本書の存在を知ったのは、Reichの「最後の資本主義」であったかと思うが定かではない。ちなみに、新装版でない元のは2000年。訳者あとがきも変わっていないようで、2007年にRortyが死んでからどうなったかという話がない。
目次の
第1講義 アメリカ国家の誇り―ホイットマンとデューイ
第2講義 改良主義左翼の衰退
第3講義 文化左翼
付録(運動とキャンペーン
偉大な文学作品が与えるインスピレーションの価値)
とあるように、講演集をまとめたもの。
哲学の世界では、Rortyは有名だったらしいが、今まで知らなかった。まして、父親が元アメリカ共産党員で、幼いころから米国左派のエスタブリッシュメントとして育つ人たちがいたなど、まったく知らなかった。
彼が生きていて、トランプ現象を見たら、いったいどうコメントしたか知りたいのだが、本書の中には、はっきりとトランプ現象の予兆が示されている。
Reichも書いていたように、Clinton時代がアメリカ民主党の一つの曲がり角だった。Rortyによると、この時期に、米国の左派、民主党は、労働組合から中流層に、郊外のインテリ層に軸足を移し、経済格差の問題よりも、性的、人種的その他差別解消の問題に取り組むようになったという。
右派、大企業がロビー活動を活発化させ、減税その他の形で既得権益をさらに膨らませるように活動を始めたのに対して、組合の弱体化を座視して、観念的な左翼になってしまった。
Rortyは、かつては、米国の左翼は、積極的に政権に加担し、例えば、CIAには右にも左にも人が関与し、資金が流れていたのは自分には当然だった、と述べている。
また、ソビエト政権が成立しなければ、リベラルな社会改革派の左派がもっと健全な形で存在しえただろうと、反ファシズムと反共産主義が同居して当然であり、第2次世界大戦で、ドイツが敗北した後は、反スターリンが当然の帰結だったと述べている。
グローバルな大企業が、放置されれば、巧みなカモフラージュのもとで自己の利益追求にまい進することも述べていて、政治的に自国を改革する信念と信頼とが「左翼」に存在するべきだと述べている。
前提となる人名や事項が、全く説明なしで羅列されるので読みやすい文章ではないが、主張そのものは明快である。サンダースの社会主義が、Rortyの左翼とどう関係しているのかよく分からないのだが、トランプ後のアメリカがもしこちらに移るなら、面白いことが起きるかもしれない。
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新装版アメリカ未完のプロジェクト―20世紀アメリカにおける左翼思想 単行本 – 2017/5/30
リチャード・ローティ
(著),
小澤 照彦
(翻訳)
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購入オプションとあわせ買い
《内容紹介》
哲学者リチャード・ローティがマルクス主義の立場ではなく、新プラグマティズムの立場からアメリカ左翼の物語を再構成する試み。新装版として待望の復刊。
《目次》
日本語版への序文
謝 辞
第一講義 アメリカ国家の誇り――ホイットマンとデューイ――
第二講義 改良主義左翼の衰退
第三講義 文化左翼
付 録
運動とキャンペーン
偉大な文学作品が与えるインスピレーションの価値
注
訳者あとがき
索 引
- 本の長さ240ページ
- 言語日本語
- 出版社晃洋書房
- 発売日2017/5/30
- ISBN-104771029105
- ISBN-13978-4771029101
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商品の説明
出版社からのコメント
新装版として待望の復刊
登録情報
- 出版社 : 晃洋書房; 四六版 (2017/5/30)
- 発売日 : 2017/5/30
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 240ページ
- ISBN-10 : 4771029105
- ISBN-13 : 978-4771029101
- Amazon 売れ筋ランキング: - 147,528位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 511位西洋思想
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
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2017年12月24日に日本でレビュー済み
2019年11月16日に日本でレビュー済み
堀川哲の名著「世界を動かした(変えた?)哲学者たち」で紹介されていたR・ローティに興味を持ったので読みました。同著で「ポストモダンの哲学者で愛国者」と書かれていたのだ。
ポストモダンとは伝統的な考え方からの脱皮のことで、何となくサヨク思想に感じる。それで愛国左翼の思想家だとあたりを付けて本書を読んでみました。
私は本書では彼の純粋哲学理論を読み取ることはできませんでした。2000年代のアメリカ思想家列伝のような感じで読みました。
期待していたのは「左翼思想と愛国の結合」の記述だったので、そこが少く、物足りない気持ちになりました。
アメリカの現状分析もそこそこだったように感じました。
ローティは最近話題になっているE・ルトワックを高く評価していましたが、本書で言及していたのは2行だけでした。
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私は本書では彼の純粋哲学理論を読み取ることはできませんでした。2000年代のアメリカ思想家列伝のような感じで読みました。
期待していたのは「左翼思想と愛国の結合」の記述だったので、そこが少く、物足りない気持ちになりました。
アメリカの現状分析もそこそこだったように感じました。
ローティは最近話題になっているE・ルトワックを高く評価していましたが、本書で言及していたのは2行だけでした。
2005年5月24日に日本でレビュー済み
今は互いに違いの中から対立が起こりがちである。そうした中この書では重なりあうコンセンサスの中から特にホイットマンとデューイを取り上げ暗く重い思想から明るく最大限寛容でありながら堂々とアメリカ国民の誇りといういう愛国心をうたいつつそれは社会民主主義的なリベラル左派の理想がアメリカの原点とする。アメリカ二ズムの良心的な部分を捕らえた著作。リベラルを語る人の必読書。