約10年前の本。介護業界に対する問題をわかりやすく書かれています。
わかりやすい理由としては2つ。
1つ目は、様々な事例を交えて問題提起をしている点です。
当時ニュースで話題となったようなことから実際に筆者が現場で取材したであろうことまで、多くの事例を用いて介護業界の問題を掘り下げています。
一つ一つにはネットで載っているようなものもありますが、単なる事例集ではなくそれらから考えられる根本原因もわかりやすく解説しています。
2つ目は、本のなかで紹介されている事例や問題が現在でも起こっている点です。
10年前の本ですが、これらの事例は最近でもニュースなどでよく耳にするようなことが多いため、本の内容がイメージがしやすいです。
しかし、これは介護業界の問題が改善されていないという意味でもあり、10年経った今もなお問題は山積みでむしろ悪化しているようにも感じます。
この本を読むことで10年前の介護業界の実態はもちろん、現在の介護業界についても知ることができると思います。
これからの10年先の介護を考える上でも参考になるのではないでしょうか。

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介護崩壊 (晋遊舎ブラック新書 4) 新書 – 2007/12/10
凛 次郎
(著)
2014年、団塊世代に襲いかかる悲劇、介護難民200万......
介護保険制度なんて、もう信用できない! 日本最大の介護サービス企業「コムスン」の事件で発覚した、介護業界の怪しすぎる実態。虚偽申請、不正受給、なんでもござれのオンパレード。それ以上に深刻なのは、相次ぐ高齢者への虐待、介護に苦しむ人々の殺人・無理心中事件の数々。2000年から開始された介護保険制度は、はたして老人たちを救えるのか? 介護現場の実情を詳細に報告する。
介護保険制度なんて、もう信用できない! 日本最大の介護サービス企業「コムスン」の事件で発覚した、介護業界の怪しすぎる実態。虚偽申請、不正受給、なんでもござれのオンパレード。それ以上に深刻なのは、相次ぐ高齢者への虐待、介護に苦しむ人々の殺人・無理心中事件の数々。2000年から開始された介護保険制度は、はたして老人たちを救えるのか? 介護現場の実情を詳細に報告する。
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社晋遊舎
- 発売日2007/12/10
- ISBN-104883807029
- ISBN-13978-4883807024
商品の説明
著者について
凛次郎(りん・じろう)
1954年山形県生まれ。法政大学経済学部卒。サラリーマン時代に勤務先が介護ビジネスに参入し、その責任者となる。訪問介護、福祉用具レンタル、施設での給食サービスなどの実務を経験。現在も自宅で母の介護にあたる。独立後はフリーライターとして、NPOや福祉活動、公益事業などをテーマとした執筆活動を行う。
1954年山形県生まれ。法政大学経済学部卒。サラリーマン時代に勤務先が介護ビジネスに参入し、その責任者となる。訪問介護、福祉用具レンタル、施設での給食サービスなどの実務を経験。現在も自宅で母の介護にあたる。独立後はフリーライターとして、NPOや福祉活動、公益事業などをテーマとした執筆活動を行う。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年12月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現役ケアマネジャーです。国は介護に金を回すと言っていますが、酷い事業所になると、会社が給付金を搾取しています。
また、「改正」とは名ばかりで、中身は「改悪」です。本当に困っている人が使えない制度です。
相変わらず介護職員(ケアマネジャー)も日々薄給で頑張っています。
介護福祉士の養成校が定員割れを起こしたり、資格を取っても介護業界に行かないという、困った現象が起きています。
当然どこの施設も人手不足。満足なケアなど夢のような話しです。
「利用者の人権は保障されるが、職員の人権はない」業界。そんな業界に一石を投じる本です。
また、「改正」とは名ばかりで、中身は「改悪」です。本当に困っている人が使えない制度です。
相変わらず介護職員(ケアマネジャー)も日々薄給で頑張っています。
介護福祉士の養成校が定員割れを起こしたり、資格を取っても介護業界に行かないという、困った現象が起きています。
当然どこの施設も人手不足。満足なケアなど夢のような話しです。
「利用者の人権は保障されるが、職員の人権はない」業界。そんな業界に一石を投じる本です。
2013年6月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本当に著者の言う通りならば、介護保険という制度は詐欺みたいなものだ。
