現下の政界の動きを見るにつけ、一強と呼ばれる体制のなんと危ういことか・・・
理想と現実のはざまで、当事者たちの苦悩が垣間見え、貴重な文献と思います。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
民主党政権とは何だったのか――キーパーソンたちの証言 単行本 – 2014/7/31
民主党政権はなぜ失敗し、そこに、どんな教訓や可能性があるのか。鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦の首相経験者をはじめ、民主党政権を担った主要な政治家12人へのインタビューを、政権交代前の時期から各政権の課題ごとに整理する。当事者たちが当時の内情を率直に語る本書は、民主党政権の限界と成果を検証する際の基本資料となるだろう。
- 本の長さ312ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2014/7/31
- 寸法13.5 x 3.1 x 19.5 cm
- ISBN-104000248731
- ISBN-13978-4000248730
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2014/7/31)
- 発売日 : 2014/7/31
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 312ページ
- ISBN-10 : 4000248731
- ISBN-13 : 978-4000248730
- 寸法 : 13.5 x 3.1 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 214,778位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2018年5月1日に日本でレビュー済み
筆者の山口二郎氏は旧民主党政権やその流れを汲む人たちの応援者として有名ですが、なぜか安倍政権のことは大嫌いです。一国の総理大臣に対して『お前は人間じゃない、叩き斬ってやる』などとまるで破れ傘刀舟のように叫んでいた人です。日本政治学会理事とか法政大学教授がどれほど権威があってそれなりの業績があるのかわかりませんが、法学や政治学の研究に6億円もの巨費がかかるとは思いもよりませんでした。これは科学技術研究費として国から助成を受けたものですが、同時期の京大・山中教授へのそれは2億5千万円だったそうです。それでも不十分と山中教授は研究チームの雇用確保のために、各方面に忙しく活動されてましたね。山口氏周辺は6億円は正当な金額と強弁しているようです。一方では失明の危機に接して1日も早い臨床実験の成功を心待ちにする患者と十分ではない予算の中でその技術の汎用化を模索する研究者たち、対局では『闘う政治学者』などとうそぶき反政府デモでアジる大学教授。本書はある意味、そんな学者に自己の利益追求のための天下り横行や既得権益死守のための獣医学部新設妨害をしてきた文科省が後援した書籍ということになりますね。私は本書を購入すると山口氏の印税が発生するのを良しとはしませんので購入はしませんし読んでもいません。従いまして評価は☆3つの普通とさせていただきます。
2016年1月11日に日本でレビュー済み
民主党政権を振り返る事は、これからの日本の政治を考える上で絶対に必要になる事だと思う。
自民党という日本を牛耳ってきた政党が機能不全に陥り、国民は変革を求めた。
それがあってこその民主党政権だったので、この失敗を次に活かさないと、この国の政治は自民党固定と化してしまう。
そういう想いでこの本を読んだ。民主党の当事者たちはどう考えているのか。どう反省したのか。次をどうしようと考えているのか。
それぞれの立場はあるのだろうが、全編通してスッキリした感じは一切しない。
あの時のあの判断は政権としてこう考えたらこうした。という種明かしは無く、各々の議員が「私はこう考えていたんですよ」と
自己防衛を語るレベルで終わってしまっている。多くの事象で誰が本当を話しているのか分からなくなる時がある。
それくらい言っている事がバラバラだ。
個人的には非議員の片山氏は比較的本当を語っているように感じたが、震災時の補正予算の攻防なんかでは野田元財務相や菅元首相と当時の記憶や話が食い違う。
民主党の再生には、この政権時の反省をしっかりとする事だ。各々が本当の事を話し合い、ちゃんと修正をする。
それにはこの場面は○○が悪かった、という犯人探しをせざるを得ないだろう。しかしそれをしないと責任がハッキリしない。
この本に登場する人物たちが「あの場面は私に責任がある」と反省をしないかぎり、民主党に再生はない。
自民党という日本を牛耳ってきた政党が機能不全に陥り、国民は変革を求めた。
それがあってこその民主党政権だったので、この失敗を次に活かさないと、この国の政治は自民党固定と化してしまう。
そういう想いでこの本を読んだ。民主党の当事者たちはどう考えているのか。どう反省したのか。次をどうしようと考えているのか。
