関連書籍で出てきて、こちらにあるレビューを読んで興味を持ったので購入しました。
へんてこりんなお話です。でもとても不気味。そして私もみなさん同様、主人公が好きになれませんし、サクソニーがかわいそうでなりません。
彼女はいったい彼にとって何だったんでしょうね?
終章で、トーマスは一人のはずなんですが「僕ら」と言っています。一緒にいるのは、誰?もしかしてトーマスもフランスと同じ力を持っちゃったの??などなど、謎は残ります。
これを読んでキャロルが好きになるか、とんでも本として本を投げたくなるかは、読者次第。私はほかの作品も読みたくなりました。

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死者の書 (創元推理文庫) (創元推理文庫 547-1) 文庫 – 1988/7/14
ジョナサン・キャロル
(著),
浅羽 莢子
(翻訳)
ぼくの目の前で少年がトラックにはねられた。事故のあと町の人間が聞いてきた。「あの男の子、はねられる前は笑ってました?」笑って?……ここはアメリカの小さな町。一人の天才作家が終生愛した町。ぼくは彼の伝記を書くために逗留している。でも知らなかった。この世には行ってはならない町があることを。衝撃のダーク・ファンタジイ。
- 本の長さ348ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日1988/7/14
- ISBN-10448854701X
- ISBN-13978-4488547011
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登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (1988/7/14)
- 発売日 : 1988/7/14
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 348ページ
- ISBN-10 : 448854701X
- ISBN-13 : 978-4488547011
- Amazon 売れ筋ランキング: - 255,977位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,010位創元推理文庫
- - 1,377位SF・ホラー・ファンタジー (本)
- - 2,116位英米文学研究
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2021年4月26日に日本でレビュー済み
長いこと積読状態になっていたジョナサン・キャロル、久々に手を出したらハマってしまい、改めて1作目から読み返しています。
キャロルのデビュー作であるこの本を最初に読んだのはもうはるか昔の20代の時でした。あらすじはだいたいおぼえていましたが、ラストは記憶が曖昧。そんな状態で再読したのですが、初読時同様のショックを持って読み終わり、ああこれはやっぱりすごいと再認識しました。
こちらでの評価は賛否両論のようですね。日本ではキャロルは売れないらしく、本国では新作が順調に出版されているのに日本での翻訳は途中で止まったままで残念です。
怪奇、幻想、ホラー、ファンタジー、そして残酷童話的なお話が好きな方はまず気に入ると思います。論理ではなく感性で書かれた物語なので、足が地について現実に即した筋道立った話が好きな方は受けつけないかもしれません。
キャロルの作品はダーク・ファンタジーと呼ばれ独特の不気味さが持ち味ですが、表現は結構ユーモラスでとてもアメリカンです。個人的に受けた印象ですが、アメリカ人という出生と、育ったのが陰影あるヨーロッパの古都ウィーンというのがいいバランスでミックスされているような気がします。
「死者の書」も、最初はいかにもアメリカ的な地方都市を舞台に、ごく普通の日常が描かれます。偉大な童話作家マーシャル・フランスの伝記を書きたいという野望を持って教師の職を休職し、ガールフレンドと共にフランスの故郷であるゲイレンという小さな町へ向かうトーマス。
