1970年コロンビア・ピクチャーズの配給で公開されました。17世紀のイギリスが題材です。予算8百万㌦(2021年の55百万㌦相当)だそうです。以下、あらすじです。 イングランド王、アイルランド王、スコットランド王のチャールズ1世(A.ギネス)は、アイルランドとスコットランドの反乱に悩まされます。イングランド国教会(Anglicanism、1534年~)の首長として、アイルランドのカトリックとスコットランドのプロテスタントを弾圧したためでした。1640年チャールズはスコットランドの反乱(Bishops' Wars, 1639~40)を鎮圧するため、12年ぶりに議会(庶民院、House of Commons of England)を開き、課税法案を通します。(税の担い手は平民でしたが、議会招集権は国王にありました) しかし1642年、増税に耐えかねた庶民院が「権利の請願」(Petition of Right, 1628)の確認を求めると、チャールズは中心議員(Five Members)を逮捕しようとします。議員には不逮捕特権があり、国王警護隊(King's Guard)の議場導入は大権(divine right of kings)の濫用でした。(大権は戦時の軍指揮権に由来するそうで、弾圧の方便ではないそうです) このため内戦(English Civil War, 1642~51)になります。クロムウェル(Oliver Cromwell, 1599~1658, R.ハリス)のカリスマ性と、それを認めたくないチャールズ(Charles I, 1600~49)の自滅を描きます。以下、トリビアを4点ほど補足します。
1.冒頭、クロムウェル一家が移住を予定したのは、字幕の「米国」(USA, 1776~)ではなく、ニューイングランド植民地(New England Colonies, c. 1630~1776)です。
2.王妃ヘンリエッタ・マリア(Henrietta Maria, 1609~69, D.トゥーティン)はフランスのルイ13世(Louis XIII, 1601~43)の妹です。母親のマリー・ド・メディシス(Marie de' Medici, 1575~1642)を見て育ったそうで、王妃になっても改宗しなかったそうです。なお、チャールズが朝食で国教会を「プロテスタント」と表現しますが、国教会はカトリックと同様の位階制(Episcopal polity)を認めるそうなので、ピューリタン(カルヴァン派)と異なります。
3.ルイ13世はドイツの三十年戦争(Thirty Years' War, 1618~48)で、プロテスタント陣営に肩入れ(1635~)したそうです。チャールズはアイルランド平定でカトリックのフランスを刺激するわけにいかず、一方スコットランドからはフランスの同盟国スウェーデンに義勇軍を送ったそうです。イギリスがフランスと同盟したのは、単独ではハプスブルク家(House of Habsburg)に対抗できなかったためです。国王と議員の会合(Magnum Concilium、マグナム・コンシリアム、1640年)で王妃の肖像画を見上げたクロムウェルが、「対仏協調のツケを増税で賄うのですか?」と皮肉るシーンが出てきます。なお、貴族院(House of Lords)の議員は襟がフリル付きです。議場の共用は脚色です。(二院制)
4.チャールズ処刑後、イングランド、アイルランド、スコットランドはクロムウェルを護国卿(Lord Protector)とする共和制(Interregnum, 1649~60)をとりますが、クロムウェルの死後、チャールズの遺児のチャールズ2世(Charles II, 1630~85)がスチュアート朝を再興します。フランスの絶対王制を真似したそうですが、イングランドは土地の3/4が平民の所有だったため貴族院に実権はなく、掛け声倒れに終わったそうです。(p.116, 西洋政治思想史, 宇野重規著, 2013)
クロムウェル [DVD]
フォーマット | 色, ドルビー, ワイドスクリーン |
コントリビュータ | ケン・ヒューズ, リチャード・ハリス, アレック・ギネス |
言語 | 英語 |
稼働時間 | 2 時間 20 分 |
映画『オッペンハイマー』関連作品発売中
第96回アカデミー賞®最多7部門受賞したクリストファー・ノーラン監督最新作 『オッペンハイマー』を記念して、クリストファー・ノーラン 監督作、キリアン・マーフィー 出演作など『オッペンハイマー』関連作品をピックアップ。 詳細はこちら
