蔦屋重三郎歿後二百年の1997年刊行。
もとは戦時中(!)に著者が卒業論文を書くために調べたものだっただけに基本的なスタンスは「ひいきの引き倒しにはならないように」という穏当なもの。いささか著者͡好みの江戸っ子のイメージが投影されているきらいはあるものの、「少々あわて者で、さきっぱしりで、呑み込みも早い、失敗があっても深刻にはならない、そんな性格」という等身大の蔦屋評は案外に当たっているのではないでしょうか。
そんな本書の白眉は「財産半分の没収はなかった」説。ここだけでも読む価値は大なのであります。
本書の前半部は心の赴くままに気にかかる話題を検証、後半部は年代順に蔦屋の事跡をたどってみるという構成。前後で重複して記述がある話題も目立ち、初出の記載はないものの、もしかしてどこかで連載されたものだったのでしょうか?
とりわけ興味深く読めたのは蔦屋を調べた当時の思い出話でして、すでに戦時中とはいえ、本土空襲がまだなかった頃の市井の生活をうかがうことができました。なかなか貴重な証言だったのではないでしょうか。
江戸時代の貴重な文書も浮世絵も関東大震災と戦災で失われてしまい、ほんの二百年前の出来事でもこれでは分からないことばかりになるはずだなあとつくづく。

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探訪・蔦屋重三郎: 天明文化をリードした出版人 単行本 – 1997/6/1
倉本 初夫
(著)
- 本の長さ190ページ
- 言語日本語
- 出版社れんが書房新社
- 発売日1997/6/1
- ISBN-104846201864
- ISBN-13978-4846201869
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
天明期、江戸文化を代表する多彩な出版事業を展開した蔦屋重三郎。山東京伝、滝沢馬琴、大田南畝らを擁し、歌麿、写楽を世に出した出版人の軌跡を探訪・検証し、その人と生の真実に迫る。
登録情報
- 出版社 : れんが書房新社 (1997/6/1)
- 発売日 : 1997/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 190ページ
- ISBN-10 : 4846201864
- ISBN-13 : 978-4846201869
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,462,960位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,459位江戸時代
- - 21,922位日本史一般の本
- - 149,802位ノンフィクション (本)
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