この本、平成28年(2016)の5月頃に出た本で、自分は当然すぐに買ったのですが、
この日この時までわざとレビューはしないでおきました。
なぜか。
それは、この本が自分の中で平成28年の最も面白い本だったからですよ。
アマゾンでは、年に200冊ほど本を買いますが(おそらく実数はもう少し上)、
その中には、面白いけど難しい本や、単に難しい本などいろいろあるのですが、
この本はマジメなのに面白く、しかもその面白さたるや、
もう圧倒的にぶっちぎりでmy1位でした。
だから、平成28年最後のレビューは、なんとしてもこの本で飾りたかったのです。
・
・
この本の面白さは、珍しいことにクララ先生もこの本の中で自負していて、
「著者本人が保証します。
本書は最高に面白い本です。
最高に面白い時代の、最高に面白い人々が織り成す、最高に面白い本です」 とおっしゃっているくらいです。
そして、本当にそうでした。
クララ先生の本であるにも拘らず、普通にマジメです。
そして、本当に不思議でした。
クララ先生の本であるにも拘らず、ギャグなどがほとんどありません。
そして、本当にびっくりしました。
室町時代の本なのに、なんでこんなに面白いのかと。
「本書では、有名な古典『太平記』の時代、すなわち鎌倉末期から室町時代を扱います」
・・・鎌倉時代も室町時代も、日本の歴史の中では人気のない時代ですよね。
古代、平安時代、源平時代、戦国時代、江戸時代、明治以降~大東亜戦争敗戦まで、
人気の時代はいくつもあるのに、鎌倉時代や室町時代が好きという人は、そうはいないはずです。
NHKの大河ドラマも、
かつて「北条時宗」がコケて以来、このあたりの時代には一切手を触れず、
戦国、幕末、戦国、幕末・・・と、バカの一つ覚えのように同じことを繰り返すだけになってしまいました。
個人的には「北条時宗」、好きでしたけど。
あの、番組が終わる時にいつも出てくる、
< 蒙古襲来まであと〇〇〇日 >というカウンターが大好きでしたね。
でも、あんまり人気はありませんでした。
それぐらいマイナーな時代です。
なのに、なんでこの本はこんなに面白いんだ。
・
・
「頼朝は上の権威と下の武士の両者を説得し得たという理論は、
まず『鎌倉殿の下の平等』ということです。
頼朝以前の時代は、
権力を持つ摂関家、院、平家に連なった連中が裁判で有利になるような時代でした。
ところが、『鎌倉殿の下の平等』を建前として裁判をやるということは、
まさに『法の下の平等』ということが約束されるわけです。
『鎌倉殿の下の平等』という建前で、
『先例と道理』を大事にするということをまとめたのが御成敗式目(1232年制定)です。
先例を大事にするというのは、まさに保守そのものです。
(中略) そして、先例で解決できないことは、道理を重んじて臨むということでした。
頼朝は革命なんて、はなから考えようがない、
保守主義者だったということがわかっていただけたかと思います」
・・・自分は基本的に、源氏も平家も大好きなのですが、
それは義経をはじめとする< 恐るべき源氏・平氏の勇者たち >、すなわち
鎮西八郎為朝(源為朝)や、悪源太義平(源義平)、あるいは平教経のような< 戦士 >たちが好きです。
頼朝は嫌いではないのですが、義経を結果的に殺していますし、
さまざまな作品で悪役っぽく描かれているので、かわいそうだなぁと思っていました。
だから、クララ先生のこの指摘はすごく嬉しいです。
それにしてもこの本、
上記のように本当にマジメに書いているのに、面白いのですから不思議です。
ただ、マジメだけで終わらないのがクララ先生の良いところです。
・
・
「 (前略) まだまだネタはテンコ盛りなので、『倉山満の室町』はシリーズ化が決定した。
(中略) 本書、最初は中トロが連打で出てくるなと思っていたら、
観応の擾乱とかになると
『回転すしの店に入ったらすべての皿が豚の角煮』
という状態になるので、乞うご期待」
・・・最後の最後の「おわり」に来てこれですから、クララ先生の本は油断なりません。
「回転すしの店に入ったらすべての皿が豚の角煮」って。 ('∀`*)ウフフ
この本、本当にマジメなのですが、
時々そっと挿し込まれるギャグが、むっちゃ面白いのも魅力です。
あと、表紙のイラストも良いです。
表紙のイラストは、絶対にクララ先生がモデルですよね。
ああいう悪党面、項羽(シァンユゥ)や曹操(サオサオ)や呂布(リュウブゥ)みたくて、死ぬほど大好きです。
このシリーズ、いっそ次巻からは大量に挿し絵も掲載してください。期待してます。