偏屈だと聞いていたフランスの娘アンナに会いますが、意外にもすんなり受け入れられます。ゲイレンでの住まいも決まって何もかも順調に進んでいると思えた日々に、少しずつおかしなことが起き始めて・・・。最初は気のせいだと思い込もうとする主人公。けれどとうとう違和感を無視することができなくなって・・・。
じわじわと増加してゆく得体の知れない雰囲気、そして真相が見えてくると同時に話はだんだんとスピードアップ、怒涛のラストでは世界が変容し死者の匂いが漂ってくるようでなんとも言えない不気味さです。さらに最後のオチで意外な人物が現れたことを思うと、主人公自身の変容とこれからの人生が暗示され、愕然とします。
これが処女作というのはすごいです。新作の翻訳再開もなんとかお願いしたいです。
キャロルのデビュー作であるこの本を最初に読んだのはもうはるか昔の20代の時でした。あらすじはだいたいおぼえていましたが、ラストは記憶が曖昧。そんな状態で再読したのですが、初読時同様のショックを持って読み終わり、ああこれはやっぱりすごいと再認識しました。
こちらでの評価は賛否両論のようですね。日本ではキャロルは売れないらしく、本国では新作が順調に出版されているのに日本での翻訳は途中で止まったままで残念です。
怪奇、幻想、ホラー、ファンタジー、そして残酷童話的なお話が好きな方はまず気に入ると思います。論理ではなく感性で書かれた物語なので、足が地について現実に即した筋道立った話が好きな方は受けつけないかもしれません。
キャロルの作品はダーク・ファンタジーと呼ばれ独特の不気味さが持ち味ですが、表現は結構ユーモラスでとてもアメリカンです。個人的に受けた印象ですが、アメリカ人という出生と、育ったのが陰影あるヨーロッパの古都ウィーンというのがいいバランスでミックスされているような気がします。
「死者の書」も、最初はいかにもアメリカ的な地方都市を舞台に、ごく普通の日常が描かれます。偉大な童話作家マーシャル・フランスの伝記を書きたいという野望を持って教師の職を休職し、ガールフレンドと共にフランスの故郷であるゲイレンという小さな町へ向かうトーマス。
偏屈だと聞いていたフランスの娘アンナに会いますが、意外にもすんなり受け入れられます。ゲイレンでの住まいも決まって何もかも順調に進んでいると思えた日々に、少しずつおかしなことが起き始めて・・・。最初は気のせいだと思い込もうとする主人公。けれどとうとう違和感を無視することができなくなって・・・。
じわじわと増加してゆく得体の知れない雰囲気、そして真相が見えてくると同時に話はだんだんとスピードアップ、怒涛のラストでは世界が変容し死者の匂いが漂ってくるようでなんとも言えない不気味さです。さらに最後のオチで意外な人物が現れたことを思うと、主人公自身の変容とこれからの人生が暗示され、愕然とします。
これが処女作というのはすごいです。新作の翻訳再開もなんとかお願いしたいです。
2014年1月18日に日本でレビュー済み
Jonathan Carrollの『The Land of Laghs』(1980年)の翻訳。
著者の長編デビュー作である。
ホラー小説というかファンタジーというか。
どことなく不気味で、しかし、温かな雰囲気のなかで物語が進んでいき、衝撃的なラストを迎える。
物語と現実世界の融合がテーマとなっているのだが、先の展開が読める中で、じわじわと不安が募り、ページを繰る手を止めることができなかった。
結末が気が利いていていい。
著者の長編デビュー作である。
ホラー小説というかファンタジーというか。
どことなく不気味で、しかし、温かな雰囲気のなかで物語が進んでいき、衝撃的なラストを迎える。
物語と現実世界の融合がテーマとなっているのだが、先の展開が読める中で、じわじわと不安が募り、ページを繰る手を止めることができなかった。
結末が気が利いていていい。
2016年8月22日に日本でレビュー済み
ジョナサン・キャロルの邦訳第一弾。
キャロルはホラーに分類されるのかな。
