5つ星で書こうと思って見ると意外に評価が高いので文句も言ってみます。
中印米日亜、そして個人が順に総研の出す図解本のようにコンパクトにまとめられてはいるのですが、官僚の文章ではなくどちらかと言えばジャーナリストの文章であり、経済政治の哲学ましてや歴史の深いところまでが語られているとは言えないと思います。小著でもありそんなところまで要求すべくもないのですが、ミスター円とまで呼ばれた当事者にあってもっと重厚に結実化したものを今後期待したいと思います。
読みどころはやはり亜細亜を論じた、共通通貨「アシアナ」を構想するところですが、やはり亜細亜のリーダーとして中印をも指導するというにはやる気、統率力にも迫力にも欠けていた気がします。谷口智彦氏も『通貨燃ゆ』(日本経済新聞社)で「何かが欠けていた」、旧大蔵省は円の国際化を対米政策として意識してきた、中国を説得する気概や努力など求めるべくもなかった等、「せめてもう少し交渉力」があったら、と感懐しています。考え方としては金融市場の影響を受けて不安定化するドルに対する安定を確保するために地域経済圏を促進する共通通貨の必要性が頭で判っていても、政治力がない、交渉に敗れた省自体の解体という事態にそんな余力は残っていない、と。これは金融関係者や経済界自体の認識と責任意識にも関係する事ですが。
安倍首相、福田首相は二顧の礼をもって胡錦濤主席と会談するところまで漕ぎつけました。小泉時代からすれば雲泥の差、隔世の感というところですものの、年金にしか興味のない国内の反中派はこれだけでも逆によく思っていないでしょう。世界金融危機、通貨危機、財政危機に対処するにはまず以てそれでは間に合わないということが判っていない。第一に認識すべきは世界経済の不安定な現実であることに変わりはないようです。

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経済の世界勢力図 (文春文庫 さ 42-2) 文庫 – 2007/5/10
榊原 英資
(著)
驚異的な成長を遂げつつある中国・インド。日本をとりまく世界経済の激変しつつある様を「ミスター円」がやさしく解き明かす!
- 本の長さ244ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2007/5/10
- ISBN-104167717301
- ISBN-13978-4167717308
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2007/5/10)
- 発売日 : 2007/5/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 244ページ
- ISBN-10 : 4167717301
- ISBN-13 : 978-4167717308
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,598,992位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1941年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業。
大蔵省入省後、ミシガン大学で経済学博士号取得。
IMFエコノミスト、ハーバード大学客員准教授、大蔵省国際金融局長、同財務官を歴任。
97年~99年財務官を務め、「ミスター円」の異名をとる。
慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、青山学院大学教授、財団法人インド経済研究所理事長。
2004年より高校生向けの合宿研修会「日本の次世代リーダー養成塾」を定期的に開き、日本の将来を担う人材の育成にも携わっている。
(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 「データ」で読み解く 安倍政権でこうなる! 日本経済 (2時間で未来がわかる!) (ISBN-10: 4776207710)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年1月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「はじめに」の部分で、現在世界は400年から500年に一度の大きな構造転換のさしかかっている、と指摘し、それを把握するのに、時間軸と空間軸を分析のフレームワークとして用いるとしています。時間軸とは、構造・循環・事件史、あるいは長期・中期・短期の視点です。空間軸とは、中心、周辺、縁辺の3つです。
