「不思議な少年」はどの話もおもしろい山下和美さんのシリーズですが、1話完結型で、初めての人はどの巻のどこから読んでも大丈夫です。
時代も空間も時間もすべてを超越している、しかも神ではない(ムメキク、の話でそう思いました)本当に不思議な少年が、いろんな人間とかかわっていく話です。
この巻の第1話の「由利香」という話は、最初読んだときは、かなり他の話と違和感を感じ、心がざわつきました。読後もものすごく切なく、人間とは?と考えてしまう感じです。そして、あとからじわじわきます。読んで数年してある時、この話が急に読みたくなって、押し入れから引っ張り出して繰り返し読みました。これは、近年まれに見る傑作だと思います。感動した高校の先生が、学校で演劇化したという話も聞きました。残酷な描写もあるのでだめな人はご注意を。
ともかく、山下さんの作品は、(ちょっと高野文子が入ってる気がするけど)好きな画風だし、なにしろ話がおもしろい。よく練れてる。
「柳沢・・・」も長期連載されていて、確かに面白いんだけれど、今のところ私は不思議な少年派です。もちろん他の巻もお勧めです。この方は人間をよく見られている方だと思います。
私がムメキク、と途中で言ったのは、6巻の「ムメキクと周平」という話で、それほど複雑ではないのですが、こちらは割と素直に勇気とやる気がわく、やはり好きな話です。もっともっといろいろあるんですが・・・・やはり山下さんはすごいです。

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不思議な少年(4) (モーニング KC) コミック – 2005/10/21
山下 和美
(著)
終戦直後の日本に生きる家族を縛る「血」と「土地」。そこに一人の少年がいた。永遠の生を持って「人間」を見つめる不思議な少年が。
永遠の生を持ち全能であるがゆえに少年はちっぽけな人間を愛し、憎んだ。小さな田舎町。そこに住む少女がある日感じる、恐ろしい疑問。「猿」と名乗る不思議な老人が見せる、綺麗な水晶の世界。一族を無惨に殺された男、復讐心のみで生き抜く事ができるのか。人が持つ思いは、果てしなく大きく深い。その真実に触れて少年は、時に安らぎ、時に戸惑う。少年が持つ永遠の時の中、ほんの一瞬だけ「人間」がかいま見える。
永遠の生を持ち全能であるがゆえに少年はちっぽけな人間を愛し、憎んだ。小さな田舎町。そこに住む少女がある日感じる、恐ろしい疑問。「猿」と名乗る不思議な老人が見せる、綺麗な水晶の世界。一族を無惨に殺された男、復讐心のみで生き抜く事ができるのか。人が持つ思いは、果てしなく大きく深い。その真実に触れて少年は、時に安らぎ、時に戸惑う。少年が持つ永遠の時の中、ほんの一瞬だけ「人間」がかいま見える。
- 本の長さ290ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2005/10/21
- ISBN-104063724719
- ISBN-13978-4063724714
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商品の説明
著者について
山下 和美
1980年、週刊マーガレットからデビュー。主に少女マンガ誌を中心に活躍していたが、『天才柳沢教授の生活』でモーニングに不定期連載を開始。以後、女性に限らず、男性からも支持され、幅広い人気を得る。現在は、『寿町美女御殿』を「YOU」(集英社)に不定期連載中。もうひとつのライフワーク『不思議な少年』はモーニング・ツーへ移籍!
「山下和美公式サイト 天才柳沢教授ゼミナール」
http://home.b01.itscom.net/kyoju/
1980年、週刊マーガレットからデビュー。主に少女マンガ誌を中心に活躍していたが、『天才柳沢教授の生活』でモーニングに不定期連載を開始。以後、女性に限らず、男性からも支持され、幅広い人気を得る。現在は、『寿町美女御殿』を「YOU」(集英社)に不定期連載中。もうひとつのライフワーク『不思議な少年』はモーニング・ツーへ移籍!
