（嘘で塗り固めたメッキが剥がされ）、破滅への坂を転げ落ちていく･･･。
劇中“それまで手に入れた地位や名声を必死に守ろうと、現在（今に）しがみ付いている”様に見えるドヨンであるが、実はそのすべてが、今もなお養母から愛されようとしていた（自慢の娘でいたかった）という所が本当に切ない。
人の欲望と因果を巡る話もあり、非常に奥深い物語。ハラハラ・ドキドキの展開にグイグイ引き込まれ、特に終盤 緊迫の度を増した姉妹の掛け合いには思わず固唾を呑んでしまう。＿「列車から突き落とせばよかった」「殺してしまえばよかった」「あんたのいない間も私は罰を受けて生きてきた」「なぜ また現れて私を苦しめるの？」「お姉ちゃんのせいよ」「お姉ちゃんが好きだったのに」「いつも追いかけてたのに」「そんな私に どうしてなの？」愛憎の果てに、人はどれだけ人を傷つけることができるのか？どこまでやれば相手を赦せるのか？そして、憎しみあった二人が最後、どの様な結末を迎えるのか？
気になる物語の顛末に加え、出演者の演技には目を見張る物があり、キム・ジス イ・ハナの演技は圧巻そのもの。何よりチョン・エリ扮する（身も凍るような）養母の存在があってこその作品ではなかったでしょうか。
＊この作品は『逆転の女王』『女の香り』と並んで、（自分の中で）韓流三部作と呼んでいます。
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