キリスト教徒の医師によって書かれた本書は、現代的な栄養学と聖書のエピソードをふんだんに取り入れたユニークな食生活指南です。
基本的に、1．全粒粉のパンを 2．新鮮な魚を 3．加工食品を減らして自然のものを 4．新鮮な果物と野菜をたくさん、5．肉類、赤身も良いがたまに。豚肉は避ける 6．豆・ナッツ類を活用してたんぱく源に・・7．チーズ、バターは控え、ヨーグルトは適度に 8．マーガリン等の代わりにオリーブオイルを
基本的にはユダヤの食戒律（コーシャー）を守るのが望ましいと考えています（肉と乳製品を一緒に採らない事、ワインに関する厳しい規定などは省かれています。主に、動物の肉とシーフードに関するコーシャルールに焦点を当てています）
加工食品と脂肪過多に偏った米国式ファーストフード文化を反省するという意味では、最近のナチュラル・ハイジーンなどの考えにも似通った部分があり、食事のアドバイスは違和感無く読める内容でした。
そうした意見の裏付けとして、各章に栄養学・医学の知識と、旧約と新約をまんべんなくカバーした聖書のエピソード解説がちりばめられ、読み物としてすぐれています。
たとえば、ダニエル書の預言者、ヘブライ人ダニエルが少年時代にペルシャ王の宮殿に召抱えられて育てられたとき、豪勢な肉の食事を勧められたが断り、野菜と穀物、水だけの食事だけを望んだ。栄養失調になるのでは、と役人たちが心配したが、逆に少年たちの顔色はよく頭脳も明晰だったという話など・・・
翻訳の語り口も、語りかけるような語尾がやさしくて読みやすく、解説も、本書の著者のポジション（キリスト教右派的ではあるが合理的な医学的バックグランドがあり、ユダヤの食戒律を勧める意味でキリスト教徒としては異色でもある、等）内容を客観的に位置づけるのに大変参考になりました。
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