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地球最後のオイルショック (新潮選書) 単行本 – 2008/5/1
穀物価格の高騰。デモの暴徒化。航空・車産業のリストラ。この本通りに事態は進んでいる。
2010年代、世界の石油は枯渇に向かいはじめ、もう二度と増産はできない。ピーク・アウトを越して何の対策も講じなければ、その衝撃はサブプライム問題の比ではない。世界中で株価は暴落し、物価は高騰し、失業者は激増、アメリカ型経済モデルは崩壊するだろう。すでに世界では60の国で石油はピークアウトしているのだ。豊富な資料と、世界の石油関係者170名あまりの取材をもとに書いた衝撃のレポート。
2010年代、世界の石油は枯渇に向かいはじめ、もう二度と増産はできない。ピーク・アウトを越して何の対策も講じなければ、その衝撃はサブプライム問題の比ではない。世界中で株価は暴落し、物価は高騰し、失業者は激増、アメリカ型経済モデルは崩壊するだろう。すでに世界では60の国で石油はピークアウトしているのだ。豊富な資料と、世界の石油関係者170名あまりの取材をもとに書いた衝撃のレポート。
- 本の長さ348ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2008/5/1
- ISBN-104106036053
- ISBN-13978-4106036057
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商品の説明
出版社からのコメント
ガソリン価格高騰の本当の理由。温暖化よりもはるかに怖い真実!原油生産のピークアウトまで10年を切っているのだ。衝撃の調査報道。
著者について
David Strahan デイヴィッド・ストローン
調査報道で定評のあるジャーナリストで、ドキュメンタリー・フィルム製作者。ビジネスと科学の分野で、複雑で重要な出来事を分かりやすく紹介することを得意とする。過去10年にわたって、BBCの番組「マネー・プログラム」「ホライゾン」の報道と製作に従事。ロンドン在住。
調査報道で定評のあるジャーナリストで、ドキュメンタリー・フィルム製作者。ビジネスと科学の分野で、複雑で重要な出来事を分かりやすく紹介することを得意とする。過去10年にわたって、BBCの番組「マネー・プログラム」「ホライゾン」の報道と製作に従事。ロンドン在住。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2008/5/1)
- 発売日 : 2008/5/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 348ページ
- ISBN-10 : 4106036053
- ISBN-13 : 978-4106036057
- Amazon 売れ筋ランキング: - 648,960位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 195位世界の経済事情
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年6月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
すさまじいばかりの事実の集積と説得力に、これから向かおうとする時代が、さらにはっきりと見えてきた気がした。もう一年早く、この書に出会っていたらと思うのは、私だけだろうか。読み物としても、大変エキサイティングで、楽しめた。著者はイギリス人のようだが、ここまでよく取材ができるのも、英語圏の強みか。日本の雑誌や書籍のいい加減な取材、作りとは、やはりかけられる労力も資力も違うと言うことだろう。日本のジャーナリズムだけでなく、文化自体の行く末が、おぼつかなく思える。
2022年3月26日に日本でレビュー済み
未来予測の方法のひとつに「アスク・ジ・オーソリティー法」という手法がある。未来予測が得意な人や未来予測の的中率の高い人にその予測を聞く。単純だが現実的な方法だが、筆者は170人もの専門家にヒアリングした結果が本書となる。
