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砂上 単行本 – 2017/9/29
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空が色をなくした冬の北海道・江別。柊令央は、ビストロ勤務で得る数万円の月収と、元夫から振り込まれる慰謝料で細々と暮らしていた。いつか作家になりたい。そう思ってきたものの、夢に近づく日はこないまま、気づけば四十代に突入していた。ある日、令央の前に一人の編集者が現れる。「あなた今後、なにがしたいんですか」。責めるように問う小川乙三との出会いを機に、令央は母が墓場へと持っていったある秘密を書く決心をする。だがそれは、母親との暮らしを、そして他人任せだった自分のこれまでを直視する日々の始まりだった。自分は母親の人生を肯定できるのか。そして小説を書き始めたことで変わっていく人間関係。書くことに取り憑かれた女はどこへ向かうのか。
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2017/9/29
- 寸法13.5 x 1.9 x 19.5 cm
- ISBN-104041046009
- ISBN-13978-4041046005
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
小説家・桜木紫乃が覚悟を決めて書いた“書き手と編集者の話"
北海道江別市。小説の主人公・柊令央(ひいらぎれお)と作者・桜木さんがともに暮らす街だ。
「令央が働くビストロも江別駅前に実際にあるんですよ。直木賞をいただいた後、身辺が慌ただしくなって、食事をしていても砂を噛んでいるような気しかしない日々が続きまして。ある日、おいしいものを食べたいな、とこのお店に入った。支払いを終えて外に出た時、景色が違って見えたんです。私、まだこの街に居ていいんだな、と思えました。もちろん、豹柄ガーターベルトの人妻と遊んでいるシェフは現実にはいません(笑)」
令央は40歳、元夫からの慰謝料と中学の同級生が営むビストロの手伝いで生計をたてている。実母が遺した木造一軒家に一人暮らし、小説等の投稿を続ける冴えない日々。異変をもたらしたのは、編集者・小川乙三(おとみ)の来道だった。令央は彼女の属する女性誌の「母娘エッセイ大賞」に応募し、最優秀賞を逃していた。乙三はのっけから「主体性のなさって、文章に出ますよね」と切り出す。令央の過去の新人賞応募原稿まで読んでいた乙三は、2年前の作品「砂上」を叩き台に、一度本気で自分にしか書けぬ小説を書いてみろ、とけしかける。
「書き手と編集者の話を、と思ったのは5、6年前です。一度しか切れないカード。書けたら人として恥ずかしいし、書けなければ書き手として恥ずかしい、そういう題材です。原稿料は恥掻き料ですから、このテーマで書かせてくれる担当編集者を信頼し、覚悟を決めました」
作中作「砂上」のヒロインは16歳で娘を産み、赤ん坊は自分の妹として育てられる。それは令央の実体験だった。他人はあなたの人生に興味はない、不思議な人ではなく人の不思議を書け。第二稿、第三稿と乙三のダメ出しは続く。書く為に、令央は元夫から恐喝まがいにせしめた手切れ金で、静岡の助産院で出産した自身の過去に遡ろうと浜松の砂丘に行く。桜木さんも実際に、妊娠7カ月の編集者と、中田島砂丘を歩いたという。
「砂丘に雪が降ると北海道と同じ景色だなぁと思いました。取材は苦手なのですが、行ってよかった。金色の砂が採れる場所がある、と現地で教えてくれる人がいて。この目で見るため、2度足を運びました。この話に会いに私は来たのだ、と思ったんです」
「書く女」と「読む女」の鋭い対決と連帯。美しく不穏な女性小説の誕生だ。
評者:「週刊文春」編集部
(週刊文春 2017.11.2号掲載)著者について
登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (2017/9/29)
- 発売日 : 2017/9/29
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 224ページ
- ISBN-10 : 4041046009
- ISBN-13 : 978-4041046005
- 寸法 : 13.5 x 1.9 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 673,754位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について

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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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小説の書き方の基本を編集者から指摘され教わるというなかなかの作品でした。
