バブル時代に土地の価格がバブル化していることを的確に分析してた数少ない人
今までほとんどの本を読みましたが、数年経って読み返すとことごとく的を得ています!
素晴らしい!
政治家・日銀スタッフ必読!

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金融危機の本質は何か―ファイナンス理論からのアプローチ 単行本 – 2009/1/1
野口 悠紀雄
(著)
- 本の長さ329ページ
- 言語日本語
- 出版社東洋経済新報社
- 発売日2009/1/1
- ISBN-104492601775
- ISBN-13978-4492601778
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登録情報
- 出版社 : 東洋経済新報社 (2009/1/1)
- 発売日 : 2009/1/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 329ページ
- ISBN-10 : 4492601775
- ISBN-13 : 978-4492601778
- Amazon 売れ筋ランキング: - 624,830位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,351位一般・投資読み物 (本)
- - 1,516位金融・ファイナンス (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)
1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。
一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、2005年4月より早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。
〈主要著書〉
『情報の経済理論』(東洋経済新報社、1974年、日経経済図書文化賞)、『財政危機の構造』(東洋経済新報社、1980年、サントリー学芸賞)、『土地の経済学』(日本経済新聞社、1989年、東京海上各務財団優秀図書賞、不動産学会賞)、『バブルの経済学』(日本経済新聞社、1992年、吉野作造賞)、『1940年体制(新版)』(東洋経済新報社、2002年)、『資本開国論』(ダイヤモンド社、2007年)、『世界経済危機 日本の罪と罰』(ダイヤモンド社、2008年)、『未曾有の経済危機 克服の処方箋』(ダイヤモンド社、2009年)、『経済危機のルーツ』(東洋経済新報社、2010年)、『世界経済が回復するなか、なぜ日本だけが取り残されるのか』(ダイヤモンド社、2010年)等多数。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年3月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
複数のレビュアーが指摘する通り、本書はファイナンスの入門書であって、「金融危機の本質」を解明した著作ではありません。本書の内容は、帯に「最先端の金融を理解するためのファイナンス理論の基礎」とあるとおりです。それにしても、「第2章 バフェットはなぜ大金持ちになれたのか?」などは、まさに正鵠を射た論考です。つまり、勝ち負けの確率が2分の1であるとして、賭けの回数が増すとともに、連続して勝ち続ける確率は、限りなくゼロに近づくが、決してゼロにはならない。無数の投資家の中にはたぐいまれな僥倖に恵まれる人がいても不思議ではなく、バフェットはそうした例外的強運の人物だった、という説明です。つまり、バフェットが世界有数の大富豪にのし上がったのは、「偶然」によるものであるから、「バフェット流投資術」の解説書を読み漁って、第二のバフェットを目指そうなどという考えはナンセンスだということです。全くその通りでしょう。この点は程度の差こそあれ、投資による成功者のみならず、実業による成功者が語る成功談にも当てはまります。第一線から退いた実業の大成功者がビジネスの成功法則を語る、というたぐいの本は山ほど出版されています。