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カンガルー・ノート (新潮文庫) 文庫 – 1995/1/30
安部 公房
(著)
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ほとばしるブラック・ユーモア。
前衛文学の到達点。巨星が遺した最後の長編。
ある朝突然、〈かいわれ大根〉が脛に自生していた男。訪れた医院で、麻酔を打たれ意識を失くした彼は、目覚めるとベッドに括り付けられていた。硫黄温泉行きを医者から宣告された彼を載せ、生命維持装置付きのベッドは、滑らかに動き出した……。
坑道から運河へ、賽の河原から共同病室へ――果てなき冥府巡りの末に彼が辿り着いた先とは?
急逝が惜しまれる国際的作家の最後の長編!
目次
1 かいわれ大根
2 緑面の詩人
3 火炎河原
4 ドラキュラの娘
5 新交通体系の提唱
6 風の長歌
7 人さらい
『カンガルー・ノート』再読 ドナルド・キーン
本文より
ベッドごと廃棄処分され、坑道口に投げ捨てられたのは、つい二十分ほど前のことである。何かヒトデのような物が、ベッドの下でうごめいている。動力の正体だろうか。走りつづけた。
最初しばらくは、急斜面がつづき、ベッドは電気ショックにかけられた鼠みたいに跳ねまわった。さっさと壁に激突してしまわないのが、不思議なくらいだ。衝突回避用の自動操縦装置でも付いているのかな? まさか、いくら世界に知られたアトラス社製でも、ベッド本来の目的とは無関係な機能までサービスしたりするわけがない。
(「2 緑面の詩人」)
本書解説「『カンガルー・ノート』再読」より
(この作品を)二年ぶりで読み直すと、余り笑わなかった。滑稽な場面は相変らず滑稽だが、初めて読んだ時認めたくなかったテーマは今度無視できなかった。安部さんは亡くなった。何年も前から死と戦い、この小説で死を嘲笑して、死の無意義を暗示したが、勝負は死の勝利に終った。
『カンガルー・ノート』は決して読みづらい小説ではない。次々物語られる夢は皆面白く、安部さんの文章は生き生きしている。どんなに哀れな場面が描かれても何か読者を笑わせる個所が必ずちりばめてある。
――ドナルド・キーン(コロンビア大学名誉教授)
安部公房(1924-1993)
東京生れ。東京大学医学部卒。1951(昭和26)年「壁」で芥川賞を受賞。1962年に発表した『砂の女』は読売文学賞を受賞したほか、フランスでは最優秀外国文学賞を受賞。その他、戯曲「友達」で谷崎潤一郎賞、『緑色のストッキング』で読売文学賞を受賞するなど、受賞多数。1973年より演劇集団「安部公房スタジオ」を結成、独自の演劇活動でも知られる。海外での評価も極めて高く、1992(平成4)年にはアメリカ芸術科学アカデミー名誉会員に。1993年急性心不全で急逝。
前衛文学の到達点。巨星が遺した最後の長編。
ある朝突然、〈かいわれ大根〉が脛に自生していた男。訪れた医院で、麻酔を打たれ意識を失くした彼は、目覚めるとベッドに括り付けられていた。硫黄温泉行きを医者から宣告された彼を載せ、生命維持装置付きのベッドは、滑らかに動き出した……。
坑道から運河へ、賽の河原から共同病室へ――果てなき冥府巡りの末に彼が辿り着いた先とは?
急逝が惜しまれる国際的作家の最後の長編!
