出版不況の中、売れている本は、その場しのぎや逃避、お手軽な勉強の仕方解説やら、成功した(ように見える)旬の人の代わり映えのしない説教や、「博士」とか「世界的」など、受けての判断を麻痺させたり、素人には評価のしようのない学位持ち芸能人の本が多いかな。で、この本だけど、「王道無し」の数学を味のある解説で紹介しています。商品解説に目次が載っていないので、以下に示します。
I 数学の本は鉛筆と紙をもって読むことのおすすめ
II 証明を味わうことのおすすめ
III 具体的なものを抽象化して考えることのおすすめ
IV 抽象的なものを具体化して考えることのおすすめ
V 理論体系を1つの一貫したものとして眺めてみることのおすすめ
VI 1歩1歩、まなんでゆくことのおすすめ
VII 疑問をおこすことのおすすめ
VIII 疑問を追究することのおすすめ
iX 問題を整理することのおすすめ
X 理論の構造に注目することのおすすめ
XI 根本から考えることのおすすめ
XII 自分で考えることのおすすめ
40年前の本ですが、ステキな章名ですね。時間がないという言い訳をしない、結果を得る事を急がない、後で役に立つとかを気にしない、すぐに分からないとい状況をゆっくり自分で考える事で楽しむ時代があったのだなぁ。とそういう雰囲気が伝わる、市井に教養が残っていた時代を懐かしくなります。
文庫なので持ち運びには便利ですけど、自分の計算やメモを書き留める余白が無いのが欠点ですね。こう言う本は文庫にしない方が良いですね。何でもかんでも文庫にせずに、内容に応じて判の大きさを変えてほしいですね。ちょっと残念。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
数学のまなび方 (ちくま学芸文庫 イ 37-1 Math&Science) 文庫 – 2008/11/10
彌永 昌吉
(著)
- 本の長さ309ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2008/11/10
- ISBN-104480091734
- ISBN-13978-4480091734
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2008/11/10)
- 発売日 : 2008/11/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 309ページ
- ISBN-10 : 4480091734
- ISBN-13 : 978-4480091734
- Amazon 売れ筋ランキング: - 470,519位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2014年7月31日に日本でレビュー済み
もともとは1967年の本で本書は復刻版である。著者は東大名誉教授であり有名な数学者でもある。
数学のまなび方についての一般的注意みたいなもの、と述べられているが、近道の話でもテクニックの話でもない。現代数学というか高等数学を勉強する人向けだと思われるほどの高度さはある。浅いところ(とっつきやすいところ)と深いところ(きちんと考えなければならないところ)が混在している。
曰く・・
非ユークリッド幾何学の確立の影響もあり、公理というものも、ある既存あるいは実在のものについての命題体系を基礎づけるためのもの、というのではなく、むしろ積極的に人為的に設定して、そこから自由に体系を創造していこう、という立場がとられるようになった。公理系は矛盾を含んではならないが、理論をつくる人が思い通りに選んでもよい。あとは価値判断の問題だが、そこからできる理論が興味あるものとなり、多くの人の興味を引くような公理系となると理論も発展する。
数学上の発見はいくつかの考えをうまく結びつければできるのだが、考えは無数にあるのでよい結びつきを選択するのが発見である。どういう結びつきがよいのか。そこに秩序がなくてはならず、そうした秩序の美しさや調和を感じ取ることができるのが数学上の発見ができるための第1条件である(ポアンカレ)。
などなど。
数学のまなび方についての一般的注意みたいなもの、と述べられているが、近道の話でもテクニックの話でもない。現代数学というか高等数学を勉強する人向けだと思われるほどの高度さはある。浅いところ(とっつきやすいところ)と深いところ(きちんと考えなければならないところ)が混在している。