これらの本が語る「成功法則」は、むろん虚構ではありませんが、功成り名遂げた経営者たちは意識・無意識は別として、彼らをして成功に導いた多くの「偶然」や「偶発」については、語らない、あるいは語りたがらないからです。著名人の「成功本」を読む際には、この点に留意するようにしましょう。 さてファイナンスの入門書も山ほど出版されていますが、ビジネスパースンや学生諸君の入門書として本書は一押しです。野口氏の高校時代以来の友人にして、やはりファイナンスの専門家である今野浩東工大名誉教授がある書の中で「学生時代の野口悠紀雄氏は、谷崎潤一郎に次ぐ日本語力の持ち主と評されていた」(なぜ谷崎潤一郎なのかは、失念しました)と書かれていたことを思い出します。著者は、本書の各章を一気呵成に書きあげたのでしょうが、表現の巧みさや、論述の構想力にはいつものことながら舌を巻きます。
2009年4月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この書にもし「ファイナンス理論入門」という表題が付いていたら5つ星の名著だと思う。東大工学部応用物理学科卒・Yale大学経済学博士(PhD)で両分野に造詣の深い筆者は、数学的正確さを以て本来複雑なファイナンス理論を(数学を要求せずに)判り易く解説している。数学が得意な読者には、もっと方程式を多用して貰った方が直裁だと思うほどだ。元々「週刊東洋経済」に2007年-08年に「説話ファイナンス理論」として連載した内容がもとになっているそうだ。金融商品の価格や、各種オプションなどリスク低減策の背景にある理論を平易に具体的に解説している。
それに商業主義的発想で「金融危機の本質は何か」という表題を付けたに違いない。この「何か」に直接答えている部分は第1章の9頁だけである。書店で立ち読みをしてから買うのなら問題ないが、Amazonで購入する場合には期待との乖離が起こる可能性が高いので、敢えて3つ星とした。
ファイナンス理論入門の他に筆者が本書で強調するのは、
1.ファイナンス理論で最適化以上の金儲けは出来ない。金儲けの学問のように言うのは、単なる誤解か、悪意の曲学阿世である。
2.ファイナンス理論は、経済学と数学から成るために両方を踏まえて充分な理解を持つ人が少なく、従って誤解され易い。
という点だと感じた。心しよう。
それに商業主義的発想で「金融危機の本質は何か」という表題を付けたに違いない。この「何か」に直接答えている部分は第1章の9頁だけである。書店で立ち読みをしてから買うのなら問題ないが、Amazonで購入する場合には期待との乖離が起こる可能性が高いので、敢えて3つ星とした。
ファイナンス理論入門の他に筆者が本書で強調するのは、
1.ファイナンス理論で最適化以上の金儲けは出来ない。金儲けの学問のように言うのは、単なる誤解か、悪意の曲学阿世である。
2.ファイナンス理論は、経済学と数学から成るために両方を踏まえて充分な理解を持つ人が少なく、従って誤解され易い。
という点だと感じた。心しよう。
2016年2月11日に日本でレビュー済み
P7
日本の対外資産総額はGDPとほぼ同規模なので、収益率をあげれば経済成長率をあげたのと同じになる。
リスクを正しく評価して、リスクに挑戦することが大切だ。
P9
金融に関して教えることがあるとすれば、世の中にはうまい話はない、濡れてで粟の投資勧誘があったら疑ってかかれということだけだ
金融能力を高めるなら、本当に必要なのは基礎科目の勉強ある。
P14
住宅ローンや不動産そのものは少数の者に分割するわけにはいかない。しかし証券化すればできる。したがって分散投資が可能となる。
株式とは企業の純資産を証券化したものに他ならない。
債券とは、延滞・債務不履行のリスクにさらされている。それを証券化した商品もこれに起因するリスクを持つ。
多数のローンを集めれば、大数の法則が適用できる。
実際の債務不履行の額は、その期待値に等しい。
P26
仮に株式投資での成功法則があるにしても成功者が軽々しくその方法を他人に教えることはない。
投資すべき機会の損失につながるから。もし、皆がわかればそもそも投資すべき価値を持たない。
P30
確率が歴史に依存しない問いう性質を持つ偶然のプロセスをファイナンス理論では、マルチンゲールと呼んでいる。もし、株価変動がマルチンゲールであれば、つまり、株式投資の結果が過去の成績に依存しないのであれば、株式投資を勝ち抜く人が必ずいる。したがって問題は、株価変動はマルチンゲールかということである。
