1994年、イスラエルの女性シンガー・Noaの作品です。
Noaは、イスラエルで生まれ、幼少期に渡米。
米国で育ち、イスラエルに戻って音楽活動をしている女性シンガーです。
本作は、彼女のインターナショナルでのデビュー作になります。
プロデュースはPat Metheny & Steve Rodby。
音楽性は、西洋とエスニックの融合で、
彼女の歩みから醸成されたかのように、非常に滑らかに融け合っています。
歌唱は、Jazz VoとPopの中間あたりを思わせ、
落ち着いた雰囲気・大人な雰囲気でありながら、渋すぎず聴きやすい。
自然体の歌唱スタイルは親しみやすく、
一方、伸びが良く輪郭がクッキリした歌声には、天性のものを感じます。
演奏は、歌もののバックなので音数は控えめですが、
フレーズと言いサウンドの透明感と言い、クオリティはPMGレベルです。
レコーディング・メンバーは、
Noa (Vo), Gil Dor (G), Lyle Mays (Pf, Key), Steve Rodby (B),
Louis Conte (Perc), Steve Ferrone (Dr) etc
ということで、今回、Patはギターでは参加していません。
全11曲・39分半。
気が付いたら終わってた、というくらい充実した作品です。
中でも、アルバム全体の雰囲気を最も伝えてくれるのが(1) “I Don’t Know”
エキゾチックでしっとり、異国の夜を思わせる癒しの1曲です。
また、ヘブライ語で歌った(3)(6)(8)も聴きどころです。
情感が増すとともに異国情緒も増し、聴き手に余韻を残していきます。
終盤では、(10) “Desire”での祈りに通じるような歌唱、
グノーのアヴェ・マリアに自作詞をつけた(11) “Ave Maria”での神々しい歌唱に、
思わず聴き入ってしまいます。
イスラエルの才能とPat、という巡り合わせの良さを感じさせる名盤です。
Pat絡みで聴くのもいいですし、
(1)をどっかで試聴して、気に入った方が買うのもいいでしょう。
また、同年リリースのAl Di Meola『Orange and Blue』では、
Noaは3曲目 “Ta’alina Chant”を歌っているので、
持っている方は、合わせてチェックしてみるといいでしょう。
暑い夏は、夜に癒されるものですが、
この作品があれば、夜の癒しもより上質なものに変わります。