中日ドラゴンズではフォークボールの元祖といわれる杉下投手以来2人目の200勝投手となった著者。
入団はドラフト5位指名で、神奈川県下では名の知れた投手だったが甲子園出場は叶わず本人はドラフト指名されるなど考えてもいなかった。
普通に東京六大学に進学して将来は教員免許を取得して高校野球の監督になれたら・・・そんなことを考えていた。
同期の1位が清原以前に甲子園を騒がせた愛知・享栄高校の超高校級スラッガーといわれていた「藤王康晴」。
3位が同じ神奈川県のライバルで、山本投手とは違い甲子園に出場した横浜商のエース「三浦将明」。
その影に隠れ、注目されてもおらず事実、入団してから数年は芽が出ずにクビにおびえる日々だったという。
特に2年後に愛知・享栄高校からドラフト1位入団してきた「近藤投手」の凄さには意気消沈していたそう。
だが、近藤は若くして故障で引退を余儀なくされた。逆に山本は整理対象寸前からアメリカの1Aでの武者修行で
「スクリューボール」「スローカーブ」をマスターする。アメリカの厳しい環境でも上を目指し努力を重ねる選手たちに、折れ掛かっていた心が
「立ち向かうモード」に。成績が向上して日本に呼び戻されることになった。そこからは最多勝を何回も獲得する活躍。
ご本人は自身を「好きなことにのめり込むタイプで研究熱心である」と分析。趣味はクワガタ飼育・ラジコン・車。
それが野球でもいい方向に出ることになった。学生時代もドラフト候補選手の上位24名の名前をスラスラ書けたというほどのマニア。
だが、決してストレートが抜群に早いわけでもなく、才能では90年代に2枚看板として活躍した「今中投手」のほうが抜きん出ていたと認めている。彼は常に2番手以降で、入団以降でも「藤王」「三浦」「近藤」「今中」といったチームメイトに先を行かれていた。
だが、現在彼等は全員若くして怪我やスランプから成績を落とし引退を余儀なくされた。
そんな中、山本投手は細く長く続け200勝の栄冠を達成。「名球会会員」の資格を得た。
違いはどこにあったのか?勿論、大きな怪我をしなかったことや、性格の違いから同期1位の藤王のように転落しなかったというのもあるだろう。
ひとつには彼が「左投手」で希少性があったという点。そして「ストレートで133キロ出なくなったら辞める」と公言されているように、
「スピードではなく、緩急・変化球でタイミングを外すことで打者を打ち取る投手だった」ことにあるだろう。
自分よりも明らかに才能がある選手が短命に終わり、彼のようにクビに震えていた選手が活路を見出して栄光を掴む。
そこに人生の面白さと怖さがあるような気がしてならない。

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133キロ怪速球 (ベースボール・マガジン社新書 27) 新書 – 2009/5/1
山本 昌
(著)
- 本の長さ222ページ
- 言語日本語
- 出版社ベースボール・マガジン社
- 発売日2009/5/1
- ISBN-104583101694
- ISBN-13978-4583101699
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登録情報
- 出版社 : ベースボール・マガジン社 (2009/5/1)
- 発売日 : 2009/5/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 222ページ
- ISBN-10 : 4583101694
- ISBN-13 : 978-4583101699
- Amazon 売れ筋ランキング: - 900,335位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 19位ベースボール・マガジン新書
- - 23,316位スポーツ (本)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2012年2月5日に日本でレビュー済み
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2010年9月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
山本昌本人による自叙伝・トレーニング論・コーチ論ではあるが、タイトルにあるような「133キロ怪速球」を完全に解説するには、本人の証言だけでなく科学的にそのストレートを解析する作業が不可欠なのだ。
曰く、昌さんのストレートは一試合中に投げる球数のうち45%を占めること(松坂大輔とほぼ同じ。阪神の下柳は8%)
曰く、昌さんのストレートにおけるボールのスピン量は毎秒52回転。これは一般の投手の1.5〜2倍のスピン量に当たること
