「放送と通信の融合」について、著者の論考を示した本。前半で主に語られているのは、「ハードディスク録画でテレビはCMスキップで見られて、民放のビジネスモデルはやばい」というのと、「動画投稿サイト・ユーチューブの隆盛で著作権はどうなる」というもの。今まで散々語られた議論なので、この間の議論を追ってきた人には今更感のある内容かも。著者の主観は入っているが、「放送と通信の融合」論を理解したい人には、分かりやすくて手助けになる。「放送と通信の融合」って新しそうなテーマだが、注目されるようになったのはニッポン放送の買収騒動が持ち上がった2年前だから、話題としてはもう古くなってるんだなと、逆に感じてしまった。
ところで、終章になってイラク人質事件について、なぜか教えている大学生に朝日と読売の社説を読み比べさせる。そして、ルモンドの記事やTBSのパウエル長官会見を提示して朝日寄りに誘導。人質家族を異常という日本は、海外から見たら異常なんだそうで。それ以前のページで「ネットがあれば、誰でも情報発信者。数があれば質が確保される」と書いたのに、その後で一時の感情で沸騰するネット世論の圧力が心配だという、陳腐な大衆社会批判で終わっている。なんと尻すぼみな…

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ネットはテレビをどう呑みこむのか? (アスキー新書 016) 新書 – 2007/6/9
歌田 明弘
(著)
前代未聞の巨大なメディア装置であるネットが、テレビを含めた
既存のメディアを呑みこむことはほとんどまちがいない。既存のメディアが完全
に姿を消すことはないだろうが、いずれにしても大きな影響を受け、姿を変えて
いかざるをえない。いまむしろ問題なのは、それがどのように起こるのかという
ことだろう。テレビがネット端末になろうとしている時代にどんなことが起こっ
ているかを明らかにする。
既存のメディアを呑みこむことはほとんどまちがいない。既存のメディアが完全
に姿を消すことはないだろうが、いずれにしても大きな影響を受け、姿を変えて
いかざるをえない。いまむしろ問題なのは、それがどのように起こるのかという
ことだろう。テレビがネット端末になろうとしている時代にどんなことが起こっ
ているかを明らかにする。
- 本の長さ256ページ
- 出版社アスキー
- 発売日2007/6/9
- ISBN-104756149332
- ISBN-13978-4756149336
商品の説明
著者について
1958年生まれ。
東京大学卒業。青土社『現代思想』編集部、『ユリイカ』編集長ののち独立。
メディア論や現代社会論の執筆を開始。
著書に『科学大国アメリカは原爆投下によって生まれた』(平凡社、
2005年)、『「ネットの未来」探検ガイド』(岩波書店、2004年)、『インター
ネットは未来を変えるか?』(アスキー、2001年)、『本の未来はどうなるか』
(中公新書、2000年)、 『仮想報道』(アスペクト、1998年)、『マルチメディ
アの巨人』(ジャストシステム、1996年)など。
東京学芸大学や専修大学でマスコミ論などの講義もしている。
東京大学卒業。青土社『現代思想』編集部、『ユリイカ』編集長ののち独立。
メディア論や現代社会論の執筆を開始。
著書に『科学大国アメリカは原爆投下によって生まれた』(平凡社、
2005年)、『「ネットの未来」探検ガイド』(岩波書店、2004年)、『インター
ネットは未来を変えるか?』(アスキー、2001年)、『本の未来はどうなるか』
(中公新書、2000年)、 『仮想報道』(アスペクト、1998年)、『マルチメディ
アの巨人』(ジャストシステム、1996年)など。
東京学芸大学や専修大学でマスコミ論などの講義もしている。
登録情報
- 出版社 : アスキー (2007/6/9)
- 発売日 : 2007/6/9
- 新書 : 256ページ
- ISBN-10 : 4756149332
- ISBN-13 : 978-4756149336
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,497,924位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,353位角川新書
- - 10,623位その他のビジネス・経済関連書籍
- - 11,291位産業研究 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
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2013年8月31日に日本でレビュー済み
本書の構成は、大まかに
・テレビとネット(放送と通信)の融合
・youtubeとグーグル
・ネットと報道メディア
にスポットが当てられている。
テレビとネットの融合によるメリットは、放送がデジタルになったことである。
放送がデジタルになったことによって、デジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)による録画が圧倒的に楽になったのである。
しかし、ここにも問題はある。
視聴者がCMを見なくなることだ。
CMのスキップはデジタル化によってさらに容易になり、放送局側としては大きな損失となる。
本書の例をあげれば
「野村総研は、ハードディスク・レコーダーのユーザーの四人に一人近くがテレビCMをすべて飛ばして見ており、過半数が80%以上をスキップし、その年(2005年)の企業のCM損失額を540億円と見積もった。」という報告もあり、アメリカでも同様の事が起こっていると述べられている。
