筑波大学名誉教授で真正保守系論客、中川 八洋氏の著書です
本書は二部構成になっており第一部で「東アジア共同体」、第二部で近衛文麿が推し進めた「大東亜共栄圏」について論じています
第一部では「東アジア共同体」構想には、共通の利益が存在せず、米国が外れているため米国の影響力が薄くなり日米同盟の弱体化が起こり、また中共に搾取される日本という構図が出来上がり中共を支配者とする中華大帝国となると警鐘を鳴らしています
第二部では、第二次近衛内閣が提唱した「大東亜共栄圏」構想が、第一次近衛内閣の「東亜共同体」「東亜新秩序」と基本的性格は同じで、東北アジアの赤い三ヶ国連合(赤い支那、赤い満州、赤い日本)だけでなく、さらに広域に拡大し東アジア全体を共産化するのが目的であったと喝破しています
「東亜共同体」「大東亜共栄圏」の目的はともに米英による世界秩序を破壊すること、アジアを共産化を目的としていたと述べています
本書では前作「
近衛文麿とルーズヴェルト-大東亜戦争の真実
」と同様、近衛文麿が赤い政治家であったことを論じています
また本書を読んで驚いたことですが、(1)パール・ハーバー奇襲のための航空部隊の出撃は、ハル・ノートを駐米大使が受け取るより早かった、(2)日本の特使として英米との終戦仲介をスターリンに依頼のために派遣されようとした近衛が考えた案が、ハル・ノートの条件よりひどかった、(3)「近衛上奏文」は、実際には吉田茂が書いたもので、近衛は酒を飲んで脇で見ていただけのようであったようだという点です((1),(2)は「近衛文麿とルーズヴェルト-大東亜戦争の真実」にもすでに記載されており再認識しました)
本書では第一部・第二部を通じて「東アジア共同体」「東亜共同体」「大東亜共栄圏」を提唱した現代〜過去の赤い知識人、赤いジャーナリスト、赤い政治家、赤い官僚等を厳しく追及していますが、一部の保守論客も民族系論客として追及し共産主義者と靖国問題と天皇制以外、大きな差がなく、アジア共産化に利する言論であると喝破しています
「東アジア共同体」と「大東亜共栄圏」との差は中共に貢ぐかソ連に貢ぐかという差しかないということが述べられていますが、昨今騒がれていたAIIBのも中共に貢ぐ手口そのもので、赤い知識人・赤いジャーナリストはまだまだ健在で、その時の気分で国民(といよりは大衆?)の世論はどうにでも転び油断のならない状態が連綿と続いていると痛感しました
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亡国の「東アジア共同体」: 中国のアジア覇権を許してよいのか 単行本 – 2007/6/1
中川 八洋
(著)
- 本の長さ293ページ
- 言語日本語
- 出版社北星堂書店
- 発売日2007/6/1
- ISBN-104590012235
- ISBN-13978-4590012230
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登録情報
- 出版社 : 北星堂書店 (2007/6/1)
- 発売日 : 2007/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 293ページ
- ISBN-10 : 4590012235
- ISBN-13 : 978-4590012230
- Amazon 売れ筋ランキング: - 323,996位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 95位アジア・アフリカのエリアスタディ
- - 1,840位政治入門
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2007年9月6日に日本でレビュー済み
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中川さんが私たちに訴えたいことは下記のことでしょう。
