ジャケットのイラストは文倉十です。いつも思うのはこの人の絵は生で見ると違う。ディスプレイ越しじゃ分からない、紙だから伝わる温もりがあるんだと省みる、美麗な絵です。
先ず浮かぶ印象はとにかく究極にメロディアス。
そして伴奏はド頭からポップなシンセサウンドが飛び込んできます。セブンスコードを避け、コンパクトで洗練されたコード進行は芸術的です。
デジロック系のタイトでスピーディなビートが心地いい。でも決して忙しい感じではありません。
『狼と香辛料』は、何百年も生きる賢狼(狼の精霊みたいなもの)ホロと人間の行商人ロレンスの二人の旅のおはなしです。
劇中ホロは、ロレンスがやがて寿命を迎え、自分が再び一人きりになることを悟り戦慄する場面があります。
Perfect Worldの独特かつ疾走感溢れるリズムは、二人の時間、ホロとロレンスの共有出来る“時間”が有限であることを物語っているように感じます。
歌詞は全体的に女性的で繊細ですが、時折情熱的な描写も垣間見れます。文学的で面白く、感性豊かだなって素直に思いました。
角の立たない丸いものだけを選んだような優しい言葉で、愛や友情、人を想う気持ちを抽象的に語っています。
派手じゃない。けれど誰しもが必ずどこかで共感できる、心に響く歌詞だと思います。
最初に聴いたとき涙が止まりませんでした。
狼と香辛料に出会えて良かったし、Perfect Worldに出会えて良かった。
きっとこの先ずっと、自信を持って世界一好きな曲だと言えます。