目次
1 かいわれ大根
2 緑面の詩人
3 火炎河原
4 ドラキュラの娘
5 新交通体系の提唱
6 風の長歌
7 人さらい
『カンガルー・ノート』再読 ドナルド・キーン
本文より
ベッドごと廃棄処分され、坑道口に投げ捨てられたのは、つい二十分ほど前のことである。何かヒトデのような物が、ベッドの下でうごめいている。動力の正体だろうか。走りつづけた。
最初しばらくは、急斜面がつづき、ベッドは電気ショックにかけられた鼠みたいに跳ねまわった。さっさと壁に激突してしまわないのが、不思議なくらいだ。衝突回避用の自動操縦装置でも付いているのかな? まさか、いくら世界に知られたアトラス社製でも、ベッド本来の目的とは無関係な機能までサービスしたりするわけがない。
(「2 緑面の詩人」)
本書解説「『カンガルー・ノート』再読」より
(この作品を)二年ぶりで読み直すと、余り笑わなかった。滑稽な場面は相変らず滑稽だが、初めて読んだ時認めたくなかったテーマは今度無視できなかった。安部さんは亡くなった。何年も前から死と戦い、この小説で死を嘲笑して、死の無意義を暗示したが、勝負は死の勝利に終った。
『カンガルー・ノート』は決して読みづらい小説ではない。次々物語られる夢は皆面白く、安部さんの文章は生き生きしている。どんなに哀れな場面が描かれても何か読者を笑わせる個所が必ずちりばめてある。
――ドナルド・キーン(コロンビア大学名誉教授)
安部公房(1924-1993)
東京生れ。東京大学医学部卒。1951(昭和26)年「壁」で芥川賞を受賞。1962年に発表した『砂の女』は読売文学賞を受賞したほか、フランスでは最優秀外国文学賞を受賞。その他、戯曲「友達」で谷崎潤一郎賞、『緑色のストッキング』で読売文学賞を受賞するなど、受賞多数。1973年より演劇集団「安部公房スタジオ」を結成、独自の演劇活動でも知られる。海外での評価も極めて高く、1992(平成4)年にはアメリカ芸術科学アカデミー名誉会員に。1993年急性心不全で急逝。
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1995/1/30
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101121249
- ISBN-13978-4101121246
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (1995/1/30)
- 発売日 : 1995/1/30
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 256ページ
- ISBN-10 : 4101121249
- ISBN-13 : 978-4101121246
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 29,981位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2022年8月6日に日本でレビュー済み
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なにこれ、と言う感じで、読んでいました。
2017年1月29日に日本でレビュー済み
「脚にカイワレ大根が生えてくる男の話」だけでは到底収まらないほど壮大な物語だった
2017年8月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
フィクションと承知したうえで読んでいるのですが、描写が結構リアルでドキッとしてしまいます。たとえば、3.火災河原、温泉地の河原で、市の観光課主導の下、保育園児が賽の河原の石積みのパフォーマンスを演じ、見物客に寄付を乞うシーン、本当にどこかの温泉地で行われている錯覚に陥ってしまいます。4.ドラキュラの娘、採血がやたらと上手くて、採血マシーンと化すことを自分のレーゾンデートルとしている看護婦もどこかにいそうです。6.風の長歌、入院患者たちが、院外からトリカブトを手に入れて、夜間に騒々しい高齢の(末期)患者を殺害する計画を立て実行する。なぜかリアルです。
ところどころ出てくる「カンガルー」という言葉がいいアクセントです。
ところどころ出てくる「カンガルー」という言葉がいいアクセントです。
2008年11月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
作者が死の床での想いを幻想とも寓話とも付かぬ形で綴った遺作。当然ながら作品には"死のイメージ"が付き纏うが、同時に死に対する反骨心も感じられ胸を打つ。主人公の脛に突然"かいわれ大根"が生えて来たと言うのが発端。
意志疎通が出来ない医師、得体の知れない採血魔の看護婦、点滴の袋・チューブ、点滴による膀胱への刺激、鎮まらぬ性欲、自動的に動き出すベッド、そのベッドと小便袋から離れられない主人公。全て作者の入院生活を反映しているかのようである。"かいわれ大根"は腫瘍の象徴か ? そして、この病気を治すには硫黄泉療法が良いと医者は言う。嫌でも"黄泉"を想起させる。その硫黄泉へ行くベッドでの旅も戯画的に描かれる。雌烏賊との格闘、父が残した荒唐無稽な本、その姿のまま買い物をする主人公、支払いに困っている主人公を救う件の看護婦。P.フロイドの「鬱」まで言及される。やがて主人公は地獄谷に辿り付くが、そこには子鬼が居て、ここは賽の河原だと言う。自虐的な設定と言え、死の恐怖・不安を自らの筆で吹き飛ばす意図が感じられる。死んだ母との再会の場に再び現れる件の看護婦。神出鬼没で笑わせるし、ドラキュラの話題も出る。そして、周辺に立ち並ぶ看板には、「六十五歳以上の自殺」、「日本尊厳死協会」、「日本安楽死クラブ」等の文字が。更に、看護婦の恋人で事故死をテーマにするアメリカ人の青年"キラー"も登場する。作者が"死"の矮小化を図っているのは明らかである。主人公は脳震盪のため別の病院に再入院するが、そこでの安楽死と尊厳死の問題は心を寒々とさせる。生きる事の意味を考えさせる挿話。最後に現れる"箱"はやはり柩か。P.フロイド「エコーズ」の神秘感が死を前にした時の心境なのか ?