議会制民主主義が確立している自由主義国家(多くの欧米国家)は信頼でき、そうではない、一党独裁国家、専制国家は信頼できない、というよりも信用できない。ゆえに中国、北朝鮮とは、協調する必要はなく、あえて友好関係を持とうすることは、国益を損ねることである。媚朝媚中の政治家、官僚に対して私たちは、警戒を怠ってはいけない。
キリスト教文化という共通の基盤がヨーロッパと異なり、アジアは文化的に一体にはならない。そのような試みはやはり国益を損ねる。
以上のことを、例の舌鋒鋭く述べています。
議会制民主主義が確立している自由主義国家(多くの欧米国家)は信頼でき、そうではない、一党独裁国家、専制国家は信頼できない、というよりも信用できない。ゆえに中国、北朝鮮とは、協調する必要はなく、あえて友好関係を持とうすることは、国益を損ねることである。媚朝媚中の政治家、官僚に対して私たちは、警戒を怠ってはいけない。
キリスト教文化という共通の基盤がヨーロッパと異なり、アジアは文化的に一体にはならない。そのような試みはやはり国益を損ねる。
以上のことを、例の舌鋒鋭く述べています。
2007年9月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
衝撃の書です。題名自体は当たり前の話で格別力説するほどのテーマでもないと思っていました。前半は、この考え方の論理的な空虚さとその危険性が分析されます。むしろ本書の衝撃の部分は、後半にあります。そこでは、この”東アジア共同体構想”の前史とも言うべき”大東亜共栄圏”の隠されたモティーフが見事に明らかにされます。ここで駆使されるのはオーウェルによって広められたnew speakの解読とそのアプローチの戦前の文献への応用です。この”転倒の用語”の正確な解釈を可能とする見事な解読作業により、戦前の歴史で、どうにも曖昧でわかりにくかった部分の持つ真の意味が明確にされることになります。戦前の特に1930年代後半の日本の対支関係には、どうにもこうにも現在の解説書を読む限り、合理的な理解が不可能な部分がいくつもあります。その不可解な部分がこのnew speakの解読により明らかにされます。近衛をアジア共産化を切望する共産主義の中心人物と結論付けたのは前作からの新たな展開です。結論は、アジアの共産化を目標とし、自国(日本の)の自殺を目的としたグロテスクな思想こそが大東亜共栄圏というわけです。この結論は、私たちが教科書で習ったりそのアンチテーゼとして知ることになった通説と非通説とはまったく異なるものです。この思想が日本オリジナルなのか、それともソヴィエト原産のものなのかの分析は細かくはなされません。しかし、大アジア主義を明治維新ショックに由来する精神の病と捉えた部分は(P155)は慧眼です。ただこの作品も、情報戦の一方の側からの反論にすぎないという批判も残ります。
2019年12月6日に日本でレビュー済み
ユニフォームもと海将が発言しておられる、情勢の推移、北東アジアの安全保障情勢に鑑みると日本は国家の存続の危機を迎えている、米国は第1列島線の防御に防衛に舵を切った台湾防衛にどれだけの援助(投資?)をしているか数百億ドルである、我が国は第1列島線のキーポイントの位置を占めている、ところがいまだにその自覚に乏しい、政治家の軍事音痴は甚だしい、中国の浸透工作、東アジアに冷戦構造は続いている、麻薬を吸引された日本は眼力を朦朧とし、安っぽいマジックショーを中国からみせられている、日本企業の中国退場は大規模に起こるであろう、残存した企業は悲劇的な結末を迎える、中川名誉教授は、10年前以上にすでに予見されたていた。英米系地政学に立脚し、EU、NATOとの賢慮にして完全な統合との対比において「大東亜共栄圏」というスローガンが、日本を破滅に導く謀略の魔語であったということ描いた。それに反論することは難しいだろうと思われます。日本を破滅に導いた魔語「大東亜共栄圏」の現代版「東アジア共同体」に対する警世の書として防衛力、抑止力、対処力いろいろといわれる戦後日本国の軍事力については、「軍事バランスの算定は、相手国と当事国、当事国を取り巻く地域環境などの地理と政治が織りなす関係性とのかかわりから導き出される、つまりは、地理政治学、地政学である」とのセオリーを論じた。
