「木曜の男」を読んだのは30年以上前。この光文社の新訳シリーズは、昔懐かしい作品を(新訳で)読み直すキッカケとなると言う点で良い企画だと思う。本作はチェスタトンの唯一の長編だが、初読時よりもチェスタトンの思弁が前面に出ているいる印象を受けた。鬱々とした印象のあった本作を、なるべく平明に訳そうとする意図にも好感が持てた。
"日曜日"を議長とする無政府主義者評議会に、新しい"木曜日"として潜入した刑事サイムが体験する不条理とも言えるサスペンス小説の体裁で書かれているが、チェスタトンらしい趣向が施され、味わい深い作品となっている。読む方は、迷宮を彷徨っている感じを味わうと思う。そして、いつも通りチェンスタンの社会観・人間観が良く現われている。"目に見えるものが必ずしも真実ではない"、との趣旨が全編を通じ逆説的論理で綴られている。階層社会に対しては否定的なチェスタトンだが、本作では宗教を含め、何が社会的正義なのか懐疑的になっているのが印象的だった。
上述の通り、チェスタトン唯一の長編であり、ミステリ的技巧と共に当時のチェスタトンの思索が充分堪能出来る作品。新訳で読み易さも増し、チェスタトン・ファンにとって必読の名作。
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木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫 Aチ 1-1) 文庫 – 2008/5/13
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- 本の長さ352ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2008/5/13
- ISBN-104334751571
- ISBN-13978-4334751579
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (2008/5/13)
- 発売日 : 2008/5/13
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 352ページ
- ISBN-10 : 4334751571
- ISBN-13 : 978-4334751579
- Amazon 売れ筋ランキング: - 247,357位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 505位光文社古典新訳文庫
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- - 2,058位英米文学研究
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2010年4月12日に日本でレビュー済み
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2020年4月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
期待通りの商品でした。
2019年6月17日に日本でレビュー済み
"だが、おまえたちは人間だった。秘めたる誉れを忘れなかった――全宇宙がおまえたちからそれをもぎ取ろうとする拷問機械に変わっても。””神は死んだ”のニーチェ没後から8年して発刊された本書は、推理作家として探偵小説の古典と見なされる作品を手がけた著者だけあって、緊張した展開から始まり一転、世界の豊かさ、素晴らしさを【再発見】する流れになるのが秀逸。
そして個人的には、19世紀のイギリスにおいて科学技術の発展と共にキリスト教の価値観が揺さぶられ(著者曰く)"印象派の様な"退廃的な文化が生まれる混乱の中で【それでも】と世界を見つめ直そうとする前向きな視線を冒頭の親友へのメッセージに感じ、何だか著者も救われたのだろうなと勝手に安堵したり。
19世紀のイギリスの混乱した様子を感じたい誰か。探偵小説的で、それでいて多層な作品構成に興味のある誰か、あるいは木曜日のお共にオススメ。
そして個人的には、19世紀のイギリスにおいて科学技術の発展と共にキリスト教の価値観が揺さぶられ(著者曰く)"印象派の様な"退廃的な文化が生まれる混乱の中で【それでも】と世界を見つめ直そうとする前向きな視線を冒頭の親友へのメッセージに感じ、何だか著者も救われたのだろうなと勝手に安堵したり。
19世紀のイギリスの混乱した様子を感じたい誰か。探偵小説的で、それでいて多層な作品構成に興味のある誰か、あるいは木曜日のお共にオススメ。
2018年9月5日に日本でレビュー済み
Gilbert Keith Chestertonの『The Man Who Ws Thursday』(1908年)の翻訳。