曰く、スピン量の大きなストレートはその回転によって作り出す揚力によって、スピン量の少ない直球よりも落差が小さいこと(昌のストレートの打ち損じでポップフライを上げたり、空振り三振のバットの多くがボールの下を通過していることを思い出していただきたい)
曰く、スピン量の大きな直球は、その高速回転によりボール真後ろに出来る負圧のエリアに空気を送り込み、結果としてボールを減速させる作用を小さくすることから、リリース直後の初速と、バッターの手元に来る終速の差が小さい。従って差し込まれたり、詰まったバッティングになることが多い。
曰く、昌さんのフォームは体の特定の箇所に、過度な負担をかけない理想的なものである
これらはBS-i放送「超・人 山本昌」で特集されたストレートの解説であるが、我々野球ファンに「速球」というボールに対する新しい視座を提供する上でも、小山裕史氏との共著にして欲しかった。そう言う意味で☆一つを減らさざるを得なかったが、山本昌ファン・中日ファンにとどまらず、プロ野球ファンやただの野球好きにも是非読んでいただきたい良書の一つである。
曰く、昌さんのストレートは一試合中に投げる球数のうち45%を占めること(松坂大輔とほぼ同じ。阪神の下柳は8%)
曰く、昌さんのストレートにおけるボールのスピン量は毎秒52回転。これは一般の投手の1.5〜2倍のスピン量に当たること
曰く、スピン量の大きなストレートはその回転によって作り出す揚力によって、スピン量の少ない直球よりも落差が小さいこと(昌のストレートの打ち損じでポップフライを上げたり、空振り三振のバットの多くがボールの下を通過していることを思い出していただきたい)
曰く、スピン量の大きな直球は、その高速回転によりボール真後ろに出来る負圧のエリアに空気を送り込み、結果としてボールを減速させる作用を小さくすることから、リリース直後の初速と、バッターの手元に来る終速の差が小さい。従って差し込まれたり、詰まったバッティングになることが多い。
曰く、昌さんのフォームは体の特定の箇所に、過度な負担をかけない理想的なものである
これらはBS-i放送「超・人 山本昌」で特集されたストレートの解説であるが、我々野球ファンに「速球」というボールに対する新しい視座を提供する上でも、小山裕史氏との共著にして欲しかった。そう言う意味で☆一つを減らさざるを得なかったが、山本昌ファン・中日ファンにとどまらず、プロ野球ファンやただの野球好きにも是非読んでいただきたい良書の一つである。
2015年12月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
プロとは無縁と思っていたら指名されたことや、クビに怯えて過ごした入団直後、こう言う言い方は素人の私がするのもおこがましいが、恐らく著者よりも才能に恵まれたにも関わらず消えていった選手は多いと思う。
そんな厳しい世界で死に物狂いで生き残った著者の半生記と野球論に痺れた。
出会った人達への感謝の思いや気遣いが多く、人柄も素晴らしいのだと思った。
そんな厳しい世界で死に物狂いで生き残った著者の半生記と野球論に痺れた。
出会った人達への感謝の思いや気遣いが多く、人柄も素晴らしいのだと思った。
2011年5月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
タイトルの「133キロ快速球」からイメージして、山本 昌の投球に関する投球術や技術的な話(川口 和久の「投球論」のような内容)を期待していたのだが、そういう話が全くなかったのが残念。よく考えれば、現役の投手がそういう話をするハズもないので、引退してから是非ともその辺りのところ書いた本が出るのを期待したい。 自叙伝としては面白かったが、期待していた内容が含まれてなかったので、★3つとしました。
2009年9月30日に日本でレビュー済み
日本プロ野球で200勝を達成したのは24人(2009年9月現在)いるが、山本昌はその中でも特に変わっている。
作中に書かれていた「1年目に1試合も投げずに200勝」した唯一の投手、というのもすごいのだがそれ以上にすごいのが初勝利が5年目だということ。
さすがに1年目からバリバリやらなくても、2年少なくとも3年目あたりまでに勝たなければ200勝なんてかなり難しいと思う。
そう思うと山本昌は本当にすごい。
これもひとえに「運」の強さなんだろうなと思う。
誤解しないでもらいたいが、運だけで200勝なんてできるわけない。
ここでいう「運」の強さとは「引き寄せられる運」ということ。
「スクリューボールはマイナーの内野手から教わった」とあるが、同じ境遇にあったら同じようにスクリューボールを覚えられるかといったらそんなことはばい。
内野手から変化球を教えてもらうなんて本職としてのプライドもあるだろうし、第一「これは使える」と思わなければ教えを請うこともないだろう。