「山下和美公式サイト 天才柳沢教授ゼミナール」
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2008年2月28日に日本でレビュー済み
ご存知の方も多いと思いますが、この漫画はマーク・トウェイン晩年の小説「不思議な少年」を原典としております。
晩年のマーク・トウェインが自らのペシミズム思想を乗り越えようと苦心しながら執筆した小説です。こちらも名作なので是非読んで欲しいのですが...
個人的に、ストーリー性及び主人公である少年の魅力という点においては山下さんが勝っていると言わざるを得ないです。
主人公の少年を、徹底して人間に興味を持たない(いわゆる、良心というものを持たない)絶対的な存在として描いたマーク・トウェイン。
対して、山下さん描くところの少年は、興味を持って人間と接し、その愚かしさの中に無上の美しさをも見ている。
どちらがお好みかは人に選るでしょうが、僕としてはやはり後者に魅力を感じます。
長くなりましたが、この巻収録の「ベラとカリバリ」は最も好きなエピソードだったりします。
もっと多くの方に読んで欲しい作品です。
晩年のマーク・トウェインが自らのペシミズム思想を乗り越えようと苦心しながら執筆した小説です。こちらも名作なので是非読んで欲しいのですが...
個人的に、ストーリー性及び主人公である少年の魅力という点においては山下さんが勝っていると言わざるを得ないです。
主人公の少年を、徹底して人間に興味を持たない(いわゆる、良心というものを持たない)絶対的な存在として描いたマーク・トウェイン。
対して、山下さん描くところの少年は、興味を持って人間と接し、その愚かしさの中に無上の美しさをも見ている。
どちらがお好みかは人に選るでしょうが、僕としてはやはり後者に魅力を感じます。
長くなりましたが、この巻収録の「ベラとカリバリ」は最も好きなエピソードだったりします。
もっと多くの方に読んで欲しい作品です。
2005年10月24日に日本でレビュー済み
漫画とは結局、作者の人生観、人間性、想いを伝える媒介です。
人間性、人間の性(サガ)を醜い部分、美しい部分をありのままに
映し出すこの作品はすばらしい。素直にそう思いました。
人間の一生は短い。人間は1回分生きる間、周りの死に何度も出会う。
人間だったりペットだったり。
そこには幸せな一生を終えた死もあるし、無念の死もある。
だからこそ、人間は明日は我が身と短い一生を足掻く。幸せに憧れて。
愛憎は表裏一体。愛しい物は、ふとしたことで憎悪の対象になるし、
憎悪の裏には愛すべきものがある。
その人間の本性、本能とも言える生を充実させることが目的の醜い行動。
そこに渦巻く憎悪。その影にある美しいところにスポットを当てるのが
この作品の大きな特徴です。
どんなに悲惨な出来事でも、物事でも単純に善悪と決め付けることは
できないな~と思いました。
不思議な少年の意志を持つ山下さんの人生観、人間性は凄い!
何かを伝える意思を持って生まれた作品は、すべからく傑作だ!
人間性、人間の性(サガ)を醜い部分、美しい部分をありのままに
映し出すこの作品はすばらしい。素直にそう思いました。
人間の一生は短い。人間は1回分生きる間、周りの死に何度も出会う。
人間だったりペットだったり。
そこには幸せな一生を終えた死もあるし、無念の死もある。
だからこそ、人間は明日は我が身と短い一生を足掻く。幸せに憧れて。
愛憎は表裏一体。愛しい物は、ふとしたことで憎悪の対象になるし、
憎悪の裏には愛すべきものがある。
その人間の本性、本能とも言える生を充実させることが目的の醜い行動。
そこに渦巻く憎悪。その影にある美しいところにスポットを当てるのが
この作品の大きな特徴です。
どんなに悲惨な出来事でも、物事でも単純に善悪と決め付けることは
できないな~と思いました。
不思議な少年の意志を持つ山下さんの人生観、人間性は凄い!
何かを伝える意思を持って生まれた作品は、すべからく傑作だ!