最近死んだ、とある作家の伝記を書こうとした青年は、作家の住んでいた町を訪れる。
その小さな町では、気さくな人々が暮らし、作家の娘も健在で、伝記は好調に書き始められた。
ところがある日、町の住人の一人である少年が、自動車事故で死亡してしまう。
他の住人は、その悲しいはずの報せを聞くと、「あの子は、死ぬときに笑っていましたか?」と的外れな質問を返してきた。。。
常識的な世界が、小さな事件をきっかけにガラガラと崩壊し、それまでとは違った側面を見せはじめる。
そして、この日常崩壊の様子の描きかたこそキャロルの本領だろう。
キングなどのホラーを読む人にも、そうでない人にもお勧めできる作品。
個人的には、最後のオチは蛇足だったような気もしますが。。。
キャロルはホラーに分類されるのかな。
最近死んだ、とある作家の伝記を書こうとした青年は、作家の住んでいた町を訪れる。
その小さな町では、気さくな人々が暮らし、作家の娘も健在で、伝記は好調に書き始められた。
ところがある日、町の住人の一人である少年が、自動車事故で死亡してしまう。
他の住人は、その悲しいはずの報せを聞くと、「あの子は、死ぬときに笑っていましたか?」と的外れな質問を返してきた。。。
常識的な世界が、小さな事件をきっかけにガラガラと崩壊し、それまでとは違った側面を見せはじめる。
そして、この日常崩壊の様子の描きかたこそキャロルの本領だろう。
キングなどのホラーを読む人にも、そうでない人にもお勧めできる作品。
個人的には、最後のオチは蛇足だったような気もしますが。。。
2010年10月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
期待して読んでいき、期待通りの文章力(→翻訳力も相まってすごくセンスは感じる)に遭遇し、数々の文芸ジャンル情報の取り扱いのうまさに脱帽しながら、中盤を迎えました。
特殊なある世界設定がその途上で提示されて、いったん驚きます、が、それにひどい違和感を持つこともありませんでした(小説だしね)。
ただ、そのわりには、プロットの「着地点」がもう一つ、と感じてしまいました。シミ入るようなサプライズエンディングではなかった気がします。
逆にあそこまで細部を構成して「別世界」をつくりあげたのなら、もう一つ何かズドンというものがないと、もったいなかったのでは、と感じたところです。
もし著者ジョナサンがこれを処女作ではなく後年に書いたのなら、別の結構をつくりあげたのではと思いました。
特殊なある世界設定がその途上で提示されて、いったん驚きます、が、それにひどい違和感を持つこともありませんでした(小説だしね)。
ただ、そのわりには、プロットの「着地点」がもう一つ、と感じてしまいました。シミ入るようなサプライズエンディングではなかった気がします。
逆にあそこまで細部を構成して「別世界」をつくりあげたのなら、もう一つ何かズドンというものがないと、もったいなかったのでは、と感じたところです。
もし著者ジョナサンがこれを処女作ではなく後年に書いたのなら、別の結構をつくりあげたのではと思いました。
2015年11月2日に日本でレビュー済み
ホラーの巨匠にして、米国の小説界の大御所である、スティーブン・キングをして「私のような、卑しい物書きが、あなたにお手紙を出すのは~」と絶賛したらしい。とてもこれが処女作とは思えない、できばえである。私は「笑いの郷」、「緑の犬嘆き」、「桃の実色の影」という、マーシャル・フランスなる作家の本をぜひ読みたい。実はその様な作家も本も実在しないのだが、「猫あかり」なるものとは何かしりたい。
何故この本が、映画化されなかったのだろう?J・キャロルもそれを望んでいたに違いない。今だったら、かなりテクノロジーでカバーでき、面白い映画になると思う。世の中のプロダクションは何をしているのかと歯がゆい思いをさせる、一冊である。浅羽莢子氏の翻訳も実にうまい。彼女が指摘しているがごとく、J・キャロルは日本人の感性を持っているがごとくの、季節への情感の描写がこの小説を只者ではなくしている。(ついに、アマゾンで取り寄せ原書をよむことまでした。)表紙のデザインはいまいちでしたが、浅羽氏の翻訳は見事でした。