それに「アメリカに残された時はふてくされていた」とあったが、もしずっとこの状態だったらそのマイナー選手も教える気にはなれないだろう。
このエピソードをはじめ「なるほど」と思わされる話ばかりである。
それは何もアスリートにみに通用する話ではなく、むしろ一般のビジネスマンがそこから何か得るものが多いのではないかと思し、自分も今後の人生に大いに生かしていきたい。
最後に余談だが、「山本昌はきっと名コーチになれる」と読みながら思った。
ラジコンをピッチングに関連して考える柔軟な発想、若手のカラオケでの行動などから性格を見抜く分析力などコーチに必要な要素を持っている。
そして何よりもプロ野球の上も下も味わったその経験などからもきっと名コーチになれるだろう。
「ドラゴンズの次の監督は立浪」と聞いたことがある。
その際はぜひピッチングコーチに山本昌を組閣してほしい。
作中に書かれていた「1年目に1試合も投げずに200勝」した唯一の投手、というのもすごいのだがそれ以上にすごいのが初勝利が5年目だということ。
さすがに1年目からバリバリやらなくても、2年少なくとも3年目あたりまでに勝たなければ200勝なんてかなり難しいと思う。
そう思うと山本昌は本当にすごい。
これもひとえに「運」の強さなんだろうなと思う。
誤解しないでもらいたいが、運だけで200勝なんてできるわけない。
ここでいう「運」の強さとは「引き寄せられる運」ということ。
「スクリューボールはマイナーの内野手から教わった」とあるが、同じ境遇にあったら同じようにスクリューボールを覚えられるかといったらそんなことはばい。
内野手から変化球を教えてもらうなんて本職としてのプライドもあるだろうし、第一「これは使える」と思わなければ教えを請うこともないだろう。
それに「アメリカに残された時はふてくされていた」とあったが、もしずっとこの状態だったらそのマイナー選手も教える気にはなれないだろう。
このエピソードをはじめ「なるほど」と思わされる話ばかりである。
それは何もアスリートにみに通用する話ではなく、むしろ一般のビジネスマンがそこから何か得るものが多いのではないかと思し、自分も今後の人生に大いに生かしていきたい。
最後に余談だが、「山本昌はきっと名コーチになれる」と読みながら思った。
ラジコンをピッチングに関連して考える柔軟な発想、若手のカラオケでの行動などから性格を見抜く分析力などコーチに必要な要素を持っている。
そして何よりもプロ野球の上も下も味わったその経験などからもきっと名コーチになれるだろう。
「ドラゴンズの次の監督は立浪」と聞いたことがある。
その際はぜひピッチングコーチに山本昌を組閣してほしい。
2013年3月24日に日本でレビュー済み
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山本昌を小さいころから見ていた私にとっては、ところどころで相槌または驚きながら楽しく読む事ができました。
2011年11月20日に日本でレビュー済み
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今日は、日本シリーズ最終第七戦、中日VSソフトバンク、ベンチの中には山本昌の姿はなかった。 年齢が自分より一つ下の四十歳代で現役で頑張っている姿に感銘を受けて本を読む事になりました。小学校から高校の野球生活、プロに入り、アメリカ野球留学(島流し)でのマイク生原コーチとの出会いとスクリューボールを決め玉として使える様になった事、200勝達成が最年長記録を更新した話へと展開して行く。趣味がラジコンと昆虫採集と幅広く、どちらも極めているのが凄い。お世話になったマイク生原コーチの葬儀で棺から自分の力では起き上れない位憔悴した姿には涙し、完全試合達成を森野選手のエラーによりノーヒットノーランで試合が終了した時のインタビューで、彼を責める事無く称え山本昌の人柄を感じました。最後に星野監督が、キャンプ初日に昌さんにブルペンで言った一言が受けました。是非本を手に取って確認して頂けばと思います。来年マウンドに元気な姿を見せてくれと信じて…。
2019年4月27日に日本でレビュー済み
近藤真一、今中慎二、山本、と、三人が揃い踏めが中日にとって良かったと(三人は同時には活躍できなかった)ファンに言われることあるが、近藤が怪我しなかったら僕はクビになってた、という部分が最もプロの真実に触れていると思いました。たらればなんて無いんだから、でなく、巨人でファンの投手が打たれて抹消で、あちゃーと思ってたら、代わりの登録が、あんなビッグネームが2軍居たの?みたいなことが実に多い。だからリアルで、後半の山本選手は、その形でドラゴンズの若手に大迷惑をかけていたと思う。(支配下登録人数に限りがあるから)でもそういう風に生きられるなら山本選手のようになりたいです。