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光あるうち光の中を歩め (新潮文庫) 文庫 – 2005/5/1

トルストイ (著), 原久一郎 (翻訳)

125

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性的な愛、私有欲、名誉心、我々を支配する障害からいかに放たれるか――。
晩年のトルストイが到達した、新しいキリスト教の世界観。
本書新潮文庫版は昭和27年刊行、101刷73万部超えのロングセラー。

欲望や野心、功名心などの渦巻く俗世間にどっぷりつかっている豪商ユリウスと、古代キリスト教の世界に生きるパンフィリウス。ユリウスは何度かキリスト教の世界に走ろうと志しながらも、そのたびに俗世間に舞いもどるが、しかし、長い魂の彷徨の末についに神の道に入る。
――福音書に伝えられているキリストの教えに従って生きよと説いた、晩年のトルストイの思想を端的に示す。

本文より
……さらにまた諸君の世界の劇場では、不義の恋を讃美する出し物が演じられています。また音楽は贅沢三昧の大宴会で牛飲馬食する富者たちの慰安に忠勤をぬきんでているし、絵画はまた絵画で、しらふの人や獣欲に眼(まなこ)のくらんでいない人が、顔を赤らめずに正視することのできないような娼家の光景の描出に応用されているしまつだ。
これではいけない、人間をけだものと区別する高尚な才能は、そんな目的でわれわれに賦与されているんじゃありません。これらの才能をわれわれの肉体を慰める具にしてはいけません。……(本書83ページ、パンフィリウスの言葉)

トルストイ Tolstoj, Lev N(.1828-1910)
19世紀ロシア文学を代表する巨匠。ヤースナヤ・ポリャーナに地主貴族の四男として育つ。ルソーを耽読し大学を中退後、暫く放蕩するが、従軍を機に処女作『幼年時代』等を発表、賞賛を受ける。帰還後、領地の農民の教育事業に情熱を注ぎ、1862年の幸福な結婚を機に『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』を次々に完成。後、転機を迎え、「神と人類に奉仕する」求道者を標榜し、私有財産を否定、夫人との不和に陥る。1899年『復活』を完成。1910年、家出の10日後、鉄道の駅長官舎で波瀾の生涯を閉じた。

原久一郎(1890-1971)
新潟生れ。東京外国語学校ロシア語科卒。早大露文科創設に関わる。トルストイの研究・翻訳をライフワークとし、「トルストイ全集」を個人全訳した。67年、ソ連名誉勲章受章。

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本の長さ

153ページ
言語

日本語
出版社

新潮社
発売日

2005/5/1
寸法

14.8 x 10.5 x 2 cm
ISBN-10

410206012X
ISBN-13

978-4102060124
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登録情報

出版社 ‏ : ‎ 新潮社; 改版 (2005/5/1)
発売日 ‏ : ‎ 2005/5/1
言語 ‏ : ‎ 日本語
文庫 ‏ : ‎ 153ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 410206012X
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4102060124
寸法 ‏ : ‎ 14.8 x 10.5 x 2 cm

Amazon 売れ筋ランキング: - 108,769位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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- - 2,422位新潮文庫

