ヤマト運輸の宅急便も、ファミリーレストランのセントラルキッチン方式も、回転寿司もマーケティングシステムとオペレーションシステムがビジネスモデルを支える車の両輪であり、新しいビジネスモデルが創造されるときには必ず、両面でのイノベーションをともなうことが必然であるということが論旨である。そして、このイノベーションは市場構造の変化のサイクルがあり、成熟・出現・新旧交代・確立のサイクルを繰り返し、業界をこの面で俯瞰するとすでにそのビジネスモデルが「お払い箱」なのかどうかを分析することができると述べている。
具体的には、モバイル通信、放送、広告、個人向け証券サービス、クレジットカード、コンビニエンスストア、小売、アパレル、外食、人材、介護の分析を行った各ビジネス分野において、モバイル通信・クレジットカード市場は成熟段階にあり新たなビジネスモデルの芽がでてこようとしており、放送・人材市場は出現段階にあり新たなビジネスモデルが出現しつつあるとしている。すなわちこれらの市場では旧来のビジネスモデルは、危ないビジネスモデルでお払い箱になる可能性が高いことを示唆している。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
お払い箱のビジネスモデル (Yosensha Paperbacks 10) 単行本 – 2006/4/1
小屋 知幸
(著)
■「勝ち抜くビジネスモデルと沈むビジネスモデル」両者を分ける違いは何なのか?
刮目すべきビジネスモデルが続々と現れる地殻変動期、機先を制する企業はどんなしくみを築いているのか?
規制緩和にいち早く対応した企業は何を予見できていたのか? その一方で、旧来の慣習や既得権に守られてきた企業は自らのビジネスモデルが陳腐化していることに対し著しく感度が鈍い。
驕り・鈍感さ・思考停止を生む「成功体験の罠」、
市場の構造変化に乗り遅れてしまう「中心性の罠」、
革新を志すが妥協が入り込んでしまう「中庸の罠」——。
立ち止まって、革新を止めた瞬間、あなたのビジネスも私のビジネスも、すべてお払い箱行きとなる。革新できないビジネスモデルは競争力を失う。
たとえいま隆盛を誇るビジネスであったとしても、現状維持に終始すれば、新しいビジネスに取って代わられてしまう。
避けがたい大きな構造変化の入り口に立っているビジネスパーソン必読の書。
- 本の長さ299ページ
- 言語日本語
- 出版社洋泉社
- 発売日2006/4/1
- ISBN-104862480233
- ISBN-13978-4862480231
商品の説明
著者について
1963年生まれ。群馬県出身。株式会社日本総合研究所主席研究員。早稲田大学卒業後、小売事業会社の経営企画スタッフを経て、1998年さくら総合研究所(現日本総合研究所)入社。経営コンサルタントとして、各種事業会社の経営戦略、事業戦略策定、経営改革に対する支援を行っている。主要企業の経営戦略や業界動向に対する切れ味のよい分析に定評があり、「日経MJ」「電気新聞」等への寄稿多数。最近はインターネットでの情報発信(日経マネーDIGITAL、nikkeibp.jpなど)にも力を注いでいる。
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2007年10月23日に日本でレビュー済み
かつて会社の寿命90年説、あるいはもっと短い30年説というのがあった。およそほとんどのビジネスモデルには限界がある。ただし続く会社は常にイノベーションを行っている。トヨタは創業時は自動織機の会社だった。IBMも計算機の会社だったはずだが、大型汎用コンピュータで一世を風靡したあとPCの潮流に乗り遅れ、ソフト・コンサルティング戦略を取って再び業界の巨人に返り咲いた。
本書は様々な業界におけるビジネスモデルの陳腐化とイノベーションについて、細かな実例をひいて説明する。個々の業界についてはそこに身を置いている人間の方が詳しいだろうが、異業種の実例を学ぶことで全体を俯瞰し、得るものも大きいのではないだろうか。特に、過去の成功体験に基づき戦略が中途半端になって時代遅れになるというくだりは、企業だけではなく個人にも当てはまる痛烈な論だ。とは言え、サラリーマンである以上、個人で戦略を全て変えられるわけではないのがつらいのだが…読みやすいが中身の濃い良書だ。