マッキンダーとスパイクマンをもとにした戦略である。
EUは経済的な統合においてNATOの軍事的結合に支えられ、一体化していることで、米国一極構造のパックスアメリカーナの一翼を担っている、もし東アジア共同体を作るのであればこの道を踏襲しない限り、中共のアジア覇権の道具に成り下がり平和破壊の先兵に堕落するであろう。
マッキンダーとスパイクマンをもとにした戦略である。
EUは経済的な統合においてNATOの軍事的結合に支えられ、一体化していることで、米国一極構造のパックスアメリカーナの一翼を担っている、もし東アジア共同体を作るのであればこの道を踏襲しない限り、中共のアジア覇権の道具に成り下がり平和破壊の先兵に堕落するであろう。
2009年12月25日に日本でレビュー済み
中川八洋氏がなぜGHQ発禁図書「
大東亜戦争とスターリンの謀略―戦争と共産主義
」の著者の三田村武夫を「1933年の共産党からの転向組みの中で、数少ない本物の転向者」(同書174ページ)と紹介するのか不明であり、また少し言い過ぎではないかと首を傾げたくなる点も散見されるものの、ここまで徹底的に「東アジア共同体」構想の欺瞞と危険性、その提唱者たちの反日思想、そして共産主義者と大東亜戦争を肯定する民族派論客の歴史捏造を抉り出した快著はないだろう。
2007年9月19日に日本でレビュー済み
「東アジア共同体」は著者のいうとおりです。結果として我が国はスターリンによって毛沢東のための中共に協力しました。この本の後半も小堀桂一郎西尾幹二工藤美代子らをバッサリ斬ってくれたので胸のすく思いです。ただ、大東亜戦争の評価については、まだ足りない感じがします。旧著「近衛文麿とルーズヴェルト」では我が国が満州鉄道におけるアメリカとの共同経営を拒否したことを批判しています。そして反対派の小村寿太郎に関しては「北進」論者として評価しています。ここの説明も不十分です。またルーズヴェルトについてはハルノートから数回でてきますが、戦争狂ルーズベルトは出てきません。1907年サンフランシスコ市日本等学童分離1921年四ヶ国条約1922年ワシントン軍縮会議1923年日英同盟失効1928年パリ不戦条約1930年ロンドン軍縮会議、我が国に不利なものばかりです。1932年ルーズベルトが大統領になります。その後日米通商条約失効、日本資産凍結命令、石油の対日輸出全面禁止。
三田村武夫、中川八洋氏の大東亜戦争の見方のなかで、スターリンと日本の「赤」との謀略はよくわかります。今日から将来は米英と路線は同じですが、当時の米国の失策にも触れてほしいと思います。結果として米国が、日本軍が中共に応援してしまったのです。昭和16年夏から秋にあれだけ譲歩して交渉に応じないアメリカは異常でした。あの時点で米国の要求をのむことは無条件降伏だと我が国指導者は思っていました。対支、対ソ、対南(南部仏印)、そして日米交渉。日露戦争以降の米国の対日政策を含めて、我が国のとるべきだった政策を語ってほしいと思います。
また、日本共産化だけが大東亜戦争だとしたら、靖国の英霊たちを祭る事もまた共産化への道なのでしょうか。この『亡国の「東アジア共同体」』は中川氏の著作だけにやや物足りなさがのこります。
三田村武夫、中川八洋氏の大東亜戦争の見方のなかで、スターリンと日本の「赤」との謀略はよくわかります。今日から将来は米英と路線は同じですが、当時の米国の失策にも触れてほしいと思います。結果として米国が、日本軍が中共に応援してしまったのです。昭和16年夏から秋にあれだけ譲歩して交渉に応じないアメリカは異常でした。あの時点で米国の要求をのむことは無条件降伏だと我が国指導者は思っていました。対支、対ソ、対南(南部仏印)、そして日米交渉。日露戦争以降の米国の対日政策を含めて、我が国のとるべきだった政策を語ってほしいと思います。
