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屈辱と歓喜と真実と: “報道されなかった”王ジャパン121日間の舞台裏 単行本 – 2007/2/1
を熱狂させたWBC日本代表チームの活躍はいまだ記憶に残るところ。
日本代表は、確かに世界の頂点に立った。しかし、世界一を単純に喜んでいいのか?
なぜならば、日本代表には多くの問題が潜んでいた。
あの感動の世界一から一年...。王監督、イチロー、松坂をはじめとするV戦士
たちが、その舞台裏を、それぞれの視点で語り始めた......。
なぜ、多くの出場辞退者が出たのか? 日本代表チームにはいかなる問題があっ
たのか? いくつもの障害を、どこで誰がどのようにして解決していったのか?
日の丸に対するそれぞれの思いとはいかなるものだったのか? そして北京五
輪へと続く日本代表のあるべき姿とは?
韓国に敗れた屈辱の夜、キューバを下し世界一となった歓喜の夜、そして知られ
ざる真実......。
気鋭のノンフィクションライター、石田雄太が、王監督、イチローをはじめとす
る数多くの証言を通して、マスメディアでは、決して報道されることのなかっ
た、舞台裏の知られざる真実を深く細やかに綴っていく。
- 本の長さ379ページ
- 言語日本語
- 出版社ぴあ
- 発売日2007/2/1
- ISBN-104835616510
- ISBN-13978-4835616513
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商品の説明
抜粋
陽が落ちても小雨が降り続いていた、松の内のとある夜。東京・六本木の狭い
路地に、一台の車が入ってきた。
乗っていたのは、イチローである。
待ち合わせの時間よりも二〇分ほど早い到着だったのだが、イチローは店
に入ろうとせずにこう言った。
「このまま外で待ってた方がいいんじゃないですか。ちょうど雨も上がったよう
だし......」
傘を閉じたイチローは、人通りが少なかったとはいえ、それでも人の往来が絶
えない六本木のど真ん中に佇む小さな鮨屋の前で、寒風に肩をすぼめた。五分く
らい経っただろうか。イチローが突然、素っ頓狂な声をあげた。
「寒ーいっ」
すると、鮨屋の中にいた人から突然、声を掛けられた。
「あれっ、監督はもう中でお待ちですよ」
「えーっ、なんだ、そうだったんですか」
イチローは、慌てて鮨屋の暖簾をくぐった。すると、カウンターの席には、イ
チローが十ヶ月ぶりに会う懐かしい相手が座っていた。
王貞治監督だった。
WBCの決勝翌日、サンディエゴで握手を交わして別れてから十ヶ月。王
監督とイチローは、ようやく再会を果たした。胃の全摘手術を受けていた王
監督だったが、イチローを馴染みの鮨屋に招いて食事をともにしようということ
になったのだ。
「ご無沙汰しています」
「やっぱり外にいたのか」
「あの、でかい声が聞こえましたか(苦笑)」
カウンターに並んで座った二人は、ビールのグラスで乾杯した。
「いいから、呑んでよ」
「そういうわけにはいきませんよ(笑)」
「いや、オレも呑めるんだよ、少しならな」
王監督は、ビールのグラスを呷り、美味そうに鮨をつまんでいた。王監督の
元気そうな姿に、イチローは嬉しそうだった。
「監督は若い頃、走り屋だったんですか」
「うん、暴走族だよ。ハンドル握ると人間、変わるんだから。ホントの自分に
なっちゃうんだよ、そこのけそこのけって(笑)」
「へーっ、暴走族なんだぁ。それは、いいこと聞きましたよ(笑)」
イチローは、はしゃいでいた。
いや、正確に言えば、緊張を隠すためにはしゃいでいるように見えた。亡く
なった仰木彬さんと一緒のとき、イチローは恩師に対して親愛の情を示すため
か、いつも悪態をついて見せた。やはりイチローが尊敬する山田久志さんと一
緒のとき、イチローは先輩に敬意を表し、礼を尽くそうと気を配った。王監督と
鮨をつまむイチローは、今までに見たことのないイチローだった。
<序章より抜粋>
著者について
ベースボール・ライター。1964年、愛知県生まれ。青山学院大学文学部卒業
後、NHK入局、「サンデースポーツ」などでディレクターを務める。92年に独
立し、「Number」「週刊ベースボール」「週刊プレイボーイ」など、雑誌、専門
誌、新聞などに多数執筆。数多くのスタジアムに足を運び続ける圧倒的なフィー
ルドワークから培った深い洞察力から紡ぎ出される文章は、多くの野球ファンか
ら支持を得ている。また、執筆のほかにスポーツ番組の構成・演出なども手がけ
るなど、精力的に活動。著書に『イチローイズム--僕が考えたこと、感じたこ
と、信じること』、『こんなプロ野球が見たい』、『イチロー、聖地へ』、『桑田
真澄--ピッチャーズバイブル18 』がある。
登録情報
- 出版社 : ぴあ (2007/2/1)
- 発売日 : 2007/2/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 379ページ
- ISBN-10 : 4835616510
- ISBN-13 : 978-4835616513