本書は「ピーク・オイル論」に基づく。ピーク・オイル論とは埋蔵量の半分が生産された段階で起こる現象で、政治的な意図に関係なく、資源の減少という自然法則から起こる最後のオイルショックを指す。OPECの埋蔵量の水増し、情勢が安定した国での新規投資先もなく、ロシアやイラクなどの政治リスクの高い国にしか埋蔵されていない。代替エネルギーとしての原発も日本では政治コストが高く現実的ではない。さらに、再生可能エネルギーでは現在のエネルギー需要を満たすことはできない。
地球温暖化でCO2の削減からの化石燃料消費を抑えようという議論も重要だが、それ以前に世界の化石燃料の埋蔵量が半分を切り、ピークオイルに達する日が来ることは100%間違いないことなのだ。このときにラスト・オイルショックが起き、世界構造と私たちひとりひとりの生活は大きく変化せざるを得ない。100億円の資産を持つものが半分を使い切る、100万円持つものが半分を使い切る、それぞれ50%を切った段階で行動が変化することは容易に想像がつくだろう。
現在は石油エネルギーの代替としての天然ガスのメタン、ウランによる原子力が期待されているが、前者は現在ウクライナと戦争を行っているロシア、後者はICBMをたびたび発射する北朝鮮が埋蔵量で世界ナンバーワンだ。これは神のいたずらなのだろうか。人類に与えられた課題なのだろうか。私は、ロシアや北朝鮮のような国々とも衝突を起こさない社会を築く知恵が人類には必要なのだ、と考えるべきだと思う。もちろん、核融合や宇宙太陽光発電を実現させることや再生可能エネルギーからの蓄電社会システムもラスト・オイルショックを乗り切る代替案になるだろう。
ピーク・オイル論と国際政治、ピーク・オイル論と代替技術、ピーク・オイル論と世界の構造、ピーク・オイル論と私たちの日々の生活など、ひとりひとりに突きつけられた課題はまったなしの状況なのだ。つまり、見えない洪水が起きる前にノアの方舟を建造する必要がある。
本書は「ピーク・オイル論」に基づく。ピーク・オイル論とは埋蔵量の半分が生産された段階で起こる現象で、政治的な意図に関係なく、資源の減少という自然法則から起こる最後のオイルショックを指す。OPECの埋蔵量の水増し、情勢が安定した国での新規投資先もなく、ロシアやイラクなどの政治リスクの高い国にしか埋蔵されていない。代替エネルギーとしての原発も日本では政治コストが高く現実的ではない。さらに、再生可能エネルギーでは現在のエネルギー需要を満たすことはできない。
地球温暖化でCO2の削減からの化石燃料消費を抑えようという議論も重要だが、それ以前に世界の化石燃料の埋蔵量が半分を切り、ピークオイルに達する日が来ることは100%間違いないことなのだ。このときにラスト・オイルショックが起き、世界構造と私たちひとりひとりの生活は大きく変化せざるを得ない。100億円の資産を持つものが半分を使い切る、100万円持つものが半分を使い切る、それぞれ50%を切った段階で行動が変化することは容易に想像がつくだろう。
現在は石油エネルギーの代替としての天然ガスのメタン、ウランによる原子力が期待されているが、前者は現在ウクライナと戦争を行っているロシア、後者はICBMをたびたび発射する北朝鮮が埋蔵量で世界ナンバーワンだ。これは神のいたずらなのだろうか。人類に与えられた課題なのだろうか。私は、ロシアや北朝鮮のような国々とも衝突を起こさない社会を築く知恵が人類には必要なのだ、と考えるべきだと思う。もちろん、核融合や宇宙太陽光発電を実現させることや再生可能エネルギーからの蓄電社会システムもラスト・オイルショックを乗り切る代替案になるだろう。
ピーク・オイル論と国際政治、ピーク・オイル論と代替技術、ピーク・オイル論と世界の構造、ピーク・オイル論と私たちの日々の生活など、ひとりひとりに突きつけられた課題はまったなしの状況なのだ。つまり、見えない洪水が起きる前にノアの方舟を建造する必要がある。
2008年8月28日に日本でレビュー済み
関係者170人余に取材し、その結果を十分に練り上
げ厚みのある記述でまとめられていて、改めてイギリス
のジャーナリストの底力(翻訳も分かりやすい。)を感じ
ました。
著者のいうピーク・オイルとは、世界の石油延べ採掘
量が埋蔵量の半分になることで、メジャー資本やOPE
Cの懸命な隠蔽に関わらず10年未満にその時期が訪
れること、そしてその代替エネルギーと呼ばれるものが
役割を果たせないか又は整備が間に合わないことを、合
わせて論証しています。この立場にどれほどの客観性が
あるかは、高止まりしたままの原油価格を見れば判るこ
ととわたしは思います。例えそれに同意してもらえなくて
も、本書を読めば、少なくとも今後の国際政治の決定要