P35
多数の無名の人の様々な意見の積み重ねが正しい、少なくともそれほど間違ってない結果に自動的に収斂すると言わざるをえない。つまり多数者は総体として、正しい答えを知ることができる。
P36
オプションとは取引できる権利のこと
P38
市場が効率的なら、現在知られている情報は既に株価に反映されている。したがって将来の株価は現在は知られていない情報だけによって変動する。知られていない情報を予測することはできないから、将来の株価を予測することはできない。つまり株価はランダムに動くと結論せざるをえない。
P39
今ではさすがに計量モデルで為替レートを予測しようとする人はいない。
P42
株式市場や為替市場は効率的と考えられているので、株価や為替レートをランダムウォークモデルで喜寿することができる。しかし、不動産市場は効率的市場と考えられていない。したがって、不動産価格をランダムウォークモデルで分析することには問題がある。
エセ専門家の見分け方:
1 複雑な数式や聞いたこともない専門用語をやたら使ってくる
2 わかるはずがないことがわかっている
3 必要とされるはずのデータを用いないで答えが得られている。
P49
ネイサンロスチャイルドは情報収集で優れていただけでなく、その利用法においても冷徹極まりない知力を発揮した。
P51
情報だけで巨額の利益を上げられるのは金融取引に固有の現象である。
P53
内部取引が禁止される理由は巨額の利益それ自体ではない。そうした取引を認めると、一部の人々がリスクなしで巨額の利益を得られる反面で、一般投資家が損害を被るからである。
P54
真の問題は株価が企業価値を正しく反映していないこと。
P58
金融工学に対する人々の誤った機体によってエンロンの株価が上昇した。
P61
冷静に考えればありえないことはファイナンス理論の立場からも否定される。
詐欺や犯罪行為によらず、市場の平均より高い収益率を継続的に上げられるのは次の2つのケースに限られる。
1 他社が追随できない技術を持ち、それが適切なビジネスモデルに支えられている場合。この典型例はグーグルだ。優れた検索技術を持ち、それが検索連動広告という新しいビジネスモデルで支えられて高収益を生み出している。
2 第2は独占力を持つ場合だ。
どちらもないのに収益が増えているとすれば、どこかおかしい。もしくは高収益は一時的なものであり、いずれは消滅する。
P65
日本では時価評価が根付かなかった。株式などを取得原価で評価していたため、株価変動による資産価値の変動は含み益や含み損となって表には現れず、外部から企業資産の実態を正確に把握することができず、対処が遅れた。
P68
元の資産のままだと巨額なために売却が困難であっても、証券化すれば、ここの単位は小さくなるので売却が容易になる。この方法を証券化という。
P79
ポートファオリオインシュアランスとは、株式を保有している場合に、資産が一定額以下に減少しないようにするための方法である。コンピュータと金融工学を使った複雑な仕組み
P81
put optionは株式を空売りし、安全資産を保有することで複製できる。複製に必要な額は株価が低いほど多くなる。したがって、株価が変動すると、株式と安全資産の比率を変えることが必要になる。
株式を空売りして安全資産を保有するのは、株式の先物を売ることと同じである。
P83
株価の下落に対して、売り注文が一斉に発生してしまう。
P93
裁定機会があるとは、ゼロの元手で確実に利益が上がる取引が存在すること。効率的な市場において、裁定機会が存在しない。
P105
不動産を証券化した金融商品(J−リート)の利回りと利子率の差が高水準であったのは、不動産価格が金利低下を完全に反映するほどには上昇していなかったことを示している。したがって、リートへの資金投入は投機ではなく、裁定取引であった。
投機は投機を正当化し、新しい投機を生む。
P106
一般の個人投資家が、乗り遅れまいと投機に参加するようになれば、それは、バブルが末期的状況に近づいた証拠と判断してほぼ間違いない。
P121
