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パイドロス (岩波文庫 青 601-5) 文庫 – 1967/1/16
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- ISBN-10400336015X
- ISBN-13978-4003360156
- 出版社岩波書店
- 発売日1967/1/16
- 言語日本語
- 寸法10.5 x 1.5 x 14.8 cm
- 本の長さ258ページ
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1967/1/16)
- 発売日 : 1967/1/16
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 258ページ
- ISBN-10 : 400336015X
- ISBN-13 : 978-4003360156
- 寸法 : 10.5 x 1.5 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 27,605位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 22位古代・中世・ルネサンスの思想
- - 53位西洋哲学入門
- - 162位岩波文庫
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年10月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
素晴らしい!仏教徒にとっての最高のギリシャ哲学入門書!
2015年2月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ソクラテスというと無知の知という感じでワンフレーズで
考え込む人、気難しい人という印象をなぜかもっていました。
今回きっかけがあって読み進めましたが、
とても嬉しい読書体験でした。
本の全編を通して、ソクラテスの真理に対しての素朴でかつ真摯で
明るい感じられて自分のイメージが覆りソクラテスが非常に明確な論理性の通った内容を
展開できていることが驚きでした。
正確にはプラトンが書いているので、
プラトンの中のソクラテスということになります。
こういった、真剣な内容を展開した対話が、2500年も前に行われていたことが
恥ずかしいですが驚きでした。
それを考えると、身の周りの会話の内容の密度は、
ずいぶん軽くなってしまったのではないかと思います。
もっと早い段階で読んでたらよかったなとも思いました。
体験と照らし合わせながら文章を通読して
考えていくと、ひとつひとつ現代的な大きなテーマにできるものが
かなり簡潔に触れられている箇所が多数見つかり、印象深かったです。
要所要所にはっとさせられることがありました。
・分割と総合
分かるということが、どういうことかを、
この時代から考えて、言葉にまとめているというの
とても印象深かったです。分かるという言葉自体も
分割につながっているなあと思いました。
・魂のモデル
ソクラテスが魂についてパイドロスの話を進めるための
例え話として考えているのか、深く考察した話なのか分かりませんが、
そのモデル自体の納得性は、現代人の感覚だと少し不足しているように思いました。
モデルを使って世界を考察するというフレームは今も使っていることだと思います。
それを構成するフレームは現代と変わらないということが新鮮でした。
・文字の弊害
現代では逆にあまり強調されていないのではないだろうかと思います。
この弊害を考えることで、また見かけだけは非常に博識であると自分自身もうっかり
信じてしまうことを避けられるのではないかと思います。
これは、本当に気を付けないといけないし、今までこの
本を読むまで接することのない考えですが、とても理解できる
ことでした。これを頭に入れるか入れないかで、
読書の質、自体も変わってしまうかもしれないと思いました。
・アウトプットするには
インプットしたからといってもアウトプットすることはできないということについての話。
