現代のわれわれ日本人の暮らしにおいて、電気はライフラインの中でもっとも
重要でありながら、非常に緻密な計算と、人々の複合的な努力によって供給されている。
そこを狙ったテロが起きたとき、警察、電気会社、医者など社会を守る立場の男たちはどう動いたか……
未曾有の危機がリアルに描きだされます。
冒頭の電気の需要供給をめぐるトリビアが面白くて、ぐいぐい引き込まれるうち
物語が次々展開して、あっという間に読了してしまいました。
たぶん高村薫読者はとても楽しめるのではないでしょうか。
難を言えば、もう少し人間描写が濃いほうが個人的には好みでしたが、
むしろ壮大なオペラのような背景を描くにはこちらのほうがよかったのかも。

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TOKYO BLACKOUT 単行本 – 2008/10/1
福田 和代
(著)
8月24日午後4時、東都電力熊谷支社の鉄塔保守要員一命殺害。午後7時、信濃幹線の鉄塔爆破。午後9時、東北連系線の鉄塔にヘリが衝突、倒壊。さらに鹿島火力発電所・新佐原間の鉄塔倒壊――しかしこれは、真夏の東京が遭遇した悪夢の、まだ序章に過ぎなかった。最後の希望が砕かれたとき、未曾有の大停電が首都を襲う!
目的達成のため暗躍する犯人たち、そして深刻なトラブルに必死に立ち向かう市井の人々の姿を鮮やかに描破した渾身の雄編。大型新人が満を持して放つ超弩級のクライシス・ノヴェル!
目的達成のため暗躍する犯人たち、そして深刻なトラブルに必死に立ち向かう市井の人々の姿を鮮やかに描破した渾身の雄編。大型新人が満を持して放つ超弩級のクライシス・ノヴェル!
- 本の長さ297ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2008/10/1
- ISBN-10448802436X
- ISBN-13978-4488024369
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登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2008/10/1)
- 発売日 : 2008/10/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 297ページ
- ISBN-10 : 448802436X
- ISBN-13 : 978-4488024369
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,487,755位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1967年神戸市生まれ。
神戸大学工学部卒業後、システムエンジニアとなる。
2007年、航空謀略サスペンス『ヴィズ・ゼロ』でデビューするなり大型新人として脚光を浴び、次いで首都大停電の悪夢を描いた2008年の『TOKYO BLACKOUT』でいっそう評価が高まった。
現在は専業作家として、『オーディンの鴉』など緻密な取材と専門知識に裏付けられた問題作を上梓しつづけている。(『ハイ・アラート』プロフィールより)
公式サイト http://www.fukudakazuyo.com/
公式ブログ http://d.hatena.ne.jp/Fukuda_Kazuyo/
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年11月12日に日本でレビュー済み
平均を3点として...
長所
膨大な取材量に裏打ちされた緻密な情景描写が醸し出す臨場感(+1点)
後半の展開の軽快なスピード感(+1点)
涙腺が緩まずにはいられないラスト1ページ(+1点)
短所
登場人物の個性が薄く誰が誰だかわからなくなる(-1点)
心理描写の表現が単調(-1点)
---
東京が大停電を起こしたらどうなるのか?
前半でその様々な混乱の様子が描かれ、
後半で一気にそれらの情景が一つの物語へとリンクしていきます。
停電の起こるメカニズム、停電の様々な被害が緻密に描かれることで
体験したことの無い大停電という事態が私たちに何をもたらすのか
生々しいリアリティとなって読む人の心を引き付けます。
前半部分は状況説明が多く退屈かも。しかしラスト数ページの
感動がその弱点を十分にカバーします。
今後の活躍に期待します。
長所
膨大な取材量に裏打ちされた緻密な情景描写が醸し出す臨場感(+1点)
後半の展開の軽快なスピード感(+1点)
涙腺が緩まずにはいられないラスト1ページ(+1点)
短所
登場人物の個性が薄く誰が誰だかわからなくなる(-1点)
心理描写の表現が単調(-1点)
---
東京が大停電を起こしたらどうなるのか?