それに反比例するかのようにネット広告の市場が急上昇しているという現状もある。
一方で筆者は「デジタル化によってハードとソフトの分離が起こる」ということも述べている。
これまでテレビ局は、番組作成と通信の両方を行っていたが、デジタル化が進めば番組を届ける道筋は電波でもインターネットでもよくなるため、送り届ける部分はほかの会社がやる、ということが増えてくる。
新聞や本も同様に、デジタル化されれば、中身は紙に刷ってもウェブ上で見てもよい。
本書では深く追求されていないのが残念だが、現在の日本のシステムの多くが、ここの部分、すなわち、ハードとソフトの分離を補う部分が遅れている。
ハードとソフトの分離は、流動性の向上でもあり、互換性が求められるはずであるのに、日本の規制の多くがその互換性を抑えてしまうように働いている。
本書は若干古いかなと思ったものの、中身は豊富で、得られる知見も多かった。
しかし、現状報告にとどまる部分が多く、メディアの比較・分析といった考察の部分ももっとしてほしいというもどかしさが残った。
・テレビとネット(放送と通信)の融合
・youtubeとグーグル
・ネットと報道メディア
にスポットが当てられている。
テレビとネットの融合によるメリットは、放送がデジタルになったことである。
放送がデジタルになったことによって、デジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)による録画が圧倒的に楽になったのである。
しかし、ここにも問題はある。
視聴者がCMを見なくなることだ。
CMのスキップはデジタル化によってさらに容易になり、放送局側としては大きな損失となる。
本書の例をあげれば
「野村総研は、ハードディスク・レコーダーのユーザーの四人に一人近くがテレビCMをすべて飛ばして見ており、過半数が80%以上をスキップし、その年(2005年)の企業のCM損失額を540億円と見積もった。」という報告もあり、アメリカでも同様の事が起こっていると述べられている。
それに反比例するかのようにネット広告の市場が急上昇しているという現状もある。
一方で筆者は「デジタル化によってハードとソフトの分離が起こる」ということも述べている。
これまでテレビ局は、番組作成と通信の両方を行っていたが、デジタル化が進めば番組を届ける道筋は電波でもインターネットでもよくなるため、送り届ける部分はほかの会社がやる、ということが増えてくる。
新聞や本も同様に、デジタル化されれば、中身は紙に刷ってもウェブ上で見てもよい。
本書では深く追求されていないのが残念だが、現在の日本のシステムの多くが、ここの部分、すなわち、ハードとソフトの分離を補う部分が遅れている。
ハードとソフトの分離は、流動性の向上でもあり、互換性が求められるはずであるのに、日本の規制の多くがその互換性を抑えてしまうように働いている。
本書は若干古いかなと思ったものの、中身は豊富で、得られる知見も多かった。
しかし、現状報告にとどまる部分が多く、メディアの比較・分析といった考察の部分ももっとしてほしいというもどかしさが残った。
2008年3月20日に日本でレビュー済み
メディアの象徴であるテレビと、驚異的な成長・変化を遂げるネットを比較し、これからの動向を記した本。
テレビがネットのコンテンツになる社会動向と、通信業界・著作権・メディアリテラシー・国家政策のことやジャーナリズムの主張など、包括的に論じている。
内容の80%が解説になっているものの、これまであまり馴染みのなかったTVや通信業界をめぐるここ2,3年の動向を知ることができた。
今更ながら、ホリエモンが日本放送株を取得していた時の彼が持っていたビジョンを少しは理解できた気がする。2ちゃん、YouTubeなどでコンテンツをユーザーが投稿などで作る時代となった今、コンテンツ配信のプロ(動画・文問わず、制作側)は「もう、儲からない」のかも知れない。ユーザーはプロの論評やコメントをブログで見ることができ、ニュースなどの配信スピードは新聞より早い。
web2.0時代にあったサイトの構築を、一般企業なりメディア会社が仕掛けることが、今の進むべき方向だと思った。
(ただ、これも1,2年で方向転換するのかも・・・)
しかし、高齢者にはまだまだネットの馴染みが薄いだろう。65歳になるうちの両親もパソコンを持っていないし・・・高齢化社会にどうネットが浸透するかの解説や主張も盛り込んで欲しかった。
テレビがネットのコンテンツになる社会動向と、通信業界・著作権・メディアリテラシー・国家政策のことやジャーナリズムの主張など、包括的に論じている。
内容の80%が解説になっているものの、これまであまり馴染みのなかったTVや通信業界をめぐるここ2,3年の動向を知ることができた。
今更ながら、ホリエモンが日本放送株を取得していた時の彼が持っていたビジョンを少しは理解できた気がする。2ちゃん、YouTubeなどでコンテンツをユーザーが投稿などで作る時代となった今、コンテンツ配信のプロ(動画・文問わず、制作側)は「もう、儲からない」のかも知れない。ユーザーはプロの論評やコメントをブログで見ることができ、ニュースなどの配信スピードは新聞より早い。
web2.0時代にあったサイトの構築を、一般企業なりメディア会社が仕掛けることが、今の進むべき方向だと思った。
(ただ、これも1,2年で方向転換するのかも・・・)
しかし、高齢者にはまだまだネットの馴染みが薄いだろう。65歳になるうちの両親もパソコンを持っていないし・・・高齢化社会にどうネットが浸透するかの解説や主張も盛り込んで欲しかった。