非常に遠い時点の株価を現時点で見れば、ボラティリティがほぼゼロに見える。その期待収益率は利子率+リスクプレミアムである。つまり、株式は安全資産よりも、高い収益率が期待できる資産である。しかし、このことは、株が安全資産よりも有利な投資対象ということを意味しない。
P122
株主資本利益率のアールオーイーは期待利益を自己資本で割った値である。これはリスクを無視した概念であるから、その代償で投資判断をするのは極めて危険なことだ。
P125
合理的な投資法は分散投資を行うこと
P127
リスク挑戦のインセンティブとは、リスクのある事業を行うための技術:分散投資があった。
P133
所得がわずかである場合に人々はそれを生存のために必要不可欠な用途に用いる。したがって、所得の単位価値(限界効用)は高い。所得が増加するにつれて満足度は増える。しかし、追加的な所得はそれほど、緊急度が高くない用途に用いられる。このため、満足度の増加(限界効用)は逓減していく。
限界効用が逓減することを前提にすれば、集中投資よりも分散投資の方が望ましい結果をもたらすことがある。正確に言うと、集中投資より望ましい結果をもたらす分散投資が存在する。
P137
リスク回避者がリスクを回避せずにリスクをとる場合もある。つまり、実際にリスク回避行動をとるかどうかはそのための犠牲の大きさにい依存する。これはプレミアムという概念で説明される。
P138
独立に発生する事象は保険の仕組みで対処することができる。
P139
加入者の事故が高い相関を持つようなリスクを市場リスクと呼び、この場合、保険は機能しない。
P145
期待収益率と標準偏差(ボラティリティ、リスク)の曲線を平均・分散フロンティアという。
P160
先物取引が価格変動などのマーケットリスクに対処する手段である
P241
オプションの取引は異なる立場にある人とのリスクの交換である。各人が保有している資産のリスク特性とその人が望んでいる目標との間には乖離がありうる。そうした場合に、オプションを売買することによって、他の人とのリスク状態を交換し、望むリスク特性を実現することができる。
P247
日本の金融機関がファイナンス理論を駆使できないことは先端的な金融取引に当たって、大きな問題だ。
P261
資産価格評価モデルによって、投資戦略に対して、個別リスクを引き受けても、それに見合って、リターンが高くなることはないから無駄ということである。
P262
分散していない投資は無駄なリスクを負っている。
P269
資産は孤立して評価してはいけない。資産はポートフォリオの材料として評価する。常識が見落としているのはこの点だ。
P278
日本の対外資産は大きな為替リスクにさらされている。したがって、日本の対外資産運用を安全な運用とみなすことができない。
P286
投資や資産運用の関係者にとって、恣意的判断が介在しないインデックスファンドをじっと保有していれば良いという投資戦略はありがたいものではない。
P287
クレジットデフォルトスワップCDSとは、信用デリバティブの一種で、債券保有者がプレミアム(保険料)を払うことによって、債務不履行が起こった時に損害額を保証してもらう取引である。
P289
信用デリバティブなどの金融革新はこれまで不可能であったリスクの移転を可能にするという意味で、進歩である。適切に使えば、それは我々の生活を豊かにする。
P291
株式会社とは、会社の純資産(総資産−負債)を株式という証券に化体させ、それを株主が保有する制度だ。これによって、多くの株主から出資を集めることができる。投資家の立場からすれば、様々な株式に投資することによって分散投資が実現できる。株式会社に対しては、会社破綻時に、最大限持ち株の価値がゼロになるという有限責任制が認められている。
P305
ファイナンスの技術も適切に使いさえすれば、産業革命をもたらした技術と同じ役割を果たしてくれるはずである。
日本の対外資産総額はGDPとほぼ同規模なので、収益率をあげれば経済成長率をあげたのと同じになる。
リスクを正しく評価して、リスクに挑戦することが大切だ。
P9
金融に関して教えることがあるとすれば、世の中にはうまい話はない、濡れてで粟の投資勧誘があったら疑ってかかれということだけだ
金融能力を高めるなら、本当に必要なのは基礎科目の勉強ある。
P14
