読んでいて気になった点をあげる。
129ページで著者は小泉内閣が靖国神社問題で中国と関係を悪化させた結果 中国の新幹線をフランスに取られてしまったと指摘している。
上げ足取りになるのかもしれないが 歴史問題と新幹線ビジネスを混ぜて論じる姿勢には 経済学の持つ限界が見えた気がした。
歴史問題は 国としてのIDENDITYを問ういわば哲学的な問題であり 新幹線とのバーターは許されるべきではないと思う。僕は 決して靖国参拝が良いと言っているわけではないが 例えば「新幹線ビジネスの為に 靖国参拝は止めよう」と日本が考えたとしたら それは国としての堕落ではなかろうか?
経済学は そもそも優れて哲学であった時代がある。そもそも 経済も人間がやることであり 人間がやる以上 人間としての哲学がそこには大きく反映されるはずだ。
サブプライム問題は 金融工学以上に 人間の哲学の大きな変化が見えてきている部分があると思う。その 現代の人間を見極める重要な「経済学」は 今まで以上に志が高くあるべきだと 僕は信じる。また 志が低い経済学は 結局100年、200年という年月の風雪には耐えられないのだと考える。
本書は読んでいて大変勉強になっただけに 上記新幹線部分が ちょっと残念だった。
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閉塞経済: 金融資本主義のゆくえ (ちくま新書 729) 新書 – 2008/7/1
金子 勝
(著)
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- ISBN-104480064400
- ISBN-13978-4480064400
- 出版社筑摩書房
- 発売日2008/7/1
- 言語日本語
- 本の長さ199ページ
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2008/7/1)
- 発売日 : 2008/7/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 199ページ
- ISBN-10 : 4480064400
- ISBN-13 : 978-4480064400
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,013,499位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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1952年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授などを経て、慶應義塾大学経済学部教授。専門は財政学、制度の経済学。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『「脱原発」成長論: 新しい産業革命へ(ISBN-10: 4480864148)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年3月22日に日本でレビュー済み
竹中さんはその理論がぶれるというか、とにかく過去の発言と最近の発言が同意なのか変化なのかがわかりにくいのである。
その点、金子さんの理論はブレがなくてわかりやすい。
もちろん、どちらが正しいのかなんてことは理解できないが、少なくとも金子さんはブレていない。
代案がないのは下記のレビューのとおり。代案は金子さん含め誰も思いつかないのだろう。
だからといって政府の失敗に対して批判批評をする立場の人はいつの時代でも必要だろう。
金子さんへ政治を任せてもたぶん失敗するか何もできないだろう。
しかし、失敗してその検証をできていない人への批評をする役割は誰かがやらねばならないのである。
金子か竹中かではない。
竹中が自己正当化し国民を煙に巻こうとしていることに対して攻撃する役割として金子氏の存在は必要である。
ただし、次の政策を担うのは金子でも竹中でもないのであろう。
竹中・金子は次の経済政策を担う誰かを批判的に監視する仕事をすればよい。
その批判監視のもとで誰かが新しく何かを行うのであろう。
その点、金子さんの理論はブレがなくてわかりやすい。
もちろん、どちらが正しいのかなんてことは理解できないが、少なくとも金子さんはブレていない。
代案がないのは下記のレビューのとおり。代案は金子さん含め誰も思いつかないのだろう。
だからといって政府の失敗に対して批判批評をする立場の人はいつの時代でも必要だろう。
