日本にキリスト教を伝道したフランシスコ・ザビエルをテーマにした連作短編。
なぜか日本人ジャーナリスト(?)がザビエル周辺の人物に憑依してミステリー(すべて殺人事件)を解き明かす。
ただ、この主人公があまり人間的に魅力がないため共感を覚えにくい。
ミステリー自体も後半(より遠い過去)に行くほど質が下がる感じだ。
ザビエルに関して、最後にオチ(といっていいのか?)のエピソードがある。
ザビエルとイエズス会(軍事組織でもある)が布教の過程で何をやってきたのか描かないと、彼が背負う精神的重みが感じられないだろう。
同じ作者の『はじまりの島』 『黄金の灰』 の密度の濃さにはほど遠い。
はじまりの島 (創元推理文庫)

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ザビエルの首 (講談社文庫) 文庫 – 2008/8/12
柳 広司
(著)
その首が過去へ誘う。時の彼方の殺人事件
聖フランシスコ・ザビエル。日本にキリスト教を伝えたその人の首が、あるはずのない鹿児島で発見されたという。彼の首と、目を合わせてしまった修平の意識は、聖人が立ち会った400年以上前の殺人の現場へ跳ばされるーー。時空を超えて、誰もがその名を知る歴史上の人物にまつわる謎を解く異色ミステリー。
※本作品は、2004年10月、小社ノベルス『聖フランシスコ・ザビエルの首』として刊行されたものを改題しました。
聖フランシスコ・ザビエル。日本にキリスト教を伝えたその人の首が、あるはずのない鹿児島で発見されたという。彼の首と、目を合わせてしまった修平の意識は、聖人が立ち会った400年以上前の殺人の現場へ跳ばされるーー。時空を超えて、誰もがその名を知る歴史上の人物にまつわる謎を解く異色ミステリー。
※本作品は、2004年10月、小社ノベルス『聖フランシスコ・ザビエルの首』として刊行されたものを改題しました。
- 本の長さ400ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2008/8/12
- ISBN-104062760835
- ISBN-13978-4062760836
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2008/8/12)
- 発売日 : 2008/8/12
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 400ページ
- ISBN-10 : 4062760835
- ISBN-13 : 978-4062760836
- Amazon 売れ筋ランキング: - 685,565位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 9,568位講談社文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
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1967年三重県生まれ。神戸大学法学部卒業。2001年『黄金の灰』でデビュー。同年『贋作「坊ちゃん」殺人事件』で第12回朝日新人文学賞受賞。08年に刊行した『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『パルテノン』(ISBN-10:4408550078)が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年10月11日に日本でレビュー済み
2004年に出版された歴史ミステリの連作集。
雑誌記者の主人公が、フランシスコ・ザビエルの首が日本で発見されるという事件をキッカケに、ザビエルが生きていた時代にタイムスリップし、しかも、ザビエル周辺の人の体に精神が乗り移り、そこで起きた殺人事件を解決していくというもの。
4章に分かれ、それぞれ、若干、タイムスリップする年代が異なることで、日本におけるザビエル、インドにおけるザビエル、パリのザビエルと、フランシスコ・ザビエルが神の戦士として、各地を回ることとなった経緯から、その死に至るまでのエピソードをうまく利用している。
もちろん、そのエピソードは史実を踏まえながらも、フィクションだけど、こういった歴史ミステリ好きの私には、楽しく読めた。
また、著者らしく、エンターテイメントとしても成立させながら、キリスト教、特にカトリックの教義と仏教、ヒンズー教など、さらにはプロテスタントとの教義の違い、宗教観の違いをうまく取り入れていて、宗教批判とは言わないまでも、あの2001年9月11日のテロなどの現代の「宗教戦争」についての主張も混ぜているところがいい。
軽い読み物なんだけど、いろいろ考えさせられる1冊だった。
雑誌記者の主人公が、フランシスコ・ザビエルの首が日本で発見されるという事件をキッカケに、ザビエルが生きていた時代にタイムスリップし、しかも、ザビエル周辺の人の体に精神が乗り移り、そこで起きた殺人事件を解決していくというもの。