住宅ローンや不動産そのものは少数の者に分割するわけにはいかない。しかし証券化すればできる。したがって分散投資が可能となる。
株式とは企業の純資産を証券化したものに他ならない。
債券とは、延滞・債務不履行のリスクにさらされている。それを証券化した商品もこれに起因するリスクを持つ。
多数のローンを集めれば、大数の法則が適用できる。
実際の債務不履行の額は、その期待値に等しい。
P26
仮に株式投資での成功法則があるにしても成功者が軽々しくその方法を他人に教えることはない。
投資すべき機会の損失につながるから。もし、皆がわかればそもそも投資すべき価値を持たない。
P30
確率が歴史に依存しない問いう性質を持つ偶然のプロセスをファイナンス理論では、マルチンゲールと呼んでいる。もし、株価変動がマルチンゲールであれば、つまり、株式投資の結果が過去の成績に依存しないのであれば、株式投資を勝ち抜く人が必ずいる。したがって問題は、株価変動はマルチンゲールかということである。
P35
多数の無名の人の様々な意見の積み重ねが正しい、少なくともそれほど間違ってない結果に自動的に収斂すると言わざるをえない。つまり多数者は総体として、正しい答えを知ることができる。
P36
オプションとは取引できる権利のこと
P38
市場が効率的なら、現在知られている情報は既に株価に反映されている。したがって将来の株価は現在は知られていない情報だけによって変動する。知られていない情報を予測することはできないから、将来の株価を予測することはできない。つまり株価はランダムに動くと結論せざるをえない。
P39
今ではさすがに計量モデルで為替レートを予測しようとする人はいない。
P42
株式市場や為替市場は効率的と考えられているので、株価や為替レートをランダムウォークモデルで喜寿することができる。しかし、不動産市場は効率的市場と考えられていない。したがって、不動産価格をランダムウォークモデルで分析することには問題がある。
エセ専門家の見分け方:
1 複雑な数式や聞いたこともない専門用語をやたら使ってくる
2 わかるはずがないことがわかっている
3 必要とされるはずのデータを用いないで答えが得られている。
P49
ネイサンロスチャイルドは情報収集で優れていただけでなく、その利用法においても冷徹極まりない知力を発揮した。
P51
情報だけで巨額の利益を上げられるのは金融取引に固有の現象である。
P53
内部取引が禁止される理由は巨額の利益それ自体ではない。そうした取引を認めると、一部の人々がリスクなしで巨額の利益を得られる反面で、一般投資家が損害を被るからである。
P54
真の問題は株価が企業価値を正しく反映していないこと。
P58
金融工学に対する人々の誤った機体によってエンロンの株価が上昇した。
P61
冷静に考えればありえないことはファイナンス理論の立場からも否定される。
詐欺や犯罪行為によらず、市場の平均より高い収益率を継続的に上げられるのは次の2つのケースに限られる。
1 他社が追随できない技術を持ち、それが適切なビジネスモデルに支えられている場合。この典型例はグーグルだ。優れた検索技術を持ち、それが検索連動広告という新しいビジネスモデルで支えられて高収益を生み出している。
2 第2は独占力を持つ場合だ。
どちらもないのに収益が増えているとすれば、どこかおかしい。もしくは高収益は一時的なものであり、いずれは消滅する。
P65
日本では時価評価が根付かなかった。株式などを取得原価で評価していたため、株価変動による資産価値の変動は含み益や含み損となって表には現れず、外部から企業資産の実態を正確に把握することができず、対処が遅れた。
P68
元の資産のままだと巨額なために売却が困難であっても、証券化すれば、ここの単位は小さくなるので売却が容易になる。この方法を証券化という。
P79
ポートファオリオインシュアランスとは、株式を保有している場合に、資産が一定額以下に減少しないようにするための方法である。コンピュータと金融工学を使った複雑な仕組み
P81
put optionは株式を空売りし、安全資産を保有することで複製できる。複製に必要な額は株価が低いほど多くなる。したがって、株価が変動すると、株式と安全資産の比率を変えることが必要になる。
株式を空売りして安全資産を保有するのは、株式の先物を売ることと同じである。