話している内容も現代的にはあまり聞かないところで、今の当たり前を考えることになりました。
・恋していないものに身を任せるという流れ
これは最初に読んだときには、うっかりリュシアスに説得されてしまいそうでした。
最初は違和感を持つのですが、同じ言葉を繰り返しいるうちにどこから話題がスタートしているのか、
似た話を繰り返しながら、共通した部分、共感できる部分を話しながら、結論の違和感が消えていくような感覚を覚えました。
話の展開の中で、なぜそうなってしまうのか、
どうやって考えていけばいいのかというヒントが展開
されていますが、今日的な話題であると思います。
この話に似たことは、対人関係において、
議論や考察せずに押し付けられている常識に中に、
ありふれているように思います。
感じた結論の小さな違和感のシグナルに向き合っていく、
その正体は何かというのを丁寧に追っていくというのが必要だと思いました。
名前とわずかな知識しか知らなかったに等しいですが、
ソクラテスの他の本もじっくり読んでいこうと思います。
とても刺激的でした。読んでよかったです。
考え込む人、気難しい人という印象をなぜかもっていました。
今回きっかけがあって読み進めましたが、
とても嬉しい読書体験でした。
本の全編を通して、ソクラテスの真理に対しての素朴でかつ真摯で
明るい感じられて自分のイメージが覆りソクラテスが非常に明確な論理性の通った内容を
展開できていることが驚きでした。
正確にはプラトンが書いているので、
プラトンの中のソクラテスということになります。
こういった、真剣な内容を展開した対話が、2500年も前に行われていたことが
恥ずかしいですが驚きでした。
それを考えると、身の周りの会話の内容の密度は、
ずいぶん軽くなってしまったのではないかと思います。
もっと早い段階で読んでたらよかったなとも思いました。
体験と照らし合わせながら文章を通読して
考えていくと、ひとつひとつ現代的な大きなテーマにできるものが
かなり簡潔に触れられている箇所が多数見つかり、印象深かったです。
要所要所にはっとさせられることがありました。
・分割と総合
分かるということが、どういうことかを、
この時代から考えて、言葉にまとめているというの
とても印象深かったです。分かるという言葉自体も
分割につながっているなあと思いました。
・魂のモデル
ソクラテスが魂についてパイドロスの話を進めるための
例え話として考えているのか、深く考察した話なのか分かりませんが、
そのモデル自体の納得性は、現代人の感覚だと少し不足しているように思いました。
モデルを使って世界を考察するというフレームは今も使っていることだと思います。
それを構成するフレームは現代と変わらないということが新鮮でした。
・文字の弊害
現代では逆にあまり強調されていないのではないだろうかと思います。
この弊害を考えることで、また見かけだけは非常に博識であると自分自身もうっかり
信じてしまうことを避けられるのではないかと思います。
これは、本当に気を付けないといけないし、今までこの
本を読むまで接することのない考えですが、とても理解できる
ことでした。これを頭に入れるか入れないかで、
読書の質、自体も変わってしまうかもしれないと思いました。
・アウトプットするには
インプットしたからといってもアウトプットすることはできないということについての話。
話している内容も現代的にはあまり聞かないところで、今の当たり前を考えることになりました。
・恋していないものに身を任せるという流れ
これは最初に読んだときには、うっかりリュシアスに説得されてしまいそうでした。
最初は違和感を持つのですが、同じ言葉を繰り返しいるうちにどこから話題がスタートしているのか、
似た話を繰り返しながら、共通した部分、共感できる部分を話しながら、結論の違和感が消えていくような感覚を覚えました。
話の展開の中で、なぜそうなってしまうのか、
どうやって考えていけばいいのかというヒントが展開
されていますが、今日的な話題であると思います。
この話に似たことは、対人関係において、
議論や考察せずに押し付けられている常識に中に、
ありふれているように思います。