何故この本が、映画化されなかったのだろう?J・キャロルもそれを望んでいたに違いない。今だったら、かなりテクノロジーでカバーでき、面白い映画になると思う。世の中のプロダクションは何をしているのかと歯がゆい思いをさせる、一冊である。浅羽莢子氏の翻訳も実にうまい。彼女が指摘しているがごとく、J・キャロルは日本人の感性を持っているがごとくの、季節への情感の描写がこの小説を只者ではなくしている。(ついに、アマゾンで取り寄せ原書をよむことまでした。)表紙のデザインはいまいちでしたが、浅羽氏の翻訳は見事でした。
2021年1月19日に日本でレビュー済み
前半がややスローです。
主人公トーマスとその恋人サクソニーから見たちょっとした違和感、あれ?と思う瞬間をもう少し散りばめてくれても良かったかなと思います。
他の方も書いていらっしゃるように、映画化したら面白そうです。
主人公トーマスとその恋人サクソニーから見たちょっとした違和感、あれ?と思う瞬間をもう少し散りばめてくれても良かったかなと思います。
他の方も書いていらっしゃるように、映画化したら面白そうです。
2011年3月9日に日本でレビュー済み
なんとキャロルの処女作がこれというのは、驚愕するしかありません。それほど、巧みで、したたかでさえある文の運び、
全体に流れる不気味なニュアンスに魅せられました。もっと若いころ出合いたかった。
また、マーシャル・フランスの作品が読めないもどかしさ、残念さもありますね。主人公がちょっとだけ挙げる、
フランスの物語の断片が素晴らしい。タイトルもまたそそられます。作中作「笑いの郷」「星の湖」「緑の犬の嘆き」
「桃の実色の影」・・・。
とにかく全編に満ちる空気感が尋常ではありません。ダークで電気を帯びたような街の描写が続くうちに、キャロルの描く
ゲイレンに引きこまれていきます。
主人公トーマスは愛する作家マーシャル・フランスの伝記を書くために作家が終生愛したゲイレンという街を訪ねます。
フランスの家には彼の一人娘アンナがひっそりと暮らしている。
そこに滞在することを許されトーマスは恋人のサクソニーとともに、フランスの足跡をたどり始めます。
アメリカの片田舎の町ゲイレン。ぱっとしない小さな町。しかし、住んでみると何か不可思議な謎がありそうな、
どこか歪んだレンズをのぞいているような、そんな妙な街なのです。
前半のゆったりした展開から一転、後半は謎が明かされホラーファンタジー的な展開になり物語もどんどん進んでいきます。
そしてラストまで、一分の隙もない筆の運びで、驚愕の終幕を迎えます。
キャロルの処女作にして代表作。
全体に流れる不気味なニュアンスに魅せられました。もっと若いころ出合いたかった。
また、マーシャル・フランスの作品が読めないもどかしさ、残念さもありますね。主人公がちょっとだけ挙げる、
フランスの物語の断片が素晴らしい。タイトルもまたそそられます。作中作「笑いの郷」「星の湖」「緑の犬の嘆き」
「桃の実色の影」・・・。
とにかく全編に満ちる空気感が尋常ではありません。ダークで電気を帯びたような街の描写が続くうちに、キャロルの描く
ゲイレンに引きこまれていきます。
主人公トーマスは愛する作家マーシャル・フランスの伝記を書くために作家が終生愛したゲイレンという街を訪ねます。
フランスの家には彼の一人娘アンナがひっそりと暮らしている。
そこに滞在することを許されトーマスは恋人のサクソニーとともに、フランスの足跡をたどり始めます。
アメリカの片田舎の町ゲイレン。ぱっとしない小さな町。しかし、住んでみると何か不可思議な謎がありそうな、
どこか歪んだレンズをのぞいているような、そんな妙な街なのです。
前半のゆったりした展開から一転、後半は謎が明かされホラーファンタジー的な展開になり物語もどんどん進んでいきます。
そしてラストまで、一分の隙もない筆の運びで、驚愕の終幕を迎えます。
キャロルの処女作にして代表作。