全体から見ると、2004年の大統領選挙にブッシュが勝ったにも関わらず、ドル安・原油高が起きました。強いアメリカ、強いドルにはならなかったのです。ブッシュの単独行動主義、一種のアメリカン・イデオロギー、覇権主義をイラク戦争で大量破壊兵器を確認できず、行き詰まったのです。ジョージ・ソロスも覇権主義を批判しています。もう一つ大きいのは中国とインドを中心に6億人もの中産階級が形成され、巨大な市場となる一方、アジア域内で生産・分業ネットワークが発達し、域内貿易が飛躍的に増えました。そして、経済発展の過程で資源が決定的に重要になります。2003年のゴールドマン・サックスの発表したBRICsレポートでは、資源大国であり、中産階級が発達し、2050年にはGDPが1)中国、2)アメリカ、3)インド、4)日本、5)ブラジル、6)ロシア、7)イギリスの順になる、と予想しました。
まず、中国から見ると、世界の工場になりましたが、これまでの指導者が「反日」で国民をひきつけたのに、現在は成長で2億人の中産階級(1000万元、つまり1200万円程度の年収世帯)が育ち、テクノクラート中心の政権の基盤となっています。1990年代から中国はもはや典型的な資本主義国で、バブルを経ながら発展して行くのです。
インドは若年層が多く、中国より将来性があります。英語を準公用語としており、頭脳労働者の質が高く(日本では9×9を暗記するが、インドでは19×19を暗記する)技術者を養成しており、天然資源をもち、ヨーロッパと東アジアの中間に位置していますし、海岸線は広く、整備可能です。1991年のマンモハン・シンの改革以来、順調に経済発展がなされています。
これに対し、アメリカは自由な資本移動を大前提に、自己中心的、覇権主義的に振舞ってきました。アジア通貨危機後の日本のAMF提案もアメリカの反対で潰されたことを、当時の財務官だった榊原氏は明らかにしています。アジア危機に連動してロシア危機が生じましたが、このときにはヘッジファンドもずいぶん傷みました。結局アジア通貨危機はIMFの処方箋で手術がおこなわれますが、それによりASEANなどは2000年以降に立ち直ります。一方、中国、インドなどは為替管理によって、自分のペースで高い経済成長を実現してゆきます。
アジア全域を見るとドルは地位が低下し、ACU(エーシアン・カレンシー・ユニット)がいずれ導入されるでしょう。ASEAN+3(日中韓)とインドはEUのような水平的統合というより垂直的統合に近いが、中国国内で貧富の格差があっても人民元で統合されているように、決して不可能ではない、と榊原氏は主張します。こうなってゆくと日米安保体制も再検討されねばならず、バイラテラルな関係をアジア諸国と構築してゆかなければなりません。
こういう世界のパワーシフトの中で生きてゆくには、たくましく「異質なものを受け入れる」資質が重要だと最後に語っています。
全体から見ると、2004年の大統領選挙にブッシュが勝ったにも関わらず、ドル安・原油高が起きました。強いアメリカ、強いドルにはならなかったのです。ブッシュの単独行動主義、一種のアメリカン・イデオロギー、覇権主義をイラク戦争で大量破壊兵器を確認できず、行き詰まったのです。ジョージ・ソロスも覇権主義を批判しています。もう一つ大きいのは中国とインドを中心に6億人もの中産階級が形成され、巨大な市場となる一方、アジア域内で生産・分業ネットワークが発達し、域内貿易が飛躍的に増えました。そして、経済発展の過程で資源が決定的に重要になります。2003年のゴールドマン・サックスの発表したBRICsレポートでは、資源大国であり、中産階級が発達し、2050年にはGDPが1)中国、2)アメリカ、3)インド、4)日本、5)ブラジル、6)ロシア、7)イギリスの順になる、と予想しました。
まず、中国から見ると、世界の工場になりましたが、これまでの指導者が「反日」で国民をひきつけたのに、現在は成長で2億人の中産階級(1000万元、つまり1200万円程度の年収世帯)が育ち、テクノクラート中心の政権の基盤となっています。1990年代から中国はもはや典型的な資本主義国で、バブルを経ながら発展して行くのです。
インドは若年層が多く、中国より将来性があります。英語を準公用語としており、頭脳労働者の質が高く(日本では9×9を暗記するが、インドでは19×19を暗記する)技術者を養成しており、天然資源をもち、ヨーロッパと東アジアの中間に位置していますし、海岸線は広く、整備可能です。1991年のマンモハン・シンの改革以来、順調に経済発展がなされています。
これに対し、アメリカは自由な資本移動を大前提に、自己中心的、覇権主義的に振舞ってきました。アジア通貨危機後の日本のAMF提案もアメリカの反対で潰されたことを、当時の財務官だった榊原氏は明らかにしています。アジア危機に連動してロシア危機が生じましたが、このときにはヘッジファンドもずいぶん傷みました。結局アジア通貨危機はIMFの処方箋で手術がおこなわれますが、それによりASEANなどは2000年以降に立ち直ります。一方、中国、インドなどは為替管理によって、自分のペースで高い経済成長を実現してゆきます。
アジア全域を見るとドルは地位が低下し、ACU(エーシアン・カレンシー・ユニット)がいずれ導入されるでしょう。ASEAN+3(日中韓)とインドはEUのような水平的統合というより垂直的統合に近いが、中国国内で貧富の格差があっても人民元で統合されているように、決して不可能ではない、と榊原氏は主張します。こうなってゆくと日米安保体制も再検討されねばならず、バイラテラルな関係をアジア諸国と構築してゆかなければなりません。