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商品の説明
『ベスト・ザ・シネマ』シリーズ第8弾
【ストーリー】
時は1642年、チャールズ1世の絶対王権を守らんとする騎士派とカトリックに反対するピューリタンは議会で衝突。
両者の対立は各地での戦闘に飛び火し、血の市民革命が始まった。
オリバー・クロムウェルは市民の先頭に立ち、国を二つに引き裂こうとする戦いに挑み…。
【キャスト】
オリバー・クロムウェル:リチャード・ハリス
チャールズ1世:アレック・ギネス
【スタッフ】
製作:アーヴィング・アレン
監督・脚本:ケン・ヒューズ
音楽:フランク・コーデル
撮影・ジェフリー・アンスワース
【仕様】
音声
1.ドルビーデジタル ドルビーサラウンド オリジナル(英語)
字幕
日本語、英語、フランス語、スペイン語
特典
・関連作品予告編集
登録情報
- アスペクト比 : 2.35:1
- 言語 : 英語
- 製品サイズ : 25 x 2.2 x 18 cm; 80 g
- EAN : 4907953084674
- 監督 : ケン・ヒューズ
- メディア形式 : 色, ドルビー, ワイドスクリーン
- 時間 : 2 時間 20 分
- 発売日 : 2016/11/2
- 出演 : リチャード・ハリス, アレック・ギネス
- 字幕: : 日本語, 英語
- 言語 : 英語 (Dolby Digital 2.0 Surround)
- 販売元 : Happinet
- ASIN : B01IOBYLZQ
- ディスク枚数 : 1
- Amazon 売れ筋ランキング: - 99,889位DVD (DVDの売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年10月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
高校生のとき西洋史で覚えたクロムウェルはふたりだったかな?往時茫々。
ずいぶん前に衛星映画劇場でビデオ撮りした「わが命つきるとも」/『トマス』を再見してから「クロムウェル」/『オリバー』を視聴。二つの舞台にはおよそ1世紀の時の流れがあることに気がついた。
ごひいきのリチャード・ハリス(オリバー)とアレック・ギネス(チャールズ1世)の重厚な演技を堪能。英国物は面白い。これを機会に『ジーヴス』を閲覧中。つぎは「野望の階段」も(ジャンルが違いそうだけれど)
ずいぶん前に衛星映画劇場でビデオ撮りした「わが命つきるとも」/『トマス』を再見してから「クロムウェル」/『オリバー』を視聴。二つの舞台にはおよそ1世紀の時の流れがあることに気がついた。
ごひいきのリチャード・ハリス(オリバー)とアレック・ギネス(チャールズ1世)の重厚な演技を堪能。英国物は面白い。これを機会に『ジーヴス』を閲覧中。つぎは「野望の階段」も(ジャンルが違いそうだけれど)
2020年1月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今から50年前に作られた映画だが、色褪せていない。歴史好きの人には十分に楽しめる内容になっている。
ストーリーは、チャールズ1世の専制政治に対して、クロムウェルら議会派が内乱を起こし、チャールズ1世を処刑。最後は、クロムウェルが議会を解散して、独裁に至ることを示唆して終わっている(独裁後の様子は描かれていない)。
この映画を見ると、当時の政治状況がよくわかる。
英国では、国王の権限は絶対的なものではなく、議会に一定の権限が認められており、立憲政治が機能している。
こうした中で、国王が強権政治を行ったため、議会との軋轢が生じたのである。
主人公のクロムウェルが、自ら鍛え上げた軍隊を率いて、ネーズビーの戦いで勝利する場面は一つの見所だ。
戦闘シーンも、それなりの臨場感を味わえる。
また、クロムウェルは最初から共和政を目指していたわけではなく、国王との和解を模索しながらも、国王が議会の要求を無視したため、処刑の決断に至らざるを得なかった葛藤も描かれている。
ピューリタン革命を題材にした映画は数少ないので、
当時の政治状況を学べる貴重な映画であり、未視聴の方にお勧めできる作品である。
ストーリーは、チャールズ1世の専制政治に対して、クロムウェルら議会派が内乱を起こし、チャールズ1世を処刑。最後は、クロムウェルが議会を解散して、独裁に至ることを示唆して終わっている(独裁後の様子は描かれていない)。
