1944年のポーランドを舞台に、収容所への移送途中で逃げてきた少数民族のロマの女性とドイツ軍兵士の愛と悲劇を描いた作品。
ナチスはユダヤ人だけではなく、少数民族や同性愛者も迫害し、強制・絶滅収容所に送り込んでいた。
これまであまり語られてこなかったユダヤ人以外の犠牲者にスポットを当てたという点では 本作品を評価できるが、ストーリーが単純すぎる。それに、「ありえない」と思う場面が多すぎ。主人公のロマの女性リナが、汽車から脱走し、ドイツ人女性に成り済まして野戦病院で働くのだが、その状況からして結構無理がある。
でも、後半以降、戦後の様子を描いた場面はなかなか興味深かった。特に、リナが愛したドイツ軍兵士ヴィリーの両親を描いた部分はよくできていた。
ヴィリーの父親は帝国裁判所の元裁判官で、地元の名士という設定になっている。
母親はいかにも上流家庭のご婦人といった雰囲気で、ロマの人たちを思い切り見下している。
ドイツ人の中にはこういう人たちもいたんだな…ということを改めて感じたし、このような場面をきちんと描いている点は、さすがドイツ映画、と思いました。