日本にアダルトチルドレンの概念を持ち込み広めた人物として広く知られている斎藤学氏。
本書は、嗜癖・依存症に関する大家である斎藤氏が、日本の家庭(母子・父子・夫婦関係)から社会(学校・会社)に
至るまで、そこに潜む病理と嗜癖行為について、読者に非常に深い洞察を与えてくれる。
私が特に印象に残ったのは、-怒りと恨み-『どうしようもない寂しさ』の起源という節の以下の箇所だ。
両親からの最も大切な贈り物である『安心感』をもらい損ねてしまった子供が、恨みがましい不幸そうな顔をしているかと言うと、
そうでもないらしい。むしろ内面の人間不信を覆い隠そうとするかのようにニコニコと微笑み、態度は控えめで、他人から好感を
持たれることの方が多い。怒りを隠し、自己主張を恐れ、「本当の自分」が露になれば、他人は自分を嫌うに違いないと信じ込んでいる
「よい子」たちなので、他人の前では気弱そうにニコニコと微笑んでいるしかない。言って見れば「ニコニコ仮面」を被った人たちだ(本書より)。
この部分を読んで、まさに自分のことが書いてあると感じ、愕然とした。
しかも、この満たされない欲求は自分の中で高まり、あらゆる嗜癖(薬物依存やアルコール依存等)を捌け口として噴出してゆく。
この事実を知ったとき、現在の自分の状況が初めて正確に理解出来た。
私は、煙草もアルコールも飲まずにこれまで過ごし、ひたすらこの欲求を高めてきた。
しかし自己に捌け口が無かったため、解離性障害という形で表面化するしか無かったのだろう。
現在では、少しづつ自己の状況が分かって来たために個人カウンセリングに通っている。
筆者は本書でこうした嗜癖や依存症から回復するのに、自助グループへの参加の効果を謳っている。
しかし、重度の症状を呈する人は参加してもきつい、しんどい思いをするだけなので、ある程度回復が進んでからにするべきだと思う。
筆者も、自助グループの良いところは体調が悪ければ『行かなければ良いし』、体調が良ければ『行けば良い』。
またグループに参加することでグループ内の問題に直面し、アダルトチルドレンの回復に役立てられる、と筆者は述べている。
従って、ある程度個人カウンセリング等で最悪の状態から抜け出して、社会とのつながりを模索する段階で利用していこうと感じた。

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家族依存症 (新潮文庫) 文庫 – 1999/4/26
斎藤 学
(著)
いわゆる「良い子」、いわゆる「理想的な家庭」ほど、現代社会の深刻 な病理である“家族依存症"に蝕まれている。登校拒否、過食・拒食症、仕事中毒、アルコール依存症、不幸な結婚生活……。依存症潜伏期を見過ごしたためにこれらの悲劇は引き起こされた。旧来の家父長制と新しい家族像との間で蠢く活断層に、私たちはいかに対処すべきか? 著者の処女作を大幅改稿した文庫決定版。
- 本の長さ251ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1999/4/26
- ISBN-104101442215
- ISBN-13978-4101442211
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (1999/4/26)
- 発売日 : 1999/4/26
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 251ページ
- ISBN-10 : 4101442215
- ISBN-13 : 978-4101442211
- Amazon 売れ筋ランキング: - 387,557位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,803位臨床心理学・精神分析
- - 6,254位心理学入門
- - 6,415位新潮文庫
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2015年4月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2012年12月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
過食、拒食、アルコール依存、不幸な家族生活etc・・・。
もろもろの依存症について、筆者の臨床体験により書かれています。
読んでみて一番強く感じたことは、依存症って特殊な状態かと言えばそうじゃないということ。
例えば、大学に入学したもののそのあとどうしていいかわからなくなること・・。
受験までは受験勉強をしていることに依存できて自分という存在を感じることが
できても、入学したとたんにそれが消えてしまう。
自分に自信がなく、自分は不幸だと思ったり、人生に迷いが生じる時期は誰にでも生じる。
そんなときに自分の外のもの(夫を支える献身的な妻であるという他人からの評価や
子どもの学歴etc・・・)を用いて自分の存在を確認しようとする行動も立派な依存症足りえる。
そういった行動が自分も依存対象になる相手も不幸にしてしまったりする。
そうならないために筆者が必要なことは「大人になること」だという。
具体的には、「現実検討の能力」「衝動をコントロールする能力」「自己肯定能力」「いい加減にやる能力」
「人と共感する能力」を持つこと。
なんだかそこに強く共感してしまった。
何をやっていてもどこにいても自分はそれでいいと思い、どうしたいか、どうすればできるかを
自分で考えていくことが幸福になるためには必須の力なんですね。
そういう人は他人の失敗や不幸も受け入れ、お互いが幸福を追求できる。
家族の絆が叫ばれて久しい世の中ですが、家族の絆が依存症の温床とならないようにしたいものだと思った。
おすすめできる本です!!