それにしても、
「回転すしの店に入ったらすべての皿が豚の角煮」って。 ( '艸`)ムププ
このレビューが参考になれば幸いです。 (*^ω^*)

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倉山満が読み解く 太平記の時代―最強の日本人論・逞しい室町の人々 単行本(ソフトカバー) – 2016/5/16
倉山満
(著)
倉山満が読み解く 太平記の時代―最強の日本人論・逞しい室町の人々
目次
はじめに 佐々木道誉に学ぶ、逞しい日本人の生き方
序章 中国人が呆れた! 日本人が、日本人ではない時代
第1章 日本とはどういう国か
第2章 現実主義が国を滅ぼす~鎌倉幕府の教訓
第3章 建武の親政
第4章 婆娑羅大名の時代
おわりに
目次
はじめに 佐々木道誉に学ぶ、逞しい日本人の生き方
序章 中国人が呆れた! 日本人が、日本人ではない時代
第1章 日本とはどういう国か
第2章 現実主義が国を滅ぼす~鎌倉幕府の教訓
第3章 建武の親政
第4章 婆娑羅大名の時代
おわりに
- 本の長さ230ページ
- 言語日本語
- 出版社青林堂
- 発売日2016/5/16
- ISBN-104792605504
- ISBN-13978-4792605506
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登録情報
- 出版社 : 青林堂 (2016/5/16)
- 発売日 : 2016/5/16
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 230ページ
- ISBN-10 : 4792605504
- ISBN-13 : 978-4792605506
- Amazon 売れ筋ランキング: - 196,021位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 46位室町時代
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年12月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2019年1月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2016年刊行。
鎌倉から室町までの事実を暴く。
著者はわかりやすく書いているのだろうが、僕にはちょっと専門的にわかりにくい。
天皇、公家、武士なんかだけでなく、当時の一般庶民の暮らしぶりもちょっと入れてくれた方がよかったかな。
しかし室町時代は倭寇なんていう海賊が朝鮮、中国、東南アジアを荒らしまくっていたというんだから相当食うに困っている時代かな。
鎌倉から室町までの事実を暴く。
著者はわかりやすく書いているのだろうが、僕にはちょっと専門的にわかりにくい。
天皇、公家、武士なんかだけでなく、当時の一般庶民の暮らしぶりもちょっと入れてくれた方がよかったかな。
しかし室町時代は倭寇なんていう海賊が朝鮮、中国、東南アジアを荒らしまくっていたというんだから相当食うに困っている時代かな。
2018年3月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
倉山先生の歴史本のファンなのですが、本書は歴代の倉山シリーズの中でも1、2を争う面白さでした。
日本史で人気の時代と言えば、「戦国時代」か「幕末」かといったところですが、本書を読むと室町時代もなかなか面白い、というかむちゃくちゃっぷりでは群を抜いている面白い時代だったのだなと思いました。
とにかく登場人物が濃い!!濃すぎてキャラ渋滞です(笑)
双極性障害のカリスマ・足利尊氏、裏切りの天才なのに何故か敵にも味方にも好かれる佐々木道誉、偽造文書作るわ、倒幕の謀議という名の乱交パーティするわとむちゃくちゃな後醍醐天皇・・。
倉山先生がおっしゃるように、同じ日本人とは思えないくらいキャラの濃い偉人たちがこれでもか!と暴れまわった時代、それが室町時代だったことが分かり、改めて日本史ってこんなに面白いのかと思いました。
日本史で人気の時代と言えば、「戦国時代」か「幕末」かといったところですが、本書を読むと室町時代もなかなか面白い、というかむちゃくちゃっぷりでは群を抜いている面白い時代だったのだなと思いました。
とにかく登場人物が濃い!!濃すぎてキャラ渋滞です(笑)
