'00年、扶桑社刊行本に「多少の手を加え」（p.274）完全版という形になった、'08
年7月9日初版本。日本語で述べたものとしては珍しい、心理占星術（学）にかんする
本です。
p.6「はじめに」で著者は本書の目的を、「占星術が古代から受けついできた象徴体
系（シンボリズム）と深層心理学を関連づけていき」、「ひとりひとりの心の中に隠
されている可能性を、どうすればもっと創造的に表現できるかを探」る事、としてい
ます。
そのために行う、占星術の心理学的アプローチについて著者はユングを引き合いに
出し述べた後、「占星術（Astrology）という言葉は、ギリシャ語で星を意味す
るastronと言葉を表すlogosで成り立っています」とし、「それぞれの心という小宇
宙の中にある星の言葉に耳を傾ける。それは現代人にとって、自分を再発見する旅で
あり、見失われた魂を探し出す旅でもあります」としています（「あとがき」にも、
心理占星学の目的をわかりやすく伝える、「桃の種」の、おもしろい譬え話がありま
す）。
著者は'80年代、心理占星術が大いに花咲いた地イギリスで、大家ハワード・サスポー
タス氏らに師事していらした、というのですから、実に恐れ入る方です。そして'08
年初夏に書かれた、末尾の「完全版によせて」では、イスラム世界の占星術を発掘す
べく、アラビア語習得に多くの時間を費やしてきた事が書かれています。
字数に余裕が充分でない為、本文で興味深い、読み所をダイジェストでのべますと、
1.12宮は「彼方の光の回廊」（p.20）等の、詩的表現の豊富さ。
2.Asc、上昇惑星、太陽のある宮、MCについてのべたP.131〜133。
3.カイロンのハウス・アスペクト毎の記述（p.229〜245）。
些細な事ですが、天王星、海王星、冥王星のエギザルテーション及びフォールを示
したp.70の記述は珍しいです。その拠り処、出典は何だろう、というのがあります
（巻末の参考文献を漁ってみます）。
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