もろもろの依存症について、筆者の臨床体験により書かれています。
読んでみて一番強く感じたことは、依存症って特殊な状態かと言えばそうじゃないということ。
例えば、大学に入学したもののそのあとどうしていいかわからなくなること・・。
受験までは受験勉強をしていることに依存できて自分という存在を感じることが
できても、入学したとたんにそれが消えてしまう。
自分に自信がなく、自分は不幸だと思ったり、人生に迷いが生じる時期は誰にでも生じる。
そんなときに自分の外のもの(夫を支える献身的な妻であるという他人からの評価や
子どもの学歴etc・・・)を用いて自分の存在を確認しようとする行動も立派な依存症足りえる。
そういった行動が自分も依存対象になる相手も不幸にしてしまったりする。
そうならないために筆者が必要なことは「大人になること」だという。
具体的には、「現実検討の能力」「衝動をコントロールする能力」「自己肯定能力」「いい加減にやる能力」
「人と共感する能力」を持つこと。
なんだかそこに強く共感してしまった。
何をやっていてもどこにいても自分はそれでいいと思い、どうしたいか、どうすればできるかを
自分で考えていくことが幸福になるためには必須の力なんですね。
そういう人は他人の失敗や不幸も受け入れ、お互いが幸福を追求できる。
家族の絆が叫ばれて久しい世の中ですが、家族の絆が依存症の温床とならないようにしたいものだと思った。
おすすめできる本です!!
2018年1月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
メディアで取り上げた話が書いてあります。
かなり以前からメディア等で紹介された話が書いてあります。
20年程前になりますが当時から語り継がれているそっち系の話です。
昔に比べたら今の時代は語りやすいと感じます。
かなり以前からメディア等で紹介された話が書いてあります。
20年程前になりますが当時から語り継がれているそっち系の話です。
昔に比べたら今の時代は語りやすいと感じます。
2018年12月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
文庫本になっていて、電車でも読めます。斎藤先生は依存症の第一人者で、わかりやすく書いてあります。
2016年5月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
斎藤学先生の本は、冷静に読めてとても参考になります。また別の本も読んでみたいです。
2008年11月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
自分は、機能不全の家族に育ちました。今は発症していませんが、うつも抱えています。アダルトチルドレンに関する国内外の名著も複数読みました。その上で、斉藤学さんの著作や活動について一言述べます。
まず、著作について。彼の著作で、読むに値するのは、『アダルトチルドレンと家族』だけだと思います。実際、部数も、この本が一番出たようです。他の本は、なんだか、河合隼雄が書いた、大学受験の現代文に出てきそうな、およそ学問的、臨床的とはいえない、とりとめのない随筆のような内容に終始してしまっています。彼は、自身の著作が国語の教科書にでも採用されることを狙っているのでしょうか。彼の本は、真に救いを求めている人には、混乱をもたらすだけだと思います。
また、彼の活動も、非常に、金儲け主義的です。彼の治療は、短い時間で信じられないくらい高額です。彼の監修しているカウンセリングルームにも、同じような輩が集まっています。このことは、実際に、アダルトチルドレンの本を読んで、カウンセリングを検討した人なら、多くの人が気付いていると思います。
現在のカウンセラーには、お金儲けのために、仕事をしているような人も大勢いると思いますが、自分には、彼がその代表格に見えてなりません。
疑問を投げかけるための1投として、あえて、レビューさせてもらいました。
まず、著作について。彼の著作で、読むに値するのは、『アダルトチルドレンと家族』だけだと思います。実際、部数も、この本が一番出たようです。他の本は、なんだか、河合隼雄が書いた、大学受験の現代文に出てきそうな、およそ学問的、臨床的とはいえない、とりとめのない随筆のような内容に終始してしまっています。彼は、自身の著作が国語の教科書にでも採用されることを狙っているのでしょうか。彼の本は、真に救いを求めている人には、混乱をもたらすだけだと思います。
また、彼の活動も、非常に、金儲け主義的です。彼の治療は、短い時間で信じられないくらい高額です。彼の監修しているカウンセリングルームにも、同じような輩が集まっています。このことは、実際に、アダルトチルドレンの本を読んで、カウンセリングを検討した人なら、多くの人が気付いていると思います。
現在のカウンセラーには、お金儲けのために、仕事をしているような人も大勢いると思いますが、自分には、彼がその代表格に見えてなりません。
疑問を投げかけるための1投として、あえて、レビューさせてもらいました。
2013年1月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大学の授業で指定されたので購入。
イラストが怖い。内容は複雑。 勉強になった。
イラストが怖い。内容は複雑。 勉強になった。