4章に分かれ、それぞれ、若干、タイムスリップする年代が異なることで、日本におけるザビエル、インドにおけるザビエル、パリのザビエルと、フランシスコ・ザビエルが神の戦士として、各地を回ることとなった経緯から、その死に至るまでのエピソードをうまく利用している。
もちろん、そのエピソードは史実を踏まえながらも、フィクションだけど、こういった歴史ミステリ好きの私には、楽しく読めた。
また、著者らしく、エンターテイメントとしても成立させながら、キリスト教、特にカトリックの教義と仏教、ヒンズー教など、さらにはプロテスタントとの教義の違い、宗教観の違いをうまく取り入れていて、宗教批判とは言わないまでも、あの2001年9月11日のテロなどの現代の「宗教戦争」についての主張も混ぜているところがいい。
軽い読み物なんだけど、いろいろ考えさせられる1冊だった。
2015年6月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大好きな柳さんですが、、、いまいち、、、、
ちょっと残念でした
ちょっと残念でした
2011年1月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「はじまりの島」、「新世界」に続いて本作を読んだ。歴史上の人物の事蹟とミステリ的趣向・作者の思惟を巧みに組合わせた本シリーズは高水準にあると思う。だが、本作はレベルがやや落ちるか。本作の対象はザビエル。現代のフリーライタである主人公がザビエルと精神観応し、闇の中に現われる「ザビエルの首」に魅入られたかのように、過去にタイムスリップし、ザビエルの関係者に憑依した上で、4つの事件を解くという連作中編集。時代・舞台設定は以下で、ザビエルの年譜を基にしたようだ。
(1) 1599年 鹿児島 (2) 1542年 ゴア
(3) 1533年 パリ (4) 1514年 ザビエル城(バスク地方)
趣向としては面白いが、上二作と比べると読後の充実感が希薄。ミステリ的興趣に乏しく、ライトノベルを読んでいる感がある。作者の意図としては「宗教上の教義と個人の罪悪感との交錯」を描きたかったのだと思うが、肝心の宗教観が画一的で読者に深く迫って来るものがない。「新世界」と比べて隔絶の感がある。全編を貫く糸も脆弱である。
「こういう状況を考えました」という単なる思い付きの域を出ず、作品としての練達度が不足している印象を受けた。
(1) 1599年 鹿児島 (2) 1542年 ゴア
(3) 1533年 パリ (4) 1514年 ザビエル城(バスク地方)
趣向としては面白いが、上二作と比べると読後の充実感が希薄。ミステリ的興趣に乏しく、ライトノベルを読んでいる感がある。作者の意図としては「宗教上の教義と個人の罪悪感との交錯」を描きたかったのだと思うが、肝心の宗教観が画一的で読者に深く迫って来るものがない。「新世界」と比べて隔絶の感がある。全編を貫く糸も脆弱である。
「こういう状況を考えました」という単なる思い付きの域を出ず、作品としての練達度が不足している印象を受けた。
2013年3月12日に日本でレビュー済み
2004年に講談社ノベルスとして出た『聖フランシスコ・ザビエルの首』の改題・文庫化。
語り手である現代日本のライターが、ザビエルの生きている過去に意識だけ飛ばされ、殺人事件の謎を解くという話。4本を収める短編集。
ミステリとしては他愛もない。むしろ、設定の怪しさで読ませるような本だ。いったい誰がザビエルを題材にこんな話を考えつくだろう。
また、過去の世界の迷信深く信心深い人たちを相手に、語り手が快刀乱麻を断つがごとく謎を解決していくあたりに爽快感があった。
語り手である現代日本のライターが、ザビエルの生きている過去に意識だけ飛ばされ、殺人事件の謎を解くという話。4本を収める短編集。
ミステリとしては他愛もない。むしろ、設定の怪しさで読ませるような本だ。いったい誰がザビエルを題材にこんな話を考えつくだろう。
また、過去の世界の迷信深く信心深い人たちを相手に、語り手が快刀乱麻を断つがごとく謎を解決していくあたりに爽快感があった。
2010年5月22日に日本でレビュー済み
実在の人物をフィクションの殺人事件に巻き込ませ、事件を解決することでその人物に人生の転機が訪れるという、柳広司お得意なジャンルだ。
今回はフランシスコ・ザビエルの人生にまつわる殺人事件を追う。裕福な家庭に育ったザビエルがイエズス会という、ある意味過激なグループを結成してインド、日本に渡り客死するまでの情熱をもつに至ったのは何故か。その人生の転機も柳流に上手に料理される。
ザビエル城というバスク地方城主の息子だったというザビエルの人生が追えるのもたまらない。しかし、そもそも物語の発端となったザビエルの首は一体、、、。
今回はフランシスコ・ザビエルの人生にまつわる殺人事件を追う。裕福な家庭に育ったザビエルがイエズス会という、ある意味過激なグループを結成してインド、日本に渡り客死するまでの情熱をもつに至ったのは何故か。その人生の転機も柳流に上手に料理される。
ザビエル城というバスク地方城主の息子だったというザビエルの人生が追えるのもたまらない。しかし、そもそも物語の発端となったザビエルの首は一体、、、。