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日本テレビとCIA 発掘された「正力ファイル」 単行本 – 2006/10/17
なっているのか?
「網」の字にはどんな意味があるのか?
その理由は設立時の秘密にある。
実は日本へのテレビの導入は米国による情報戦の一環だった。テレビ放送網は、
そのまま「反共の防波堤」であり、さらに軍事通信網にもなるはずだったのであ
る。
「テレビの父」である正力松太郎のテレビ構想は、アメリカ側にたくみに利用さ
れたものに過ぎない。CIAは正力に「ポダム」という暗号名まで付けていたので
ある。
著者がアメリカ公文書館で発見した474ページに及ぶ「CIA正力ファイル」
----。そこには、CIAが極秘に正力を支援する作戦の全貌が記録されていた!日
米で蠢くCIA、政治家、ジャパン・ロビー、官僚、そして諜報関係者・・・・・・。
日本へのテレビ導入はアメリカの外交、軍事、政治、情報における世界戦略の
パーツの一つだった。
- 本の長さ336ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2006/10/17
- ISBN-104103022310
- ISBN-13978-4103022312
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商品の説明
抜粋
二〇〇五年も押し詰まったころ、私の探求の旅はようやく終わりを迎えてい
た。ワシントンDCの郊外にある国立第二公文書館から衝撃的資料がでてきたの
だ。「CIA文書正力松太郎ファイル」。この資料には、前に誰かが読んだこと
を示す折り目はついていなかった。
それまで四年にわたり私はアメリカ国内を文字通り東奔西走して資料をかき集
め、生存する関係者に数度にわたってインタヴューしてきた。その目的は「正力
松太郎による日本へのテレビ導入にアメリカはどのように関わっていたのか」と
いう問いに対する答えを見出すことだ。
このために集めた資料は段ボール箱一六個分にのぼった。にもかかわらず、そ
れらは「日本のテレビの父」正力とアメリカの政府機関との直接的関係を明らか
にする上で決定力を欠いていた。だが、今度の資料は違っていた。
CIA文書は機密性の高さゆえに大部分が黒塗りの状態なっている場合がほと
んどだ。だが、今回の「CIA正力ファイル」はところどころ固有名詞や日付が
削られている以外はほぼ原形をとどめているうえに、分量もフォルダー三つ分、
あわせて四七四ページもあった。数年にわたる資料収集によって外堀を埋めてい
た私には十分過ぎる量だった。
中身にいたっては、CIAが極秘に正力を支援することを作戦とし、その実施
のための必要書類の作成を命じたり、作戦に実施許可を与えたりというものだっ
た。これ以上の直接証拠があろうか。
しかも、この作戦のなかで正力はCIAから「ポダム」という暗号名まで与え
られていた。この暗号名はこれ以降もCIA文書に登場し続けることになる。
正力ファイルが四〇〇ページ以上にものぼるのはこのためだ。
この文書は、これまで憶測でしかなかったことを歴史的事実として浮かび上ら
せた。その結果、ぼんやりとかすんでいたものがはっきりと輪郭をあらわし始め
た。それは、一言でいえば、正力による日本へのテレビ導入はアメリカが政策と
して「仕組んだ」ものだった、ということだ。私の行く手にようやくゴールが見
えてきた。
しかし、断っておきたいのは、だからといって、これは特定の関係者や企業を
責めれば済むという問題ではないということだ。これから明らかにしていくよう
に、この問題はあまりにも日米の現代史の深いところに根ざしている。見かけよ
りも広い文脈を持ち、多くの人々が関わっている。
それに、私自身、これに関わった人々と企業と機関を非難すべきかどうか、今
もわからない。現在の日本の繁栄と分かちがたく結びついているからだ。それ
に企業、機関についていえばそこに働く人々や体制も多くの場合、変ってしまっ
ている。
確かなのは、責めるかどうかは別にして、現在を生きる者はこの事実と向か
い合わなければならないということだ。それはもう終ったことではなく、現在と
つながっているからだ。今も現実を動かしている重要な要素の一つだとさえいえ
る。
ちなみに、ワシントンの博物館群のなかでもその壮麗さがひときわ目を引く国
立公文書館にはこのような銘が刻まれている。
「過去から引き継がれたものは未来を生み出す種となる」
過去から学ぼうとしない者に未来はない。過去の過ちの永遠の繰り返しがある
だけだ。過去から学んだものだけが、この繰り返しから脱して未来の扉を押し開
けることができる。
このあと私がどのような旅をし、どのようにゴールに達したのかを明らかにし
ていくが、それは過去のことを暴き、非難するためではない。
現在を見つめ直し、過去の繰り返しではない未来を招来させるためだ。
著者について
大学第一文学部卒業。八四年東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得。93
年ミズーリ州立大学客員教授。2005年メリーランド大学客員研究員。現在、早
稲田大学社会科学部・社会科学研究科教授(メディア論)。著書に『テレビの
夢から覚めるまで』(国文社)『中傷と陰謀 アメリカ大統領選狂騒史』(新潮