それぞれの立場はあるのだろうが、全編通してスッキリした感じは一切しない。
あの時のあの判断は政権としてこう考えたらこうした。という種明かしは無く、各々の議員が「私はこう考えていたんですよ」と
自己防衛を語るレベルで終わってしまっている。多くの事象で誰が本当を話しているのか分からなくなる時がある。
それくらい言っている事がバラバラだ。
個人的には非議員の片山氏は比較的本当を語っているように感じたが、震災時の補正予算の攻防なんかでは野田元財務相や菅元首相と当時の記憶や話が食い違う。
民主党の再生には、この政権時の反省をしっかりとする事だ。各々が本当の事を話し合い、ちゃんと修正をする。
それにはこの場面は○○が悪かった、という犯人探しをせざるを得ないだろう。しかしそれをしないと責任がハッキリしない。
この本に登場する人物たちが「あの場面は私に責任がある」と反省をしないかぎり、民主党に再生はない。
2014年11月14日に日本でレビュー済み
またぞろ国政選挙の季節がやってきそうだ。今回の選挙は将来の投票相場を
見越した票の先物買いである。ヘッジファンドがありなら、ヘッジ選挙もあ
りなのだろう。
それはともかく、あの3年3ヶ月の民主党政権は酷かった。2009年の衆院選
挙にあたって、民主党が繰り出してきたマニフェストの項目の数々。普通の
常識ある人間なら、財源の保障もなくそんなことは不可能、あるいは何かの
犠牲が伴うと思ったことだ。しかし、よく集う高校時代の同級生(皆一流大
学を出て、一流企業の管理職経験者)は、私を含め7人のうち2人が「これは
政治的詐欺だ」というのに対して、「面白いから一度やらせて見よう」とい
う考えだった。
そんな有権者の投票の結果、発足した民主党政権の実態はどうだったのだ
ろう。すでに終わったメディアのおもてにさらされたドタバタの数々、この
本では当事者に対するインタビューを通じてアキレタ事実が詳らかにされる。
インタビューイーは岡田克也、片山義博、菅直人、斎藤頸、仙石由人、辻本
清美、直嶋正行、野田佳彦、鳩山由紀夫、福山哲郎、松井孝治、峰崎直樹の
各位である。小沢一郎、藤井裕久、平野博文の3人が欠けているのは残念だ。
政権獲得までの準備期間と発足した鳩山内閣の実態を本書の証言にもとづ
いて眺めて見よう。民主党がマニフェスト選挙を模索しはじめたのは2003年、
小沢一郎の自由党を吸収し、反自民の大集団となってからである。綱領もな
い種種雑多な政治集団の集まりが纏まるためにも必要だったのだろう。野党
から見た当時の政権の問題点を拾い出し80項目くらいのマニフェストが作ら
れたと言う。その後、党首が変わるごとに2005,2007,2009年とバージョンア
ップが計られて行く。2009年の衆院選を控えて小沢は「もっと簡素化したメ
リハリの利いたものにしないと選挙に勝てない」とご存知の月額26,000円の
子供手当て、農家所得個別保障、高校教科書無償、などおもてに出し、財源
としての消費税には頬被りで選挙に臨んだ。鳩山を含め、多くの民主党員も
財源についての疑問は持っていたが、「一般会計と特別会計あわせて当時20
7兆円の予算から単年度9兆円位をひねり出せる」という元大蔵大臣を歴任し
た藤井裕久や政権を取ればやり方次第、という小沢を信じて踏み切った。と
ころが、あのドタバタ茶番の仕分け騒ぎで実現できたのは1兆円にも満たない
額しか捻出できなかった。それに2008年のリーマンショックの影響で生じた
税収減、にも係わらずマニフェストは国民との契約と言って突っ走る鳩山政
権。なんとも稚拙な政権運営。選挙に先立ち政権獲得後は小沢党首が総理就
任の暗黙理解があったが、政治資金規正法の問題で急遽、鳩山総理が実現し
てしまう。民主党は以前より、政権獲得後のネクスト・キャビネット構想を
持って、閣僚候補のシミュレーションをしていたようだが、選挙後には白紙
にして、鳩山一任ということになった。選挙から組閣までの3週間、鳩山は
国連でのCO2削減演説準備に没頭する。このことは鳩山も認めていてマニフ
ェストがあるから「大臣はそれに沿ってやるべきだ」として政策のすりあわ
せや統治の仕組みに時間を割かなかったことを反省している。こんな当たり
前のことがされていないとはアキレルばかりだ。鳴り物入りの国家戦略担当
を拝命した菅直人も総理とは別のベクトルだ。
そもそも鳩山の初期の政権構想の下書きをしてきたのは、松井孝治、福山
哲郎の両氏のようだ。劇作家の平田オリザを入れて作られた歯の浮くような
所信表明演説「いのちを守る政治」など、日本の経済・外交を動かしている
多くの人達にとって、「総理は世の中を知っているのか」と言う印象しか与
えなかったのではないか。迷走は続々と続く。「友愛の海」の東アジア共同
体構想、普天間基地移設問題、願望の羅列だ。このあと、本書では菅政権、
野田政権の話と続くが、東日本大震災後の話は民主党特有のものではない、
としてコメントを控える。
一体民主党には人材がいないのか?いるかもしれないが、数が自民党にく
らべて圧倒的に少ない。多様な党員を統率するコンセプト、リーダーが不在、
これではいくら政治主導の旗をかかげても実現不可だ。
では日本に社会民主主義を目指す大政党は実現するのだろうか?