金子さんへ政治を任せてもたぶん失敗するか何もできないだろう。
しかし、失敗してその検証をできていない人への批評をする役割は誰かがやらねばならないのである。
金子か竹中かではない。
竹中が自己正当化し国民を煙に巻こうとしていることに対して攻撃する役割として金子氏の存在は必要である。
ただし、次の政策を担うのは金子でも竹中でもないのであろう。
竹中・金子は次の経済政策を担う誰かを批判的に監視する仕事をすればよい。
その批判監視のもとで誰かが新しく何かを行うのであろう。
2009年2月13日に日本でレビュー済み
テレビではやたらキャラの立つ金子勝氏もこうやって活字で読むと、インパクトはやや薄れる。
本書では、サブプライム危機を必然的に招いたとされる新自由主義的「主流派」経済政策に対して、やや専門的な経済理論を紹介しながら批判しているのだが、経済学ジャーゴン(専門用語)が説明なしにチラホラ出てくるので、素人の当方としてはどうもいま一つしっくり腑に落ちなくて隔靴掻痒の感を免れない。
「ですます」調の文体はスラスラ読めてしまうのだが、上記の理由により、「分り易い」という印象はない。なんだか適当に丸め込まれたような気もする。竹中平蔵氏に代表される構造改革推進派に対する痛烈な批判は、溜飲の下がる思いもするが、当の竹中氏からテレビで「具体案を出して下さい」と反論されていた。う〜ん、確かに本書でも、茫漠たる理想の国家像として、環境や教育を重視した北欧型社民国家が提案されてはいるんだが、じゃ今現在なされるべき具体的政策(規制、法案など)の提示が無い。
金子先生、次は具体的政策提言書『日本はこうせよ!』なんて本を書いて下さいよ(笑)
本書では、サブプライム危機を必然的に招いたとされる新自由主義的「主流派」経済政策に対して、やや専門的な経済理論を紹介しながら批判しているのだが、経済学ジャーゴン(専門用語)が説明なしにチラホラ出てくるので、素人の当方としてはどうもいま一つしっくり腑に落ちなくて隔靴掻痒の感を免れない。
「ですます」調の文体はスラスラ読めてしまうのだが、上記の理由により、「分り易い」という印象はない。なんだか適当に丸め込まれたような気もする。竹中平蔵氏に代表される構造改革推進派に対する痛烈な批判は、溜飲の下がる思いもするが、当の竹中氏からテレビで「具体案を出して下さい」と反論されていた。う〜ん、確かに本書でも、茫漠たる理想の国家像として、環境や教育を重視した北欧型社民国家が提案されてはいるんだが、じゃ今現在なされるべき具体的政策(規制、法案など)の提示が無い。
金子先生、次は具体的政策提言書『日本はこうせよ!』なんて本を書いて下さいよ(笑)
2008年9月28日に日本でレビュー済み
数年前から、アメリカを中心とする「金融資本主義」、小泉政権の「構造改革路線」、「市場原理主義に基づくグローバル経済化」を批判し続けていた金子さんの新著。
金子さんは日本も含めた世界が好況であった数年前から、上記のような主張を行っていたため、エコノミストや経済評論家の中では、どちらかといえば”異端”視されてきたきらいはあった。しかし、現在のアメリカを中心とするサブプライムローン問題を発端とする金融危機、金融危機がもたらす信用収縮が実体経済に大きなダメージを与えた大不況や日本でも明らかになった格差社会の問題等をもたらした「小泉構造改革路線の欠陥」が、もはや、誰の目にも明らかになった今、金子さんのかねてよりの主張はようやく大きな注目と高い評価を得るに至った。本書は金子さんの考え方を新書でボリューム的にもお手ごろに知ることができる。
かつて、博士号を取得した後、大学での職を求めて、ハローワークに行き「大学での教職を探している」と言ったところ、ハローワークの職員から「冗談でしょう」と馬鹿にされたという苦労の経験を持つ金子さんは社会的弱者に対する視線も常に持ち続けている。
現状の世界や日本の危機的状況を生んだ、「根源的な問いを排除した経済学」の限界を指摘しつつ説いているが、次には、新書のスペースの制約を超えて、現状の問題に対する処方箋や解決策までも含んだ「金子経済学」を書かれることを期待したい。
なお、私見であるが、”現在、起こっている金融危機を2008年に起こると見事に予告”したソロス著の「ソロスは警告する」、”この金融危機はまだ、序奏に過ぎず、現在の金融・経済・社会体制の大変革までに至る”と説く、ラビ・バトラ著「2010年資本主義大爆裂 10の近未来予測」、副島隆彦著「恐慌前夜」、藤原直哉著「2009年世界大恐慌」、船井幸雄著「2009年資本主義大崩壊」も本書と併せて読まれることを是非お薦めしたい。
上記のそれぞれの本についてレビューを書かせていただいたので、ご一読いただければ幸いである。