ベッドに根付いた病人の幻想として読んでも楽しめるが、やはり作者の計算尽くの「死の克服」物語と見るべきであろう。自らの境遇を客観化して文学に昇華した傑作。
意志疎通が出来ない医師、得体の知れない採血魔の看護婦、点滴の袋・チューブ、点滴による膀胱への刺激、鎮まらぬ性欲、自動的に動き出すベッド、そのベッドと小便袋から離れられない主人公。全て作者の入院生活を反映しているかのようである。"かいわれ大根"は腫瘍の象徴か ? そして、この病気を治すには硫黄泉療法が良いと医者は言う。嫌でも"黄泉"を想起させる。その硫黄泉へ行くベッドでの旅も戯画的に描かれる。雌烏賊との格闘、父が残した荒唐無稽な本、その姿のまま買い物をする主人公、支払いに困っている主人公を救う件の看護婦。P.フロイドの「鬱」まで言及される。やがて主人公は地獄谷に辿り付くが、そこには子鬼が居て、ここは賽の河原だと言う。自虐的な設定と言え、死の恐怖・不安を自らの筆で吹き飛ばす意図が感じられる。死んだ母との再会の場に再び現れる件の看護婦。神出鬼没で笑わせるし、ドラキュラの話題も出る。そして、周辺に立ち並ぶ看板には、「六十五歳以上の自殺」、「日本尊厳死協会」、「日本安楽死クラブ」等の文字が。更に、看護婦の恋人で事故死をテーマにするアメリカ人の青年"キラー"も登場する。作者が"死"の矮小化を図っているのは明らかである。主人公は脳震盪のため別の病院に再入院するが、そこでの安楽死と尊厳死の問題は心を寒々とさせる。生きる事の意味を考えさせる挿話。最後に現れる"箱"はやはり柩か。P.フロイド「エコーズ」の神秘感が死を前にした時の心境なのか ?
ベッドに根付いた病人の幻想として読んでも楽しめるが、やはり作者の計算尽くの「死の克服」物語と見るべきであろう。自らの境遇を客観化して文学に昇華した傑作。
2020年10月26日に日本でレビュー済み
20代前半に安部公房にハマりました。特に好きな作品が、最後の3作品。「方舟さくら丸」「カンガルー・ノート」「飛ぶ男」。「飛ぶ男」は未完なので、当作品が実質遺作となります。
・社内の公募企画に「カンガルー・ノート」とだけ書いたものを提出したら、採用されてしまった。カンガルー・ノートってなに?
・脛からかいわれ大根が生えてきたから病院へ。
・病院であてがわれたキャスター付きのベッドが勝手に動き出だした。行き先は地獄。
というストーリー。
地獄の風景は不気味かつどこかユーモラス。恐らく、作者が見た夢がモチーフになっていると思われます。
並の作家では思いつかないようなイマジネーションの世界に浸るのが、この作品の楽しみ方の一つかと思います。
遺作となったこの作品、主人公が死の直前に見た幻覚と解釈しましたが、作者は自分の死期が近いことを感じていたのでしょうか。
作品内で語られなかった、その他の夢の断片などが記載されているであろう作品メモも読んでみたい。ぜひ発表してほしい。
この作品を読む前、「左手親指の付け根から雑草が生え、それを引き抜くとぽっかり穴が開き、中を覗くとそこは空洞だった」という不気味な夢を見ました。この作品を読み、その夢を思い出し、その夢が忘れられない記憶にw。
また、この作品を読んでから夢日記をつけたり、バンド名を「kangaroonote」にしたりと影響されまくりでした。
・社内の公募企画に「カンガルー・ノート」とだけ書いたものを提出したら、採用されてしまった。カンガルー・ノートってなに?
