自分の人生経験でも医者の判断が正しかった記憶はほとんどない。医者のコミュニケーション能力の低さ、それにもまして、医学という不完全な実践に、医者の謙虚さがなさすぎる。最近、若手の医者のエッセイで患者を見下す傲慢な論旨がしばしば見られるになったが、患者目線の医療改革についていけない医者が増加しているのではないだろうか。
この本が使っている論理は納得できる。統計のマジック、検査情報の増加によって医者の判断が不確定になるパラドックス、医者の金儲け指向がなかったとしても、構造的に患者を無用にいじりまわすように医療のパラダイムはシフトしている。
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過剰診断: 健康診断があなたを病気にする (単行本) 単行本 – 2014/12/15
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早期発見・早期治療を進めるのはいいことなのか? あなたが診断された「病気」は「病気の可能性」かもしれない。見落とされてきた過剰診断の害を警告する。
- 本の長さ302ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2014/12/15
- 寸法13.1 x 2.2 x 18.8 cm
- ISBN-104480864342
- ISBN-13978-4480864345
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2014/12/15)
- 発売日 : 2014/12/15
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 302ページ
- ISBN-10 : 4480864342
- ISBN-13 : 978-4480864345
- 寸法 : 13.1 x 2.2 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 496,125位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,703位健康法
- カスタマーレビュー:
-
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上位レビュー、対象国: 日本
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2015年3月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
過剰診断とは「決して症状が出たり、そのために死んだりしない人を、病気であると診断すること(P16)」である。本書ではさまざまな過剰診断の例が挙げられているが、典型的には高齢者の前立腺癌だ。なにも症状は無いがよく調べると前立腺癌を持っている人は結構な割合でいる。その証拠の一つとして、事故で亡くなった男性の前立腺を詳しく調べてみると、70歳台の80%もの人に前立腺癌が発見された。生きている男性に対し、PSA(採血でわかる前立腺がんマーカー)やエコー検査を行っても、前立腺癌の死亡率から予測されるよりはるかに多くの前立腺癌が見つかる。これらの多くが過剰診断である。つまり、こうした人たちの多くは、治療を受けなくても前立腺癌による症状が出る前に亡くなる。
前立腺癌に限らず、無症状の人に対して癌の検査を、つまり癌検診を行うと、一定の割合で過剰診断が生じる。過剰診断は、本来不要であった治療(過剰治療)を招きうるし、そうでなくても余計な不安を招く。乳癌のように死亡率を低下させることが証明されている癌検診ですら過剰診断は起こる。癌は早期診断・早期治療が重要だと言われているが、いつでもそうだとは限らない。他のあらゆる医療行為と同じく、癌検診にはメリットとデメリットがあり、そのバランスを評価しなければならない。
本書は、癌検診をはじめとした過剰診療の危険について系統的に述べられている良書である。本文だけなら星5つである。星を減らした理由の一つは文献リストの省略である。本書はさまざまな文献を根拠に書かれており、原著には文献リストがあったはずなのだが、日本語訳にはない。おそらくはコストの問題からか、和訳にあたって文献リストが略されることがあるが、好ましくない。限られた人だけが大学図書館を利用できた昔と違い、インターネットが使える現在は誰でも容易に原著論文にアクセス可能である。より詳しい情報を得たい読者のための道標はコストに見合うものだと信じる。
星を減らした別の理由は、日本語訳につけられるべきであった警告の欠如である。「早期診断が常に悪い、と言う人はいない(P263)」と著者は書くが、日本にはいるのである。それも、100万部を売るベストセラー作家である。そう、「がんもどき理論」を提唱し、「がん放置療法」を勧める近藤誠氏だ。「がんもどき理論」と過剰診断の問題は、一見、似ているところがある。しかしそれは、表面だけのものに過ぎない。近藤誠氏のいう「がんもどき」は、病理的には癌と診断されるが、転移も起こさないとされる。過剰診断された癌は「がんもどき」ではないのか?