双極性障害のカリスマ・足利尊氏、裏切りの天才なのに何故か敵にも味方にも好かれる佐々木道誉、偽造文書作るわ、倒幕の謀議という名の乱交パーティするわとむちゃくちゃな後醍醐天皇・・。
倉山先生がおっしゃるように、同じ日本人とは思えないくらいキャラの濃い偉人たちがこれでもか!と暴れまわった時代、それが室町時代だったことが分かり、改めて日本史ってこんなに面白いのかと思いました。
2023年9月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
同じ日本列島に住む同じ国体をいただく人種とは思えない。現在の政治家に生まれ変わってくれば改憲再軍備拉致問題、対外的な大問題を良い方向へ導いてくれるのでは、というのは妄想だろうか。
2020年4月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
倉山満氏の慧眼に心酔。自信喪失気味の現代の日本人にも、かつてたくましく生きた時代を彷彿とさせ、今に生きるわれわれに勇気を与えてくれる一冊。
2017年5月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ぎりぎりの世界で自己表現をかますというのは、凄まじく半端ない根性が必要だったわけです。その辺を他人には見せない、まさに生死を
掛けたブラッフ人生。そんじょそこらのヤ~サン顔負けでした。しかし、内面はナイーブな人でもあり、当時としては長命だった人生終末に
息子に遺した遺書には、自分の供養なんかいくらしてもらっても、堂塔を建ててくれても、遺していく、愛するミマ(妻の一人らしい)を扶持してやってくれなければ、安心できない、このほかには、こんしょうにも、後生にもおもいおく事はない。このことのみ心にかかり、妄念にそうらえば…と、必死の哀願を書き残しています。人生で、幼くして養子に出され、弟や子を失い、泣く泣く公家を斬り、自身もひどい傷を負い、厳しい現実の中での、気分転換で芸術を極め、よくぞ生き延びたといったところです。子孫の尼子氏もほぼ滅亡してしまいました。わずかな子孫はありますが。大変でしたね。皆さんももしファンなら、一度お墓詣りしてあげて下さい!
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息子に遺した遺書には、自分の供養なんかいくらしてもらっても、堂塔を建ててくれても、遺していく、愛するミマ(妻の一人らしい)を扶持してやってくれなければ、安心できない、このほかには、こんしょうにも、後生にもおもいおく事はない。このことのみ心にかかり、妄念にそうらえば…と、必死の哀願を書き残しています。人生で、幼くして養子に出され、弟や子を失い、泣く泣く公家を斬り、自身もひどい傷を負い、厳しい現実の中での、気分転換で芸術を極め、よくぞ生き延びたといったところです。子孫の尼子氏もほぼ滅亡してしまいました。わずかな子孫はありますが。大変でしたね。皆さんももしファンなら、一度お墓詣りしてあげて下さい!
2017年9月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とても面白い。
けれど大河ドラマ「太平記」を見ていなかった者には分からない小ネタが多くてちょっとげんなりする。
近現代の出来事や今の政治家に例えることも多いがそれを知らないと理解の助けにはならない。
話を面白く進めようとするあまり筆が滑っている感じか…。
同シリーズを読み継ぐかどうか悩ましいところ。
けれど大河ドラマ「太平記」を見ていなかった者には分からない小ネタが多くてちょっとげんなりする。
近現代の出来事や今の政治家に例えることも多いがそれを知らないと理解の助けにはならない。
話を面白く進めようとするあまり筆が滑っている感じか…。
同シリーズを読み継ぐかどうか悩ましいところ。
2018年4月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
歴史が大好きで、さまざまな本を読み漁っています。評価が高いこの本を、期待して購入しましたが……。所々に出てくる。○○さん、○○○○さんて誰のこと?筆者しかわからず、まして、イニシャルでもない、想像すらできない表現にイライラしました。登場人物を近現代の政治家に置き換えていますが、かえって分かりにくいと感じたのは私自身の知識が浅いせいでもあると思います。私自身、もっと歴史を勉強していきます。