NHK BS スペシャルで「社会民主主義は退潮しているか」というドイツの制
作会社が2014年に制作した番組が放映された。SPD(ドイツ社会民主党)で
のシュレーダーの失政、イギリス労働党のトニー・ブレアの敗北、現フラン
ス社会党のフランソワ・オランドの不人気等が報道されている。弱者救済が
本来の政党が何故国民に支持されないのか。日本での成功は望めるのだろう
か!!!!!
見越した票の先物買いである。ヘッジファンドがありなら、ヘッジ選挙もあ
りなのだろう。
それはともかく、あの3年3ヶ月の民主党政権は酷かった。2009年の衆院選
挙にあたって、民主党が繰り出してきたマニフェストの項目の数々。普通の
常識ある人間なら、財源の保障もなくそんなことは不可能、あるいは何かの
犠牲が伴うと思ったことだ。しかし、よく集う高校時代の同級生(皆一流大
学を出て、一流企業の管理職経験者)は、私を含め7人のうち2人が「これは
政治的詐欺だ」というのに対して、「面白いから一度やらせて見よう」とい
う考えだった。
そんな有権者の投票の結果、発足した民主党政権の実態はどうだったのだ
ろう。すでに終わったメディアのおもてにさらされたドタバタの数々、この
本では当事者に対するインタビューを通じてアキレタ事実が詳らかにされる。
インタビューイーは岡田克也、片山義博、菅直人、斎藤頸、仙石由人、辻本
清美、直嶋正行、野田佳彦、鳩山由紀夫、福山哲郎、松井孝治、峰崎直樹の
各位である。小沢一郎、藤井裕久、平野博文の3人が欠けているのは残念だ。
政権獲得までの準備期間と発足した鳩山内閣の実態を本書の証言にもとづ
いて眺めて見よう。民主党がマニフェスト選挙を模索しはじめたのは2003年、
小沢一郎の自由党を吸収し、反自民の大集団となってからである。綱領もな
い種種雑多な政治集団の集まりが纏まるためにも必要だったのだろう。野党
から見た当時の政権の問題点を拾い出し80項目くらいのマニフェストが作ら
れたと言う。その後、党首が変わるごとに2005,2007,2009年とバージョンア
ップが計られて行く。2009年の衆院選を控えて小沢は「もっと簡素化したメ
リハリの利いたものにしないと選挙に勝てない」とご存知の月額26,000円の
子供手当て、農家所得個別保障、高校教科書無償、などおもてに出し、財源
としての消費税には頬被りで選挙に臨んだ。鳩山を含め、多くの民主党員も
財源についての疑問は持っていたが、「一般会計と特別会計あわせて当時20
7兆円の予算から単年度9兆円位をひねり出せる」という元大蔵大臣を歴任し
た藤井裕久や政権を取ればやり方次第、という小沢を信じて踏み切った。と
ころが、あのドタバタ茶番の仕分け騒ぎで実現できたのは1兆円にも満たない
額しか捻出できなかった。それに2008年のリーマンショックの影響で生じた
税収減、にも係わらずマニフェストは国民との契約と言って突っ走る鳩山政
権。なんとも稚拙な政権運営。選挙に先立ち政権獲得後は小沢党首が総理就
任の暗黙理解があったが、政治資金規正法の問題で急遽、鳩山総理が実現し
てしまう。民主党は以前より、政権獲得後のネクスト・キャビネット構想を
持って、閣僚候補のシミュレーションをしていたようだが、選挙後には白紙
にして、鳩山一任ということになった。選挙から組閣までの3週間、鳩山は
国連でのCO2削減演説準備に没頭する。このことは鳩山も認めていてマニフ
ェストがあるから「大臣はそれに沿ってやるべきだ」として政策のすりあわ
せや統治の仕組みに時間を割かなかったことを反省している。こんな当たり
前のことがされていないとはアキレルばかりだ。鳴り物入りの国家戦略担当
を拝命した菅直人も総理とは別のベクトルだ。
そもそも鳩山の初期の政権構想の下書きをしてきたのは、松井孝治、福山
哲郎の両氏のようだ。劇作家の平田オリザを入れて作られた歯の浮くような
所信表明演説「いのちを守る政治」など、日本の経済・外交を動かしている
多くの人達にとって、「総理は世の中を知っているのか」と言う印象しか与
えなかったのではないか。迷走は続々と続く。「友愛の海」の東アジア共同
体構想、普天間基地移設問題、願望の羅列だ。このあと、本書では菅政権、
野田政権の話と続くが、東日本大震災後の話は民主党特有のものではない、
としてコメントを控える。
一体民主党には人材がいないのか?いるかもしれないが、数が自民党にく
らべて圧倒的に少ない。多様な党員を統率するコンセプト、リーダーが不在、
これではいくら政治主導の旗をかかげても実現不可だ。
では日本に社会民主主義を目指す大政党は実現するのだろうか?