本書で示されたように、放置しても症状を起こさない癌が存在することは、どの医師でも認めるところである。「がんもどき理論」の誤りは、すべての癌が、発見時には既に転移している「本物の癌」か、「がんもどき」のどちらかであるという主張にある。「がん放置療法」の根拠は、「本物の癌」であればすでに転移しているので早期発見して切除しても無駄だし、「がんもどき」であれば転移をしないのでやっぱり切除しても無駄だというものである。
本書を読んだ方は、「がんもどき理論」が間違っていることを理解できるはずである。たとえば、「がんの進行度にはいろいろある」の図では、近藤誠氏の言う「本物の癌」でも「がんもどき」でもない、「いずれは症状が出て死に至るが、それには何年もかかる(P96)」という中間的な成長速度を示す癌について言及されている。こうした癌は「ほぼ間違いなくスクリーニングが最大のメリットをもたらす(P96)」。近藤誠氏は癌検診の有用性も否定しているが誤りである。癌検診にはメリットもあればデメリットもある。「がんもどき理論」は、「早期発見はメリットしかない」という主張と同じくらい間違っている。これから本書の書評を書く方、とくにメディア等で影響力のある方にお願いしたい。本書は近藤誠氏の主張を支持するものではなく、積極的に否定するものであることを明確に書いていただきたい。
私は本書をamazonから帯を見ずに購入した。もし書店で見かけたら日本語訳は購入せず、原著のほうを買ったであろう。星を減らした最大の理由が帯である。本書の帯には、近藤誠氏が「医療もビジネス。病院を増やすカラクリがよくわかる本。」と書いていた。「近藤誠氏の主張は正しい」という誤解を招きかねない。近藤誠氏に本書の帯を書かせた出版社の見識を疑う。そもそも、近藤誠氏は本書を読んだのであろうか。P125には著者の妻が胸のしこりをきっかけに乳癌と診断されたことが書いてある。「彼女は手術、化学療法、そして放射線療法を受け、幸いなことに今も元気でいる(P125)」。放置療法を選択したら著者の妻はいまごろ生きていなかったであろう。
「早期発見は常によい」という極論と、「がんもどき理論」「がん放置療法」というもう一方の極論。どちらの極論にも与しない"健全な懐疑心"が健康を守ってくれるだろう。
前立腺癌に限らず、無症状の人に対して癌の検査を、つまり癌検診を行うと、一定の割合で過剰診断が生じる。過剰診断は、本来不要であった治療(過剰治療)を招きうるし、そうでなくても余計な不安を招く。乳癌のように死亡率を低下させることが証明されている癌検診ですら過剰診断は起こる。癌は早期診断・早期治療が重要だと言われているが、いつでもそうだとは限らない。他のあらゆる医療行為と同じく、癌検診にはメリットとデメリットがあり、そのバランスを評価しなければならない。
本書は、癌検診をはじめとした過剰診療の危険について系統的に述べられている良書である。本文だけなら星5つである。星を減らした理由の一つは文献リストの省略である。本書はさまざまな文献を根拠に書かれており、原著には文献リストがあったはずなのだが、日本語訳にはない。おそらくはコストの問題からか、和訳にあたって文献リストが略されることがあるが、好ましくない。限られた人だけが大学図書館を利用できた昔と違い、インターネットが使える現在は誰でも容易に原著論文にアクセス可能である。より詳しい情報を得たい読者のための道標はコストに見合うものだと信じる。
星を減らした別の理由は、日本語訳につけられるべきであった警告の欠如である。「早期診断が常に悪い、と言う人はいない(P263)」と著者は書くが、日本にはいるのである。それも、100万部を売るベストセラー作家である。そう、「がんもどき理論」を提唱し、「がん放置療法」を勧める近藤誠氏だ。「がんもどき理論」と過剰診断の問題は、一見、似ているところがある。しかしそれは、表面だけのものに過ぎない。近藤誠氏のいう「がんもどき」は、病理的には癌と診断されるが、転移も起こさないとされる。過剰診断された癌は「がんもどき」ではないのか?