感じた結論の小さな違和感のシグナルに向き合っていく、
その正体は何かというのを丁寧に追っていくというのが必要だと思いました。
名前とわずかな知識しか知らなかったに等しいですが、
ソクラテスの他の本もじっくり読んでいこうと思います。
とても刺激的でした。読んでよかったです。
2014年8月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
昔のお話と思い、あまり読むがありませんでしたが、古代の人のほうがよほど物事を深く考察していることがよくわかりました。
2011年2月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
***
本書のテーマは,一方では, プラトン(久保 勉訳)『饗宴』岩波文庫 以来のテーマである「恋(エロース)」であり,恋に伴う「狂気」の意義と「分別の心」の重要な役割が解き明かされています。他方では,相手の心を自分のものにするために,「魂を説得によって導くもの」としての「弁論の技術(レトリケー)」というテーマが論じられています。そして,これらの2つのテーマが,恋の狂気と分別の心との相克のプロセスを通じて,プラトン哲学の「方法論」へと融合されていきます。
***
本書の第1の話題は,弁論代書人であるリュシアス(前459-378)の「自分を恋している者よりも恋していない者にこそむしろ身をまかせるべきである」という趣旨の魅惑的な演説原稿(231A〜234C)の批判的検討です。
***
リュシアスの演説原稿の概要は,以下の通りです。
〔結論〕自分を恋している者よりも,恋していない者にこそ,むしろ身をまかせるべきである(231A)。
〔根拠データ〕恋する者は,恋の狂気により,欲望の暴走,嫉妬,裏切りなどの欠点を有している。これに対して自分に恋していない者ならば,自分に利益を与えてくれる上に,嫉妬もなくおもねることもない(231A〜233A)。
〔論拠〕生涯を通じて変わることなく親しい間柄にあるような人(234A),すなわち,恋の狂気から免れている人に身をゆだねるべきだからである(233C〜234C)。
***
ソクラテスは,リュシアスと同じことを主張するとしても,「恋する者」と「恋しない者」の区別という曖昧な点は,きちんと定義すべきだし,結論から始めるのではなく,(1)定義,(2)論拠,(3)結論というように順序を整えた上で,以下のように構成すべきだとして上記の演説草稿に修正を施します。
〔定義データ〕(237D〜238C)
恋している者…快楽への欲望が,分別の心に勝っている者
恋していない者…分別の心が,快楽の欲望に勝っている者
〔論拠とデータへの当てはめ〕(238E〜241B)
恋する者の性向…快楽のために相手を劣った者に仕上げようとする→嫉妬深くなる。
恋する者との交わり…相手は,排他的・閉鎖的関係へと追い込まれる。
恋される者の被害…相手は,欲望と不実にさいなまされる。
恋しない者との交わり…以上の点をすべて免れている。
〔結論〕(241C)
恋している者よりも,恋していない者に身をゆだねるべきである。
***
ソクラテスは,上記の議論を組み立てた後に,これは,内容が,エロース神に対する不敬虔にあたるとし,それを取り消すために,議論を再構成する試みに取りかかります。
ソクラテスの議論の再構成のための前提は以下の通りです。
***
人間は,生存のため,苦を回避し,個体の快楽を求める欲望を有している。しかし,死すべき運命にある人間は,永遠を求める存在でもある。そして,永遠を求める欲望は,2つの方向でその実現を企てる。
1つは,次の世代を産むことによって不死を実現しようとする。この欲望が恋(エロース)である。もう1つは,変わらぬ知識を求め,これを次の世代に伝えようとするものであり,この欲望が真理(善のイデア)の探究である。
このような不死への欲求は,相手があって初めて実現できるのであり,人間は,不死を生み出すために相手を求め(求愛),かつ,相手との永続的な関係を樹立するために,相手の立場に配慮して自分を制御する「分別の心」,および,相手を「説得する技術」を必要とすることになる。