介護職種は給与水準の低さと高い離職率で知られている。そもそも介護保険の介護報酬が低く抑えられているので「民間の経営努力で何とか利益を上げてくれ」という業界なのだという。行政の旗振りで民間の参入を多数促しておきながら、全国展開してスケールメリットを生かせる大手でなければ結局、なかなか採算が取れないそうだ。給与が上がらないから若い人は早々に離職し、ヘルパーは中高年の主婦のパートが主力になっている。認知症の介護など仕事はきつい。手を抜いても給料は同じだから職員のモチベーションは上がらない。モラルにも影響するのか高齢者虐待や窃盗などの犯罪が起きる。事業所も厳しい経営環境に耐え切れず、介護報酬の不正請求に走る…。
にもかかわらず2006年改定で、介護予防の対象者となる「要支援」のカテゴリーが新設され、介護報酬額やサービス給付がさらに抑えられた。高齢者が介護サービスを利用しにくくなったのはもちろん、福祉業界がますます利益や給料の上がらない構造になった。業界はこの先、この仕事に魅力を感じ、意欲を持った介護職員を十分に確保できるのだろうか。
国は経済や雇用で福祉分野を重視していると言ってきた。介護の業界が健全に成長できる環境を国は責任を持って整えるべきではないのか。
介護職種は給与水準の低さと高い離職率で知られている。そもそも介護保険の介護報酬が低く抑えられているので「民間の経営努力で何とか利益を上げてくれ」という業界なのだという。行政の旗振りで民間の参入を多数促しておきながら、全国展開してスケールメリットを生かせる大手でなければ結局、なかなか採算が取れないそうだ。給与が上がらないから若い人は早々に離職し、ヘルパーは中高年の主婦のパートが主力になっている。認知症の介護など仕事はきつい。手を抜いても給料は同じだから職員のモチベーションは上がらない。モラルにも影響するのか高齢者虐待や窃盗などの犯罪が起きる。事業所も厳しい経営環境に耐え切れず、介護報酬の不正請求に走る…。
にもかかわらず2006年改定で、介護予防の対象者となる「要支援」のカテゴリーが新設され、介護報酬額やサービス給付がさらに抑えられた。高齢者が介護サービスを利用しにくくなったのはもちろん、福祉業界がますます利益や給料の上がらない構造になった。業界はこの先、この仕事に魅力を感じ、意欲を持った介護職員を十分に確保できるのだろうか。
国は経済や雇用で福祉分野を重視していると言ってきた。介護の業界が健全に成長できる環境を国は責任を持って整えるべきではないのか。
2014年1月29日に日本でレビュー済み
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本を届いて,あけて見たら,結構きれいだったので,よかったと思います.
2016年4月26日に日本でレビュー済み
介護難民数百万人時代の
現場のリアルがよくわかる本。
2014年度に特別養護老人ホームなどの
介護施設で発覚した、職員による高齢者への虐待は
300件。前年より4割近く増えて過去最多と、厚労省が発表している。
被害の約8割は認知症のお年寄りで
殴る蹴るなどの「身体的虐待」が6割強。ほかに
暴言を吐くなどの「心理的虐待」、金をとるなどの「経済的虐待」、「介護放棄」など。
虐待が発覚した現場では、夜勤が月15日以上、勤務時間が280時間に
及ぶ例もあるという。
介護する側もギリギリの人数で、
糞便の処理、食事のヨダレや嘔吐の処理なども含む
苛酷な長時間労働を強いられ、認知症のお年寄りには
何度注意しても聞いてもらえなかったり、暴れられたり、わめかれたり。
さらに家族からも責められる。
なのに介護職の平均月収は21万円程度で、他の職種より10万円ほど低い。
これは看護職員など、賃金が比較的高い層も含めた数字で、
実際の月収は10万円程度の介護職員が、とても多いという。
当然ながら離職者があとを絶たず、勤続1年未満で辞める人が、約4割。
施設の約6割が、慢性的に職員不足。
「残念だが、最後は自己責任という覚悟を持つことが最初。
それが現実だから仕方ない」という著者の言葉が、ずしんとくる。
現場のリアルがよくわかる本。
2014年度に特別養護老人ホームなどの
介護施設で発覚した、職員による高齢者への虐待は
300件。前年より4割近く増えて過去最多と、厚労省が発表している。
被害の約8割は認知症のお年寄りで
殴る蹴るなどの「身体的虐待」が6割強。ほかに
暴言を吐くなどの「心理的虐待」、金をとるなどの「経済的虐待」、「介護放棄」など。
虐待が発覚した現場では、夜勤が月15日以上、勤務時間が280時間に
及ぶ例もあるという。
介護する側もギリギリの人数で、
糞便の処理、食事のヨダレや嘔吐の処理なども含む
苛酷な長時間労働を強いられ、認知症のお年寄りには
何度注意しても聞いてもらえなかったり、暴れられたり、わめかれたり。
さらに家族からも責められる。
なのに介護職の平均月収は21万円程度で、他の職種より10万円ほど低い。
これは看護職員など、賃金が比較的高い層も含めた数字で、
実際の月収は10万円程度の介護職員が、とても多いという。
当然ながら離職者があとを絶たず、勤続1年未満で辞める人が、約4割。
施設の約6割が、慢性的に職員不足。
「残念だが、最後は自己責任という覚悟を持つことが最初。
それが現実だから仕方ない」という著者の言葉が、ずしんとくる。
2018年7月18日に日本でレビュー済み
良書ですね。2007年の御本ですが、2018年の現状(未来)を鑑みるに、古さや違和感、矛盾を感じさせない内容です。