これまで多数の翻訳がある本書だが、英題に忠実な訳題となっているのがまず特徴か。本文もきわめて正確かつ読みやすく訳されており、またこれが肝心なところなのだが、ユーモアの部分もきちんと楽しく訳されている。
訳者によるチェスタートンについての紹介、年譜が非常に行き届いたもので、役に立つ。
信頼できる一冊だろう。
これまで多数の翻訳がある本書だが、英題に忠実な訳題となっているのがまず特徴か。本文もきわめて正確かつ読みやすく訳されており、またこれが肝心なところなのだが、ユーモアの部分もきちんと楽しく訳されている。
訳者によるチェスタートンについての紹介、年譜が非常に行き届いたもので、役に立つ。
信頼できる一冊だろう。
2018年1月27日に日本でレビュー済み
イギリスの文筆家チェスタトン(1874-1936)の長編小説。1908年、作家34歳のときの作品です。
序からは、チェスタトンが青年期に陥った精神的危機の様相が窺われる。この作品自体が、そうした嘗ての青年的苦悶に対して、文学を通して決着をつけようとして書かれたのかもしれません。そのためか、扱われている主題も思想だとか信仰だとかひどく勿体ぶった観念的・思弁的・宇宙論的なものとなっています。また、物語の筋道も整理されているというよりは混沌とした印象で、その結末も漠然としているように感じました。作家にとってのその主題の切実さが、読み手である私の側にはうまく伝わってこなかった、というのが率直な感想です。そうしたことも含めた全てが青年的と云うならば、確かに青年的な作品であると云えるかもしれません。
ともかく、ただのミステリではない、いろんな相貌を目まぐるしく見せてくる物語です。
「この全世界の秘密を教えてやろうか? それはね、僕らは世界の裏側しか知らないっていうことなんだ」
序からは、チェスタトンが青年期に陥った精神的危機の様相が窺われる。この作品自体が、そうした嘗ての青年的苦悶に対して、文学を通して決着をつけようとして書かれたのかもしれません。そのためか、扱われている主題も思想だとか信仰だとかひどく勿体ぶった観念的・思弁的・宇宙論的なものとなっています。また、物語の筋道も整理されているというよりは混沌とした印象で、その結末も漠然としているように感じました。作家にとってのその主題の切実さが、読み手である私の側にはうまく伝わってこなかった、というのが率直な感想です。そうしたことも含めた全てが青年的と云うならば、確かに青年的な作品であると云えるかもしれません。
ともかく、ただのミステリではない、いろんな相貌を目まぐるしく見せてくる物語です。
「この全世界の秘密を教えてやろうか? それはね、僕らは世界の裏側しか知らないっていうことなんだ」
2008年10月25日に日本でレビュー済み
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日曜日からの七曜を名乗る無政府主義者を名乗る男達の物語。
帯の「探偵小説にして黙示録!」に惹かれ読みましたが、
100年前のロンドンの時代背景やチェスタトンの思想的な背景も
不勉強なため物語の展開を追う読み方しかできませんでした。
無政府主義最高評議会メンバー間のかけひきや逃走場面など楽しめました。
終わり方が不思議です。
帯の「探偵小説にして黙示録!」に惹かれ読みましたが、
100年前のロンドンの時代背景やチェスタトンの思想的な背景も
不勉強なため物語の展開を追う読み方しかできませんでした。
無政府主義最高評議会メンバー間のかけひきや逃走場面など楽しめました。
終わり方が不思議です。
2009年1月2日に日本でレビュー済み
翻訳のせいか、読みにくい話しのはずなのに読みやすかったです。
また、話しが一転、二転、三転とし、最後まで息つく暇もありません。
そうでありながら、中身の薄っぺらな物語とはやはり違います。
さすが20世紀初頭のイギリス小説!という雰囲気がたっぷりと
つまっています。
ブラウン神父を彷彿とさせる逆説がもり沢山。
日本の今のくっだらない三文ビジネス本もどきを読む時間があるなら、
やはりこれらの中身がたっぷり、充実した本を読んでいこうと
2009年初頭、気持ちを新たにしました。
いい読書体験ができます。
また、話しが一転、二転、三転とし、最後まで息つく暇もありません。
そうでありながら、中身の薄っぺらな物語とはやはり違います。
さすが20世紀初頭のイギリス小説!という雰囲気がたっぷりと
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ブラウン神父を彷彿とさせる逆説がもり沢山。
日本の今のくっだらない三文ビジネス本もどきを読む時間があるなら、
やはりこれらの中身がたっぷり、充実した本を読んでいこうと
2009年初頭、気持ちを新たにしました。
いい読書体験ができます。