・脛からかいわれ大根が生えてきたから病院へ。
・病院であてがわれたキャスター付きのベッドが勝手に動き出だした。行き先は地獄。
というストーリー。
地獄の風景は不気味かつどこかユーモラス。恐らく、作者が見た夢がモチーフになっていると思われます。
並の作家では思いつかないようなイマジネーションの世界に浸るのが、この作品の楽しみ方の一つかと思います。
遺作となったこの作品、主人公が死の直前に見た幻覚と解釈しましたが、作者は自分の死期が近いことを感じていたのでしょうか。
作品内で語られなかった、その他の夢の断片などが記載されているであろう作品メモも読んでみたい。ぜひ発表してほしい。
この作品を読む前、「左手親指の付け根から雑草が生え、それを引き抜くとぽっかり穴が開き、中を覗くとそこは空洞だった」という不気味な夢を見ました。この作品を読み、その夢を思い出し、その夢が忘れられない記憶にw。
また、この作品を読んでから夢日記をつけたり、バンド名を「kangaroonote」にしたりと影響されまくりでした。
2020年10月18日に日本でレビュー済み
読み終わって既に何日も経っているのですが、作中に明滅していたイメージがふと脳裏をよぎったりして、意外に尾を引く余韻があります。夢そのものの、現実の文脈を断ち切るイメージの迫力が、安部公房の筆力によって見事に束ねられています。
しかしそこで束ねられて向かう所が、他の作品で見られた文明批評や人間存在への問いかけではなく、直接的に「死」であるところがこの作品の特色なのでしょう。
しかしさすがのこの作家にとっても、死を直視することには躊躇があったのでしょうか。作中に随所に表れる滑稽と汚穢の表現によって茶化されて、なおのことグロテスクで有無を言わさぬ死の重みが読み手にも迫ってくる気がします。賽の河原での情景などにしても、日本的な湿っぽさが微塵もなく、やがて嗤うしかなくなる死の不条理に、読み手も苦い笑いを強いられる感じです。
(オタスケ オタスケ オタスケヨ オネガイダカラ タスケテヨ)
この間の抜けたコーラスに、私たち全てが逃れることのできない死への私たち全ての無力さに対する、可笑しさと懐かしさが込められているかのようです。
しかしそこで束ねられて向かう所が、他の作品で見られた文明批評や人間存在への問いかけではなく、直接的に「死」であるところがこの作品の特色なのでしょう。
しかしさすがのこの作家にとっても、死を直視することには躊躇があったのでしょうか。作中に随所に表れる滑稽と汚穢の表現によって茶化されて、なおのことグロテスクで有無を言わさぬ死の重みが読み手にも迫ってくる気がします。賽の河原での情景などにしても、日本的な湿っぽさが微塵もなく、やがて嗤うしかなくなる死の不条理に、読み手も苦い笑いを強いられる感じです。
(オタスケ オタスケ オタスケヨ オネガイダカラ タスケテヨ)
この間の抜けたコーラスに、私たち全てが逃れることのできない死への私たち全ての無力さに対する、可笑しさと懐かしさが込められているかのようです。
2016年4月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
久しぶりに「小説」を読んだが、氏の本はこれで二冊目ぐらい。
以前読んだ際はチンプンカンプンで終わったが、今回、人に勧め
られて読んだものの、やはりわからない。ただ、自分とあまりに違う
タイプなだけに、頭の体操にはなった。
さて、同時代作家、三島由紀夫と違い、氏は日本人的でない感性
の持ち主だが、氏の文学もまた三島同様、世界文学足り得ると感じた。
以前読んだ際はチンプンカンプンで終わったが、今回、人に勧め
られて読んだものの、やはりわからない。ただ、自分とあまりに違う
タイプなだけに、頭の体操にはなった。
さて、同時代作家、三島由紀夫と違い、氏は日本人的でない感性
の持ち主だが、氏の文学もまた三島同様、世界文学足り得ると感じた。