1964年、タイのバーンムット運河で実際に起こった事件を基に脚色を加えた物語だというが、どこまでが事実で、どこからが脚色かは定かではない。インターネットで「バーンムット運河」を検索しても、ヒットするのはこの作品のことだけ。もっとも、「バーンムット運河」だけで数十件がヒットするのだからこの作品は隠れたヒット作なのかもしれない。
ジャケットを見て「ZODA」や「BOA」などのアニマル・パニック映画を想像していたが、事実を基にしているだけあって最初から最後まで真面目にワニとの戦いが描かれている。友人同士である青年警察官と青年軍人がワニと戦うところはロイ・シャイダーが警察署長として人食い鮫と戦った「ジョーズ」を連想させたが、この作品ではもっと地道に(ある意味では無策に)ワニと対決する。警察署長や村長に助言を与える存在として僧侶が出てくるところはいかにも、さらに最初の解決策として呪術師を立て続けに2人も投入するところもタイらしい。最終的には軍隊が乗り出し、ワニを駆除することに成功するのだが、手に汗握るドキドキするシーンや、ビックリするようなシーンはない。逆に好感が持てる作品だった。
警察官を演じる俳優がトニー・レオンに似ており、彼の恋人や軍人の妻を演じている女優も美人。脇役もどこかで見た顔のように思えるが、情報が不足していて俳優についての詳細は不明である。