2005年11月1日に日本でレビュー済み
第一巻が出たときに、「こういう話も書ける人だったのか!」と驚愕したことを思い出しつつ、最新刊を読みました。
こういうのはマンガでしかかけない話だなぁ、としみじみ思う。不思議な話であり、不思議な読後感でもある。
それぞれにまったく違うテイストの話が3本収録されているが、主人公である少年は世界をただ見ているだけの存在でありながら、それぞれの人の心に何かを見出している。悪いことばかりでなく、素晴らしいことばかりでもなく。
さらっと読めるし、深読みもできるし、少年の視点でも読めるし、それぞれの立場でも読める、本当に不思議な話。こういう話が読めることを幸福だと思う。
こういうのはマンガでしかかけない話だなぁ、としみじみ思う。不思議な話であり、不思議な読後感でもある。
それぞれにまったく違うテイストの話が3本収録されているが、主人公である少年は世界をただ見ているだけの存在でありながら、それぞれの人の心に何かを見出している。悪いことばかりでなく、素晴らしいことばかりでもなく。
さらっと読めるし、深読みもできるし、少年の視点でも読めるし、それぞれの立場でも読める、本当に不思議な話。こういう話が読めることを幸福だと思う。
2005年10月25日に日本でレビュー済み
さらっと読んでも面白いし、シークエンスについて色々考察してみるのも面白い。哲学的に考えさせられるのに、楽に読める作品です。
漫画って本来こうあるべきだなと、読んでて思いました。そう思うと、手塚治があらためて凄いんだなとも思いました。日本の漫画が世界で評価をうけているのは、完全性ではなく、暴力や責任、理由。日常生活で誰もが抱える矛盾性が描かれているからかななんて諸々考えてしまいます。
展開にわくわくして読んだあと後もちゃんと残る作品です
漫画って本来こうあるべきだなと、読んでて思いました。そう思うと、手塚治があらためて凄いんだなとも思いました。日本の漫画が世界で評価をうけているのは、完全性ではなく、暴力や責任、理由。日常生活で誰もが抱える矛盾性が描かれているからかななんて諸々考えてしまいます。
展開にわくわくして読んだあと後もちゃんと残る作品です
2006年3月7日に日本でレビュー済み
第4巻に至って、「不思議な少年」は人間界との係わりを深めていきます。もちろん、まだまだ人間界のルールに疎く、人間の感情の機微を読み取れません。しかしなぜかしら人間に対する強烈な関心を抱き、理解しようとします。だから「不思議な少年」は、人間の世界を「不思議がる少年」でもあります。
理解は、係わり合いの中からしか生じてこないもののようです。第11話では、少年は1人の女性の魂を救済しようとします。しかし、踏み込みはまだ浅い。ラストシーン、少年の表情は彼が出来事の意味を量りかねていることを示しています。ところが第12話では、少年は人間界の悲劇に巻き込まれ、「感情」を揺り動かされて「復讐心」さえ抱きます。そして第13話、少年は「復讐劇」を見るために、むしろ積極的に人間界に介入します。その果てに、少年は「愛の感情」を知るのです。
私が思うに、作者は「柳沢教授」の連載を通じて、人間界の「外」を発見していったのではないでしょうか。連載の進行とともに、教授はほとんど天使的な存在へと純化していきました。それに対して著者がこの連載で試みているのは、「外」から再び「内」へと帰還すること、天界から地上に降り立つこと、ではないでしょうか?