金子さんは日本も含めた世界が好況であった数年前から、上記のような主張を行っていたため、エコノミストや経済評論家の中では、どちらかといえば”異端”視されてきたきらいはあった。しかし、現在のアメリカを中心とするサブプライムローン問題を発端とする金融危機、金融危機がもたらす信用収縮が実体経済に大きなダメージを与えた大不況や日本でも明らかになった格差社会の問題等をもたらした「小泉構造改革路線の欠陥」が、もはや、誰の目にも明らかになった今、金子さんのかねてよりの主張はようやく大きな注目と高い評価を得るに至った。本書は金子さんの考え方を新書でボリューム的にもお手ごろに知ることができる。
かつて、博士号を取得した後、大学での職を求めて、ハローワークに行き「大学での教職を探している」と言ったところ、ハローワークの職員から「冗談でしょう」と馬鹿にされたという苦労の経験を持つ金子さんは社会的弱者に対する視線も常に持ち続けている。
現状の世界や日本の危機的状況を生んだ、「根源的な問いを排除した経済学」の限界を指摘しつつ説いているが、次には、新書のスペースの制約を超えて、現状の問題に対する処方箋や解決策までも含んだ「金子経済学」を書かれることを期待したい。
なお、私見であるが、”現在、起こっている金融危機を2008年に起こると見事に予告”したソロス著の「ソロスは警告する」、”この金融危機はまだ、序奏に過ぎず、現在の金融・経済・社会体制の大変革までに至る”と説く、ラビ・バトラ著「2010年資本主義大爆裂 10の近未来予測」、副島隆彦著「恐慌前夜」、藤原直哉著「2009年世界大恐慌」、船井幸雄著「2009年資本主義大崩壊」も本書と併せて読まれることを是非お薦めしたい。
上記のそれぞれの本についてレビューを書かせていただいたので、ご一読いただければ幸いである。
2009年3月9日に日本でレビュー済み
昨今のドサクサに紛れて「何でも小泉・竹中構造改革のせいにすれば良い」という不毛な本である。
前段の「既に起こった事」に対する筆致の勢いはあるが、肝心の「だからどうすれば良いの」には全く答えられていない。昨年秋以降、雨後のタケノコの如く書店に表れた不況本に良くあるパターンだ。小泉嫌いの人の溜飲は下げるだろうが、建設的な事は何も書かれていない。
それに欧米の最新の経済学からすると、内容はかなり遅れている。そもそも新自由主義と市場原理主義を完全に混同しているのが致命的。
更に竹中を「主流派」、自分を「異端児」などと言っているが、その区分けも全く根拠がない。読む人が読めば、いわゆる「トンデモ本」的な扱いをする可能性もある。
経済についての本を読む時は
「経済学における真理は、一般大衆の直感的な正義感とは真逆の物である」という前提を知る必要がある。本書のように、「一般大衆が直感的に腑に落ちる」様に書かれている本は怪しいと考えた方が良い。
前段の「既に起こった事」に対する筆致の勢いはあるが、肝心の「だからどうすれば良いの」には全く答えられていない。昨年秋以降、雨後のタケノコの如く書店に表れた不況本に良くあるパターンだ。小泉嫌いの人の溜飲は下げるだろうが、建設的な事は何も書かれていない。
それに欧米の最新の経済学からすると、内容はかなり遅れている。そもそも新自由主義と市場原理主義を完全に混同しているのが致命的。
更に竹中を「主流派」、自分を「異端児」などと言っているが、その区分けも全く根拠がない。読む人が読めば、いわゆる「トンデモ本」的な扱いをする可能性もある。
経済についての本を読む時は
「経済学における真理は、一般大衆の直感的な正義感とは真逆の物である」という前提を知る必要がある。本書のように、「一般大衆が直感的に腑に落ちる」様に書かれている本は怪しいと考えた方が良い。
2009年1月27日に日本でレビュー済み
第 1 章では,現在の経済状況は主流の経済学では想定していなかったこと,バブルの際には通常の市場のメカニズムがはたらかないが,これまでそれを経済学があつかってこなかったことを指摘している.そして,「バブルの経済学」を構想している.また第 2 章では,竹中平蔵らによる構造改革をことばをきわめて批判し,そうではなく教育投資や環境エネルギー革命などによって成長をめざすべきだと主張している.第 3 章では格差とインセンティブの問題をあつかっている.
著者は主流の経済学を批判し,それにもとづく政策を批判している.著者自身,「異端」であることを認識している.批判するのはけっこうだが,主流に対抗できるだけのものがあるのだろうか.この本では格差や医療や諮問機関など,現在の政治経済の問題点をつぎつぎにあげて批判しているが,それらがみな経済学者のせいだというのだろうか? 竹中のように政策をになえないもののひがみにしか,きこえない.
