BL以外も普段広く小説の読書を嗜む方なら、挑んでいただきたい1冊。
逆に、ありふれたBL的なわかりやすさ、恋愛、癒しなど、
後味の良い安全な読み物を期待する方は避けた方が無難に思えます。
完璧な青年社長石田から、ある日突然監禁され、
名前さえ奪われ「A」と呼ばれる服飾デザイナーの英司。
理解できない不条理な状況で、精神的に追い詰められながら、
理性と狂気の狭間で危うい関係へと進展していく。
殺意さえ芽生える異常な関係に、幸福な結末などないように思われるけれど・・・?
二人の心理描写と、お互いの「日記」とが交互に差し挟まれ、
緊迫したギリギリの精神状態を体感するような、
どこか非日常に放り出されるような、圧倒的な精神世界に巻き込まれます。
何故彼でなければならなかったか、何故「監禁」なのか、
根拠となる過去や性質などが緻密に織り上げられ、
石田が英司を監禁することで得たかった、自身ですら掴めない何か、
英司が挫けずに歯向かい続けることで到達したある境地、
明確に言葉として「答え」は示されてはいないけれど、
終盤のカタルシスには、爽快といえるほどの救いがある。
これぞ、活字を読む醍醐味。
一気に読み終え、読後はしばらく茫然としました。
BLなので、当然その手のシーンもありますが、
この強烈な世界観に、印象が吹き飛んでしまったというか、
BLジャンルでは久々に「ああ、'小説'を読んだなぁ・・・」という気に
させられた1冊。
実験的、というよりも小説としてのクオリティを著者なりに追求した結果のように
感じます。
著者にはこの作品と同テーマで、別の形の掌編があり、
世界観の深さに圧倒されます。

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堕ちゆく者の記録 (キャラ文庫) 文庫 – 2009/1/27
ボーイズラブ
大手アパレルメーカーのデザイナー・阿東敬一は気づくと、大きな部屋の中にあつらえられた檻の中に閉じ込められていた。わけが分からず混乱する敬一だが、そこへ現れたのは社長の石田。石田は「これから二か月、きみは私の監視下にある。私は君のことが深く知りたい」と、敬一を監禁!! 毎日日記を書くようにとノートと鉛筆を渡してきて──!?
大手アパレルメーカーのデザイナー・阿東敬一は気づくと、大きな部屋の中にあつらえられた檻の中に閉じ込められていた。わけが分からず混乱する敬一だが、そこへ現れたのは社長の石田。石田は「これから二か月、きみは私の監視下にある。私は君のことが深く知りたい」と、敬一を監禁!! 毎日日記を書くようにとノートと鉛筆を渡してきて──!?
- 本の長さ233ページ
- 言語日本語
- 出版社徳間書店
- 発売日2009/1/27
- ISBN-104199005099
- ISBN-13978-4199005091
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商品の説明
著者について
ボーイズラブ
登録情報
- 出版社 : 徳間書店 (2009/1/27)
- 発売日 : 2009/1/27
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 233ページ
- ISBN-10 : 4199005099
- ISBN-13 : 978-4199005091
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,447,218位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 13,055位ボーイズラブノベルス (本)
- - 262,569位文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
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11月8日生まれ。埼玉県出身・東京都在住 (「BOOK著者紹介情報」より:本データは『闇を抱いて眠れ』(ISBN-10:4199005919) が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年1月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2009年2月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
出だしは良かった。
だが、読めど進めど なんと言うか・・・モヤモヤは晴れず・・・。
どうせ痛ぶるとか、苦しめる話ならば徹底的にお願いしたいところだったが、なんだかどうも中途半端。
なんでだよ?と、突っ込みを入れたくなるような終わり方にせよ、完全には「堕ち」ていない。
高階氏のイラスト目当てで買ったのだが、いくら大好きなイラストとは言え、
上品で綺麗すぎて苦しみなど感じられず、この内容には合っていない!と正直感じた。
だが、読めど進めど なんと言うか・・・モヤモヤは晴れず・・・。
どうせ痛ぶるとか、苦しめる話ならば徹底的にお願いしたいところだったが、なんだかどうも中途半端。
なんでだよ?と、突っ込みを入れたくなるような終わり方にせよ、完全には「堕ち」ていない。
高階氏のイラスト目当てで買ったのだが、いくら大好きなイラストとは言え、
上品で綺麗すぎて苦しみなど感じられず、この内容には合っていない!と正直感じた。
2011年2月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
あとがきで作者が書いているように、実験作なのでしょうね。
好き嫌いがわかれるのは仕方ないでしょう。私は嫌いではないです。
至極まっとうに見える人間が持つ狂気が上手く捉えられてて面白かったかな。
ただ読んでる間中ずっと、萩尾望都の短編「スロー・ダウン」を思い出してました。
物語の背景や構成は全然違うけど、目指した方向性は同じなのかなぁと。
でも比較しては申し訳ないですが、作品の完成度は違うかも。。
ところで最後、戻ってきた阿藤に石田がいうセリフ。
「おかえり、英司」
え…ここは絶対「A」じゃないとオカシイのでは??
「なくてはならない相手を手に入れる(たい)」というのが
ストーリィの根底にある一つのモチーフだと思うのですが、
同じモチーフなら「黒い愛情」のほうが好みでした。
好き嫌いがわかれるのは仕方ないでしょう。私は嫌いではないです。
至極まっとうに見える人間が持つ狂気が上手く捉えられてて面白かったかな。
ただ読んでる間中ずっと、萩尾望都の短編「スロー・ダウン」を思い出してました。
物語の背景や構成は全然違うけど、目指した方向性は同じなのかなぁと。
でも比較しては申し訳ないですが、作品の完成度は違うかも。。
ところで最後、戻ってきた阿藤に石田がいうセリフ。
「おかえり、英司」
え…ここは絶対「A」じゃないとオカシイのでは??
