清張全集第60巻。上・下2段組みで、堂々の471頁。週刊新潮83年9月より2年にわたり連載。
私見だが、清張作品の傑作は短編にある。凝縮され無駄のない叙述、鴎外作品にも似た非情な文体にも拘らず、そこはかとなく立ち昇る文学の香り・・・明日香村に点在する巨石遺跡を追跡して、イランのゾロアスター教に辿りつくという雄大この上もないストーリーの『火の路』(全集第50巻)は別として長編物は大体においてどこかにほころびが出る。が、しかしである。当『聖獣配列』は最後まで飽きることなく楽しめた。
『点と線』当時の日本では飛行機の旅はまだ稀だった。警視庁の刑事たちもそれに思い至らず、飛行機を活用した犯人のアリバイ崩しに大いにてこずった。が、『聖獣配列』が連載された83年頃ともなると日本人もどっと海外に出向くようになった。一応小説の主人公は銀座クラブのママ、中上可南子。上院議員当時情を交わした男が今や米国大統領として来日。保守党政治家連がいろいろと画策。
この女性なかなかのスーパーウーマンで、外国語もでき、密会時の写真を武器に大金をゆすり、スイスに飛んで秘密口座を開設しようとする。
まあ、お膳立ては甚だ荒唐無稽なのだが、世のビジネスマン誰もが夢見る話ではある。前年に清張さんスイスを中心に取材調査を実行しており、チューリッヒ・ベルン等の秘密めいたスイス銀行の雰囲気はしっかり伝わる。
見方によればこのミステリー・アドベンチャー・ロマンの真の主役は他でもない聖・獣二つの顔を備えた神秘の国スイスーーアルプスの少女ハイジと、ナチスとも関係の深かったチューリッヒの子鬼ーーなのだろう。
私はチューリッヒ、ジュネーブ、ルツェルンなどは知った街なので、懐かしく、たっぷり小説を愉しんだ。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
新品:
¥3,418¥3,418 税込
ポイント: 207pt
(6%)
無料お届け日:
3月31日 日曜日
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
新品:
¥3,418¥3,418 税込
ポイント: 207pt
(6%)
無料お届け日:
3月31日 日曜日
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
中古品: ¥1,004
中古品:
¥1,004

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
松本清張全集 (60) 聖獣配列 単行本 – 1995/9/30
松本 清張
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥3,418","priceAmount":3418.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"3,418","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"G16e3zH4mx%2B%2BsrNlBv8PAk4kG%2FpGit2ngIHDkjHwefw%2FelKOpv2lSQCdNn2KPDN4og9cvEsCW17P8PyYvD13j4UZ1fc5pO5OmvF5jwW7a33WNdXZ7c0yzUSFWoGCfX1F","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥1,004","priceAmount":1004.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,004","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"G16e3zH4mx%2B%2BsrNlBv8PAk4kG%2FpGit2nzalRuTZQ89po40SV2AL38ZuKK%2Faridiy2G99%2Fnrn%2FD3MPzYeeGsZSak4Z8MH%2FuFXKa1fYO1xdlHaY3i0IevcROY%2FRwNHdIWmGvA2FwTKgxGQMrLVMObZXbNSC6L9kzjxMKFuchKFkhc%2FilkDmBuKpdewn7gi5jG7","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
迎賓館で一夜を過ごした可南子が撮ったのは、日米極秘首脳会談の証拠だった! 国際政治の暗部を抉るサスペンス 解説・佐野洋
- 本の長さ478ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日1995/9/30
- ISBN-104165082201
- ISBN-13978-4165082200
この商品を買った人はこんな商品も買っています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (1995/9/30)
- 発売日 : 1995/9/30
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 478ページ
- ISBN-10 : 4165082201
- ISBN-13 : 978-4165082200
- Amazon 売れ筋ランキング: - 917,127位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 469位経済・社会小説 (本)
- - 613位個人全集の全集・選書
- - 5,134位ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

(1909-1992)小倉市(現・北九州市小倉北区)生れ。給仕、印刷工など種々の職を経て朝日新聞西部本社に入社。41歳で懸賞小説に応募、入選した『西郷札』が直木賞候補となり、1953(昭和28)年、『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞。1958年の『点と線』は推理小説界に“社会派”の新風を生む。生涯を通じて旺盛な創作活動を展開し、その守備範囲は古代から現代まで多岐に亘った。
カスタマーレビュー
星5つ中4.8つ
5つのうち4.8つ
3グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2020年5月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2002年6月11日に日本でレビュー済み
この小説は、迎賓館でのアメリカ大統領と日本首相の秘密会談を題材にしたものだ。もちろん、いかに清張といえども迎賓館の内部を取材したわけではないらしいのだが、迎賓館の描写は精巧を極める。解説によると、この小説のために現実のアメリカ大統領の訪問に際してに、迎賓館の警備が問題となったらしい。小説と現実のあまりの一致に、迎賓館の内部事情をもらした人間がいると思われたためらしい。
そんな波乱を巻き起こすほどの清張の描写の重厚さに感服してみるのも、この作品の楽しみ方の一つではないだろうか。
そんな波乱を巻き起こすほどの清張の描写の重厚さに感服してみるのも、この作品の楽しみ方の一つではないだろうか。