著者は主流の経済学を批判し,それにもとづく政策を批判している.著者自身,「異端」であることを認識している.批判するのはけっこうだが,主流に対抗できるだけのものがあるのだろうか.この本では格差や医療や諮問機関など,現在の政治経済の問題点をつぎつぎにあげて批判しているが,それらがみな経済学者のせいだというのだろうか? 竹中のように政策をになえないもののひがみにしか,きこえない.
2009年2月9日に日本でレビュー済み
現在の日本を覆っている閉塞感はいったいどこから来て、そして日本という社会はこれからどこに向かうのか。そんな漠然とした疑問への答えを求めて本書を手に取ってみた。
その回答が見つかったと思ったのは次のくだりだ
絶えず一歩に二歩先へ行く付加価値の高い製品やサービス、あるいは
新しい産業分野を作り出していかないと、同じような同じような製品を
作って量産を競うようになります。もしそうなったら、中国の人と同じ
賃金水準まで下げていくというような、コストカッター的な発想で競争
するしかなくなる
そして、この問題への処方箋として、次の点を挙げている
建物や道路などへの投資ではなく、教育投資というインフラ投資急ぐべき
しかし、創造性を高める教育は困難であるし、そこには必ず落ちこぼれる人もでてくる。それに対し著者は、社会的なセーフティネットの拡充と同時に、社会自体のあり方や我々の意識にも変化が必要だと説く。
競争が複数存在していて、単一の尺度では評価できないということが重要に
なります。たとえば、優れた農家と立派な医者のどちらが偉いかは比べようが
ない。ある面で比べれば優劣があるけれど、別の面で見ればまた優劣が違って
くる。そういう社会が求められているのだと思います。
我々は自分たちの自身の価値をもう一度見直し、正当に評価して、そこにお金を使う心の持ちようが必要だと私は解釈した。それが内需の拡大につながり、単一的な尺度による一辺倒の競争から逃れる方法ではないかと。
著者は大学でも教鞭を執る経済学者であるから、本書では経済史的な記述も見られ、その部分は一般の読者にはやや退屈かもしれない。しかし、それ以外の部分では、我々の社会の抱える問題の本質と、将来進むべき方向が説得力のある説明で示されていて、とても参考になる。
今の若い人には是非一読してもらいたいと思う。
その回答が見つかったと思ったのは次のくだりだ
絶えず一歩に二歩先へ行く付加価値の高い製品やサービス、あるいは
新しい産業分野を作り出していかないと、同じような同じような製品を
作って量産を競うようになります。もしそうなったら、中国の人と同じ
賃金水準まで下げていくというような、コストカッター的な発想で競争
するしかなくなる
そして、この問題への処方箋として、次の点を挙げている
建物や道路などへの投資ではなく、教育投資というインフラ投資急ぐべき
しかし、創造性を高める教育は困難であるし、そこには必ず落ちこぼれる人もでてくる。それに対し著者は、社会的なセーフティネットの拡充と同時に、社会自体のあり方や我々の意識にも変化が必要だと説く。
競争が複数存在していて、単一の尺度では評価できないということが重要に
なります。たとえば、優れた農家と立派な医者のどちらが偉いかは比べようが
ない。ある面で比べれば優劣があるけれど、別の面で見ればまた優劣が違って
くる。そういう社会が求められているのだと思います。
我々は自分たちの自身の価値をもう一度見直し、正当に評価して、そこにお金を使う心の持ちようが必要だと私は解釈した。それが内需の拡大につながり、単一的な尺度による一辺倒の競争から逃れる方法ではないかと。
著者は大学でも教鞭を執る経済学者であるから、本書では経済史的な記述も見られ、その部分は一般の読者にはやや退屈かもしれない。しかし、それ以外の部分では、我々の社会の抱える問題の本質と、将来進むべき方向が説得力のある説明で示されていて、とても参考になる。
今の若い人には是非一読してもらいたいと思う。
2009年9月17日に日本でレビュー済み
執筆している書籍からすれば、金子勝は経済学者ではなく、政治評論家だろう。
金融資本主義は、現物経済を統制できないことは周知の、かつ、衆知の事実である。
金融資本主義に「ゆくえ」はない。
タイトルは、著者の、ないものの強請りなのだろうか。
金融資本主義は、現物経済を統制できないことは周知の、かつ、衆知の事実である。
金融資本主義に「ゆくえ」はない。
タイトルは、著者の、ないものの強請りなのだろうか。