また、日本共産化だけが大東亜戦争だとしたら、靖国の英霊たちを祭る事もまた共産化への道なのでしょうか。この『亡国の「東アジア共同体」』は中川氏の著作だけにやや物足りなさがのこります。
2009年6月25日に日本でレビュー済み
2000年初頭から先頃まで政財界や一部マスコミが推進していた「東アジア共同体」構想を批判し、戦前に提唱された大東亜共和圏の中華版であると喝破する真っ当な書。
第1部では、EUを引き合いに東アジア共同体の欺瞞製を批判する。戦後すぐにNATO結成があり、米国の軍事的バックアップがあり、反共・キリスト教・中世からの共同体意識があればこそEUが成立している。東アジアには、共産主義独裁国家が多くあり、共同体意識はない。東アジア共同体は単に日本を中共に隷属させ、日米同盟破棄と日本を共産化させる手段だと主張する。
第2部では戦前を振り返り、主要な戦争がすべて近衛文麿という狂気の首相により引き起こされたもので、自殺した彼の代わりに広田弘毅が断罪されたこと。大東亜共栄圏は東アジアすべてを共産化することが目的だったこと。日支戦争は中国共産党のために国民党と戦うことが目的だったこと。対米英戦は日本をソ連に占領させるために始められたものであること等を主張している。
後書きでは、現在の論客が唱える多民族共生を、ローマ軍兵士以外にも市民権を与えて退廃していったローマに例えている。非常に興味深い一冊である。
第1部では、EUを引き合いに東アジア共同体の欺瞞製を批判する。戦後すぐにNATO結成があり、米国の軍事的バックアップがあり、反共・キリスト教・中世からの共同体意識があればこそEUが成立している。東アジアには、共産主義独裁国家が多くあり、共同体意識はない。東アジア共同体は単に日本を中共に隷属させ、日米同盟破棄と日本を共産化させる手段だと主張する。
第2部では戦前を振り返り、主要な戦争がすべて近衛文麿という狂気の首相により引き起こされたもので、自殺した彼の代わりに広田弘毅が断罪されたこと。大東亜共栄圏は東アジアすべてを共産化することが目的だったこと。日支戦争は中国共産党のために国民党と戦うことが目的だったこと。対米英戦は日本をソ連に占領させるために始められたものであること等を主張している。
後書きでは、現在の論客が唱える多民族共生を、ローマ軍兵士以外にも市民権を与えて退廃していったローマに例えている。非常に興味深い一冊である。
2007年8月22日に日本でレビュー済み
中川八洋先生の新刊本とあって、早速取り寄せ読ませていただきました。これは「近衛文麿とルーズベルト」の続編とも呼べるもので前作同様、大変示唆に富んだ内容でした。最近になって近衛文麿についての本が出版されて、ちょっと首を傾げておりました。この本の中でも、その本のことに触れ一刀両断してくれてるのは痛快でした。あの大東亜戦争をどう位置づけ評価するかということは、近年益々重要な問題になってきています。中川先生は論壇でも反共の急先鋒として知られ、最近では保守陣営に対しても、その批判の舌鋒は鋭く容赦ありません。これもわが国を憂いてのことと思っております。わが国が有史以来未曾有の国難にあたり国を挙げて闘って敗れたあの大東亜戦争が、従来言われてた聖戦でなかったという著者の立論は正直衝撃でした。無論あの戦いに倒れた人々への思いとはまた別の問題です。「大東亜共栄圏」というスローガンそのものが、日本を破滅に導く謀略の魔語であったというのは、愕然とさせられました。しかしこの本を読んで、それに反論することは難しいだろうと思われます。日本を破滅に導いた魔語「大東亜共栄圏」の現代版「東アジア共同体」に対する警世の書として、特に保守陣営の人たちに読んで欲しいと思います。こういう観点から大東亜戦争を研究した類書がないのも、著者の苛立ちの原因なんでしょう。左翼はもとより、保守陣営に対する痛烈な批判の書になっています。