![コンクラーベ 天使と悪魔 [DVD]](https://m.media-amazon.com/images/I/71EkhKER8IL.__AC_SX300_SY300_QL70_ML2_.jpg)
1458年、ローマ教皇カリストゥス３世の死去に伴い、次期教皇を選出するコンクラーベが行われた。この映画はそのコンクラーベの様子を描いている。主人公はあのチェーザレ・ボルジアの父ロドリード・ボルジア。亡くなったカリストゥス３世の甥。叔父さん（教皇）のおかげで枢機卿になった若者。彼も後に教皇になるが、この映画ではそんな先の話まで描かれていない。
缶詰状態の中で18人の枢機卿たちが、次期教皇が選出されるまで投票を繰り返す。この当時、システィーナ礼拝堂はまだできてなかった。フランス人とイタリア人の２人が有力候補となり、それぞれが３分の２の12票を獲得するために多数派工作を行う。ボルジアもフランス人候補者から財務副院長の地位をえさに与えられて、敵対候補の支持者を寝返らせるように命令される。
枢機卿たちはいろいろな思惑で投票する。買収や利益供与など権謀術数が渦巻く。国益を考える者もいる。どちらが教皇になれば十字軍を派遣するのか、自国のナポリに対する支配力はどうなるのか。候補者は彼らを説得しようとするが口約束がどこまで信用できるのか。同じイタリア人でもボローニャはシエナが嫌いだとか、ローマではスペイン人（亡くなったカリストゥス３世はスペイン人）が嫌われているとか、当時のヨーロッパを取り巻く情勢を理解していないと、登場人物のちょっとした発言の持つ意味がわかりにくいことがある。私は世界史の知識に乏しいので「西洋史辞典」や「クロニック世界全史」などでいろいろ調べて、再度この映画を見て、やっと理解できたところもある。
冒頭に登場したボルジアの愛人が後にチェーザレの母となり、ボルジアをバカにしてその愛人を誘惑していた男が後のユリウス２世（教皇）であるなど、この物語の続きが気になるところである。派手なアクションやスケールはないが、私にはなかなか面白い映画であり、この時代に関する本をいろいろ読んでみたくなった。