前半でその様々な混乱の様子が描かれ、
後半で一気にそれらの情景が一つの物語へとリンクしていきます。
停電の起こるメカニズム、停電の様々な被害が緻密に描かれることで
体験したことの無い大停電という事態が私たちに何をもたらすのか
生々しいリアリティとなって読む人の心を引き付けます。
前半部分は状況説明が多く退屈かも。しかしラスト数ページの
感動がその弱点を十分にカバーします。
今後の活躍に期待します。
2009年1月28日に日本でレビュー済み
大停電を引き起こしたのは、個人的テロ。
個人的テロを引き起こした安西とベトナムの青年たち。
全く接点のないように思われる彼らが、別々の恨みと望みのために手を結び、テロを引き起こした背景が実によく描かれています。
作者が調査された膨大な情報をもとに描いているので、電力会社の復旧の過程が実にリアルで、作品に厚みを加えている。
テロ犯を追い詰める警察、復旧に必死になる電力会社の社員、テロの犯人、ある警察官とその家族、病院関係者とあちこちの視点から描きだされ、たった一日に事件が濃密に描かれている。
多くの視点から描きだそうとした作者のアプローチは良かったのだが、やや散漫になって各々が深く描ききれなかった感じが残念。
また、多くを描くことによる散漫さを排除するためなのか、都民のパニックの様子があまり描かれなかったが、その為、東京大停電という未曽有の大災害さが伝わりにくく感じた。
安西の最後の望みは、わりと早い時点で分かったしまったが、ここは必要だろうが、やや尻つぼみの印象もあり。
しかし、膨大な情報を調査され、描いたこの力作、充分に称賛に値すると思います。
今後の活躍を期待します。
個人的テロを引き起こした安西とベトナムの青年たち。
全く接点のないように思われる彼らが、別々の恨みと望みのために手を結び、テロを引き起こした背景が実によく描かれています。
作者が調査された膨大な情報をもとに描いているので、電力会社の復旧の過程が実にリアルで、作品に厚みを加えている。
テロ犯を追い詰める警察、復旧に必死になる電力会社の社員、テロの犯人、ある警察官とその家族、病院関係者とあちこちの視点から描きだされ、たった一日に事件が濃密に描かれている。
多くの視点から描きだそうとした作者のアプローチは良かったのだが、やや散漫になって各々が深く描ききれなかった感じが残念。
また、多くを描くことによる散漫さを排除するためなのか、都民のパニックの様子があまり描かれなかったが、その為、東京大停電という未曽有の大災害さが伝わりにくく感じた。
安西の最後の望みは、わりと早い時点で分かったしまったが、ここは必要だろうが、やや尻つぼみの印象もあり。
しかし、膨大な情報を調査され、描いたこの力作、充分に称賛に値すると思います。
今後の活躍を期待します。
2009年12月1日に日本でレビュー済み
著者はデビュー作で関西国際空港を舞台にしたスケールの大きな話を書いたが、今回はさらに舞台をでかくし東京全体を大停電に追い込んでしまった。停電したことによって起きる様々な物語りを神の視点で詳細に追い、見事に描ききっている。
停電を引き起こした人物の目的は何か? それは大都会に生きる人々の無関心に対する報復ではなかったのだろうか。東京では無関心であることに対してすら無関心に生きている人々が多すぎるのかもしれない。
この本はそんな人々に対して見事なまでの警句となっている。
そしてラストシーン。女性ならきっと泣けるはずだ。
停電を引き起こした人物の目的は何か? それは大都会に生きる人々の無関心に対する報復ではなかったのだろうか。東京では無関心であることに対してすら無関心に生きている人々が多すぎるのかもしれない。
この本はそんな人々に対して見事なまでの警句となっている。
そしてラストシーン。女性ならきっと泣けるはずだ。
2009年2月28日に日本でレビュー済み
緻密な取材に裏付けられたストーリー展開には説得力があり、疑問を挟む余地がないまま思わず引き込まれてしまった。
日本の首都東京には平和を前提にした脆弱性がある事が良く判った。
単なるフィクションの域に留まらず、低賃金で海外から労働者を研修の名の下に酷使している問題や家庭内暴力など現在の日本社会の課題を捉えた点も評価したい。
是非とも映画化・テレビ化されて動画で見てみたい。
日本の首都東京には平和を前提にした脆弱性がある事が良く判った。
単なるフィクションの域に留まらず、低賃金で海外から労働者を研修の名の下に酷使している問題や家庭内暴力など現在の日本社会の課題を捉えた点も評価したい。
是非とも映画化・テレビ化されて動画で見てみたい。
2011年4月27日に日本でレビュー済み
筆者は、読売の書評で「迎撃せよ」と刺激的タイトルの本が紹介されてて
知りました。(表紙は、F-16FightingFalcon)
航空機小説という点では、高野裕美子(函館出身、代表作Hot Scramble)
に似ています?!
