日本では「約束−Over the Border-」という題名で公開されました。原題は「国境の南側」という,南北分断のお話ですが,大きなスケールではなく,現実的かつ日常的で平凡な男女の愛を描いた作品です。
70億ウォン規模の制作費をかけて,国境を隔てた男女の愛の悲劇を題材に“南北分断”を演出しようとしたようですが,タッチが軽すぎて,胸を締め付けられるような切なさや感動は少なく,韓流の王道にもなりうる素材を生かしきれなかったようですね。
制作スタッフは,北朝鮮での現地撮影を進めましたが,脱北者を描いた映画という理由で,北朝鮮当局が強い拒否感を見せて失敗,中国撮影も同じ理由で許可が下りませんでした。結局,脱北者出身の演出部と一緒に全国津々浦々をまわって,北朝鮮と似たところを捜し出したり,写実的なピョンヤン(平壌)市街地のシーンのためには,C・Gを使ったりして,韓国国内で撮影されたそうです。
こんなにエネルギーを費やしたアン・パンソク監督ですが,結果的に注目の第1作は華々しいデビューとならず,興行的には失敗,残念な結果に終わりました。