そして,相手を見つける手段としては,「肉体を介してうけとること知覚の中で,いちばんするどいもの」(250D)としての視覚(美のイデア)が動員され,見つけた相手を吟味し,相手の魂を導くためには,聴覚に訴える言語(説得の技術)が利用される。
***
以上の前提に基づいて,ソクラテスは,エロースに捧げる取消しの議論を以下のように再構成することになります。
〔根拠〕人間の魂は,幸福と不死を求めて進む2頭立ての馬車を馭者が制御していると考えることができる。1頭は,馭者の言うことをよく聴く馬〔聴覚〕だが,もう1頭は,美の欲望に駆られるとなかなか言うことを聴かない馬〔視覚〕である(246A〜246B)。2頭の馬の内,1頭は美の衝動によって相手を見つけだし,もう1頭は,御者の好みの人かどうかを識別する見つけるために働く。そして,両者の助けを借りながら,恋を実現するのは御者の分別の力と相手の魂を動かすための説得の力である(253C〜254D)。
〔主張〕恋しない者ではなく,自分を恋する者に身をゆだねるべきである(256B〜256E)。
〔論拠〕恋の狂気と美を通じて恋の相手を見つけ,交際の相手とすべきかどうかを分別の力によって判断し,言葉によって相手の魂を揺り動かすことができれば,恋する二人は,「明るい生を送り,手を手にとって道を行きつつ幸多き時をすごすこと,そして時きたれば,恋の力によって,相ともに翼〔不死の象徴〕を生ずること」ができるから(256E)。
***
このように,プラトンのねらいは,恋の暴走を制御するのも,また,議論の暴走を制御するのも「分別の心」としての「善のイデア」であり,本書は,全体として「プラトン哲学のすすめ」となっています。
しかし,本書においては,議論の暴走を制御するための方法として,弁論術(レトリケー)に対する,対話法(ディアレクティケー)の一方的優位という, プラトン(加来彰俊訳)『ゴルギアス』岩波文庫 のような見え透いた展開ではなく,対話法(266B〜266C)とともに,弁論術の正しいあり方(266D〜274B)についても,方法論的な検討がなされているため,本書を熟読すると,プラトン哲学の神髄である「不死」としての「善のイデア」の考え方と同時に,議論の方法論としての「弁証法」と「弁論術」とを同時にマスターするための多くのヒントを獲得することができます。
美のイデアと魂を説得する技術としての弁論について論じる本書は,プラトンの著作の中でも,最も人気のある作品の一つです。恋における視覚(美)と聴覚(言説)の果たす役割を理解したい人,そして,相手の魂を揺り動かして,恋を成就するための弁論の技術(265D〜272A)をマスターしたい人に薦めたい本です。
本書のテーマは,一方では, プラトン(久保 勉訳)『饗宴』岩波文庫 以来のテーマである「恋(エロース)」であり,恋に伴う「狂気」の意義と「分別の心」の重要な役割が解き明かされています。他方では,相手の心を自分のものにするために,「魂を説得によって導くもの」としての「弁論の技術(レトリケー)」というテーマが論じられています。そして,これらの2つのテーマが,恋の狂気と分別の心との相克のプロセスを通じて,プラトン哲学の「方法論」へと融合されていきます。
***
本書の第1の話題は,弁論代書人であるリュシアス(前459-378)の「自分を恋している者よりも恋していない者にこそむしろ身をまかせるべきである」という趣旨の魅惑的な演説原稿(231A〜234C)の批判的検討です。
***
リュシアスの演説原稿の概要は,以下の通りです。
〔結論〕自分を恋している者よりも,恋していない者にこそ,むしろ身をまかせるべきである(231A)。
〔根拠データ〕恋する者は,恋の狂気により,欲望の暴走,嫉妬,裏切りなどの欠点を有している。これに対して自分に恋していない者ならば,自分に利益を与えてくれる上に,嫉妬もなくおもねることもない(231A〜233A)。
〔論拠〕生涯を通じて変わることなく親しい間柄にあるような人(234A),すなわち,恋の狂気から免れている人に身をゆだねるべきだからである(233C〜234C)。
***
ソクラテスは,リュシアスと同じことを主張するとしても,「恋する者」と「恋しない者」の区別という曖昧な点は,きちんと定義すべきだし,結論から始めるのではなく,(1)定義,(2)論拠,(3)結論というように順序を整えた上で,以下のように構成すべきだとして上記の演説草稿に修正を施します。