P83
株価の下落に対して、売り注文が一斉に発生してしまう。
P93
裁定機会があるとは、ゼロの元手で確実に利益が上がる取引が存在すること。効率的な市場において、裁定機会が存在しない。
P105
不動産を証券化した金融商品(J−リート)の利回りと利子率の差が高水準であったのは、不動産価格が金利低下を完全に反映するほどには上昇していなかったことを示している。したがって、リートへの資金投入は投機ではなく、裁定取引であった。
投機は投機を正当化し、新しい投機を生む。
P106
一般の個人投資家が、乗り遅れまいと投機に参加するようになれば、それは、バブルが末期的状況に近づいた証拠と判断してほぼ間違いない。
P121
非常に遠い時点の株価を現時点で見れば、ボラティリティがほぼゼロに見える。その期待収益率は利子率+リスクプレミアムである。つまり、株式は安全資産よりも、高い収益率が期待できる資産である。しかし、このことは、株が安全資産よりも有利な投資対象ということを意味しない。
P122
株主資本利益率のアールオーイーは期待利益を自己資本で割った値である。これはリスクを無視した概念であるから、その代償で投資判断をするのは極めて危険なことだ。
P125
合理的な投資法は分散投資を行うこと
P127
リスク挑戦のインセンティブとは、リスクのある事業を行うための技術:分散投資があった。
P133
所得がわずかである場合に人々はそれを生存のために必要不可欠な用途に用いる。したがって、所得の単位価値(限界効用)は高い。所得が増加するにつれて満足度は増える。しかし、追加的な所得はそれほど、緊急度が高くない用途に用いられる。このため、満足度の増加(限界効用)は逓減していく。
限界効用が逓減することを前提にすれば、集中投資よりも分散投資の方が望ましい結果をもたらすことがある。正確に言うと、集中投資より望ましい結果をもたらす分散投資が存在する。
P137
リスク回避者がリスクを回避せずにリスクをとる場合もある。つまり、実際にリスク回避行動をとるかどうかはそのための犠牲の大きさにい依存する。これはプレミアムという概念で説明される。
P138
独立に発生する事象は保険の仕組みで対処することができる。
P139
加入者の事故が高い相関を持つようなリスクを市場リスクと呼び、この場合、保険は機能しない。
P145
期待収益率と標準偏差(ボラティリティ、リスク)の曲線を平均・分散フロンティアという。
P160
先物取引が価格変動などのマーケットリスクに対処する手段である
P241
オプションの取引は異なる立場にある人とのリスクの交換である。各人が保有している資産のリスク特性とその人が望んでいる目標との間には乖離がありうる。そうした場合に、オプションを売買することによって、他の人とのリスク状態を交換し、望むリスク特性を実現することができる。
P247
日本の金融機関がファイナンス理論を駆使できないことは先端的な金融取引に当たって、大きな問題だ。
P261
資産価格評価モデルによって、投資戦略に対して、個別リスクを引き受けても、それに見合って、リターンが高くなることはないから無駄ということである。
P262
分散していない投資は無駄なリスクを負っている。
P269
資産は孤立して評価してはいけない。資産はポートフォリオの材料として評価する。常識が見落としているのはこの点だ。
P278
日本の対外資産は大きな為替リスクにさらされている。したがって、日本の対外資産運用を安全な運用とみなすことができない。
P286
投資や資産運用の関係者にとって、恣意的判断が介在しないインデックスファンドをじっと保有していれば良いという投資戦略はありがたいものではない。
P287
クレジットデフォルトスワップCDSとは、信用デリバティブの一種で、債券保有者がプレミアム(保険料)を払うことによって、債務不履行が起こった時に損害額を保証してもらう取引である。
P289
信用デリバティブなどの金融革新はこれまで不可能であったリスクの移転を可能にするという意味で、進歩である。適切に使えば、それは我々の生活を豊かにする。
P291