- Amazon 売れ筋ランキング: - 892,213位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 23,265位スポーツ (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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これは一冊のドキュメンタリーとして読み応えのある作品です!。
個人的には「王選手」が好きで、野球中継はホークスが出場する「日本シリーズだけ」しか観ないような、
実に中途半端なファンなのですが、そんな私でも実に興味深く読めました。
一人一人の個性の強い「プロフェッショナル達」が集まって、
一つの「チーム」として闘って行く・・・
この難しさ、素晴らしさ・・・
少なくとも「世界の王」は、ホントに「世界の王」だと言う事・・・
ああいう大会には「神様が必要」と言っていた人が居ましたが、
確かにその通りだと思いましたです。
つくづく第一回のWBCの主役はイチローだったのだと実感する。世界の王さんを勝たせる為に世界のイチローがチームづくりに尽力する様子が詳細に書かれている。
シーズン開幕間際で唐突に開催された第一回WBCは選手間に温度差があり、一丸となるまで時間がかかった。この本がオリンピックに出る為にプロにいかなかったミスター・アマチュア杉浦正則に触れることは必然であるし、杉浦の言葉が宮本ら多くの選手に与えた影響を考えれば、第一回WBC優勝のもう一人の立役者は杉浦正則だったのではないかとさえ思う。
チームを一つにすることの大事さと難しさ、熱さが伝わる良書。
1つの事実の掘り下げ方も、他の本にはない奥の深さがある。
大会を通じて、日本代表としてチームがひとつになる様子がわかります。
チームとしてひとつにまとまる事の大切さ、
チームをひとつにまとめる大変さ。
そして何より、日の丸にかける重いが伝わってきました。
野球の日本代表を真剣に考えさせてもらえた一冊でした。
内容は、特にコーチ陣への批判が多く、監督の配慮不足や一部控え選手の言動についての批判が目に付く一方で、イチロー選手への賞賛・賛美に偏っていた印象を受けました。 コーチ陣の問題は大きかったは事実なのでしょうが、それでもそのマイナス面だけあげつらうやり方はどうかと思いますし、読んだ後に後味の悪さとWBC優勝の感動が薄れた印象がありました。
NumberのWBC連覇の特集での、著者の記事(和田投手の記事)も読みましたが、和田投手の思いを代弁しているというより、選手選考に対する自身の批判を主張しているように見えました。
選手選考にはベストは無く、よりベターと思われるものを考え選択するしかないように私は思います。
その厳しさもあって連覇の偉業が達成されたことも事実であり、少なくともオリンピックでの反省は
十分に生かされていたように思います。(もちろん課題はそれなりにあると思いますが)
ジャーナリストとしての批判的精神は悪いとは思いませんが、公平・公正さの欠如や視点の偏りがあるように私は感じました。
私は代表選手以外にフォーカスした箇所が出色だと感じました。 WBCに至るまでの、これまでの野球日本代表を支えた選手へのリスペクトが感じられます。
プロの誘いを蹴って野球人生を五輪に捧げたミスター・アマチュア、杉浦正則投手や当時野茂投手に次ぐメジャー勝利数を記録していながら代表に召集されなかった大家友和投手がWBCをどう見たか、更に中京高校から阪急、中日と進み、今大会では打撃投手を勤めた野中徹博投手とイチロー選手の逸話などは、このライターでないと書けなかっただろうな、と思います。 特に杉浦投手に関しては、そのキャプテンシーが宮本選手や福留選手に継承されていったという事をもっと多くの野球ファンの方に知って頂きたいと感じました。
なお、時折代表への批判が見られますが、北京五輪の時の有り様を見ていると反省が活かされなかったようで残念です。
2012年6月現在文庫化されていないようなので入手は困難ですが、野球が好きな方やWBCに興味がある方であれば是非手にとって頂きたい一冊です。
その点が残念。
石田さんは、自身の勝手な仮説や自論をこの本の中では、なにも主張しない。
起こった事実と各選手へのインタビューによってのみ得られた情報を、複雑な糸を編み上げ
作り上げた。
すべてが順調ではなかったチームが、なぜ優勝までたどり着くことができたか、
それは、各選手が、自分の持ち場は自身でわきまえ、行動したこと。
また、日本代表としての矜持をしっかり持っていたということだろう。
この本を読んでいると本当に熱くなってくる。
涙がこみ上げてくる。
あのときの感動が、大塚投手の”よっしゃー”が、王監督の胴上げが、甦ってくる。
この本の冒頭、WBCのあと、翌年の1月、イチローと王監督は、寿司屋で話をする。
イチロー「選手のとき、自分のためにプレーしていましたか?チームのためにプレーしていましたか?」
王監督は即答した「オレは自分のためだよ。だって、自分のためにやるからこそ、それがチームのためになるんであって、チームのために、なんていう奴は言い訳するからね。中略