〔定義データ〕(237D〜238C)
恋している者…快楽への欲望が,分別の心に勝っている者
恋していない者…分別の心が,快楽の欲望に勝っている者
〔論拠とデータへの当てはめ〕(238E〜241B)
恋する者の性向…快楽のために相手を劣った者に仕上げようとする→嫉妬深くなる。
恋する者との交わり…相手は,排他的・閉鎖的関係へと追い込まれる。
恋される者の被害…相手は,欲望と不実にさいなまされる。
恋しない者との交わり…以上の点をすべて免れている。
〔結論〕(241C)
恋している者よりも,恋していない者に身をゆだねるべきである。
***
ソクラテスは,上記の議論を組み立てた後に,これは,内容が,エロース神に対する不敬虔にあたるとし,それを取り消すために,議論を再構成する試みに取りかかります。
ソクラテスの議論の再構成のための前提は以下の通りです。
***
人間は,生存のため,苦を回避し,個体の快楽を求める欲望を有している。しかし,死すべき運命にある人間は,永遠を求める存在でもある。そして,永遠を求める欲望は,2つの方向でその実現を企てる。
1つは,次の世代を産むことによって不死を実現しようとする。この欲望が恋(エロース)である。もう1つは,変わらぬ知識を求め,これを次の世代に伝えようとするものであり,この欲望が真理(善のイデア)の探究である。
このような不死への欲求は,相手があって初めて実現できるのであり,人間は,不死を生み出すために相手を求め(求愛),かつ,相手との永続的な関係を樹立するために,相手の立場に配慮して自分を制御する「分別の心」,および,相手を「説得する技術」を必要とすることになる。
そして,相手を見つける手段としては,「肉体を介してうけとること知覚の中で,いちばんするどいもの」(250D)としての視覚(美のイデア)が動員され,見つけた相手を吟味し,相手の魂を導くためには,聴覚に訴える言語(説得の技術)が利用される。
***
以上の前提に基づいて,ソクラテスは,エロースに捧げる取消しの議論を以下のように再構成することになります。
〔根拠〕人間の魂は,幸福と不死を求めて進む2頭立ての馬車を馭者が制御していると考えることができる。1頭は,馭者の言うことをよく聴く馬〔聴覚〕だが,もう1頭は,美の欲望に駆られるとなかなか言うことを聴かない馬〔視覚〕である(246A〜246B)。2頭の馬の内,1頭は美の衝動によって相手を見つけだし,もう1頭は,御者の好みの人かどうかを識別する見つけるために働く。そして,両者の助けを借りながら,恋を実現するのは御者の分別の力と相手の魂を動かすための説得の力である(253C〜254D)。
〔主張〕恋しない者ではなく,自分を恋する者に身をゆだねるべきである(256B〜256E)。
〔論拠〕恋の狂気と美を通じて恋の相手を見つけ,交際の相手とすべきかどうかを分別の力によって判断し,言葉によって相手の魂を揺り動かすことができれば,恋する二人は,「明るい生を送り,手を手にとって道を行きつつ幸多き時をすごすこと,そして時きたれば,恋の力によって,相ともに翼〔不死の象徴〕を生ずること」ができるから(256E)。
***
このように,プラトンのねらいは,恋の暴走を制御するのも,また,議論の暴走を制御するのも「分別の心」としての「善のイデア」であり,本書は,全体として「プラトン哲学のすすめ」となっています。
しかし,本書においては,議論の暴走を制御するための方法として,弁論術(レトリケー)に対する,対話法(ディアレクティケー)の一方的優位という, プラトン(加来彰俊訳)『ゴルギアス』岩波文庫 のような見え透いた展開ではなく,対話法(266B〜266C)とともに,弁論術の正しいあり方(266D〜274B)についても,方法論的な検討がなされているため,本書を熟読すると,プラトン哲学の神髄である「不死」としての「善のイデア」の考え方と同時に,議論の方法論としての「弁証法」と「弁論術」とを同時にマスターするための多くのヒントを獲得することができます。