株式会社とは、会社の純資産(総資産−負債)を株式という証券に化体させ、それを株主が保有する制度だ。これによって、多くの株主から出資を集めることができる。投資家の立場からすれば、様々な株式に投資することによって分散投資が実現できる。株式会社に対しては、会社破綻時に、最大限持ち株の価値がゼロになるという有限責任制が認められている。
P305
ファイナンスの技術も適切に使いさえすれば、産業革命をもたらした技術と同じ役割を果たしてくれるはずである。
2009年8月29日に日本でレビュー済み
リーマンショック後も相変わらず金融工学は正しく、その使い方に問題があっただけだと言っている。バッフェットは確率的な存在という意見には驚かざるを得ない。人間には数字で表せないもの、数学で予測できないものがあるということを誰かこの人に教えてあげてほしい。
2014年7月25日に日本でレビュー済み
ファイナンス、投資、デリバティブに関する理論の入門書。金融業界のプロの目から見れば物足りない内容かもしれないが、そうでないビジネスマンや、財団・学校法人などの財務担当理事、事業会社の役員、中小企業の経営者など他人や自らの財産を管理・運用する立場にある人に必要な基本的な知識が一通りではなく興味深く書かれている。特にデリバティブについては金融マン向けに書かれた入門書などよりも、枝葉末節が省略されている分、本質的なことがよくわかる。説明が省略されている箇所、不正確な箇所もあるが、とにかく読んで面白いところが、さすがに野口悠紀雄である。
2012年10月2日に日本でレビュー済み
著者の学んだイェール大というのは、一般均衡理論と計量経済学の牙城のような言われ方をすることが多いコウルズ委員会があるところで、著者も基本的には効率的市場仮説と均衡理論に基づいたファイナンス理論の説明を本書でしている。だから、長期で市場以上のパフォーマンスを出す投資家は「偶然」の産物となるし、投資するなら市場全体の平均的動向に連動するインデックス・ファンドということになる一方で、レバレッジで期待利得と同時にリスクを増やすFXは余り上等な投資手段とは見做されない。また、効率的市場観に基づくと理論上は裁定取引というのは(少なくとも長期では)存在しないことになる。理論上、分散投資は好ましいが、海外の不動産や通貨なんかまでも含めないと意味が無いため、完璧な分散投資なんて実際は不可能だともいう。「投資で大きく儲けたい」と思ってる人には、冷や水をかぶせるような内容だと言って良いだろう。(合理的投資者を期待し過ぎているなどの弱点から、そもそもファイナンス理論は大損を回避する手段にはなっても、「金儲けの手助けにはならない」(p.311)と著者は言っている。)
個人的に面白かったのは、年齢によってリスク資産と安全資産の割合を変化させることが巷の実務家によりよく謳われるが、リスク資産と安定資産の効率的ポートフォリオ構成が一意的に決まるというトービンの分離定理によりこの通説が否定されるくだり、また、投資家としては分散投資を否定して集中投資を嗜好したケインズの「一般理論」が、確かに貨幣or国債の二者択一投資を仮定していることを指摘するあたりだ。
ファイナンス理論の解説書としては読みやすいが噛み応えは結構あって、一度読んだだけですんなり全体を理解できる人は少ないかもしれない。だが、素人の僕でも躓きながら何とか読み切れたので、よく纏まっている本ではないかと思う。何よりも、投資に関する通説を理論的に否定してくれる箇所も少なくないので、そういう点では「金儲けの手助けにはならない」理論書ながら実践的だとも言える。
個人的に面白かったのは、年齢によってリスク資産と安全資産の割合を変化させることが巷の実務家によりよく謳われるが、リスク資産と安定資産の効率的ポートフォリオ構成が一意的に決まるというトービンの分離定理によりこの通説が否定されるくだり、また、投資家としては分散投資を否定して集中投資を嗜好したケインズの「一般理論」が、確かに貨幣or国債の二者択一投資を仮定していることを指摘するあたりだ。
ファイナンス理論の解説書としては読みやすいが噛み応えは結構あって、一度読んだだけですんなり全体を理解できる人は少ないかもしれない。だが、素人の僕でも躓きながら何とか読み切れたので、よく纏まっている本ではないかと思う。何よりも、投資に関する通説を理論的に否定してくれる箇所も少なくないので、そういう点では「金儲けの手助けにはならない」理論書ながら実践的だとも言える。