母、主人公、娘。3人の女の日常と過去が前半だけど、凡庸、ステロタイプ、腑に落ちない。周囲の登場人物も、正しくそれ。久し振り、読むのが億劫で、時間が掛かりました。
ところが、それは作者の罠であったことが後半、分かって来る。この辺は、好き嫌いが分かれるでしょうね。私は、嫌いでは無いけど。
星2つマイナスは、作者が用意した罠であったとしても、もう少し、読者へのサービスがあったらと、思った次第。つまり、劇中劇である「砂上」は、恐らく、つまらない小説になったと思う。
小説とは、所詮「虚構」である。読者の誰も『ラブレス』の女主人公のような人生が、現実に目の前にあるとは思わない。作者はテーマに沿ってエピソードをうまく配置し、狙った「効果」を醸し出す。その「効果」が読者が楽しめるものであれば、小説として成功である。
だから作家は小説を書く場合、今まで自分が見たり、聞いたり、読んだり、あるいは体験したりしたことを掘り起こし、それをそのまま使ったり、あるいは変形したりして、その効果に向かって、全体として「大いなる虚構」を完成させる。虚構と現実のブレンド技術が優れていれば“上手い作家”ということになる。
そして桜木氏は“上手い作家”である。氏の短編、長編共に各シーンの配置、つなぎ方がツボを得ている。過不足のない引き締まった文章もよい。登場人物の心象風景を背景描写によってからめとる手法もお手の物である。要するに桜木氏の創作法は完成しているのだ。「創作方程式」が出来上がっており、後はその変数に何を入れるかである。
今までは変数に、女性の、あるいは女と男の“生きて呼吸するさま”を代入してきた。ところが今回はその変数に“小説を書く行為”というのを選んだ。今までと全く異なる文学空間だ。多くの読者は戸惑ったと思うが、私は大変興味深かった。「なるほど、そう来たか」と思った。
桜木氏は「小説を書くということはどういうことなのか?」を書こうとしたのである。テーマは変わったが、背景は今まで通り“母と娘、娘と娘”という女年代記を使う。
もちろんここには桜木氏が世に出る前の小説修行中のことが書かれている。それがとても面白かった。特に編集者小川乙三(おとみ)の口を借りて述べられる名言が素晴らしい。
例えば「経験が書かせる経験なき一行を書いてください」 「不思議な人ではなく、人の不思議を書いてください」 「文章で景色を動かしてみてください。景色と一緒に人の心も動きます」 「物語はその腕から出た虚構である」 「人に評価されたいうちは、人をこえない」などは、これから小説でも書いてみようかという人には役立つのではないだろうか。
小説の書き方にはいろいろあり、それがそのまま作家の個性になっている。例えばスティーヴン・キングは、初めから「虚構」そのものしか書かない。源泉垂れ流しのように一気に書く。そしてそれを何度も削ってゆく。虚構と現実の折り合いなど全く問題にならない。エンターテイメントはそれでよい。(ちなみにキングの文章は冗長過ぎて、私の好みではない)。又、村上春樹氏の創作法も「虚構」という面では同じである。無意識の底を毎日毎日サラリーマンのように勤勉に彫り続け、文章化して行く。そして時折、何ともこそばゆくなるようなキザな文章を入れて、読者をクスリと笑わせる。ご愛敬である。
彼らのように、「現実」などというものを蹴散らして進むのも一つの手法だ。冒険心に満ちており、そこに今まで見たこともない世界が広がるのは読者にとってありがたい。桜木氏もかっての世界から離れて、冒険してみようと思ったのではないか? 私は後押しする。
氏はインタビューで、「子供の時から、周囲とのズレを感じており、そのズレの理由を知りたくて小説を書いている」と述べられているが、その意味がこの小説のヒロイン柊令央(ひらぎれお)の描写でよく分かった。「自分以外に興味がなく、全てに期待しない」という心の姿勢がズレを生む。氏はそのような女性を何度も描いている。なるほどと思った。
否定的な評価が多いが、私はこの『砂上』は桜木氏の新しい挑戦であると思う。その意味で星5つである。新しい小説空間を切り開いてください。待ってます。
そういう疑問を感じながら読み続けました。
箱の中の箱という不思議な感覚。
文体というのか表現方法が自分の中ではありえない。
久々に分節を読み返す作業でした。
何が言いたいんだろう。と自問自答。
嫌いではないです。とにかく不思議な作家です。
他の作品も読んでみたいと思いした。
もっと長編で一人一人深く掘り下げてあれば感情移入できたんでしょうか。
必然的に重層的な構成になり読者には決して読みやすいという印象を与えない。しかし、何かに縋るように改稿を重ねる主人公に、その度に反芻されるような感覚を得ながら、徐々に読者は物語の中に引き込まれていきます。
印象的だったのは、虚構として自らの恥部が詳らかにされた作品を、それが全て真実であることを知る珠子に渡し、突き放されるシーン。珠子の反応はある意味当然と言え、お世話になった人にこのような仕打ちができるようになってしまった主人公は、乙三に仕立てられたモンスターと言えるのかもしれません。しかし、その上で彼女は職業小説家として生きる道に希望を見出していきます。
改めて、このような小説家を、小説の中で生み出してしまう桜木紫乃の筆力の恐ろしさに思い至りました。