NHK BS スペシャルで「社会民主主義は退潮しているか」というドイツの制
作会社が2014年に制作した番組が放映された。SPD(ドイツ社会民主党)で
のシュレーダーの失政、イギリス労働党のトニー・ブレアの敗北、現フラン
ス社会党のフランソワ・オランドの不人気等が報道されている。弱者救済が
本来の政党が何故国民に支持されないのか。日本での成功は望めるのだろう
か!!!!!
2014年8月13日に日本でレビュー済み
本書については優れたインタヴューだと思う。
それよりも、前のレヴューは「小沢信者の民主党政権の総括」として読める。
アメリカと、官僚と、既得権益層。が彼らの「敵」らしい。
が、どうみてもシャドウボクシングなのは傍から見ていて痛々しい。
その意味で小沢氏のインタヴューがないのは残念。
だけど、本当に読んで書いているのだろうか?
それよりも、前のレヴューは「小沢信者の民主党政権の総括」として読める。
アメリカと、官僚と、既得権益層。が彼らの「敵」らしい。
が、どうみてもシャドウボクシングなのは傍から見ていて痛々しい。
その意味で小沢氏のインタヴューがないのは残念。
だけど、本当に読んで書いているのだろうか?
2016年5月1日に日本でレビュー済み
民主党政権(正式には民主党・社民党・国民新党による連立政権。鳩山政権末期には社民党が政権から離脱)といえば、方向性が定まらず、いつも党内抗争をしているという印象しかなかった。そこをつくかのように中国漁船衝突事故や東日本大震災という禍が舞い込み、消費税で息の根が止められた、そんな流れだったように記憶している。兎に角酷かった。しかし、酷かったと他人事のように言う資格はこちらにはない。なにしろ、民主党政権を誕生させてしまった、1億人余りいる有権者のひとりだからだ。
この本についてはやや辛めの点をつける。政権運営に携わった側の証言本という体裁であるが、山口二郎という人が民主党に甘いんじゃないかという視点を持っていること(民主党を感情論的に批判しているが、その批判が批判になっていない政治右派や経済右派のスタンスにいる人からすれば至極まともに見えるだけか)や、当事者からの証言だけでは民主党政権を総括したことにはならないからだ。それは慰安婦に関する「官房長官談話」として発表されたものが、旧慰安婦の証言を元に作られたのではないかという疑念が持たれたからである。そもそも、証言なんか「思い込み」なり「記憶違い(意図的ものでも)」が邪魔をして、真実にたどり着く邪魔をしてしまうことがあるからだ。
この本のレビューには小沢一郎の証言を求める人がいる。政権運営当時、小沢一郎がどういうスタンスにいたのかがわかれば、むしろ小沢に出頭願わなくてもよかったと思っている。小沢については、彼を批判する中西輝政らの他に、小沢のシンパである平野貞夫の本を読めばいいことだ。ただ、日本政治の実力者である小沢一郎をてなづけられなかった人間がひとりもいなかったことがこの政権の失敗のひとつと考えるのは私だけか。彼の考えについていけず、彼のマイナス(ものぐさなところなど)だけをみて彼に失望し、袂を分かった政治家はどのくらいいるだろうか。民主党政権にいる人間たちの大半はそうであったと思う。彼の思惑に反してマヌケな言動をし、2010年参院選の敗北が政権崩壊の序章だったのだから。
当時野党にいた自民党の「酷さ」がわかったのもこの政権のお蔭だ。悪いが、今の日本の政治家にはすぐれたアイディアを出し、外国と対等に渡り合えるような人材はいない。権力者や金持ちの言うことをきき、アメリカの言うことを守っていれば、総理大臣や政治家でいられるのだから。かくして日本は「三流国家」への道をひた走るのである。