曰く・・
非ユークリッド幾何学の確立の影響もあり、公理というものも、ある既存あるいは実在のものについての命題体系を基礎づけるためのもの、というのではなく、むしろ積極的に人為的に設定して、そこから自由に体系を創造していこう、という立場がとられるようになった。公理系は矛盾を含んではならないが、理論をつくる人が思い通りに選んでもよい。あとは価値判断の問題だが、そこからできる理論が興味あるものとなり、多くの人の興味を引くような公理系となると理論も発展する。
数学上の発見はいくつかの考えをうまく結びつければできるのだが、考えは無数にあるのでよい結びつきを選択するのが発見である。どういう結びつきがよいのか。そこに秩序がなくてはならず、そうした秩序の美しさや調和を感じ取ることができるのが数学上の発見ができるための第1条件である(ポアンカレ)。
などなど。
2008年11月16日に日本でレビュー済み
「数理科学」創刊号(1963.7)から10回に渡って連載された「数学を学ぶときのコツ」を紹介した記事をまとめたモノです。「数理科学」の読者向けというところからして、かなりハードルは高めです。(どうやら高木貞治先生の「解析概論」「代数学講義」などが理解できるレベルの読者が期待されているようです。参考書も色々と紹介されていますが、殆どが古典で入手困難でしょう)
本書で取り上げられる題材は、1.統計、2.幾何学と論証、3.集合と写像、4.群、5.ヒルベルトの幾何学的基礎論、6.非ユークリッド幾何学、7.リーマン幾何、相対論、8.抽象代数(群/環/体)と関数解析、距離空間 と現代数学の基本事項ばかりなのですが、これらの事項の初学者にはかなりキツイでしょう。特に幾何学の話が続くあたりでは「これがどう役に立つのか?」と思う読者も出てくることでしょう。ここでは「公理というルールを如何に設定すると、どの様にゲームとして成立するのか?」を"味わう感覚"を養うことが肝要です。
「困ったことに『数学はつみあげ』という信仰もあり、わからんなりにつきあうことが出来なくなっている。分かることを急いでいたら、研究者になんかならん方が良い。すぐにはワカランことを考えて、そのうち何とかするのが、研究というものなのだから」(森毅「 現代の古典解析 」)という言葉の通り、最後は自分との対話を重ねる以外には真の勉強など出来る筈はない訳ですが、本書からそのヒントが得られるかもしれません。「本書はまだ難しすぎる。orz ...」という読者は「 数学的センス 」「 無限と連続―現代数学の展望 」「 幾何物語 」などをご覧になると良いでしょう。「美しい数学とは、大切なこと、しかも一般性のあることを、すっきりと、ムダのない言葉で述べたものである(→「分かり易く、抽象的に述べる」)」(野崎昭弘)の真意が分かることでしょう。
本書で取り上げられる題材は、1.統計、2.幾何学と論証、3.集合と写像、4.群、5.ヒルベルトの幾何学的基礎論、6.非ユークリッド幾何学、7.リーマン幾何、相対論、8.抽象代数(群/環/体)と関数解析、距離空間 と現代数学の基本事項ばかりなのですが、これらの事項の初学者にはかなりキツイでしょう。特に幾何学の話が続くあたりでは「これがどう役に立つのか?」と思う読者も出てくることでしょう。ここでは「公理というルールを如何に設定すると、どの様にゲームとして成立するのか?」を"味わう感覚"を養うことが肝要です。
「困ったことに『数学はつみあげ』という信仰もあり、わからんなりにつきあうことが出来なくなっている。分かることを急いでいたら、研究者になんかならん方が良い。すぐにはワカランことを考えて、そのうち何とかするのが、研究というものなのだから」(森毅「 現代の古典解析 」)という言葉の通り、最後は自分との対話を重ねる以外には真の勉強など出来る筈はない訳ですが、本書からそのヒントが得られるかもしれません。「本書はまだ難しすぎる。orz ...」という読者は「 数学的センス 」「 無限と連続―現代数学の展望 」「 幾何物語 」などをご覧になると良いでしょう。「美しい数学とは、大切なこと、しかも一般性のあることを、すっきりと、ムダのない言葉で述べたものである(→「分かり易く、抽象的に述べる」)」(野崎昭弘)の真意が分かることでしょう。