この映画を見ると、当時の政治状況がよくわかる。
英国では、国王の権限は絶対的なものではなく、議会に一定の権限が認められており、立憲政治が機能している。
こうした中で、国王が強権政治を行ったため、議会との軋轢が生じたのである。
主人公のクロムウェルが、自ら鍛え上げた軍隊を率いて、ネーズビーの戦いで勝利する場面は一つの見所だ。
戦闘シーンも、それなりの臨場感を味わえる。
また、クロムウェルは最初から共和政を目指していたわけではなく、国王との和解を模索しながらも、国王が議会の要求を無視したため、処刑の決断に至らざるを得なかった葛藤も描かれている。
ピューリタン革命を題材にした映画は数少ないので、
当時の政治状況を学べる貴重な映画であり、未視聴の方にお勧めできる作品である。
2013年10月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
歴史を感知するのに、
視覚でとらえられるのは理解の一助となりますよ。
とにかく、感じて、考えることが大切。
その契機を提供しています。
興味と関心があれば、さらに追求は深くなりますし、
自らの解釈にも説得力が増していくというものでしょう。
民主主義、神の前の平等、王権などについて思索できました。
また衣装デザイン、俳優さんのメイク、セリフ、演技も素晴らしく、
映画としても楽しめました。
この後の史実が示すように、
振りすぎた振り子の揺り返しがあり、
人々の営みはつづきますが、
イングランド、英国、アメリカ、キリスト教、
今日の世界を違った視点で知ることになります。
視覚でとらえられるのは理解の一助となりますよ。
とにかく、感じて、考えることが大切。
その契機を提供しています。
興味と関心があれば、さらに追求は深くなりますし、
自らの解釈にも説得力が増していくというものでしょう。
民主主義、神の前の平等、王権などについて思索できました。
また衣装デザイン、俳優さんのメイク、セリフ、演技も素晴らしく、
映画としても楽しめました。
この後の史実が示すように、
振りすぎた振り子の揺り返しがあり、
人々の営みはつづきますが、
イングランド、英国、アメリカ、キリスト教、
今日の世界を違った視点で知ることになります。
2014年11月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
リチャード・ハリスとアレックス・ギネスは本当に17世紀にいてもおかしくない雰囲気でハマり役だと思いました。
この二人以外で印象に残ったのはマンチェスター役の俳優で、あの俗物ぶりはイケメンばかりの今の俳優陣では真似できないだろうなと思いました。
後イギリスの平原の美しさと貴族側の衣装の煌びやかさが印象に残りました。
この二人以外で印象に残ったのはマンチェスター役の俳優で、あの俗物ぶりはイケメンばかりの今の俳優陣では真似できないだろうなと思いました。
後イギリスの平原の美しさと貴族側の衣装の煌びやかさが印象に残りました。
2014年4月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最近の映画みたいに、話に起伏はない。
名優の台詞回しにどうにか助けられているのかもしれない。
でもだからといってリチャードハリスがどうかというと、まあ残酷なおっさんの顔つきじゃないんだね。
クロムウェルって、王政復古のとき、墓を掘り起こされて、何年も橋の下にさらし者になっていたんだよね。
なんかそういう暗さ、陰鬱さがないのよ。
あくまで革命の善人として描かれている。
時代がそうだったのかな。
イギリスが財政破綻して、パンクロックがはやろうとするころ?
名優の台詞回しにどうにか助けられているのかもしれない。
でもだからといってリチャードハリスがどうかというと、まあ残酷なおっさんの顔つきじゃないんだね。
クロムウェルって、王政復古のとき、墓を掘り起こされて、何年も橋の下にさらし者になっていたんだよね。
なんかそういう暗さ、陰鬱さがないのよ。
あくまで革命の善人として描かれている。
時代がそうだったのかな。
イギリスが財政破綻して、パンクロックがはやろうとするころ?
2015年3月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
チャールズ一世の暴政からピューリタン革命、クロムウェルの独裁への端緒までみることができます。
服飾はさすが、アカデミーで受賞しただけあり、すばらしい!
