冒頭とおわりに、で繰り返し書かれていますが、「なぜ今『ヨーロッパの国民性』なのか」という問いかけの答えを求めているような旅でもありました。
国民性の違いが旅人である関口さんにはよく見えており、逆に日本人の国民性も理解できるという奥深さを示した本でした。
各国の人々との触れ合いの中で得られた実感は、様々な人種で構成されているヨーロッパをとらえるキーワードのようにも受け取りました。国民性を知るという効用もある本です。
テレビ番組で見たものを反芻する機会でもありましたが、本書での関口さんが書かれた絵と言葉も味わい深いものがありました。多種多様な能力が伝わってきます。
本書は、関口知宏さんの旅番組のNHKのBSプレミアムで2016年に放送された「ヨーロッパ鉄道の旅 ハンガリー、クロアチア、スウェーデン、ポルトガル編」を本として編集されたものです。
当方にとっても大変好きなシリーズです。本書の出版は嬉しく、懐かしく読了しました。
オールカラーで、1日の行程が1ページで掲載され、地図、行動のエッセンス、旅程が写真とコメントともに掲載してあります。番組を見ていると分かりますが、放送されたほんの一部分を紹介しています。なお、放送中によく登場した、関口さんのイラスト風のスケッチは、基本的に全作掲載され、自筆のコメントが記されていますので、番組を見た方への追加オプションとして有用でしょう。絵も独特ですが、文章や考え方も深く、物の見方はとても参考になりました。
冒頭にも書きましたが、本書でも随所に書かれていますが、その国の人々との触れ合いの中で、それぞれの国民性の違い、考え方を考察することで視聴者もただの旅番組とは違う受け取り方ができていると思われました。番組でも関心をもって見ていた「ナイーブアート」について、54pで少し触れられています。61pのコメントにあるようにクロアチアの国民性を「ナイーブ」という言葉と関連させて述べていました。深いです。
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