美のイデアと魂を説得する技術としての弁論について論じる本書は,プラトンの著作の中でも,最も人気のある作品の一つです。恋における視覚(美)と聴覚(言説)の果たす役割を理解したい人,そして,相手の魂を揺り動かして,恋を成就するための弁論の技術(265D〜272A)をマスターしたい人に薦めたい本です。
2017年9月17日に日本でレビュー済み
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ソクラテスとパイドロスの対話を基に、恋(エロース)と弁論術(レートリケー)を主題としたプラトン対話篇の代表作。恋は狂気であるという弁論家リュシアスの考えを否定し、恋の狂気は神的なものであると主張するソクラテス。その証明のために魂の本性について語っていきます。後半は弁論術について展開していき、物事の本質を突くという正しい言論のあり方に言及していきます。あらすじはざっとこんな感じでしょうか。最も心に残ったのは、魂の本性について語る部分です。自己自身によって動く魂はすべて不死なるものであるということ、そして魂を善悪2頭の翼を持った馬と手綱を持った馭者とに比喩した例えは、わかりやすく腑に落ちました。恋に関する魂の運きを壮大な宇宙的物語へと昇華させていく鮮やかさも圧巻です。
2020年12月30日に日本でレビュー済み
本書は、恋(エロス)と弁論術をめぐる対話篇である。プラトンの対話篇には、恋(エロス)に
ついては『饗宴』、弁論術については『ゴルギアス』があり、本書よりも後者の2著のほうが刺
激的で、その対話に引き付けられた。違いはどこにあるのかと言えば、ソクラテスの激しさであ
る。本書のソクラテスは穏やかで冷静であり、その点が物足りなく感じられた。
しかし魅力がないわけではない。読み手の読解力不足のせいで、本書の魅力を半減させてしまっ
ているかもしれないからだ。というのも、小林秀雄は「『本居宣長』補記」で、本書について、
「プラトンの作の中でも愛読したもの」と述べており、プラトンと宣長の基本的な考え方には通
じるものがあると論じ、恋について以下のように解釈をしている。(原文は旧字旧かな)
この「対話篇」では、美と深い関係にある恋(エロース)というものが、大きな話題になってい
るが、恋という強い欲望は、人を狂気にせずには置かない。それが恋の真相だが、正気でいたい
利口者には、恋の真相とは、まさにその通りであるかどうかという問題には、直かに出会えない。
利口者は恋の愚を避けた積りでいただろうが、実は、恋の方で、利口者など近付けないのである。
恋(エロス)の実相を知るためには、小林秀雄が言うように、ある種の狂気が必要なのかもしれ
ない。加えて、本書、そして過激な理想主義者であるプラトンを真に理解するためにも。その意
味で、凡庸な正気な「利口者」には難しい1冊であった。自身のあり方が試される1冊である。
ついては『饗宴』、弁論術については『ゴルギアス』があり、本書よりも後者の2著のほうが刺
激的で、その対話に引き付けられた。違いはどこにあるのかと言えば、ソクラテスの激しさであ
る。本書のソクラテスは穏やかで冷静であり、その点が物足りなく感じられた。
しかし魅力がないわけではない。読み手の読解力不足のせいで、本書の魅力を半減させてしまっ
ているかもしれないからだ。というのも、小林秀雄は「『本居宣長』補記」で、本書について、
「プラトンの作の中でも愛読したもの」と述べており、プラトンと宣長の基本的な考え方には通
じるものがあると論じ、恋について以下のように解釈をしている。(原文は旧字旧かな)
この「対話篇」では、美と深い関係にある恋(エロース)というものが、大きな話題になってい
るが、恋という強い欲望は、人を狂気にせずには置かない。それが恋の真相だが、正気でいたい
利口者には、恋の真相とは、まさにその通りであるかどうかという問題には、直かに出会えない。
利口者は恋の愚を避けた積りでいただろうが、実は、恋の方で、利口者など近付けないのである。
恋(エロス)の実相を知るためには、小林秀雄が言うように、ある種の狂気が必要なのかもしれ
ない。加えて、本書、そして過激な理想主義者であるプラトンを真に理解するためにも。その意
味で、凡庸な正気な「利口者」には難しい1冊であった。自身のあり方が試される1冊である。