本書で示されたように、放置しても症状を起こさない癌が存在することは、どの医師でも認めるところである。「がんもどき理論」の誤りは、すべての癌が、発見時には既に転移している「本物の癌」か、「がんもどき」のどちらかであるという主張にある。「がん放置療法」の根拠は、「本物の癌」であればすでに転移しているので早期発見して切除しても無駄だし、「がんもどき」であれば転移をしないのでやっぱり切除しても無駄だというものである。
本書を読んだ方は、「がんもどき理論」が間違っていることを理解できるはずである。たとえば、「がんの進行度にはいろいろある」の図では、近藤誠氏の言う「本物の癌」でも「がんもどき」でもない、「いずれは症状が出て死に至るが、それには何年もかかる(P96)」という中間的な成長速度を示す癌について言及されている。こうした癌は「ほぼ間違いなくスクリーニングが最大のメリットをもたらす(P96)」。近藤誠氏は癌検診の有用性も否定しているが誤りである。癌検診にはメリットもあればデメリットもある。「がんもどき理論」は、「早期発見はメリットしかない」という主張と同じくらい間違っている。これから本書の書評を書く方、とくにメディア等で影響力のある方にお願いしたい。本書は近藤誠氏の主張を支持するものではなく、積極的に否定するものであることを明確に書いていただきたい。
私は本書をamazonから帯を見ずに購入した。もし書店で見かけたら日本語訳は購入せず、原著のほうを買ったであろう。星を減らした最大の理由が帯である。本書の帯には、近藤誠氏が「医療もビジネス。病院を増やすカラクリがよくわかる本。」と書いていた。「近藤誠氏の主張は正しい」という誤解を招きかねない。近藤誠氏に本書の帯を書かせた出版社の見識を疑う。そもそも、近藤誠氏は本書を読んだのであろうか。P125には著者の妻が胸のしこりをきっかけに乳癌と診断されたことが書いてある。「彼女は手術、化学療法、そして放射線療法を受け、幸いなことに今も元気でいる(P125)」。放置療法を選択したら著者の妻はいまごろ生きていなかったであろう。
「早期発見は常によい」という極論と、「がんもどき理論」「がん放置療法」というもう一方の極論。どちらの極論にも与しない"健全な懐疑心"が健康を守ってくれるだろう。
2014年12月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
過剰診断の弊害が、
年々クローズアップされ
権威ある医学誌
BMJ(英国医師会雑誌)などに続々と
「なぜ、がん検診で救命できないのか(早期発見・
早期治療で延命につながった証拠が皆無)」
「ピロリ菌除菌をしても
胃がん死は減らず、強い抗生物質などを使うため
薬の副作用で腸内環境が悪化して、総死亡が増える」などの
論文が載り、アメリカやスイスで、
乳がんのマンモグラフィ、前立腺がんのPSAなどの
がん検診の「見直し」「廃止」が勧告されている。
世界中で「予防医療という洗脳」を解こうという
波が起きている
乳がんのマンモグラフィ検診、
胃がん・肺がん検診、
前立腺がんのPSA検査
子宮がん検診、甲状腺がん検診などを
推進して、以前の10倍以上も
早期発見しても、がん死は減らないことが
データで明らかになっている。
元気な人に検診を受けさせ、
数値や画像から
「病気」「病変」を掘り起こして、
無意味な治療で体を傷つけている実態が
あらわになっている。
医療もビジネス。
病人を増やすカラクリがよくわかる本……近藤誠
帯のメッセージどおりだ。
2013年、米国立がん研究所の作業部会は、米医師会雑誌にこう提言した。
「検診で見つかったが、死に至らない腫瘍を、
がんと呼ぶべきではない。たとえば乳がんの1~2割を占める超早期がんは、
致死性はないのに、がんという響きが患者に恐怖感を与える。
別の呼び名を考えた方がいい。
前立腺がん、肺がん、甲状腺がんも、検診により過剰な診断がなされる例が多い。
検診の精度が上がり、普及することで、がんと呼ばれる病気の範囲が広がっている。
過剰な診断や診療を防ぐための対策が必要」。
スイス医療委員会も2014年5月
「マンモグラフィー健診は 乳がんによる全死亡率を低下させない」と、廃止勧告した。
本書を読んで、「がんには本物と、もどきがあり、どちらも治療は無意味。
放置して、苦痛のケアだけをするのが、最も穏やかに長生きできる」
「元気で長生きしたいなら、検査を受けるな。医者に近づくな」と
30年近く一貫して唱えている近藤先生の底力を再認識した。
年々クローズアップされ
権威ある医学誌
BMJ(英国医師会雑誌)などに続々と
「なぜ、がん検診で救命できないのか(早期発見・
早期治療で延命につながった証拠が皆無)」
「ピロリ菌除菌をしても
胃がん死は減らず、強い抗生物質などを使うため
薬の副作用で腸内環境が悪化して、総死亡が増える」などの
論文が載り、アメリカやスイスで、