因として食糧(水資源を含む)、地球環境にエネルギー
を加えることには賛成してもらえると思います。
この事態に対し、著者が国やわたし達に勧めることは
ひとつです。エネルギー浪費型の生活を見直し、その消
費量を減らし、ピ−ク・オイルの時期を先延ばしすると共
にその時のショックの免疫をつけることです。わたしは
早速、今行っている投資や自宅の新築計画を見直しす
ることにしました。
本書を読んで気になったことを、ふたつ書き加えてお
きます。ひとつは、米英のイラク侵攻が世界的に石油の
供給不足が迫っているという認識が決断の背景になっ
ているらしいこと。どうもテロとの対決というお題目は、
鵜呑みにはできないようです。もうひとつは、米が自国
の石油を確保するため、絶対君主として君臨するサウ
ジのサウド家を支援し続けてきたことです。これは、アフ
ガンでの軍事行動を有利にするため、隣国パキスタンの
独裁政権を、打倒されたごく最近まで支援してきたとい
う事実と照応し合うものです。自国の権益のためなら何
でもありの国とは、少し距離を取ったほうが賢明かなと
思いました。
げ厚みのある記述でまとめられていて、改めてイギリス
のジャーナリストの底力(翻訳も分かりやすい。)を感じ
ました。
著者のいうピーク・オイルとは、世界の石油延べ採掘
量が埋蔵量の半分になることで、メジャー資本やOPE
Cの懸命な隠蔽に関わらず10年未満にその時期が訪
れること、そしてその代替エネルギーと呼ばれるものが
役割を果たせないか又は整備が間に合わないことを、合
わせて論証しています。この立場にどれほどの客観性が
あるかは、高止まりしたままの原油価格を見れば判るこ
ととわたしは思います。例えそれに同意してもらえなくて
も、本書を読めば、少なくとも今後の国際政治の決定要
因として食糧(水資源を含む)、地球環境にエネルギー
を加えることには賛成してもらえると思います。
この事態に対し、著者が国やわたし達に勧めることは
ひとつです。エネルギー浪費型の生活を見直し、その消
費量を減らし、ピ−ク・オイルの時期を先延ばしすると共
にその時のショックの免疫をつけることです。わたしは
早速、今行っている投資や自宅の新築計画を見直しす
ることにしました。
本書を読んで気になったことを、ふたつ書き加えてお
きます。ひとつは、米英のイラク侵攻が世界的に石油の
供給不足が迫っているという認識が決断の背景になっ
ているらしいこと。どうもテロとの対決というお題目は、
鵜呑みにはできないようです。もうひとつは、米が自国
の石油を確保するため、絶対君主として君臨するサウ
ジのサウド家を支援し続けてきたことです。これは、アフ
ガンでの軍事行動を有利にするため、隣国パキスタンの
独裁政権を、打倒されたごく最近まで支援してきたとい
う事実と照応し合うものです。自国の権益のためなら何
でもありの国とは、少し距離を取ったほうが賢明かなと
思いました。
2013年4月7日に日本でレビュー済み
養老孟司氏の奨めで発刊直後に購入したものの、忙しさにかまけて最近まで書架に眠っていたのだが、近著で改めて同氏が取り上げていたので(『日本人はどう住まうべきか?』隈研吾氏との共著)重い腰をあげて読み始めたが、なるほど刺激的な知見に溢れており思わず引き込まれて一気呵成に読んでしまった。
自明のことではあるが、化石燃料は有限であり、いつかはその在庫は尽きる運命にある。しかし、それに依存して経済を発展させてきた我々は、その事実を不快なものとしてついつい身から遠ざけてしまう。そんな我々に、もう猶予は無いと本書は警鐘を鳴らす。
著者は、主として石油についてその生産のピークが十数年後に迫っていることを、数々の取材や資料を通して、誠実かつ論理的に明らかにしてゆく。
養老氏も指摘していたドイツのキュンメル教授の言う「エネルギー消費と経済成長の連動」説は、きわめて説得力がある。近年の世界的な不況は、原油価格の高止まりと関連が有るのではないか?と疑われる。
新鮮な食物を海の向こうの遠い国から運んでこられるのも、アメリカ人がローンを組んで郊外に白亜の豪邸を建て、燃費の悪いSUV車を乗り回し、その多くが中国製で占められる商品をウォールマートに買いに行けるのも、世界の穀物生産の40%を担う灌漑農業(1トンの穀物生産に1,000トンの灌漑用水を運ばなければならない)を成り立たせているのも、単位あたりのトウモロコシの生産量を3倍以上増やすのを可能とした有機肥料を生産できるのも、すべては安価な石油や天然ガスが齎した恩恵なのだ。