こういう世界のパワーシフトの中で生きてゆくには、たくましく「異質なものを受け入れる」資質が重要だと最後に語っています。
2007年6月2日に日本でレビュー済み
「歴史(時間)」と「地域(空間)」の見方から各国の経済を
俯瞰し、現在の状況から、以前から主張されている「アジア
共通通貨」の必要性まで解き明かされています。
ビジネススクールでの榊原英資氏の講義を切り出したような
本書では、中国・インド・アメリカ・日本など世界の経済の
「今」を紹介しています。
といっても、実は2005年5月に単行本が出ています。それを
感じさせない内容で先見性があるといえます。これは、
「歴史(時間)」から経済を見ているからかもしれません。
中国に比べてインドが良い面を押しているところがあります。
確かに、法治国家として優れている点はご指摘の通りです。
しかし最近は、民主主義として避けられないのかもしれませんが
民衆迎合の政治もインドで見受けられます。
他の書籍や記事と合わせて読むと、世界の経済の「今」をより
深く理解することができるようになるでしょう。
俯瞰し、現在の状況から、以前から主張されている「アジア
共通通貨」の必要性まで解き明かされています。
ビジネススクールでの榊原英資氏の講義を切り出したような
本書では、中国・インド・アメリカ・日本など世界の経済の
「今」を紹介しています。
といっても、実は2005年5月に単行本が出ています。それを
感じさせない内容で先見性があるといえます。これは、
「歴史(時間)」から経済を見ているからかもしれません。
中国に比べてインドが良い面を押しているところがあります。
確かに、法治国家として優れている点はご指摘の通りです。
しかし最近は、民主主義として避けられないのかもしれませんが
民衆迎合の政治もインドで見受けられます。
他の書籍や記事と合わせて読むと、世界の経済の「今」をより
深く理解することができるようになるでしょう。
2008年1月19日に日本でレビュー済み
Mr円の異名を持つ榊原英資氏の本です。
テレビ見ててあまり好きではなかったのですが、
この本を読んでみてその心象が一変しました。
この本を読むと
2020年以降の世界が見えます。
その世界に対応するために
日本は、もしくは日本人がいかに対応すべきか
わかりやすく論理的に書かれています。
アメリカ一極からインドを含めたアジアへウェイトを
移すように言ってるのが論理的で納得しました。
しかし、榊原さんが官僚時代から
ちゃんと現官僚の批判をして欲しかった。
一章を割いている日本・国債資本主義の破綻は
まったくもって正論で
財務省の中で国際金融という傍流に身をおいた
官僚の独白だと思います。
これを読むと今の世界がわかるし、
将来のことも予想がつきやすくなると思います。
是非読んでください。
テレビ見ててあまり好きではなかったのですが、
この本を読んでみてその心象が一変しました。
この本を読むと
2020年以降の世界が見えます。
その世界に対応するために
日本は、もしくは日本人がいかに対応すべきか
わかりやすく論理的に書かれています。
アメリカ一極からインドを含めたアジアへウェイトを
移すように言ってるのが論理的で納得しました。
しかし、榊原さんが官僚時代から
ちゃんと現官僚の批判をして欲しかった。
一章を割いている日本・国債資本主義の破綻は
まったくもって正論で
財務省の中で国際金融という傍流に身をおいた
官僚の独白だと思います。
これを読むと今の世界がわかるし、
将来のことも予想がつきやすくなると思います。
是非読んでください。
2008年6月11日に日本でレビュー済み
大きな視点から世界経済を俯瞰して、これらからの日本のあり方、個人のあり方を論じてある価値ある一冊です。本書を読むのと読まないのとでは、長期的には差がつくと思います。国家財政の中枢にいたテクノクラートですから頭は抜群に良いけど、人間性はどうなのか、テレビなどで少し見ただけではどうにも好きになれないタイプだと思っていましたが、失礼いたしました。志の高さ、常識感覚、この国を思うこと等が文章から伝わってきます。この人は国士です。
平易に書かれてあり、新聞記事を読める読者であれば、問題なくこの難しそうなタイトルの本書を読みこなすことができます。分かりやすく伝えようと配慮して書かれているのでしょう。
さて、内容ですが、日本はこれから難局を迎えるようです。多くの日本人がなんとなく感じている通りです。将来が不安で、出生率も低いままです。このような書物を読んで確実に力をつけ、将来に備えなければならないと痛感しました。以下、心に残ったことを記します。
・大きな流れはアメリカの地位低下(財政赤字・貿易赤字とアメリカンイデオロギーの暴走)
・ドル基軸通貨の重要度低下
・2050年GDP予測、1.中国、2.米国、3.インド、4.日本、5.ブラジル、6.ロシア、7.英国
・インドは数学、哲学のある国、若い労働者が多く、質も良い。法律を重んじる