乳がんのマンモグラフィ、前立腺がんのPSAなどの
がん検診の「見直し」「廃止」が勧告されている。
世界中で「予防医療という洗脳」を解こうという
波が起きている
乳がんのマンモグラフィ検診、
胃がん・肺がん検診、
前立腺がんのPSA検査
子宮がん検診、甲状腺がん検診などを
推進して、以前の10倍以上も
早期発見しても、がん死は減らないことが
データで明らかになっている。
元気な人に検診を受けさせ、
数値や画像から
「病気」「病変」を掘り起こして、
無意味な治療で体を傷つけている実態が
あらわになっている。
医療もビジネス。
病人を増やすカラクリがよくわかる本……近藤誠
帯のメッセージどおりだ。
2013年、米国立がん研究所の作業部会は、米医師会雑誌にこう提言した。
「検診で見つかったが、死に至らない腫瘍を、
がんと呼ぶべきではない。たとえば乳がんの1~2割を占める超早期がんは、
致死性はないのに、がんという響きが患者に恐怖感を与える。
別の呼び名を考えた方がいい。
前立腺がん、肺がん、甲状腺がんも、検診により過剰な診断がなされる例が多い。
検診の精度が上がり、普及することで、がんと呼ばれる病気の範囲が広がっている。
過剰な診断や診療を防ぐための対策が必要」。
スイス医療委員会も2014年5月
「マンモグラフィー健診は 乳がんによる全死亡率を低下させない」と、廃止勧告した。
本書を読んで、「がんには本物と、もどきがあり、どちらも治療は無意味。
放置して、苦痛のケアだけをするのが、最も穏やかに長生きできる」
「元気で長生きしたいなら、検査を受けるな。医者に近づくな」と
30年近く一貫して唱えている近藤先生の底力を再認識した。
2021年4月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
筆者がくわしく説明しているように「過剰診断」は現代医療の最大の問題となっている.これは医者が傲慢だとか謙虚さがないといったことではなく,医療をささえるシステムの問題であることも一章がさかれてくわしく説明されている.製薬会社など周辺産業のみならず医療機関にとっても,医療の対象を無症状者まで広げ検査を多くおこなうことが収益を向上させる結果となること,早期発見早期治療というのが一般のひとのみならず医療者のドグマと化していること,疾患を見のがせば訴訟となるが過剰診断にはペナルティがないこと,などさまざまなシステム上の問題が分析されている.
筆者はかなり工夫してわかりやすく書こうとしているが,病気のスクリーニングのメリットとデメリットを統計的に説明しているところなどは,論文のデータをもとにしているために実は意外にむずかしい.医療者でないひとにはなかなか理解しづらいところもあるかもしれない.しかしこの本は,巷によくある感情的でイデオロギー先行の医療批判本ではなく,あくまでもエビデンスにもとづいた科学的な内容であることに大きな価値がある.通読して理解することに意味があるので,じっくりと取り組んでいただければと思う.
訳文はこなれていてとても読みやすい.しかし医学的な用語の誤訳が多くてとても気になる.読んでいてあれっと思うところは,たいてい訳者が文章の意味を理解せずに医学用語をただ直訳しているためである.たとえば「骨盤検査」.これはおそらく"pelvic examination"がなんであるかわからないまま直訳したもので,日本語で「内診」と訳しておけば,それ以下の文章もスムースにわかるようになるだろう.いい本であるだけに,この点は非常に残念に思った.再版するときや文庫化されるときは,ぜひしっかりした医療監修者をつけて,全体の訳語を再チェックしていただきたいと願っている.
筆者はかなり工夫してわかりやすく書こうとしているが,病気のスクリーニングのメリットとデメリットを統計的に説明しているところなどは,論文のデータをもとにしているために実は意外にむずかしい.医療者でないひとにはなかなか理解しづらいところもあるかもしれない.しかしこの本は,巷によくある感情的でイデオロギー先行の医療批判本ではなく,あくまでもエビデンスにもとづいた科学的な内容であることに大きな価値がある.通読して理解することに意味があるので,じっくりと取り組んでいただければと思う.
訳文はこなれていてとても読みやすい.しかし医学的な用語の誤訳が多くてとても気になる.読んでいてあれっと思うところは,たいてい訳者が文章の意味を理解せずに医学用語をただ直訳しているためである.たとえば「骨盤検査」.これはおそらく"pelvic examination"がなんであるかわからないまま直訳したもので,日本語で「内診」と訳しておけば,それ以下の文章もスムースにわかるようになるだろう.いい本であるだけに,この点は非常に残念に思った.再版するときや文庫化されるときは,ぜひしっかりした医療監修者をつけて,全体の訳語を再チェックしていただきたいと願っている.