新書)など。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2006/10/17)
- 発売日 : 2006/10/17
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 336ページ
- ISBN-10 : 4103022310
- ISBN-13 : 978-4103022312
- Amazon 売れ筋ランキング: - 105,119位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 12,245位ビジネス・経済 (本)
- - 20,427位ノンフィクション (本)
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目次
主な登場人物
文庫版へのまえがき 原発導入と正力松太郎
序章 CIA正力ファイルの発見
第一章 日本テレビ出生の秘密
第二章 反共スキームに飲み込まれた正力構想
第三章 日本テレビとジャパン・ロビー
第四章 心理戦のプロ集団ドゥマン・グループ
第五章 正力ロビーを操ったジャパン・ロビー
第六章 CIAを引きずりこんだドゥマンの士気工作
第七章 密約の崩壊
第八章 かくしてCIAと日本テレビはリンクした
第九章 1000万ドル借款バトル始まる
第十章 日本テレビ開局と怪文書
第十一章 吉田、正力つぶしに動く
第十二章 電電公社の逆襲
終章 心理的再占領体制下の日本
あとがき
文庫版あとがき
第二次世界大戦敗戦後、アメリカは日本をアメリカ式の資本主義・民主主義の国として、アジアにおける「反共」の拠点のひとつとして、そして原発やテレビをはじめとする商業マーケットとして再建しようと計画していたのです。そのための日本側の協力者として、テレビの分野では大戦の戦犯たちの中から正力松太郎をその経歴ー①警視庁時代に共産主義者や無政府主義者を弾圧、②新聞を用いて三国同盟を支持するプロパガンダを広めた、③真珠湾攻撃の直前に記者に現地に電話取材させ、その情報を軍に通知した、④大政翼賛会など戦争遂行に協力したいくつかの団体の設立委員会のメンバーだった、⑤1943年6月に内閣情報局参与に就任したーから目をつけました。正力も総理大臣という自らの野心のためにアメリカの思惑に乗り、互いに利用し利用されしながら(正力は権力志向が強く能力面でも抜群でしたが思い込みが強く単純なところのある人物とされています)その旺盛なバイタリティと人脈を活用して(総理にはなれませんでしたが)政界にも進出し、読売新聞を発行部数日本一の新聞に育て上げ、「原発の父」「テレビの父」「プロ野球の父」と呼ばれるまでの存在になります。
なぜテレビが導入されたのか、アメリカの反共戦略の都合で戦公職追放から復帰した戦犯たちがテレビや原発をどのように自らの権力基盤の構築に利用したか、アメリカの占領政策がいかにうまく機能したかー今もしているかー今も大手テレビ局の大手株主がアメリカ系である事実や、TPPについてまともな検証や批判をしない姿勢にも表れています。そもそもテレビというメディア自体が、その導入からしてアメリカのひも付きなのです。もしかしたら今回の大統領選で大方のテレビ解説者の予想が外れたのも、アメリカの既得権益層からの情報や目線、願望が一種のバイアスになっていたのかもしれないと思いました。
最近、テレビニュースはまた昔のような当たり障りのないニュースを流すようになってきたように感じます。そもそも日本のテレビや新聞は権力監視のジャーナリズムとして健全に機能しないシステムであり、原発事故であれだけ問題視されながら、いまだに官報を垂れ流す記者クラブというぬるま湯に浸かって出られないままです。戦後派共産色が濃いと警戒されたNHKも政府の広報機関に成り下がっています。今回会長が変わって、改善されることを期待したいところですが・・。
何よりまずは、国民がこういう歴史を知り、問題意識を持つことから始めなくてはいけないのでしょう。本書は読みやすい本とは言えず、私も読みこなせているとはとても言えませんが、膨大な資料を用いて記述された良書と思います。
今月、現職の総理大臣としてはじめて安倍首相が真珠湾を訪問することが発表されました。親密な日米関係を維持していくとの意思表示でもあるでしょうし、いろいろ政治的な思惑もあるでしょうが、わたしを含め日本国民が過去の戦争犯罪に向き合う好機と思います。関連書籍を読んでいくつもりです。
今では「エスタブリッシュメント」と感じられる組織も、その源泉へと立ち返れば、時代に応じた様々な動きの産物(結果)、ということは往々にしてあるのだろう。
きっとその「様々な動き」に直接に関与した/立ち会った人々(この本に紹介された以外にも、無数の方々が存在するのだろう)、それぞれに、思い・感慨・評価・後悔があるに違いない。
そしてそれは私たちの日常生活における同種のものと、スケールやインパクトこそ違えど、通じるものはあるのだろう。
・・・「エスタブリッシュメント」を「エスタブリッシュメント」として、必要以上に捉えすぎない努力が必要であることも感じる一冊。
当時におけるテレビ放送の可能性への見方(ここまで有力メディアとしてのし上がってくると果たして見られていたか?)、また通信と放送の距離感(日テレに通信網も担わせようとしていた)、といった
周辺状況を適宜考え合わせながら(他の文献を参照しながら)読みたい、という意味で、星4つとさせていただきました。
p.s.