・ブレトンウッズ体制(戦後、金為替本位制度によりドルが世界の通貨基軸となる)
・ベトナム戦争と貿易赤字によりニクソンショック→借金額を減価、円は360円から250円に上昇
・プラザ合意、G5協調介入によりドル安、円は250円から120円に
・かつてケインズはバンコールという国際通貨創設を提案した
・アジア通貨危機、通貨が弱いとヘッジファンドに狙い撃ちにされる
・国民の金融資産1400兆円が財政赤字を支えている。(そろそろ支えきれなくなる)
・国債と円の暴落は同時に起こると考えられる
・アルゼンチンは50倍のハイパーインフレ、日本は景気悪化と物価上昇のスタグフレーションか
一読して、いかに覇権国家アメリカが独自のルール変更を行って、なんとか持ちこたえてきたのか、そのたびにお付き合いしてきた国、特に我が国などは迷惑をこうむってきたのかが、良く分かりました。何十年か将来では、中国が好き勝手にやりだすのかもしれません。2010年から2020年の間に我が国を襲う経済危機に備えて、ユーロと元と一定のドル資産を持ちたいと思います。また、このような警鐘を早くから鳴らしている著者に感謝します。他の著作も読みたいと思います。
平易に書かれてあり、新聞記事を読める読者であれば、問題なくこの難しそうなタイトルの本書を読みこなすことができます。分かりやすく伝えようと配慮して書かれているのでしょう。
さて、内容ですが、日本はこれから難局を迎えるようです。多くの日本人がなんとなく感じている通りです。将来が不安で、出生率も低いままです。このような書物を読んで確実に力をつけ、将来に備えなければならないと痛感しました。以下、心に残ったことを記します。
・大きな流れはアメリカの地位低下(財政赤字・貿易赤字とアメリカンイデオロギーの暴走)
・ドル基軸通貨の重要度低下
・2050年GDP予測、1.中国、2.米国、3.インド、4.日本、5.ブラジル、6.ロシア、7.英国
・インドは数学、哲学のある国、若い労働者が多く、質も良い。法律を重んじる
・ブレトンウッズ体制(戦後、金為替本位制度によりドルが世界の通貨基軸となる)
・ベトナム戦争と貿易赤字によりニクソンショック→借金額を減価、円は360円から250円に上昇
・プラザ合意、G5協調介入によりドル安、円は250円から120円に
・かつてケインズはバンコールという国際通貨創設を提案した
・アジア通貨危機、通貨が弱いとヘッジファンドに狙い撃ちにされる
・国民の金融資産1400兆円が財政赤字を支えている。(そろそろ支えきれなくなる)
・国債と円の暴落は同時に起こると考えられる
・アルゼンチンは50倍のハイパーインフレ、日本は景気悪化と物価上昇のスタグフレーションか
一読して、いかに覇権国家アメリカが独自のルール変更を行って、なんとか持ちこたえてきたのか、そのたびにお付き合いしてきた国、特に我が国などは迷惑をこうむってきたのかが、良く分かりました。何十年か将来では、中国が好き勝手にやりだすのかもしれません。2010年から2020年の間に我が国を襲う経済危機に備えて、ユーロと元と一定のドル資産を持ちたいと思います。また、このような警鐘を早くから鳴らしている著者に感謝します。他の著作も読みたいと思います。
2007年8月24日に日本でレビュー済み
林達夫がかつて時代の表層を見るのではなく、100年500年単位で動く大きな底流を見ろ、と書いていたと記憶しているが、本書は環太平洋・アジアを見る上でうってつけだろう。
本書はゴールドマンサックスが2003年10月に発表したレポート『Dreaming with BRICs. The Path to 2050』(ブリックスとともに夢見る2050年への道)を冒頭で引き合いに出しながら、中国、インド、アメリカ、日本の相対的な関係に着目しつつ、50年100年と言った単位で起こりうる世界的な変化に対して日本がどういうスタンスをとるべきか、提言を行っている。もちろんその内容に対して、賛成・反対・様子見などの態度はあるだろうが、大きな底流を見てこれからマクロ・ミクロでどうあるべきか考えるにはうってつけのきっかけを作ってくれている。
内容は大変わかりやすく、経済の素人でも十分分かる内容になっている。社会人はもとより、大学生、高校生、中学生ぐらいまで読んでもらいたい一冊である。
本書はゴールドマンサックスが2003年10月に発表したレポート『Dreaming with BRICs. The Path to 2050』(ブリックスとともに夢見る2050年への道)を冒頭で引き合いに出しながら、中国、インド、アメリカ、日本の相対的な関係に着目しつつ、50年100年と言った単位で起こりうる世界的な変化に対して日本がどういうスタンスをとるべきか、提言を行っている。もちろんその内容に対して、賛成・反対・様子見などの態度はあるだろうが、大きな底流を見てこれからマクロ・ミクロでどうあるべきか考えるにはうってつけのきっかけを作ってくれている。
内容は大変わかりやすく、経済の素人でも十分分かる内容になっている。社会人はもとより、大学生、高校生、中学生ぐらいまで読んでもらいたい一冊である。