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片山一

わかりやすく面白いです。

2022年7月30日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

わかりやすく面白いです。読み応えはありますが、ボリュームが少なめなのでサクッと読めます。読む価値はある本です。

1人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

Chanky

無神論者の多い国民性には感得し難い感がした。

2020年3月19日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

同上

2人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

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fwiw6180

今の時代にもっと読まれていい本だと思う。今だからこそ・・・。

2019年3月24日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

　ローマ帝国の時代、豊かな生活を送りながら幸せを感じられないユリウスとキリスト教の世界で幸福を感じながら生きるパンフィリウス、そしてキリスト教世界の現実を離れて理想を追う人々を批判する医師。ユリウスとパンフィリウス、医師との対話で、キリスト教世界の思想（すべての物を皆に平等に分け与えよ、暴力に対して暴力や刑罰で対処するのは間違っているなど、道徳的には正しいと誰しも思うが実行するとなると、自らの生活ひいては社会生活が成り立たなくなるというような話）が展開される。キリスト教の考え方を批判する医師の言葉が、なんだかすごく説得力があり、無宗教の日本人からしたら腑に落ちるというか、今の自分はその考えに最も近いように思う。唯、パンフィリウスの語る理想や考え方も今の社会には必要であると強く思った。そんなことをわかりやすく考えさせてくれるこの本は、今の時代にもっと読まれていいと思う。特に自分の考え方に固執しがちな人や政治家の方々に。それにしてもトルストイが理想とする世界は、もしかしたら昔の日本が最も近づいていたのではないか？江戸時代の庶民の生活から、一億総中流時代の昭和までは・・・。平成になってから推進されたグローバリズムの世界は、ユリウスが浸りきった悪しきローマ帝国時代のようにも感じてしまいます。キリスト教世界を賛美するのではなく、反対意見もきちんと公平に取り上げて問題提起しているところ、読者にいろいろ考えさせるところ、普遍性のある作品だと思います。

34人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

自由人

２５年前に読んだ時よりわかりやすい

2018年4月15日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

2人の会話を通によって信仰とは何か端的に誰の心にも届く普遍的な内容を書き上げています。
トルストイを好きになった最初の本です。
日蓮の立正安国論と同じ形態であり
両者とも同じ視座に立ち書かれていることに、
難解な教義を誰にも届くように細心の注意を払って書かれていることに驚きます。

17人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

ときわ路

トルストイとキリスト教

2017年4月23日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

文豪トルストイ後期の作風をよく表したキリスト教の影響を受けたもの。名作「人はなんで生きるか」が分かり易く聖書の教えを説くようなものであるのに対して、こちらは、古代ローマを舞台にキリスト教とアンチの思想のやり取りがテーマになっています。

9人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

歩きスマホ絶対に許さない

信仰心があれば

2019年7月2日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

信仰心というものがあればもっと親身に読めたかもしれない。あるいは勉学や投資にも似ていてる発想が書かれていると思いました。信条と生き方は隣接していると思います。

9人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

やまねこ旅行社

光のなかを歩く

2018年5月19日に日本でレビュー済み

光あるうち光の中を歩め
この題名を読むだけで
今を生きる
という
力が湧いてくるような気がします。

生きるということの
ためらい
迷い
逃げ
虚偽
むなしさに
十分に浸り、苦しみ尽くし

どうすることもできなくなり
それを手放し

また、顔をあげて
光の中を歩いて行く
光あるうち光の中を歩む
それしかない。
光あるうち光の中を歩め
と
やさしい声がささやく。
力強い腕が私の手をとる。

くじけそうな
こころの
光のガイド。
トルストイの傑作です。
大好きな作品です。
短編で簡単に読めますので
トルストイ
外国文学初心者の方にお勧めです。

10人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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Saburo Ochiaigawa

文豪トルストイが晩年に到達したキリスト教的人生観を、見事に物語化した作品

2010年11月13日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

　トルストイの「人生論」も、当該著書も、文豪トルストイが晩年に到達した人生観を示すものであり、興味深い。この文豪が到達した人生観はキリスト教に基づいた簡明なものだが、実行は容易いものではないのだろう。

　著者略歴によれば、トルストイが「神と人類に奉仕する」求道者を標榜し、私有財産を否定、夫人との不和に陥るとあるが、これは当該著書の一部とも内容的に重複するのではないかとすら思われる。人間トルストイが具に感じられ、親近感を覚える。

　「解説」には、「光あるうち光の中を歩め」は、福音書に伝えられているキリストの教えに従って生きよと説いた晩年のトルストイ思想を、きわめてわかりやすく示している作品である。また、俗世界における性的な愛とか、私有欲、名誉心などといったものが、いかに力強くわれわれを金縛りにしているか、トルストイの理想とするキリスト教的自己完成の障害となっているかが、強い説得力をともなって示されているとある。

　この物語で、俗世界に浸かるユリウスが、長い魂の彷徨の末についに神の道に入る件は感動的である。「それでユリウスは安心した。兄弟たちのために全力を傾注して労苦しつつ生活を続けた。こうして彼は、喜びの内になお二十年生き延びた。そして肉体に死が訪れたのも知らなかった。」（結びを引用）

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