で、2008年刊行の掲題本「TOKYO BLACKOUT」東京創元社 には、
3.11以降知られるようになった輪番停電Rolling Blackoutや、
原子力保安院、川崎のコンバインドサイクル火力、東北連係線、
信濃幹線、ブラックスタート、開閉所などなど、相澤、佐々木
Worldに引きこまれそうな用語がでてきています。
知りました。(表紙は、F-16FightingFalcon)
航空機小説という点では、高野裕美子(函館出身、代表作Hot Scramble)
に似ています?!
で、2008年刊行の掲題本「TOKYO BLACKOUT」東京創元社 には、
3.11以降知られるようになった輪番停電Rolling Blackoutや、
原子力保安院、川崎のコンバインドサイクル火力、東北連係線、
信濃幹線、ブラックスタート、開閉所などなど、相澤、佐々木
Worldに引きこまれそうな用語がでてきています。
2009年9月14日に日本でレビュー済み
文章のテンポは良い、最後までさくさくっと読めます。
電気を供給するって、こんなに大変な事でかつ危うい事なんだ的な驚きもあって良し。
ただ、キャラクター設定(特にベトナム人諸々)は、ちょっと厳しいかな。
ここまでのテロを行う技量もない様に思うし、動機も希薄。
その辺りで、少し冷めますが内容的には良く出来ています。
電気を供給するって、こんなに大変な事でかつ危うい事なんだ的な驚きもあって良し。
ただ、キャラクター設定(特にベトナム人諸々)は、ちょっと厳しいかな。
ここまでのテロを行う技量もない様に思うし、動機も希薄。
その辺りで、少し冷めますが内容的には良く出来ています。
2011年2月1日に日本でレビュー済み
ここのところ、立て続けに新刊が出ている福田和代氏の第二長編。『プロメテウス・トラップ』を読んで以来のファンなので新刊は出るたびに購入しているんだけど、読むのは実は2冊目。評判通り、スケールの大きなサスペンスだった。
特に大規模なテロにより停電に至るまでは、綿密な調査に裏付けただろう電力インフラのディテールの書き込みもあり、引き込まれるように読み進めた。
さすが、システム屋ってところか、電力を制御するシステムのハッキングもきちんと(?)内部犯行にしてあって、よくあるようなスーパーハッカーとかによるハッキングみたいにリアリティが欠けるということもなかった。
旧江戸川の停電事故に見舞われ、システムの復旧にてんやわんやした自分としては、そのときのことが思い出された。この事故がデータセンターにサーバを置くきっかけにもなったのだ。
しかし、後半は、このボリュームの割には、いろんなネタを詰め込みすぎ。研修生名目での外国人労働者の雇用の問題、ネット犯罪、犯罪被害者問題、児童虐待など、面白いんだけど、一つ一つのネタが消化不良といった感じ。これを盛り込むなら、もっと分量を多くした方が良かったように思う。
でも、それがあったとしても、面白い小説だった。特に、最後のシーンなんてかなり予想外。ちょっと拍子抜けしたけど、泣けた。
特に大規模なテロにより停電に至るまでは、綿密な調査に裏付けただろう電力インフラのディテールの書き込みもあり、引き込まれるように読み進めた。
さすが、システム屋ってところか、電力を制御するシステムのハッキングもきちんと(?)内部犯行にしてあって、よくあるようなスーパーハッカーとかによるハッキングみたいにリアリティが欠けるということもなかった。
旧江戸川の停電事故に見舞われ、システムの復旧にてんやわんやした自分としては、そのときのことが思い出された。この事故がデータセンターにサーバを置くきっかけにもなったのだ。
しかし、後半は、このボリュームの割には、いろんなネタを詰め込みすぎ。研修生名目での外国人労働者の雇用の問題、ネット犯罪、犯罪被害者問題、児童虐待など、面白いんだけど、一つ一つのネタが消化不良といった感じ。これを盛り込むなら、もっと分量を多くした方が良かったように思う。
でも、それがあったとしても、面白い小説だった。特に、最後のシーンなんてかなり予想外。ちょっと拍子抜けしたけど、泣けた。