ビリー・ワイルダー監督、1950年の作品
サイレント映画の終焉、トーキー時代到来がもたらしたサスペンス悲劇
この時期、スターダムを追われた役者さん・映画関係者は実際にたくさんいたのだと思う
ジーン・ケリーの名作「雨に唄えば」や、近年の「バビロン」(デイミアン・チャゼル監督)でも、サイレントからトーキーへの過渡期、関わる人々の栄枯盛衰が描かれていて
いかにこのテーマがハリウッド映画界で大きかったかがうかがえる
ノーマを演じたグロリア・スワンソンもサイレント時代の人気女優で、自身を投影したかのような本作主演で、当時表舞台にカムバックしたらしい
ただ事でなさそうな迫真の演技もうなづける・・!
執事のマックス(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)も実際に元映画監督の俳優さんで、役柄と重なるキャラクター
マックスが「私はノーマの最初の夫なのだ」と告白したときは、ぞおぉ・・っと背筋が凍るような、ものすごい衝撃が走りました
ノーマに偽のファンレターを書き続け、彼女の愛人の荷物を家に運び込み、愛人が去らないように細々配慮、そしてラストの逮捕劇までを彼女の望むよう撮影現場のように仕立て上げていく・・
うーん大きい、とっても深い愛
狂っているけど心底彼女を思うマックスの愛が、とても哀しく胸に迫りました
すべての登場人物が、入念に練りあげたキャラクターだなとつくづく感じるし、彼らの思惑が交錯していくさまが見事です
ビリーワイルダー作品にはどこか心がホッコリするイメージがある
この作品もシリアスなサスペンス劇ながら、ノーマ(グロリア・スワンソン)が自殺未遂して、ジョー(ウィリアム・ホールデン)が立ち去るのをためらうところなどにそこはとなく人情が漂っている
ジョーの若いベティへ接し方も紳士的で、古きよき時代を感じさせてくれますね・・!