シューベルトのミサ曲は、番号の大きな曲の方が、より魅力的だ。
それは、彼の交響曲やピアノソナタなどでも同様だ。
このミサ曲第5番は、交響曲「未完成」を書いた頃に前後して書かれたらしく、
それは、彼自身の音楽が、最終的な高みに達してゆく時期でもある。
そんな時期に書かれたこのミサ曲第5番は、明るくて清らかだ。
第2曲「グロリア」は躍動的と言える演奏、第4曲「サンクトゥス」は突き上げる様な感覚、
第6曲「アニュス・デイ」はソリストが、深い感情をたたえて歌う、素晴らしい終曲。
カップリングのドイツ・ミサ曲はウィーン少年合唱団の歌声がどこまでも清らか。
この清らかな合唱が、曲全体を支配する。
このドイツ・ミサ曲は、心が洗われる様な、崇高な美しさだ。
非常に価値ある一枚だ。