ただしその「失墜」は、『ベルリン/天使の詩』的なものではありません。観照者の無力をめぐる物語ではないのです。むしろこの少年は、いわゆる「脱社会的存在」に近い。あらゆる時代、あらゆる土地を経巡りながら、少年は人間であることの意味と価値を量っています。もし人間界に失望すれば、少年はふたたび「彼岸」へと立ち去ってしまうのでしょう。
理解は、係わり合いの中からしか生じてこないもののようです。第11話では、少年は1人の女性の魂を救済しようとします。しかし、踏み込みはまだ浅い。ラストシーン、少年の表情は彼が出来事の意味を量りかねていることを示しています。ところが第12話では、少年は人間界の悲劇に巻き込まれ、「感情」を揺り動かされて「復讐心」さえ抱きます。そして第13話、少年は「復讐劇」を見るために、むしろ積極的に人間界に介入します。その果てに、少年は「愛の感情」を知るのです。
私が思うに、作者は「柳沢教授」の連載を通じて、人間界の「外」を発見していったのではないでしょうか。連載の進行とともに、教授はほとんど天使的な存在へと純化していきました。それに対して著者がこの連載で試みているのは、「外」から再び「内」へと帰還すること、天界から地上に降り立つこと、ではないでしょうか?
ただしその「失墜」は、『ベルリン/天使の詩』的なものではありません。観照者の無力をめぐる物語ではないのです。むしろこの少年は、いわゆる「脱社会的存在」に近い。あらゆる時代、あらゆる土地を経巡りながら、少年は人間であることの意味と価値を量っています。もし人間界に失望すれば、少年はふたたび「彼岸」へと立ち去ってしまうのでしょう。
2005年10月30日に日本でレビュー済み
何かのきっかけで本書を知り購入しました。ボクにとってこの4巻が、初めての本です。
たぶん、タイトルから感じた不思議さと表装の少年のビジュアルから、何となくSFちっくな面白さを期待していわゆるジャケット買いしたのだと思います。
さて内容に関しては、SFちっく、と言っていいものならおおむねアタリで、というもののおおいに真面目なものでした。軽薄なボクにとっては少々堅苦しく感じたかな……。(それで、マイナス星一つです。すみません)
いやいや、興味深く面白いストーリーでしたよ! 誤解のないように。
本書には3話掲載されていますが、特に3話目は娯楽性が高く楽しめます。
でもたぶん本作品の一番の魅力は、主人公自身なんでしょう。
なんとまあ、びくっとするほどかわいい美少年です。特に2話目のかわいさはずるいくらい。
そしてやっぱり不思議な少年なんですね。1話目で不思議。3話目で決定的に不思議な人間です。ほんと何者なんでしょう?
既刊も読んでみようと思いました。
たぶん、タイトルから感じた不思議さと表装の少年のビジュアルから、何となくSFちっくな面白さを期待していわゆるジャケット買いしたのだと思います。
さて内容に関しては、SFちっく、と言っていいものならおおむねアタリで、というもののおおいに真面目なものでした。軽薄なボクにとっては少々堅苦しく感じたかな……。(それで、マイナス星一つです。すみません)
いやいや、興味深く面白いストーリーでしたよ! 誤解のないように。
本書には3話掲載されていますが、特に3話目は娯楽性が高く楽しめます。
でもたぶん本作品の一番の魅力は、主人公自身なんでしょう。
なんとまあ、びくっとするほどかわいい美少年です。特に2話目のかわいさはずるいくらい。
そしてやっぱり不思議な少年なんですね。1話目で不思議。3話目で決定的に不思議な人間です。ほんと何者なんでしょう?
既刊も読んでみようと思いました。
2005年10月22日に日本でレビュー済み
1話目を読んだ。最近、人がすることとは思えないような、悲しい事件が後を絶たない。私には、血も涙もない人間とは別の生き物の仕業としか思えないが
ここでは、作者は違った表現をしている。作者の表現するような人物である場合もあるし、そうでない場合もあるだろう。作者が描いたような人物であるならば、殺人者の人格でなく、田舎の少女として描かれた人格を彼女自身が育てる事ができたならば、あるいは周り育んでくれる人々がいたならば、別の人生があったのにと思う...。せつない。
ここでは、作者は違った表現をしている。作者の表現するような人物である場合もあるし、そうでない場合もあるだろう。作者が描いたような人物であるならば、殺人者の人格でなく、田舎の少女として描かれた人格を彼女自身が育てる事ができたならば、あるいは周り育んでくれる人々がいたならば、別の人生があったのにと思う...。せつない。