要するに、典型的な米国型経済モデルを成り立たせているのが安価な原油の供給であり、1970年代に石油輸出国から輸入国に転落したアメリカが、「アメリカの生活様式は譲れない」(ジョージ・ブッシュ)として行ってきたのが、その後のアメリカの軍事・外交・金融政策(いはゆる「アメリカの覇権」)なのである。米国のサウジアラビア王家との緊密な関係、原油の取引をすべてドル建てとし、支払われたドル資金が米国債や武器購入資金へと流れていくいわゆる「オイルマネー還流」のからくり、各国中央銀行の石油購入のための巨額のドル準備金保有によるドル暴落への防波堤、などなど。これらすべてが、アメリカの生活様式を維持するために行われてきたことが、本書を読んでよくわかった。
このピークオイルを迎えることで我々の生活は大きな打撃を受けることになる。
それでは国家政策としては何をすべきなのか?本書では有効な策としてTEQ(売買可能エネルギー割当制度)を推奨している。
その詳細は本書に譲るとして、では我々個々人は何をすべきなのか?著者は様々な方策を例示する。アメリカ型郊外生活の放棄、低燃費車への乗り換え、自転車や公共交通機関の利用促進、地中熱ポンプや風力タービン、太陽熱発電機の導入などなど、いちいちもっともで、個人的にはすぐにでも導入したいと思うものばかりだ。
無論それら個々の方策に間違いはないのだが、では本書の究極のメッセージとは何だろうか?
私にはそれは、「経済成長なき社会の到来に対する覚悟」ではないかと感じられた。
このところ米国のシェール革命の到来で、エネルギー問題に明るい兆しが見えてきてはいるが(シェールオイルについては本書にも言及があるが、コスト的に利用価値は高くないとしている)、エネルギー問題に関する基本図書としての本書の価値は、いささかも損なわれていないと思われる(H25.1.4)。
自明のことではあるが、化石燃料は有限であり、いつかはその在庫は尽きる運命にある。しかし、それに依存して経済を発展させてきた我々は、その事実を不快なものとしてついつい身から遠ざけてしまう。そんな我々に、もう猶予は無いと本書は警鐘を鳴らす。
著者は、主として石油についてその生産のピークが十数年後に迫っていることを、数々の取材や資料を通して、誠実かつ論理的に明らかにしてゆく。
養老氏も指摘していたドイツのキュンメル教授の言う「エネルギー消費と経済成長の連動」説は、きわめて説得力がある。近年の世界的な不況は、原油価格の高止まりと関連が有るのではないか?と疑われる。
新鮮な食物を海の向こうの遠い国から運んでこられるのも、アメリカ人がローンを組んで郊外に白亜の豪邸を建て、燃費の悪いSUV車を乗り回し、その多くが中国製で占められる商品をウォールマートに買いに行けるのも、世界の穀物生産の40%を担う灌漑農業(1トンの穀物生産に1,000トンの灌漑用水を運ばなければならない)を成り立たせているのも、単位あたりのトウモロコシの生産量を3倍以上増やすのを可能とした有機肥料を生産できるのも、すべては安価な石油や天然ガスが齎した恩恵なのだ。
要するに、典型的な米国型経済モデルを成り立たせているのが安価な原油の供給であり、1970年代に石油輸出国から輸入国に転落したアメリカが、「アメリカの生活様式は譲れない」(ジョージ・ブッシュ)として行ってきたのが、その後のアメリカの軍事・外交・金融政策(いはゆる「アメリカの覇権」)なのである。米国のサウジアラビア王家との緊密な関係、原油の取引をすべてドル建てとし、支払われたドル資金が米国債や武器購入資金へと流れていくいわゆる「オイルマネー還流」のからくり、各国中央銀行の石油購入のための巨額のドル準備金保有によるドル暴落への防波堤、などなど。これらすべてが、アメリカの生活様式を維持するために行われてきたことが、本書を読んでよくわかった。
このピークオイルを迎えることで我々の生活は大きな打撃を受けることになる。
それでは国家政策としては何をすべきなのか?本書では有効な策としてTEQ(売買可能エネルギー割当制度)を推奨している。
その詳細は本書に譲るとして、では我々個々人は何をすべきなのか?著者は様々な方策を例示する。アメリカ型郊外生活の放棄、低燃費車への乗り換え、自転車や公共交通機関の利用促進、地中熱ポンプや風力タービン、太陽熱発電機の導入などなど、いちいちもっともで、個人的にはすぐにでも導入したいと思うものばかりだ。
無論それら個々の方策に間違いはないのだが、では本書の究極のメッセージとは何だろうか?