本書は様々な業界におけるビジネスモデルの陳腐化とイノベーションについて、細かな実例をひいて説明する。個々の業界についてはそこに身を置いている人間の方が詳しいだろうが、異業種の実例を学ぶことで全体を俯瞰し、得るものも大きいのではないだろうか。特に、過去の成功体験に基づき戦略が中途半端になって時代遅れになるというくだりは、企業だけではなく個人にも当てはまる痛烈な論だ。とは言え、サラリーマンである以上、個人で戦略を全て変えられるわけではないのがつらいのだが…読みやすいが中身の濃い良書だ。
2006年4月27日に日本でレビュー済み
本書における著者の主張は一貫してクリアである。すなわち、「あらゆる業界においてビジネスモデルには寿命がある」、だからこそ企業は「ビジネスモデルを絶えず革新せよ」ということである。そしてこれらの主張が、合計11業種の衰退・革新事例を通じて検証されているが、革新できない企業に対する著者の指摘は最後まで鋭く厳しい。
曰わく、革新できない企業には5つの病がある。(1)過去の成功体験からくる「驕り」、(2)市場動向・顧客ニーズ変化に対する「鈍感さ」、(3)自社中心的な「供給者発想」、(4)過去の経験や常識に縛られた「思考停止」、(5)軋轢を避けた中途半端な「妥協主義」。
本書を手にした読者ならば誰しも一つや二つは思い当たることがあるだろうし、だからこそ耳が痛い。
しかし、著者のねらいが単に現状を批判することではなく、建設的批判を通じて将来の革新を促そうとしていることは、「ビジネスモデルの衰退と企業の衰退は同様ではない」という一文からも明らかだろう。現在起こっている市場構造変化の本質を敏感に察知し、いち早く行動を起こすことが、その他大勢の「お払い箱」から抜け出るための第一歩である、というのが、著者から読者への応援メッセージなのだ。
タイトルも価格も軽量級だが、その中身は重量級であり、かつ身近な企業事例が分かりやすく、示唆に富む。
自らのビジネスモデルに対し健全な危機意識が芽生えると同時に、著者ならではの分析視点も学ぶことができ、極めてコストパフォーマンスが高い一冊と言えるだろう。
曰わく、革新できない企業には5つの病がある。(1)過去の成功体験からくる「驕り」、(2)市場動向・顧客ニーズ変化に対する「鈍感さ」、(3)自社中心的な「供給者発想」、(4)過去の経験や常識に縛られた「思考停止」、(5)軋轢を避けた中途半端な「妥協主義」。
本書を手にした読者ならば誰しも一つや二つは思い当たることがあるだろうし、だからこそ耳が痛い。
しかし、著者のねらいが単に現状を批判することではなく、建設的批判を通じて将来の革新を促そうとしていることは、「ビジネスモデルの衰退と企業の衰退は同様ではない」という一文からも明らかだろう。現在起こっている市場構造変化の本質を敏感に察知し、いち早く行動を起こすことが、その他大勢の「お払い箱」から抜け出るための第一歩である、というのが、著者から読者への応援メッセージなのだ。
タイトルも価格も軽量級だが、その中身は重量級であり、かつ身近な企業事例が分かりやすく、示唆に富む。
自らのビジネスモデルに対し健全な危機意識が芽生えると同時に、著者ならではの分析視点も学ぶことができ、極めてコストパフォーマンスが高い一冊と言えるだろう。
2006年4月25日に日本でレビュー済み
1章と最終章が、お払い箱になるビジネスモデルと将来有望なビジネスモデルを
分けるものは何かという普遍的法則の説明で、
2→12章が、11の業界に関しての具体的なケーススタディとなっています。
特に2→12章で解説されている、その業界で負け組にならないための対処法は、
きわめて論理的に書かれているので、業界人以外でも参考になる部分は多いと思います。
また業界独自の用語や専門用語は、初出時にはきちんと説明されているので、
ストレスなく読みすすめることができる点にも好感がもてます。
個人的には「ワールドビジネスサテライト」の書籍版のように感じられました。
まさにビジネスパーソン必読の書です。
分けるものは何かという普遍的法則の説明で、
2→12章が、11の業界に関しての具体的なケーススタディとなっています。
特に2→12章で解説されている、その業界で負け組にならないための対処法は、
きわめて論理的に書かれているので、業界人以外でも参考になる部分は多いと思います。
また業界独自の用語や専門用語は、初出時にはきちんと説明されているので、
ストレスなく読みすすめることができる点にも好感がもてます。
個人的には「ワールドビジネスサテライト」の書籍版のように感じられました。
まさにビジネスパーソン必読の書です。