服飾はさすが、アカデミーで受賞しただけあり、すばらしい!
2018年4月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
クロムウェルの人柄と人生を知るために購入しましたが残念ながら未再生。ゆっくり鑑賞できる折りを楽しみにしております。
他の国からのトップレビュー

David Cooke
5つ星のうち5.0
Historical Must-See Movie
2024年3月18日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
Excellent must-see film on the events of the interregnum - the time of the English Republic, when Oliver Cromwell ruled. The foundations of our western freedoms and systems of government are clearly set forth in this movie. Here we see imperfect but God-fearing Englishmen rise up in the name of Christ to shake off the shackles of greedy, self-righteous tyrants in order to secure the rights of every man.

Gianpietro
5つ星のうち5.0
Articolo ben consegnato e perfetto
2020年10月5日にイタリアでレビュー済みAmazonで購入
Perfetto. Avevo acquistato il dvd presso altri ed era pessimo (bassa risoluzione, si bloccava). Amazon è sempre una sicurezza

Amazon Customer
5つ星のうち5.0
Good movie
2024年2月2日にオーストラリアでレビュー済みAmazonで購入
Arrived in good condition and was a good show!

SW
5つ星のうち5.0
Opulent ausgestatter Historienfilm
2018年2月25日にドイツでレビュー済みAmazonで購入
Der Film kann getrost zu den Monumentalfilmen gezählt werden. Er ist opulent ausgestattet, der Film erhielt nicht zu Unrecht einen Oscar für die Kostüme. Sehenswert sind nicht nur die Schlachten, auch die Schauspieler glänzen, allen voran Richard Harris als Oliver Cromwell, Alec Guinness (King Charles I.) und damals 1970 sicher noch, unbekannt Timothy Dalton als Rupert von der Pfalz.
(Natürlich sind die historischen Umstände, einfacher dargestellt. Der Film soll ja auch unterhaltsam sein.)
Im 17. Jhd. Lehnt sich Oliver Cromwell, Landbesitzer und Mitglied des Unterhauses, gegen den König Charles I. auf. Es kommt zum Bürgerkrieg…
Da die DVD von Kochmedia stammt gilt hier: Bei Kochmedia kann man grundsätzlich nicht viel verkehrt machen. Gerade bei so einem alten Film. Bild ist völlig ok.
Es gibt eine deutsche und eine Englische Tonspur / Untertitel: Deutsch, Englisch / Format 2.35 : 1 / Es gibt sogar Bonusmaterial: Kinotrailer, Bildergalerie.
Jedoch ist der Kinotrailer auf Englisch, nicht wie angegeben: Deutsch!
(Natürlich sind die historischen Umstände, einfacher dargestellt. Der Film soll ja auch unterhaltsam sein.)
Im 17. Jhd. Lehnt sich Oliver Cromwell, Landbesitzer und Mitglied des Unterhauses, gegen den König Charles I. auf. Es kommt zum Bürgerkrieg…
Da die DVD von Kochmedia stammt gilt hier: Bei Kochmedia kann man grundsätzlich nicht viel verkehrt machen. Gerade bei so einem alten Film. Bild ist völlig ok.
Es gibt eine deutsche und eine Englische Tonspur / Untertitel: Deutsch, Englisch / Format 2.35 : 1 / Es gibt sogar Bonusmaterial: Kinotrailer, Bildergalerie.
Jedoch ist der Kinotrailer auf Englisch, nicht wie angegeben: Deutsch!

JT
5つ星のうち5.0
Beautiful period flavor piece ........
2013年6月21日にカナダでレビュー済みAmazonで購入
This movie had a really nice Renaissance period flavor to it. The costumes were fabulous and the story was exciting and easy to follow. From what I understand the story is not totally historically accurate in a few details, but it is accurate in the overall events that it portrays. Of course, it is a movie and it's primary goal is to probably entertain which it does in spades. The battle scenes were great and one really gets a nice idea of the political climate of those times as the outrage of parliament over the kings cruelties, arrogance, and follies are well portrayed.