この本についてはやや辛めの点をつける。政権運営に携わった側の証言本という体裁であるが、山口二郎という人が民主党に甘いんじゃないかという視点を持っていること(民主党を感情論的に批判しているが、その批判が批判になっていない政治右派や経済右派のスタンスにいる人からすれば至極まともに見えるだけか)や、当事者からの証言だけでは民主党政権を総括したことにはならないからだ。それは慰安婦に関する「官房長官談話」として発表されたものが、旧慰安婦の証言を元に作られたのではないかという疑念が持たれたからである。そもそも、証言なんか「思い込み」なり「記憶違い(意図的ものでも)」が邪魔をして、真実にたどり着く邪魔をしてしまうことがあるからだ。
この本のレビューには小沢一郎の証言を求める人がいる。政権運営当時、小沢一郎がどういうスタンスにいたのかがわかれば、むしろ小沢に出頭願わなくてもよかったと思っている。小沢については、彼を批判する中西輝政らの他に、小沢のシンパである平野貞夫の本を読めばいいことだ。ただ、日本政治の実力者である小沢一郎をてなづけられなかった人間がひとりもいなかったことがこの政権の失敗のひとつと考えるのは私だけか。彼の考えについていけず、彼のマイナス(ものぐさなところなど)だけをみて彼に失望し、袂を分かった政治家はどのくらいいるだろうか。民主党政権にいる人間たちの大半はそうであったと思う。彼の思惑に反してマヌケな言動をし、2010年参院選の敗北が政権崩壊の序章だったのだから。
当時野党にいた自民党の「酷さ」がわかったのもこの政権のお蔭だ。悪いが、今の日本の政治家にはすぐれたアイディアを出し、外国と対等に渡り合えるような人材はいない。権力者や金持ちの言うことをきき、アメリカの言うことを守っていれば、総理大臣や政治家でいられるのだから。かくして日本は「三流国家」への道をひた走るのである。
2015年5月9日に日本でレビュー済み
小沢一郎さんのインタビューさえあればもう☆五つでしたね。大いに期待を背負った新政権の迷走と崩壊の真相は、分裂のもう一方の証言あって初めて正しく見えてくるものかと思うので。一読して思ったことは、要するに民主党政権の実態は、細川連立政権のときとさほど変わらない「小沢党と非小沢党の連立政権」であったのではないかということ。
ここ20年の移行過程は若手の論客をそろえた民主党という確かに素晴らしい政党を生んだが、いまだ本格的に政権を奪取できる組織的体質ができていなかったところに、小沢一郎さんの組織運営能力を無理やり接ぎ木したことにより、組織内部の統合という点で無理を抱えていたということなのかなと。細川連立政権のときと本質的には同じだったのではないかと。一読して自分なりに整理するとそんなところです。
不思議なもので、内部の非統合ということであれば、かつての自民党も結党時はバラバラの政党の接ぎ木だったし、吉田系統の方々と鳩山系統の方々、はたまた三木一派等強烈な個性の方々の間にはそうとうの感情的軋轢があったことは残る証言からして間違いない。それでも一党としてまとまった。常に分裂の危険性を抱えていたのも事実かとは思うが、最終的には回避されている。小沢一郎さんが主導してきたこれまでの政党再編の20年間の歴史過程は自民党の成立過程と比較して考えると興味深い問題を浮かび上がらせているように思う。
ここ20年の移行過程は若手の論客をそろえた民主党という確かに素晴らしい政党を生んだが、いまだ本格的に政権を奪取できる組織的体質ができていなかったところに、小沢一郎さんの組織運営能力を無理やり接ぎ木したことにより、組織内部の統合という点で無理を抱えていたということなのかなと。細川連立政権のときと本質的には同じだったのではないかと。一読して自分なりに整理するとそんなところです。
不思議なもので、内部の非統合ということであれば、かつての自民党も結党時はバラバラの政党の接ぎ木だったし、吉田系統の方々と鳩山系統の方々、はたまた三木一派等強烈な個性の方々の間にはそうとうの感情的軋轢があったことは残る証言からして間違いない。それでも一党としてまとまった。常に分裂の危険性を抱えていたのも事実かとは思うが、最終的には回避されている。小沢一郎さんが主導してきたこれまでの政党再編の20年間の歴史過程は自民党の成立過程と比較して考えると興味深い問題を浮かび上がらせているように思う。