ところで、富士山の上にアンテナ、もし立っていたら、どうなってたんでしょうか。
風速に耐えられなかったような気も少し。
に対して、ソフトやコンテンツを「ソフト・パワー」と
称していた一時期があったと記憶しています。本書は
日本にテレビというものが入ってくる前段、もしくは
黎明期の「ハード・パワー」「ソフト・パワー」について
克明に記されています。占領政策あり、日米双方の権力闘争
あり、複雑でしたが実に興味深い内容で、労作にただただ
感謝です。
本書の最後の最後に、筆者が『その一方で、このテレビと
通信テクノロジーが残したものは、その後も軍事的、心理的、
政治的現実として残りつづけた。テレビの方式がNTSC方式から
ハイヴィジョン方式に変わろうという今、デジタル化によって
テレビというメディアがこれまでとはまったく違った姿になり
つつある今、私たちはそろそろこのように問うべきなのかも
しれない。ドゥマンたちが作り上げた反共産主義スキームは
その後どうなったのだろうか。それが呪縛だとして、私たちは今、
その呪縛から解き放たれているのだろうか』と書かれています。
本書が記された時点から時代が大いに様変わりしている昨今。
これまで語られてきた「冷戦」的なものがある意味終わっている
とはいえ、基本的にはイデオロギー対立は残っていること。
また、インターネットやSNSに取って代わられテレビ自体の力は
以前ほどには強くないとしても、各国や各陣営が「愚民化政策」に
利用している気がします。昨今の風潮からすれば上から目線な
書き方かもしれないが、画面の大小にかかわらずメディアの怖さ
として捉えて頂ければと思います。
最後に一点。本書に登場する人物は九分九厘男性、「男の世界」
なのでやたらと「彼」という単語が出てきます。いちいち個人名を
列挙されるのも辛いのですが、どの「彼」なのかを推し量るには
私の読解力は余りにも不足していました。これから読まれる方は、
「彼」が誰なのかを追記もしくは、メモされることをお勧めします。
公文書の山の中から資料を発掘した著者の努力には敬意を表するが、文書に記された「事実」とその事実をもとに展開される著者の「推論」とが混在しているため、読者はその内容をすべて鵜呑みにするわけには行かない。
また、「正力ファイル」という性質上やむを得ないものの、記述の焦点が正力松太郎に集中しすぎるために、実際に彼の手足として活動していた人物たちの描き方はぞんざいなものになっている。
これでは、御手洗辰雄の『伝記 正力松太郎』や日本テレビの社史『大衆とともに25年』のように、「正力松太郎がいかに傑出した人物であったのか」をCIAの文書をもとに描くだけの「正力礼賛本」の亜種となってしまう。むしろ、御手洗らが正面から正力を礼賛しているのに対し、本書が「CIAの文書」という客観性をまとった資料をもとにしているだけに、かえって正力の偶像化を推し進める結果となっている。
「一代の傑物正力松太郎」が単なる偶像崇拝でしかないことは、すでに佐野真一が『巨怪伝』の中で徹底して証明しているだけに、そうした先行する成果を踏まえていない本書の内容には、物足りなささえ覚えざるを得ない。
仲介役の電通も入れておいてほしい。