「なくてはならない相手を手に入れる(たい)」というのが
ストーリィの根底にある一つのモチーフだと思うのですが、
同じモチーフなら「黒い愛情」のほうが好みでした。
2009年1月28日に日本でレビュー済み
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良くある監禁物として片付けるには若干毛色の違った話でした。
ラストが気になったけどわからないほうが面白いだろうと思って確認せずに一気に読んでしまった。
日常の生活から逸脱した状況に長い間おかれた時、人はどのようにして壊れていくのか…
そんな恐怖にも似た感情を見せ付けられたような気がしました。
ラストが気になったけどわからないほうが面白いだろうと思って確認せずに一気に読んでしまった。
日常の生活から逸脱した状況に長い間おかれた時、人はどのようにして壊れていくのか…
そんな恐怖にも似た感情を見せ付けられたような気がしました。
2009年5月13日に日本でレビュー済み
日記形式なのは読んでいてキャラの気持ちも分かりやすく良かったのですが
監禁してるけど陵辱でも躾でもなく、大体は優しいという大変な中途半端さ加減でした。
いきなり監禁という設定が活かされていないように感じます。
受けにしても、追いつめられて出た「居心地がいい」という感覚にしたがって
攻めと一緒にいることを選んだのか?と感じるところもありました。
最後の攻めの日記が私的には良かったのですが
やはり全編にわたっての中途半端さが一番に残ってしまって少し残念です。
もっともっと歪んでくれても良かったのに・・・
高階さんの表紙がとても綺麗で、イラストは満足してます。
ストレートに分かりやすく愛に溢れた作品を好む方には勧められないと思われます。
監禁してるけど陵辱でも躾でもなく、大体は優しいという大変な中途半端さ加減でした。
いきなり監禁という設定が活かされていないように感じます。
受けにしても、追いつめられて出た「居心地がいい」という感覚にしたがって
攻めと一緒にいることを選んだのか?と感じるところもありました。
最後の攻めの日記が私的には良かったのですが
やはり全編にわたっての中途半端さが一番に残ってしまって少し残念です。
もっともっと歪んでくれても良かったのに・・・
高階さんの表紙がとても綺麗で、イラストは満足してます。
ストレートに分かりやすく愛に溢れた作品を好む方には勧められないと思われます。
2010年5月3日に日本でレビュー済み
評価は割れると思いますが、ある一方方向からだけではなく、多角的かつ統合的に捉えようとするタイプの人には、とても面白い作品ではないかと思います。 作品の好き嫌いというのは、その作品を受け入れられるか否か(特に登場人物を)ということです。 主人公が鉄格子の部屋に監禁されるなかで進みゆく物語なのですが、本当の檻は体の外にあるにではなく体の中(心の中)にこそあるのだということなのでしょう。 なんだか哲学的です。 愛の表し方はさまざまですが、結末は爽快で意表をつきました。私はこの作品好きです。感動しました。
2014年3月30日に日本でレビュー済み
狂気、サイコパス、SMなどのテーマは作者にとってどうしても描いてみたい、また書かずにいられないテーマなのかなと思います。
一個の作品としては矛盾点や弱い場所がありますが、このようなテーマを商業のテーブルにに乗せられるレーベルの力と作者の勇気をまず大切にしたいと思います。内容は同人誌バージョンの方が私は好きですが、本作は「黒い愛情」に続くお気に入り作になりました。これからも秀先生には、もっともっと人間の暗部に踏み込んだ作品を作ってもらいたいと願っています。そして、今後もこういった作品が商業に出てくるように、まず本作を買って応援しますよ!(笑)
一個の作品としては矛盾点や弱い場所がありますが、このようなテーマを商業のテーブルにに乗せられるレーベルの力と作者の勇気をまず大切にしたいと思います。内容は同人誌バージョンの方が私は好きですが、本作は「黒い愛情」に続くお気に入り作になりました。これからも秀先生には、もっともっと人間の暗部に踏み込んだ作品を作ってもらいたいと願っています。そして、今後もこういった作品が商業に出てくるように、まず本作を買って応援しますよ!(笑)
2009年1月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
こうした設定は、人物や社会への深い洞察と相当の筆力がないと難しい。
なのにこれは浅薄な舞台設定と、心理学やら哲学の耳障りのよい言葉をアチコチから拾ってきて、一貫性なく貼り付けた心情表現と、言葉すら既出作品のパーツの組み合わせだった。
活躍が楽しみだった作家さんが、こんな幼稚なものを発表してしまったことが悲しい。
あるいは出版社は見てあげなかったのだろうか…と、気の毒になってしまった。
そういえば、Hannah Arendtとか引用してたけど文献の言及なし。これは許容範囲なのかな。
なのにこれは浅薄な舞台設定と、心理学やら哲学の耳障りのよい言葉をアチコチから拾ってきて、一貫性なく貼り付けた心情表現と、言葉すら既出作品のパーツの組み合わせだった。
活躍が楽しみだった作家さんが、こんな幼稚なものを発表してしまったことが悲しい。
あるいは出版社は見てあげなかったのだろうか…と、気の毒になってしまった。
そういえば、Hannah Arendtとか引用してたけど文献の言及なし。これは許容範囲なのかな。