私にはそれは、「経済成長なき社会の到来に対する覚悟」ではないかと感じられた。
このところ米国のシェール革命の到来で、エネルギー問題に明るい兆しが見えてきてはいるが(シェールオイルについては本書にも言及があるが、コスト的に利用価値は高くないとしている)、エネルギー問題に関する基本図書としての本書の価値は、いささかも損なわれていないと思われる(H25.1.4)。
2008年7月25日に日本でレビュー済み
石油の価格が下がらない.つまり需要と供給が既に噛み合わなくなっているのだ.これこそ著者の説く最終オイルショックが既に始まりかけている兆候である.石油は 1950年以降狂気の如く採掘され (本文 p.91,図10),何時かは供給不足になる (peak out). 本書ではピークアウトの時期の予測に始まり,石油価格が暴騰する近未来の憂鬱な状況を精細に描写する.この部分が余りに凄惨なので,読み進むのが辛くなるが,そこは優秀なジャーナリスト (BBC御用) のこと,最後の章で人間味を見せてくれる.でも,石油で動く自動車は姿を消し,超距離輸送を要する食品もなくなり,日本のような食糧自給率の低い国が生き残れるかは不明.総ては政策立案実行能力を備えた優秀な政府が持てるかどうかにかかっている.
2008年8月8日に日本でレビュー済み
化石燃料はいずれ枯渇する。多くの人はその程度のことは理解している。しかしながら、この本で示されている「ラスト・オイルショック」が近い将来に起こる可能性があることを知っている人は少ない。わが国の政治家や役人はどうだろうか?資源エネルギー庁の役人は理解しているだろうか?この本で紹介されているBP統計の最新版(BP2007)によると、石油、天然ガス、石炭の可採年数は、それぞれ41年、63年、147年である。また、OECDによるUranium 2005によるとウランの可採年数は85年とされている。一見すると、あと300年以上、エネルギー資源は枯渇しないかのように見える。この本で指摘されている「可採年数」の計算の仕方の問題点を理解すれば、それが間違いであることが良く分かるだろう。現在のペースでこれらの資源を利用すると、あと100年程度でこれらの資源が枯渇するという計算になる。途上国でのエネルギー需要が増加すれば、さらに枯渇までの期間はもっと短くなる。それ以前にラスト・オイルショックが到来する。我々がすぐに立ち向かわなければならない問題は地球温暖化ではない。ラスト・オイルショックの影響を少しでも緩和するため、国及び国民は第10章、第11章に示されているアクションを直ちにとらねばならない。まずこの本を読んでほしい。そして必要な行動を起こしてほしい。特にわが国の政治に関わっている人たちお願いしたい。
2010年2月28日に日本でレビュー済み
本書の出だしがワシントンでのロビー活動などであり、その後も、政治的な話が続く。このことから、最初の部分を多少がまんして読むことが必要である。本書が伝えようとしていることは、帯にある「温暖化よりもはるかに怖い真実」、また、第4章のタイトル「気候変動よりも急を要する」の通り、石油資源の開発がすでに減り始めており、そのあとには採掘量の減少が始まるという、石油に依存した現代文明の存続にとってきわめて深刻な内容である。本書は全体として、この問題をめぐる各国政府や石油メジャー、OPECなどの動きを生き生きと描き出している。また、対策についても議論している。国際政治の中では、地球温暖化対策としてのCO2の排出権取引などが議論されているようだが、本当に必要なのは、石油エネルギーに代わる新しいエネルギー資源ではないかと実感する。ただし、石油資源があと何年でなくなるという話は、1930年代に出版された本でも読んだ気がする。その後も繰り返された話題なのかもしれない。