パラシュートとは、1980~82年にかけて活動した、スーパーJ-フュージョンバンド。
ドラマー・林立夫を中心に、パーカッション・斉藤ノブ、キーボード・安藤芳彦、ベース・マイク・ダン、ギター・松原正樹と今剛(キーボードに小林泉美か井上鑑が在籍の時期もあり)というメンバーで、今となっては、「どうしてこんなに豪華なの?」と感嘆と溜息せずにはいられないほど。
本アルバムは、そんな伝説のスーパーバンドの、80年暮れに発表された2枚目のアルバム(全4枚発表されたうち)。
パラシュートの代表曲ともいえる、哀愁のエレキギターインスト「HERCULES」をはじめ、バラエティーに富んだ曲が並ぶが、特筆すべきは、松原と今の、華麗なテクニックと阿吽の呼吸によるツインギターだろう。
アルバム全体の!ト!ーンとして感じられるのは、80年前後の時代ならではの、「少しでも洋楽に近づきたい」という強い羨望・志向性である。
パラシュートの場合、それは、当時の米ロサンゼルス界隈で盛んだった、いわゆるフュージョン・AORに対してだったと思われる。
だから、本アルバムは、一聴すると「まるで洋楽」である。
と同時に、洋楽に対する深い敬意に満ちており、また、洋楽というモデルを追わざるを得ないことへの逡巡、反省すら感じられる。
発表されてから20年以上過ぎた現在、本アルバムを聴くと、当時の空気感や、ミュージシャンたちの音楽に対する真摯な姿勢が伝わってくる。
もちろん、そんな小理屈抜きに、80年当時の米西海岸を彷彿させる、心地よいサウンドに素直に耳を傾ければ、フュージョン・AOR・ソフ!ト!ロックファンならば、必ずや気に入るはず。