という事は、介護業界は前進を果たせずに10年間立ち止まってしまっている証左ではないでしょうか。
私はいま民間運営の有料老人ホームで夜勤専従パートとして働いています。本書は信頼に値する良書だと痛感しています。筆者は介護の現場をよくご存知ですね。実態を正確に捉えており感心いたしました。
良書ゆえ、パクりと思われる悪書に遭遇。余談ながら。
という事は、介護業界は前進を果たせずに10年間立ち止まってしまっている証左ではないでしょうか。
私はいま民間運営の有料老人ホームで夜勤専従パートとして働いています。本書は信頼に値する良書だと痛感しています。筆者は介護の現場をよくご存知ですね。実態を正確に捉えており感心いたしました。
良書ゆえ、パクりと思われる悪書に遭遇。余談ながら。
2007年12月21日に日本でレビュー済み
『介護崩壊』という表現はけっして誇張ではなく、現実であると思う。
筆者は、「虐待と介護殺人」「介護ヘルパーの犯罪」「介護離職」「介護喰いと表現される介護ビジネスの裏側」「業界再編」と、介護の世界全体が抱えている問題点を網羅的に上手くまとめている。
そして、「介護崩壊のカウントダウン」が今正に始まっていることにふれながら、「保険あってサービスなし」の危機的状況を厳しく指摘している。
惜しくは、今後発生するであろう「介護難民200万人」に対して、どのような解決策があるのかについて、やや主張が欠けている感じがする。
しかし、最終章の表題である「恍惚の人が街にあふれる夢を見た」の中で、筆者が過去に経験し、また今身近なところで起きている、介護地獄の描写には共感するところが多い。
「晋遊舎ブラック新書」という、少し怪しい感じがするシリーズの中にあって、介護の現状を細かくルポして、正面からこの問題に取り組んでいる本書は、少し異色で面白い。
これから親の介護などを真剣に考えなければならない層には、ただの介護保険解説書にはない、面白さがあると思う。
筆者は、「虐待と介護殺人」「介護ヘルパーの犯罪」「介護離職」「介護喰いと表現される介護ビジネスの裏側」「業界再編」と、介護の世界全体が抱えている問題点を網羅的に上手くまとめている。
そして、「介護崩壊のカウントダウン」が今正に始まっていることにふれながら、「保険あってサービスなし」の危機的状況を厳しく指摘している。
惜しくは、今後発生するであろう「介護難民200万人」に対して、どのような解決策があるのかについて、やや主張が欠けている感じがする。
しかし、最終章の表題である「恍惚の人が街にあふれる夢を見た」の中で、筆者が過去に経験し、また今身近なところで起きている、介護地獄の描写には共感するところが多い。
「晋遊舎ブラック新書」という、少し怪しい感じがするシリーズの中にあって、介護の現状を細かくルポして、正面からこの問題に取り組んでいる本書は、少し異色で面白い。
これから親の介護などを真剣に考えなければならない層には、ただの介護保険解説書にはない、面白さがあると思う。
2008年1月24日に日本でレビュー済み
具体的で分かりやすい文章で、介護保険法改正からの高齢者とその家族がどんな状況に陥っているかを説明してくださっています。
ニュースで見たことのあるお話、介護の現場にあるものには常識的で「いまさら」というものもありますが、ここまで詳細に取材して整理してくださっている本はあまりありません。
差しさわりがあって、学者とかがなかなか踏み込めないことにも踏み込んでくれますから。
そして、超高齢社会の日本が混乱している理由もうかびあがるように書いていただいています。
国が国民ではなく天下り先の外郭団体に目を向けて政策をつくっているために、著者がおっしゃるように猫の目のように政策の方向性が変わり、さまざまな種類の施設がつくられ(この本にもありますが高齢者○○住宅とか、シニア○○とかすごく多い)、法律がつくられ、役に立たない法人がたくさんつくられる。
利用者にとっては分かりにくい、使いにくいだけで、政府がなにかやるたびに現場は混乱しているのです。
そしてそのたびに外郭団体に税金が流れ、天下り役人が左うちわ。
それがこの国の病気だということが、この本を読んで確信できました。
ニュースで見たことのあるお話、介護の現場にあるものには常識的で「いまさら」というものもありますが、ここまで詳細に取材して整理してくださっている本はあまりありません。
差しさわりがあって、学者とかがなかなか踏み込めないことにも踏み込んでくれますから。
そして、超高齢社会の日本が混乱している理由もうかびあがるように書いていただいています。
国が国民ではなく天下り先の外郭団体に目を向けて政策をつくっているために、著者がおっしゃるように猫の目のように政策の方向性が変わり、さまざまな種類の施設がつくられ(この本にもありますが高齢者○○住宅とか、シニア○○とかすごく多い)、法律がつくられ、役に立たない法人がたくさんつくられる。
利用者にとっては分かりにくい、使いにくいだけで、政府がなにかやるたびに現場は混乱しているのです。
そしてそのたびに外郭団体に税金が流れ、天下り役人が左うちわ。
それがこの国の病気だということが、この本を読んで確信できました。